債務整理 弁護士コラム
ついついカードローンでの借金を繰り返し、カードローンの借金が増えて困っていませんか。毎月給料が振り込まれても、自由にお金を使えないのはつらいものです。
結論からいうと、カードローンの借金は自己破産できます。また少しずつですが、カードローンで自己破産する人が増えているのも実情です。
そこで今回は、
・カードローンの借金が増えている理由や自己破産できる訳
・自己破産する前に注意すべきこと
・自己破産する or しないの目安
などについて解説していきます。
カードローンの借金返済がつらくて、自己破産を検討している方のご参考になれば幸いです。
カードローンを借りる人が増えているのは、お金を借りるのに抵抗を感じる方も、「銀行なら大丈夫かも……」と安心して借りてしまうからです。
銀行カードローンをついつい使ってしまう落とし穴は、総量規制対象外なため思ったより多くのお金をキャッシングできることです。
総量規制だと年収の3分の1しか借りられません。
しかし、総量規制対象外の場合は上限がありません。もともと総量規制は貸金業者に対する規制ですので、銀行にはこの規制は及ばないわけです。
※現在は総量規制対象外に制限がかかっている銀行もあります。
借りられる金額に上限がないため、審査に通ってしまえば収入のない方でも簡単に借り入れ可能です。
総量規制対象外は利用者にとってうれしい反面、気軽にお金を借りられるからこそ借金が増えて困る人は増えてしまいます。
カードローンでの自己破産者が増えていたのは、銀行の貸出強化にも原因があります。
銀行カードローンを加入している・していない人に多くのお金を貸すため、CMやインターネットの広告で貸し出しをアピールしていました。
おかげで多くの方が銀行カードローンを利用するようになり、自己破産する人も増えてしまっています。
ちなみに銀行は、消費者金融と協力してカードローンの利用者にいくらまで貸せるかのノウハウを共有して貸出強化を行っていました。
自己破産制度を利用すると多くの制限(デメリット)を受けるものの、借りたものを返さなくても良しとしてもらえる(免責される)という、借り手にとってはとても大きなメリットを受けられる制度です。
その反面、貸し手は債権回収ができなくなり、こちらは大きな損失です。
このバランスをとるために、自己破産が認められるには、借り手の借金の必要性が高かったことや、借り手が擁護されるべき状態であったことが必要なことはお分かりになると思います。
そこで自己破産を定める破産法では、借り手を擁護すべきとは考えられないケース(免責を許可できないケース)として、さまざまな状況を第252条に列挙規定しています。
第252条が規定しているうちのひとつに、「浪費行為」が入っています。浪費は、借り手の借金の必要性は高いものとは基本的には認められないからです。
カードローンを利用した理由として、不慮の事故による入院費用の調達といったケースはもちろんありますが、浪費というケースが少なくありません。そのため、浪費であるカードローンの借金は自己破産が無理なのでは、と思う人がいると考えられます。
ただし、免責不許可事由(※1)に該当しても、裁量免責となり裁判所が許可してくれることがほとんどのため、実際は免責(※2)の許可が下ります。
したがって、カードローンの借金は自己破産できます。
自己破産をするときは2つのことに注意してください。
自己破産の手続きをすると、信用情報といってカードローン・ローンの契約や借り入れ、返済などをした情報に傷がついてしまい、一定期間はカードローン、クレジットカードの利用ができず、また、ローンも組めない可能性が高いです。クレジットカードは、キャッシング機能はもちろん、ショッピング機能も利用できません。
これらは、信用情報を管理している『信用情報機関』に、「信用情報に傷がついた」ということが登録されるためです。
日本には信用情報機関が3つあり、登録される期間は信用情報機関によって異なりますが、クレジットカードなどを利用するには、基本的には5~10年待つ必要があります。
【信用情報機関に傷がついたことが登録される期間】
信用情報機関 | 信用情報の回復にかかる期間 | 保存している金融機関の情報 |
---|---|---|
JICC | 5年 | 消費者金融会社・銀行などの金融会社 |
CIC | 5年 | 消費者金融・信販会社 |
KSC | 10年 | 銀行 |
※JICCに登録されている銀行なら、5年待てば審査に通れば利用可能です。
銀行カードローンを利用している場合、自己破産すると口座凍結されます。
タイミングは弁護士が出した受任通知(※)が銀行へ届いたときです。
預金残高があるなら弁護士へ依頼する前に引き出しておきましょう。
なお、預金残高があると、借り入れしている借金と相殺されてしまいます。
その他、自己破産のデメリットとして、大きなものとしては職業への制限、財産の没収です。
これら以外にも、制限が発生する職業はあります。詳細は自己破産相談時に弁護士に確認すると良いでしょう。
自己破産をする前に、まずは借金返済をするための行動を起こすことが大切です。
月にいくらのお金を使っているか分からなくなっている場合は、きちんと把握をしましょう。
意外と余計な物を買っているケースは少なくありません。
お金を何に使っているか分かれば、不要の物は買わない習慣を身につけられます。
会社へ行くときに弁当や水筒を持って行くなど節約をしましょう。支出を減らせれば、浮いたお金を借金返済に充てられます。
たとえば、毎日買っていたペットボトルの飲み物を、水筒持参に切り替えれば、月に約3000円(130円×22日)は節約が可能です。
複数の銀行カードローンを借りている人に限りますが、借入先をひとつにしましょう。1番安い金利のところで一本化できれば大幅に利息を削減できます。
たとえば、金利18.0%の銀行と14.5%の銀行でそれぞれ100万円ずつ借りている場合、1年にかかる利息は18万+14万5000円の合計32万5000円です。
一方、14.5%の銀行へ一本化すれば、年にかかる利息は29万円(14.5%×200万円)です。
1年で3万5000円の利息をカットできるのが分かります。
複数の銀行カードローンから借り入れしている人は、一本化してみてもいいかもしれません。
借金の利息を減らして返済をスムーズに行うには、毎月1000円だけもいいので金額を増やして返しましょう。
返済額が1000円増えるだけで、どのくらいの利息がカットできるかをシミュレーションしてみました。
プラス1000円多く返済するだけで、135万2041円 - 106万6386円=28万5655円を節約できるのが分かりました。
苦しいかもしれませんが、利息を少しでも減らすためにも毎月プラス1000円多く返しましょう。
リボルビングや分割払いなど、月々少しずつ支払えば良い返済方法は本当に便利です。しかしその総額が積もると、次第に返済が苦しくなってきます。光熱費や家賃、通信費や交通費などの生活にかかる必要費用もそれなりにかかるからです。
借金やショッピングでの引き落とし(カード払いの必要費用を除く)は、収入の20%相当になると返済が苦しくなると考えてください。もちろん、家賃や通信費などに一般的割合以上にお金をかけている場合は、それ以下でも苦しくなる可能性はあります。
借金返済がつらくて自己破産を検討しているなら、5年で完済できるかどうか計算してみましょう。5年以内に返済できるなら自己破産をしない方向でも検討でき、自己破産をしなければ信用情報を傷つけずに済みます。
一方、完済に5年以上かかるのなら、自己破産を検討しましょう。
まずは今の借金を5年で完済できるかどうか確認してみてください。
カードローンの借金は、借金理由が浪費であったとしても自己破産できる可能性があります。免責不許可事由だとしても、裁判所の許可が下りれば免責の許可はもらえるからです。
借金の金額が多く5年以内の完済が難しい状況ならば、弁護士へ債務整理の相談をすることをおすすめします。ベリーベスト法律事務所では、自己破産をはじめとした債務整理に関するご相談は何度でも無料です。お気軽にご相談ください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。
借金を抱えて返済しきれなくなっても、自己破産をすれば返済義務が免除されます。しかし、税金の支払いは自己破産をしても免除されません。
実のところ、自己破産では、あらゆる債務が消滅するわけではなく、自己破産後も残る債務があることに注意が必要です。
そのような債務を抱えている場合は、自己破産以外の手段で解決しなければ、差し押さえなどの重大なデメリットを受けるおそれがあります。
本コラムでは、自己破産をしても税金の支払いが免除されない理由と、税金が払えないときの対処法について、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。
借金問題は、誰にでも降りかかる可能性のあるトラブルのひとつです。夫婦が同時に多額の借金を抱えてしまうことも、珍しくありません。
夫婦とはいえ、金銭的な話をしていなかったことで、配偶者の借金に全く気付いていなかったというケースもしばしば見受けられます。
夫婦で多額の借金があると発覚してから、自己破産などの債務整理を検討している方もいるでしょう。借金は生活に関わってくる問題であるため、早期に正しく対応することが特に重要です。
本コラムでは、夫婦がそろって借金を抱えてしまった場合の解決方法と重要なポイントなどについて、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。
最近では、共働き夫婦の増加により、お互いの財布事情に関知しない夫婦も珍しくありません。
そのため、妻に借金があることに気づいたときには、借金の額が手に負えないくらい膨らんでいて「自己破産以外に解決方法がない」と追い詰められてしまうケースもあります。
しかし同時に、自己破産をすると配偶者である自分や子どもに何かしらの悪影響が出るのではないか、と不安に感じる方もいるでしょう。
本コラムでは、妻の借金を自己破産で解決した場合に、家族に及ぶ影響について、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。