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自己破産後の復権とは? 資格・職業制限の解除までの期間と手続き

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更新日:2023年07月31日 公開日:2023年07月31日

自己破産後の復権とは? 資格・職業制限の解除までの期間と手続き

自己破産をすると、一部の資格を要する職業や、その他にも一定の職種に従事できなくなります(本コラムでは、このことを「資格・職業制限」と呼ぶこととします)。しかし、自己破産後に復権を得れば、資格・職業制限はなくなります。

そうだとすれば、自分の職業は自己破産をすると制限されるのか、制限されるとすれば復権はいつ認められるのかが気になることでしょう。

本コラムでは、復権とは何か、資格・職業制限が解除されるまでの期間、復権を得るための手続きについて解説します。

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1、自己破産後の復権とは

「復権」は破産法で使用されている言葉ですが、その定義は定められていません。以下で、復権とは何かをわかりやすく解説します。

  1. (1)破産者ではなくなるということ

    復権とは、「破産者」ではなくなるということです。自己破産を申し立てた人は、裁判所の破産手続開始決定が出ると破産者となりますが、復権すると破産者ではなくなるのです。

    一部の資格や一定の職種については、法律で「破産者は従事できない」旨が定められていますが、破産者でなくなれば、再びその職業に従事することができます(破産法第255条2項参照)。

    わかりやすくいうと、自己破産後の復権とは、資格・職業制限が解除されることを指します

  2. (2)制限が解除される資格・職業

    復権によって制限解除される資格・職業は、破産法に列挙されているわけではなく、個別の法律で定められています。その種類は多岐にわたりますが、主な資格・職業は以下のとおりです。

    • 行政書士、建築士、宅地建物取引士など「士業」と呼ばれる資格
    • 警備員
    • 生命保険の外交員
    • 損害保険の代理店
    • 旅行業務取扱管理者
    • 風俗営業の営業所管理者
    • 一部の公務員


    他にもさまざまな職種がありますが、気になる場合は自分の職業に関する資格について定めた法律を見れば確認できます。欠格事由として「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」と定められていれば、自己破産をすると制限され、復権によって制限が解除される職業に該当します

  3. (3)信用情報が回復するわけではない

    復権が得られても、信用情報が回復されるわけではないことに注意が必要です。なぜなら、信用情報機関のデータベースには、破産者かどうかとは無関係に、滞納や債務整理などの事故情報が一定期間にわたって保有されているからです。

    自己破産による事故情報が削除されるまでの期間は、信用情報機関によって異なりますが、破産手続開始決定の日から5~7年です。それまではブラックリストに登録された状態が続き、新規の借り入れやクレジットカードの利用などが難しくなります。

2、自己破産の申し立てから復権するまでの期間

資格・職業制限は、破産手続開始決定が出たときから始まり、免責許可決定が確定したときに復権します(破産法第255条1項1号)。自己破産の申し立てから破産手続開始決定までの期間は、1か月程度です。

自己破産の申し立てから復権するまでの期間は、以下のとおりです。

  1. (1)同時廃止事件では4~5か月程度

    債権者への配当に充てられるだけの財産がなく、かつ、免責不許可事由がないことが明らかな場合は、同時廃止事件となります。同時廃止事件では、申し立てから免責許可決定まで、3~4か月程度の期間がかかります。その後、1か月程度で免責許可決定が確定します。

    したがって、自己破産の申し立てから復権までは4~5か月程度が見込まれます

  2. (2)管財事件では5~13か月程度

    99万円を超える現金または評価額20万円を超える財産がある場合や、免責不許可事由がありそうな場合、詳しい財産調査を要する場合などでは、管財事件となります。個人の自己破産では、手続きが簡略化された「少額管財事件」となることが多いですが、換価すべき財産が多い場合や、複雑な法律問題が絡んでいる場合、少額管財を実施していない裁判所に申し立てた場合などは「通常管財事件」となります。

    自己破産の申し立てから免責許可決定まで、少額管財事件で4~6か月程度、通常管財事件で6~12か月程度です。免責許可決定が確定するまでに1か月程度を要するため、復権するまでにはトータルで5~13か月程度が見込まれます

  3. (3)復権したか確認する方法

    自己破産後に復権したかどうかを確実に確認したい場合は、本籍地の市区町村の役所で「身分証明書」を取得しましょう。

    復権している場合はすでに破産者ではなくなっているため、身分証明書には「破産宣告または破産手続開始決定の通知を受けていない」と記載されています。ただし、役所によっては文言が異なることもあります。

3、自己破産後に復権する方法

自己破産後に復権する方法は以下のとおり、いくつかあります。

  1. (1)免責が確定すれば当然に復権する

    免責許可決定が確定すれば当然に復権するので(破産法第255条1項1号)、特段の手続きは不要です

    なお、免責許可決定が出たときは裁判所から通知がありますが、その確定や復権については通知されません。確認する必要がある場合は、免責許可決定から1か月が経過したころに裁判所で「確定証明書」を取得することです。

  2. (2)免責以外で当然に復権することもある

    免責が許可されなかった場合でも、以下の事由に該当する場合は当然に復権します(破産法第255条1項2号~4号)。

    • 債権者の同意を得て破産手続きが廃止された場合
    • 個人再生を別途申し立てて再生計画案が認可され、その決定が確定したとき
    • 破産手続開始決定から10年が経過したとき


    ただし、実務上はこれらの事由に該当するケースはまれです。

  3. (3)裁判で復権を認めてもらう方法もある

    さらに、免責が許可されなくても他の原因で債務が全部消滅した場合には、裁判所に申し立てることによって復権の決定を得ることができます(破産法第256条1項)。

    実務上はこの申し立てが行われることもまれですが、もし、債務を完済したり、消滅時効が完成したり、債権者に免除してもらったりした場合は、復権の申し立てが可能です。

4、自己破産で制限される職業に就いている人の対処法

自己破産で制限される職業に就いている人は、事前に対処法を考えておく必要があります。最適な対処法は職種によっても異なることもありますが、以下のような方向性が考えられます。

  1. (1)自己破産して退職・転職する

    資格・職業制限があるからといって、自己破産ができないわけではありません。資格・職業制限は、復権を得るまでの一時的なものです。したがって、自己破産を申し立てる前後にいったん退職し、復権後に同じ職場に復帰することも考えられます。復職できない場合でも、他の職場に転職することはできるでしょう。

  2. (2)部署異動を申し出て自己破産する

    退職しなくても、部署異動をすることで資格・職業制限を回避できる可能性があります。たとえば、生命保険会社に勤務している場合、自己破産すると外交員はできなくなりますが、事務職員として勤務することは差し支えありません。会社に事情を話して、復権するまでの間だけ資格・職業制限に該当しない部署に異動させてもらえるのであれば、職を失うことなく自己破産ができます。

  3. (3)他の債務整理を検討する

    職を失わずに借金問題を解決するためのもっとも確実な方法は、他の債務整理を選択することです。個人再生や任意整理には、資格・職業制限はありません

    個人再生は、裁判所の手続きを利用して借金を原則的に5分の1~10分の1にまで減額できる手続きです。減額後の借金を3年~5年で完済するだけの安定収入が必要ですが、職に就いている人なら個人再生を利用できる可能性が高いといえます。

    任意整理は、債権者と裁判外で交渉して借金を減額してもらう手続きです。基本的には利息が免除されるだけなので、大幅に借金を減らすことは難しいというデメリットがあります。ただ、家族や親戚が返済に協力してくれる場合や、財産を換金して返済に充てることが可能な場合には、任意整理も検討してみるとよいでしょう。

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5、まとめ

復権とは、自己破産による資格・職業制限が解除されることです。破産手続開始決定から、その後免責許可決定が確定するまでの間は、一部の資格や一定の職種に従事することが制限されますが、その後は復権し、どんな職業にでも就くことが可能となります。

自己破産で制限を受ける職業に就いている方が多額の借金を抱えた場合には、債務整理の種類を慎重に選ぶことが重要です。そのためには専門的な知識が要求されるため、弁護士に相談してアドバイスを受けたほうがよいでしょう。

ベリーベスト法律事務所では、債務整理の実績が豊富な弁護士が、状況に応じて最適な解決方法を提案いたします。

自己破産をはじめとする債務整理に関するご相談は、何度でも無料でご利用いただけます。お困りの際は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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  ※集計期間:2011年2月~2022年12月末
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※2024年2月現在
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2010年(平成22年)12月16日

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