債務整理 弁護士コラム

債務整理と任意整理の違い|任意整理を選ぶべきケースや注意点など

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更新日:2025年03月03日 公開日:2025年03月03日

債務整理と任意整理の違い|任意整理を選ぶべきケースや注意点など

債務整理とは、借金を減額・免除することで借金に関するお悩みを解決できる手続きです。債務整理の方法には、いくつかの種類がありますが、そのうちのひとつが「任意整理」です。

任意整理には、メリットだけでなくデメリットもありますので、ご自身の状況に応じて最適な債務整理の方法を選択することが大切です。

今回は、債務整理と任意整理の違いや、任意整理の手続きの流れなどについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、債務整理と任意整理の違い

債務整理と任意整理は、似たような言葉ですので、両者を混同している方もいるかもしれません。まずは債務整理と任意整理に違いについてみていきましょう。

  1. (1)そもそも債務整理とは

    債務整理とは、借金を減額・免除することで借金に関するお悩みを解決することができる手続きの総称です

    以下のような借金に関するお悩みは、債務整理を行うことによって解決が可能です。

    • 収入が減少してしまい借金の返済が困難な状況になった
    • 別の消費者金融から借りて返済するといった自転車操業の状態になっている
    • 利息の返済ばかりで元金が減っていかない
    など


    一人で悩んでいてもなかなか借金問題は解決できませんので、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

  2. (2)債務整理と任意整理の違い

    任意整理とは、債務整理の方法のひとつであり、債権者との交渉を行い、以下のような方法で借金返済の負担を軽減することができる手続きです

    • 遅延損害金の減額、免除
    • 将来利息のカット
    • 返済方法の変更
    • 利息制限法に基づく引き直し計算


    債務整理と任意整理は、似たような言葉であるため「債務整理=任意整理」と理解している方も少なくありませんが、正確には債務整理の手続きの中のひとつが任意整理となります。

  3. (3)債務整理には任意整理以外にもいくつか種類がある

    債務整理は、借金のお悩みを解決することができる手続きの総称であり、任意整理以外にも以下のような手続きが含まれています

    • 自己破産
    • 個人再生
    • 特定調停


    いずれも借金の負担を軽減することができる手続きですが、それぞれ異なる特徴やメリット・デメリットがあります。そのため、債務整理の中から手続きを選択する際には、各手続きの特徴などを正確に理解して、適切な方法を選択することが大切です。

2、任意整理を選ぶべきケース|メリット・デメリット

任意整理はどのようなケースで選択すべき手続きなのでしょうか。以下では、任意整理のメリット・デメリットを踏まえた上で、任意整理の手続きが向いているのはどのような方かを説明します。

  1. (1)任意整理のメリット・デメリット

    任意整理には、主に以下のようなメリットとデメリットがあります。

    【任意整理のメリット】
    ・月々の返済額を減らすことができる
    任意整理は、債権者との交渉により、遅延損害金の減額・免除、将来利息のカット、返済期間の延長などを図ることができます。
    これにより、従来の返済額では借金の支払いを続けることが難しい人であっても、月々の返済額を減らすことができますので、毎月の返済の負担を軽減することが可能です。無理のない範囲で返済を続けられますので、生活にも多少は余裕が出てくるでしょう。

    ・保証人に迷惑をかけずに債務整理ができる
    任意整理は、対象となる債権者を自由に選ぶことができますので、一部の債権者だけを除いて任意整理を行うことも可能です。
    自己破産や個人再生では、すべての債権者を対象にしなければなりませんので、保証人がいる場合には、保証人に対して一括請求されることになります。しかし、任意整理であれば保証人付きの債権を、債務整理の対象から除外できますので、保証人に迷惑をかけることなく債務整理を行うことが可能です

    ・家族に内緒で債務整理ができる
    任意整理は、他の債務整理の手続きとは異なり、家族の協力がなくても行うことができます。また、弁護士に依頼すれば債権者からの連絡や手紙などは、すべて弁護士のもとに届きますので家族に債務整理がバレる心配はありません
    【任意整理のデメリット】
    ・借金の大幅な減額は困難
    任意整理での債権者との交渉は、将来利息のカットや返済期間の延長がメインとなりますので、後述する自己破産や個人再生のような大幅な借金の減額は期待できません。基本的には、借金の元金が減額されることはありませんので、借金総額が大きい場合には不向きといえるでしょう

    ・債権者が任意整理に応じてくれないこともある
    任意整理を実現するには、債権者と支払方法等についての交渉を行い、合意をする必要があります。
    しかし、債権者は、任意整理に応じる法的義務はありませんので、債務者が希望する条件では任意整理に合意してくれないこともあります。しっかりとした返済計画を立案すれば、任意整理に応じてくれる債権者は多いですが、任意整理には一切応じない方針をとっている債権者も少なくありません。そのため、そのような債権者が含まれている場合には、任意整理をするのは困難といえるでしょう。
  2. (2)どんな人が任意整理を選ぶべきなのか

    任意整理のメリットとデメリットを踏まえると、以下のような人は任意整理を選択すべきでしょう。

    • 利息の支払いだけで元金が減っていかない人
    • 保証人に迷惑をかけずに債務整理をしたい人
    • ローン返済中の自動車やバイクを手放したくない人
    • 月々の返済額が減れば借金の返済が可能な人
    • 家族にバレずに債務整理をしたい人

3、こんなケースは任意整理できない|任意整理以外の方法

以下では、任意整理が不向きなケースと任意整理以外の債務整理の方法を説明します。

  1. (1)任意整理できないケースについて

    任意整理のデメリットを踏まえると、以下のようなケースについては、任意整理ができないか、あるいは任意整理が不向きといえるでしょう。

    ① 収入がないケース
    任意整理は、少なくとも元金分の借金返済を前提とする債務整理の方法になりますので、債務者に収入がなければ任意整理を行うことはできません。病気や失業などにより働くことのできない状態の方は、任意整理以外の方法を検討すべきでしょう。

    ② 借金額が大きすぎて完済が難しいケース
    任意整理では、借金の大幅な減額は期待できませんので、借金総額が大きすぎて、将来利息のカットや返済期間の延長をしても完済が難しい場合には、任意整理をするのは適切ではありません。
    任意整理を選択する目安としては、元金総額を3~5年程度での分割返済が可能であるかどうかがポイントになります。

    ③ 給与や財産の差し押さえを受けているケース
    借金の滞納が続くと、債権者から訴訟を提起されることがあります。裁判所の判決が確定すると、債権者は強制執行の申し立てを行い、債務者の給与や財産の差し押さえなどを行います。
    すでに給与や財産の差し押さえをされているケースでは、債権者は、強制執行により未払い債権の回収を図ることができ、債権者としては条件を譲歩してまで、任意で支払いを受ける必要はないため、任意整理に応じるメリットがありません。そのため、このようなケースでは任意整理に応じてくれる可能性は低いといえるでしょう。

    ④ 税金や公共料金を滞納しているケース
    税金や公共料金などは、任意整理の対象にはなりません。そのため、税金や公共料金を任意整理により減額することはできません

    ⑤ 取引期間が短い、返済実績が少ないケース
    取引期間が短い、今までの返済実績が少ないケースでは、「初めから返済する気がなかったのではないか?」と疑われてしまい、債権者が交渉に応じてくれないことがあります
    債権者は、任意整理に応じる義務はありませんので、このようなケースでは弁護士が交渉したとしても任意整理を拒否されてしまうことがあります。
  2. (2)任意整理以外の方法(自己破産、個人再生、特定調停)の概要

    任意整理ができない、または任意整理が不向きなケースでは、任意整理以外の債務整理を検討する必要があります。以下では、任意整理以外の債務整理の方法を説明します。

    ① 自己破産
    自己破産とは、裁判所に申し立てをし、免責許可決定を得ることで、債務を免除してもらうことができる手続きです。基本的にはすべての借金をゼロにすることができますので、借金問題を根本的に解決できる手段といえます
    ただし、自己破産をする場合、一定の評価額を上回る資産についてはすべて手放さなければならないといったデメリットがあります。また、浪費やギャンブルなどでつくった借金については、免責不許可事由に該当しますので、原則として、債務を免除してもらうことができません。

    ② 個人再生
    個人再生とは、裁判所に申し立てをし、再生計画案の認可を得ることで、借金を大幅に減額することができる手続きです。減額後の借金については、原則3年(最長5年)の分割返済をしていくことになりますので、内容次第では、当初の返済負担に比べると大幅に軽減される可能性があります
    個人再生は、自己破産のように財産を手放す必要がなく、住宅資金特別条項を利用すれば住宅ローンが残っている場合でも自宅を失うことはありません。

    ③ 特定調停
    特定調停とは、簡易裁判所の調停手続きにより債権者と債務者との利害関係の調整を行う手続きです。任意整理と同様に話し合いの手続きになりますが、裁判所の調停委員が間に入ることにより、任意整理では合意に至らないようなケースでも和解が成立する可能性があります。
    もっとも、特定調停は、債権者の協力が得られず失敗するケースも少なくないため、実務ではあまり利用されていません。

4、任意整理を行う方法・手続きの流れ

任意整理を弁護士に依頼した場合、以下のような流れで手続きを進めていきます。

  1. (1)弁護士へ依頼

    債務者本人が直接交渉しても、満足いく結果が得られない可能性が高いため、任意整理を希望する場合には、弁護士に依頼されることをおすすめします。
    弁護士に依頼する場合、まずは弁護士事務所に相談の予約を入れ、弁護士との相談を行います。弁護士との相談時に提案された解決方針・費用に納得できれば、弁護士に任意整理を依頼します。

  2. (2)受任通知の送付

    任意整理の依頼を受けた弁護士は、各債権者に対して、受任通知を送付し、取引履歴の開示を求めます。

  3. (3)利息の引き直し計算

    債権者から開示された取引履歴をもとに、利息の引き直し計算を行います。利息制限法に基づいて計算し直した結果、過払い金が発生していることが判明した場合には、過払い金の請求も行います。

  4. (4)弁護士が債権者と交渉

    利息の引き直し計算により正確な借金額が判明したら、その金額と債務者の収支状況を踏まえて、返済計画案を作成します。
    返済計画案が確定したら、それを債権者に提示して交渉を進めていきます。

  5. (5)和解成立

    債権者との間で合意に至った場合、和解書を作成して、和解成立となります。

  6. (6)返済再開・完済

    和解成立後は、和解内容にしたがって返済を再開し、借金の完済を目指していきます。

5、借金問題を解決したい方は弁護士へ相談を

借金問題を解決したい方は、弁護士への相談をおすすめします。

  1. (1)借金を放置することのリスク

    借金の返済ができなくなったからといって、そのまま放置するのは絶対にしてはいけません。
    借金を放置すると利息よりも高い利率の遅延損害金が発生しますので、借金総額がどんどん増えていってしまいますまた滞納期間が長くなると、債権者から督促状が届き、家族に借金の存在がバレたり、債権者に裁判を起こされて給与や財産の差し押さえを受けたりするなどのリスクが高くなります
    そのため、借金の返済が難しいと感じたときは、滞納する前に弁護士へ相談するようにしましょう。

  2. (2)弁護士へ依頼することで得られるメリット

    弁護士に債務整理の依頼をすると、以下のようなメリットが得られます。

    ① 督促が止まる
    弁護士に依頼をすると、弁護士は各債権者に受任通知を送付します。受任通知が債権者に届いた後は、債権者から債務者に対する直接の取り立てが禁止されますので、一時的に督促をストップさせることができます。

    ② 将来利息や遅延損害金のカットが望める
    借金の返済をしているのに全然借金が減らないという場合は、利息の支払いしかできていない可能性があります。任意整理により将来利息をカットすることで、元金の返済により多く充てることができますので、現状よりも早く借金の完済を実現することができます。

    ③ 複雑な手続きを弁護士に一任できる
    債務者個人で債権者と交渉をしたとしても、弁護士が対応するような水準での任意整理を実現することはできません。また、複雑な任意整理の手続きを債務者個人で対応するのは困難だといえるでしょう。
    弁護士に依頼すれば任意整理の手続きをすべて一任することができますので、債務者の負担はほとんどありません。

    ④ 家族や知人に知られずに解決を目指せる
    弁護士に債務整理を依頼すれば、債権者からの連絡や手紙などをすべて弁護士が窓口となって対応しますので、債務者の自宅に債権者からの連絡や手紙が行くことはありません。
    家族や知人に借金の存在を秘密にしている方は、弁護士に依頼すれば家族や知人に知られずに借金問題を解決することが望めます

    ⑤ もっとも適切な債務整理の方法を提案してもらえる
    債務整理の方法には、任意整理以外にも自己破産、個人再生、特定調停といった方法があります。いずれもメリットだけでなくデメリットもありますので、状況に応じて選択すべき方法は異なります。
    弁護士に依頼をすれば複数の債務整理の方法の中から、最適な方法を提案してもらえますので、借金の返済負担をより効果的に減らすことができるでしょう。

6、まとめ

任意整理は、債務整理の方法のひとつであり、債権者との交渉により借金返済の負担を軽減できる方法です。大幅な借金の減額は難しいですが、一部の債権者を除いて手続きを進めることができるなど、他の債務整理の方法にはない特徴があります。

借金問題でお困りの方は、任意整理などの債務整理を行うことにより借金問題を解決できる可能性がありますので、まずはベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
オフィス
[実績]
・債務整理の相談件数 13万1237件
  ※集計期間:2010年12⽉〜2024年12⽉末
・過払い金請求 回収実績件数 90253件
・過払い金請求 回収実績金額 1067億円以上
  ※集計期間:2011年2⽉〜2022年12⽉末
[拠点・弁護士数]
全国75拠点、約330名の弁護士が在籍
※2025年1月現在
[設立]
2010年(平成22年)12月16日

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