債務整理 弁護士コラム
友人や親族から「保証人になってほしい」と頼まれた際、断りづらさから安易に応じてしまう人もいます。しかし、保証契約は単なる形式的な署名ではなく、保証人に重い法的責任を負わせるものです。
特に「連帯保証」では、債権者が主債務者を飛ばして直ちに保証人へ請求できるため、負担は極めて重くなります。
今回は、保証債務の定義や仕組み、通常の保証と連帯保証の違い、保証人が直面するリスクや責任範囲などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
保証人になることは、単に契約書に署名や押印をするだけの形式的なものではなく、実際には大きな法的責任を伴います。
以下では、保証債務の基本的な定義と仕組みを確認し、保証人がどのような責任を負うのかを具体的な事例を交えて説明します。
保証債務とは、民法446条に規定されるもので、「主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う」契約です。また、保証契約は口頭では成立せず、書面または電磁的記録が必要とされています。
一度契約が成立すれば、その責任は重く、主債務者の返済状況に大きく左右される立場に置かれます。
保証人の責任は、主債務者が返済できなくなった場合に、その債務を代わりに履行するというものですが、重要であるのは、民法447条により「主債務と範囲が同一」である点です。
つまり保証人は、単に「元金だけ」を肩代わりするのではなく、利息や延滞金を含めた総額について、債権者から責任を問われる立場にあるのです。この「責任範囲の広さ」が、保証債務の大きなリスクといえます。
賃貸住宅の契約では、しばしば保証人を立てるよう求められます。
主債務者である入居者が家賃を滞納すると、大家(債権者)は、保証人に滞納分を請求できます。単純保証では、後述する「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」を行使して、保証人への即時請求を避けるように要求することはできます。しかし実務では、主債務者が無資力であることが多く、結果として保証人が支払わざるを得ないケースが多数みられます。
中小企業の経営者が融資を受ける際、親族や知人に連帯保証を依頼するケースがあります。
もし事業が失敗して数千万円単位の債務が返済不能になれば、保証人は一夜にして多額の借金を負うことになります。しかも連帯保証では、債権者はすぐに保証人に全額請求できるため、保証人の財産や給与が差し押さえられる危険性が存在します。
保証債務には「通常の保証(単純保証)」と「連帯保証」があります。
どちらも主債務者の返済が滞ったときに保証人が責任を負う点では同じですが、その範囲や請求される順序には大きな違いがあります。特に、連帯保証は、保証人にとって極めて重い負担となる契約形態です。
単純保証では、保証人は主債務者の債務を補助的に支払う義務を負います。
“補助的に”とは、債権者はまず主債務者に請求するのが原則であり、保証人は「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」を行使することで、すぐに支払いを迫られることを避けられます。
ただし、主債務者が返済不能であれば最終的には保証人が責任を負わなければなりません。保証人の負担は軽いとはいえず、十分なリスクを伴います。
| 項目 | 単純保証 | 連帯保証 |
|---|---|---|
| 請求の順序 | まず主債務者に請求→支払えない場合に保証人へ | 主債務者を飛ばして直接保証人に請求可能 |
| 抗弁権 | 催告の抗弁権・検索の抗弁権あり | 抗弁権なし |
| 責任範囲 | 主債務者が支払えない場合に補助的に負担 | 主債務者と同等に全額の支払い義務 |
| リスクの重さ | 連帯保証よりは軽い | 単純保証よりも重い |
連帯保証では、保証人は主債務者と同等の立場に置かれます。つまり、債権者は、主債務者を飛ばして、いきなり連帯保証人に全額請求することが可能です。
また、連帯保証人には「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」が認められず、主債務者が支払えるかどうかに関係なく、請求を受ければただちに履行義務が生じます。さらに、主債務者が自己破産しても、連帯保証人の責任は消えることはありません。
このような特徴から、連帯保証は非常に重い責任を負うことになりますので、契約する際には特に注意が必要です。
保証人は、万が一のときに肩代わりするだけと考えがちですが、実際にはその責任範囲は非常に広く、生活や財産に深刻な影響を与えます。
以下では、保証債務に関する時効や求償権、主債務者が支払不能・自己破産に陥ったときの影響、そして無限連帯責任の危険性について説明します。
保証債務には時効があり、民法改正後の規定では、原則として、債権者が権利を行使できると知ったときから5年、権利を行使できるときから10年が経過すると消滅します。ただし、時効を主張するには「援用」と呼ばれる意思表示が必要で、放置しているだけでは自動的には消滅しません。
また、保証人が支払いをした場合には「求償権」が認められており、主債務者に対して返済分を請求できます。しかし、実際には主債務者が無資力である場合が多く、求償権を行使できても回収できないのが現実です。つまり、法律上の権利はあっても「実効性が乏しい」という大きなリスクを抱えています。
主債務者が一時的に支払い不能に陥ると、その請求は即座に保証人に及びます。
たとえば、会社員の友人の借金の保証人になった場合、その友人が失業して返済できなくなれば、保証人に対して債権者は直接返済を求めてきます。
主債務者が返済不能に陥ると、保証人は元金だけでなく、利息・遅延損害金などを含む一切の債務について請求を受ける可能性があります。そのため、想像以上に負担額が大きく膨らむ可能性があります。
主債務者が自己破産を申し立て、裁判所から免責を受けると、主債務者本人は、借金の返済義務を免れます。しかし、その効果は保証人には及びません。つまり、主債務者が借金を「ゼロ」にできても、保証人にはそのまま全額の支払い義務が残るのです。
実際に、親族の事業融資の連帯保証人になっていた人が、経営者本人の破産後に全額を請求され、保証人自身も自己破産に追い込まれるという事例も少なくありません。
保証契約の一種として「根保証」というものがあります。根保証とは、将来発生する可能性のある特定の範囲内の不特定の債務を保証する契約です。
たとえば、銀行が事業者に対して継続的に融資を行う場合、そのすべての融資債務を包括的に保証するのが根保証です。
問題は、この根保証契約に「極度額(保証限度額)」が定められていないと、保証人は青天井で責任を負う「無限連帯責任」の状態になってしまう点です。
たとえば、主債務者が当初は500万円の融資を受けていたとしても、その後に追加で数千万円規模の融資を受ければ、そのすべてについて保証人に責任が及ぶ可能性があります。保証人が契約内容を十分に把握していない場合、知らないうちに膨大な債務を背負い込むリスクがあるのです。
このようなリスクを防ぐため、2020年の民法改正では、個人が保証人となる根保証契約において「極度額」を必ず定めることが義務付けられました。極度額を設定することで、保証人が負う責任は、上限が明確になり、「無限連帯責任」となる危険を回避できます。
保証人になることは重大なリスクを伴いますが、契約内容を十分に確認し、あらかじめ防御策を講じておくことで、将来的なトラブルを軽減することが可能です。
以下では、保証契約を結ぶ前に必ず検討すべき具体策について説明します。
2020年の民法改正により、個人が保証人となる根保証契約では、原則として「極度額(保証限度額)」を定めることが義務付けられました。極度額とは、保証人が責任を負う金額の上限のことです。
たとえば、「極度額500万円」と定めれば、それ以上の債務を負うことはありません。これにより、青天井で債務を背負わされる「無限連帯保証」の危険性を避けることができます。
注意点は、極度額をできる限り低く設定することです。契約書に「極度額1億円」などと記載されていれば、実質的に制限の意味が薄れてしまいます。極度額が自分の資力に見合う範囲であるかを必ず確認しましょう。
すでに保証契約を結んでいる場合でも、債権者と交渉をして合意を得られれば、保証契約を解除することができます。
合意解除を進める際には、まず契約書を精査し、解除の可否や条件を確認します。そのうえで、債権者に対して正式に解除を申し入れますが、債権者としては保証人がいなくなることでリスクが増すため、容易に応じてくれるとは限りません。代わりとなる保証人を立てる、担保を差し入れるなどの条件提示を求められるのが一般的です。
また、合意解除が成立したとしても、それまでに発生していた債務については保証人の責任が残る点に注意が必要です。たとえば、解除合意後に「それ以前に発生していた未払い分」があれば、その部分までは保証人に請求される可能性があります。
近年では、家賃契約やローン契約の場面で「保証会社の利用」が広がっています。保証会社を利用すれば、第三者の個人保証人を立てずに済むため、親族や知人がリスクを背負うことを避けられます。保証料が発生するものの、後々のトラブル防止の観点からは有効な手段です。
また、銀行融資などの場面では、担保を差し入れることで保証人を不要とする方法もあります。保証契約にサインする前に、保証会社や担保提供といった代替案を検討することが、自分と家族を守ることにつながります。
保証人は、主債務者とは異なり、一定の資産や収入を有したまま債務整理を検討するケースが多いため、自己破産・個人再生・任意整理のいずれを選択すべきかの判断が複雑になりがちです。
弁護士に相談することで、債権者対応や資産保全の観点から最適な方針を立てることができます。
ベリーベスト法律事務所では、保証債務に関するご相談を多数取り扱っており、全国対応で迅速なサポートが可能です。保証債務でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。
友人や親族から「保証人になってほしい」と頼まれた際、断りづらさから安易に応じてしまう人もいます。しかし、保証契約は単なる形式的な署名ではなく、保証人に重い法的責任を負わせるものです。
特に「連帯保証」では、債権者が主債務者を飛ばして直ちに保証人へ請求できるため、負担は極めて重くなります。
今回は、保証債務の定義や仕組み、通常の保証と連帯保証の違い、保証人が直面するリスクや責任範囲などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
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しかも、借金の返済が滞った場合、信用情報に影響が出るため、クレジットカードの利用停止がなされる場合もあります。また、差押えされた場合、銀行口座が凍結されたり、勤務先に借金が知られたり、信用や人間関係にまで波及する場合があります。そのため、精神的な負担も非常に大きく、日常生活そのものが立ち行かなくなるケースも少なくありません。
もっとも、すべての財産が差押えの対象になるわけではなく、法律で「生活に最低限必要な財産」は守られています。また、事前に債務整理を行うことで差押えを防ぐことも可能です。今回は、差押えで持っていかれるもの・持っていかれないもの、差押えが生活に与える影響などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
一般的な金融機関から借り入れができなくなって闇金に手を出してしまい、深刻な被害に遭ってしまう人は後を絶ちません。
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ご自身だけでなく、家族や知人、職場にまで被害が及ぶ可能性も高いので、絶対に闇金に手を出してはいけません。もしお金を借りてしまったら、すぐに弁護士へ相談しましょう。
本コラムでは、闇金とはどのような業者のことをいうのか、闇金が使う具体的な手口、お金を借りてしまったときの対処法などについて、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。
