債務整理 弁護士コラム
住宅ローンを組んでマイホームを手に入れたものの、途中で返済できなくなる人は少なくありません。
住宅ローンを払えないと、せっかく手に入れたマイホームを手放すことになります。その上に、借金だけが残る可能性があることにも注意が必要です。しかし、早めに対処すれば、マイホームを失わずに借金を整理できる可能性が十分にあります。
本コラムでは、住宅ローンを払えないとどうなるのかを具体的に解説し、マイホームに住み続けながら住宅ローンを含む借金問題を解決する方法などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
住宅ローンの滞納が続くと起こり得ることを紹介します。最終的にはマイホームを失ってしまうことになるため、早めの対応が必要です。
滞納が生じると、債権者からの督促が始まります。返済期限の数日から1週間程度経過したあとに最初の督促状が届くことが多いでしょう。
さらにその後も滞納を続けていると、督促状が何度か送られてきます。それだけでなく、担当者からの電話で支払いを催促されることもあります。滞納開始からおおむね3か月ほどの間に滞納を解消すれば、多少の遅延損害金がかかるものの、大きな問題にはなりません。
遅延損害金の利率は契約次第ですが、住宅ローンでは14%程度が一般的です。
おおむね3か月(3回分)にわたって滞納を続けていると、やがて期限の利益を失います。期限の利益とは、約束した返済期限までは借金を返済しなくてよいという、債務者が受けている利益のことです。この利益を失うということは、分割払いが認められなくなり、残高および遅延損害金を一括で直ちに支払わなければならないという事態に陥ります。
期限の利益を失った場合は、保証会社が住宅ローン会社(金融機関)に代位弁済を行います。そして、保証会社が債権者として、残高および遅延損害金の一括払いを請求してきます。
一括払いの請求を受けても滞納を放置していると、いよいよマイホームが競売にかけられます。住宅ローンの債権者はマイホームに抵当権を設定しているため、裁判を起こされることなく、突然、競売を申し立てられることに注意が必要です。
ただ、債権者も可能な限り任意の返済を望むため、すぐに競売を申し立てるとは限りません。債権者の対応次第ではありますが、一般的には一括払いの期限から3か月程度(滞納開始から6か月程度)は、任意の返済を催促してきます。これを無視していると、実際に競売を申し立てられてしまう可能性が高いでしょう。
競売の手続きは、裁判所が法律に従って進めます。強制競売開始決定が出るとマイホームが差し押さえられ、現況調査と評価を経て、入札が行われます。買い受け希望者が落札し、競売代金を裁判所に納めると、その時点でマイホームの所有権は買い受け人に移ります。
落札までの期間は事案によって異なりますが、滞納開始からおおよそ10か月から1年程度が目安です。
ここまで手続きが進むと、もはやマイホームを維持することはできず、買い受け人に引き渡す必要があります。その後も住み続けていると、裁判所から引き渡し命令を受け、強制的に荷物とともにマイホームから追い出されてしまうのです。
住宅ローンを払えないとき、つい検討しがちな事項があります。しかし、以下の行為をすると大きなデメリットが生じる可能性が極めて高いので、やってはいけません。
住宅ローンの返済のために他社から借金をすると、ほとんどの場合は借金総額が膨れ上がってしまいます。新たな借金にも金利がかかるため、さらに返済が苦しくなり、返済のための借金を次々に重ねる「自転車操業」に陥ってしまうでしょう。
やがてどこからも借りられなくなり、結局は住宅ローンを払えないという結末を迎えてしまいます。
マイホームを維持するために、賃貸に出して収益を得ながら、家賃の低い賃貸住宅に住み替えて立て直しを図ろうと考える人もいます。しかし、この方法も実効的ではありません。
住宅ローンが残っている住宅を賃貸に出すためには、債権者である金融機関の許可が必要です。無断で賃貸に出すと契約違反となり、その時点で残高の一括払いを請求される恐れがあります。許可を得られたとしても、通常は収益物件としてのローンに切り替えられることになるため金利が上がり、返済額が増えてしまいます。
さらに、管理コストもかかりますし、空室のリスクもあります。マイホームを賃貸に出すメリットは乏しいことが多いのが実情です。
住宅ローンを払えなくなると、「家族を守れなかった」といった罪悪感にもさいなまれ、夜逃げをしてすべてを投げ出そうと考える方がいるようです。
しかし、夜逃げをしても債権者は住民票をたどって居場所を突き止め、返済を請求してきます。住民票を移さずに身を隠そうとすると、家を借りられない、就業できないなどの可能性が高いだけでなく、行政サービスを受けられなくなります。したがって、極めて制限の多い生活に耐えなければなりません。
以下のように、住宅ローン問題を解決する方法はいくつもあるので、落ち着いて建設的な解決策を検討することが重要です。
マイホームを維持するためには、家計の収支を見直し、改善することが先決です。それでも返済が難しいときには、以下の方法を検討しましょう。
債権者である金融機関に相談すれば、返済条件を変更(リスケジュール)できる可能性があります。返済期間の延長や金利の引き下げが認められれば、毎月の返済額を減らすことが可能です。新型コロナウイルス感染拡大の影響で収入が減った場合には、より柔軟な対応が期待できます。
現在の契約よりも金利が低い金融機関で住宅ローンの借り換えを行えば、返済の負担を軽減できます。
ただし、借り換えにも審査があることと、手数料など諸費用を要することに注意が必要です。
リースバックとは、マイホームを売却するとともに買い主と賃貸借契約を結び、家賃を支払いながら住み続けることをいいます。不動産業者が提供するリースバックでは、通常、一定の期間内に買い戻すことも可能とされています。
ただし、一般的に売却価格や買い戻し価格は売り主に不利な金額となるため、実際には買い戻しは難しいことが多いのが実情です。数年以内に大幅な増収が確実に見込める場合には、リースバックの利用を検討してみるのもよいでしょう。
住宅ローンの他にも借金がある場合には、債務整理が有効です。任意整理は債権者と直接交渉して返済条件を変更する手続きです。
住宅ローンを除外して手続きを行うことも可能なので、マイホームの競売を回避して他の借金のみを整理することができます。全体的な返済の負担を軽減することで、住宅ローンの返済を継続できるようになる可能性があります。
個人再生は、裁判所に申し立てを行い、法律に従って借金を大幅に減額できる手続きです。すべての債権者を対象としなければならないため、原則として個人再生をするとマイホームは競売にかけられます。
しかし、住宅資金特別条項の利用条件を満たせば、住宅ローンだけは基本的に従来どおり返済を継続することが認められ、他の借金のみを大幅に減額することが可能です。そのため、マイホームを維持したまま、全体的に借金問題を解決できます。
任意整理や個人再生でも解決できない場合には、マイホームを手放さざるを得ないかもしれません。その場合には、以下の方法で借金問題を解決し、生活を立て直すようにしましょう。
任意売却とは、マイホームを競売にかけられる前に、一般市場に売りに出し、買い受け希望者に売却することです。住宅ローンの債権者である金融機関の承諾が必要ですが、ほとんどの場合は競売よりも高額で売却できるため、承諾が得られます。売却代金の中から引っ越し費用の提供が受けられるというメリットがあることも見逃せません。
売却代金ですべての借金を完済できれば、一気に生活を立て直すことが可能です。その後は貯蓄に励みつつ、改めてマイホームの取得を検討するのもよいでしょう。
任意売却をしても多額の借金が残る場合には、自己破産も視野に入れてみましょう。
特に任意整理や個人再生で解決できる可能性がないケースでは、マイホームを失った後に借金を返済していくことは、精神的にも負担が重いものです。自己破産で免責が許可されると、すべての借金が一挙に消滅します。自己破産しても10年後には再び住宅ローンを組めるようになるので、改めてマイホームを取得することも可能です。
住宅ローンを払えないと、最終的にマイホームを手放さざるを得ません。しかし、適切に対処すれば、マイホームを維持して住宅ローンを含む借金問題を解決できます。最適な解決方法を見いだすためには、弁護士に相談して専門的なアドバイスを受けることが有効です。
ベリーベスト法律事務所では、経験豊富な弁護士が詳しい事情を伺い、状況に応じて最適な解決方法を提案いたします。住宅ローンの返済でお困りの方は、お気軽に当事務所の無料相談をご利用ください。早期にご相談いただければ選択肢の幅も広くなりますので、早めのご相談をおすすめします。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。
「自分は買い物依存症かもしれない」と感じている人は少なくはありません。買い物が大好きな人や、買い物に出かけるとつい買いすぎてしまう方は買い物依存症の不安を抱えていることでしょう。
ですが、ショッピング好きと買い物依存症は違います。買い物依存症の場合には中毒症状があるため、治療が必要な状態。対して買い物好きの人は買い物が趣味なだけで買い物に依存しているわけではありません。
買い物依存症の患者数は正式には発表されていませんが、昨今の後払いシステムやクレジットカード払いの増加によって患者数も増加していると推定されています。買い物依存気味の方は早めに自覚し、適正な対処をしていきましょう。
ソーシャルゲーム(ソシャゲ)などのスマホゲームで、多額の課金をしてしまう方は少なくありません。
「今回だけ…」とおそるおそる少額で始めたはずの課金も、いつも間にか抵抗がない状態に陥っている方も多いのではないでしょうか。
スマホゲームの課金は、一種の中毒症状をもたらします。「やめよう」と思っても、自分の意思では上手にコントロールできないものです。
本コラムでは、ソシャゲなどのスマホゲームで課金をやめられない心理、課金に制限をかける方法、課金をやめる方法、課金が原因で借金に悩んでいるときの対処法について、ベリーベスト法律事務所の弁護士がご紹介します。
廃課金とよばれるような過度な課金は、日常生活にも支障をきたす恐れがあります。できるだけ早めに課金をコントロールしたり、借金問題を解決したりして、通常の生活に戻していきましょう。
「必死に働いても生活が苦しい」「働きたいのに働けない」「借金返済でどうすればよいのか分からない」などの悩みを抱える人は少なくありません。
このような生活苦には、働けない・給料が低い・借金を抱えていることが大きな原因となっているケースも多くあります。
本コラムでは、生活が苦しい状況から抜け出すための対処方法や相談先、支援制度について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。