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車が差し押さえられることもある? 差し押さえを回避する方法も解説

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更新日:2023年11月15日 公開日:2023年02月21日

車が差し押さえられることもある? 差し押さえを回避する方法も解説

借金の返済を滞納し続けていると、やがて債権者から裁判を起こされ、最終的には財産を差し押さえられることがあります。

もし車を差し押さえられてしまった場合、仕事や生活に支障をきたす方も多いことでしょう。しかし、早期に適切な対処法をとれば差し押さえを回避することも可能です。

本コラムでは、車が差し押さえられるケースと差し押さえられないケース、車の差し押さえを回避するためにやるべきことについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、差し押さえとは

借金を滞納した場合に行われる「差し押さえ」とは、債権者の申し立てにより、裁判所が債務者に対して、債務者の所有財産を勝手に処分することを禁止する命令のことです。差し押さえられた財産は、法律上のルールに沿って強制的に換価処分され、債権者が有する債権の回収に充てられます。

  1. (1)差し押さえを受けるまでの流れ

    差し押さえは何の前触れもなく突然行われるものではなく、通常は以下のステップを踏んで債権者による手続きが進められていきます。

    • ① 電話や郵便で督促される
    • ② 一括返済の請求を受ける
    • ③ 裁判を起こされる
    • ④ 強制執行を申し立てられる
    • ⑤「差押命令」が裁判所から届く


    ③までの段階では、債権者との協議により分割払いで和解できる可能性があります。しかし、④の段階に至ると、全額一括で返済しない限り、強制執行の申し立てを取り下げてもらうことは期待できません

  2. (2)差し押さえの対象になりやすい財産

    強制執行で差し押さえの対象になりやすい財産は、給料と預金口座です。これらの財産は差し押さえの手続きが比較的容易であり、かつ債権を回収できる可能性も高いことが多いからです。

    なお、給料が差し押さえの対象となった場合でも全額が差し押さえられるわけではありません。
    給料の手取額の4分の3に相当する金額(手取額が44万円を超える場合は33万円が上限)については差し押さえが禁止されているため、債務者が受け取ることができます。

2、車が差し押さえられる3つのケース

車が差し押さえられるケースとしては、以下の3つの場合があります。

  1. (1)車のローンを滞納した場合

    信販系の自動車ローンを組んで車を購入した場合、完済するまではローン会社に車の所有権が留保されており、このことを「所有権留保」といいます。ローンの返済を滞納するとローン会社によって所有権に基づき車を引き揚げられてしまいます

    なお、銀行系の自動車ローンの場合は、一般的に所有権留保が付いていません。この場合にはローンの返済を滞納しても車を引き揚げられることはありません。

  2. (2)他の借金を滞納した場合

    自動車ローン以外の借金を滞納した場合にも車は差し押さえの対象となりますが、実際に差し押さえられるケースは多くありません。車の差し押さえには労力とコストがかかり、その割には債権を回収できる可能性が高くはないからです。

    車を差し押さえるためには事前に十分な換金価値があるかどうかを見極め、差し押さえをした後には売却しなければならず、裁判所に10万円程度の予納金を納めることも必要です。とはいえ、評価額が高い車を所有している場合には、差し押さえられることもあると考えておく必要があります。

  3. (3)税金を滞納した場合

    税金を滞納した場合には、裁判手続きを経ることなく直ちに差し押さえを受ける可能性があることに注意が必要です。

    納期限までに税金を納めなければ、税務署や役所などの担当機関から督促状が発送されます。
    発送日から10日が経過しても滞納が解消されない場合には、徴税担当者は滞納者の財産を差し押さえなければならないとされています(国税につき国税徴収法第47条1項、地方税につき地方税法第331条1項)。この場合、車も差し押さえの対象です。

    ただし、税金の滞納による差し押さえも突然に行われることはありません。まずは電話や郵便、訪問による催促が繰り返され、それでも滞納が長期間に及んだ場合に初めて、財産調査など所定の手続きを経て最終的に差し押さえに至るのが通常です。

3、滞納しても車が差し押さえの対象にならないケース

以下の場合には車が差し押さえの対象とならず、借金を滞納しても手元に残すことができます。

  1. (1)車が家族など他人の名義になっている場合

    差し押さえの対象となるのは、あくまでも債務者本人の所有財産に限られます。たとえ家族であっても、他人の名義となっている車を債権者が差し押さえることはできません。その車をもっぱら債務者本人が使用している場合であっても同じです。
    したがって、債務者本人の名義となっている車を差し押さえられたとしても、家族名義の車を借りて使用する分には問題ありません。

  2. (2)車の評価額が低い場合

    車は中古品になると短期間のうちに評価額が大幅に下落しやすく、ある程度古い年式になると査定価格0円となることも少なくありません。
    その一方で、債権者が車を差し押さえるためには、前述したように労力とコストを要します。
    車の評価額が低い場合には、債権者が「差し押さえるメリットがない」と判断し、結果的に差し押さえの対象とならないこともあります。実際には、この理由により車の差し押さえを免れているケースが多いといえるでしょう。

  3. (3)車が生活上必要不可欠である場合

    車が債務者の仕事や日常生活に必要不可欠である場合には、裁判所の判断によって車が差し押さえの対象から外される可能性があります。
    裁判所は、差し押さえ禁止財産でないものが差し押さえられた場合でも、債務者の生活状況その他の事情を考慮して差し押さえの取消を命じることができるとされているのです(民事執行法第132条1項)。

    ただし、差し押さえを取り消してもらうためには、債務者からの申し立てが必要です。放置していると、事情にかかわらず換価処分が進められてしまうことに注意しなければなりません。

4、車の差し押さえを回避する方法

借金や税金を滞納した場合でも、事前に以下の対処法をとれば差し押さえを回避することができます。

  1. (1)親族等に車を買い取ってもらう

    親族等に適正な価格で車を買い取ってもらうことができれば、他人名義となるので、その車を差し押さえられることはなくなります。

    ただし、個人再生や自己破産の申し立てを考えている場合には、「財産隠し」や「偏頗弁済」に当たらないように注意する必要があります。

    もし不当な低価格で買い取ってもらった場合には、財産隠しを疑われることになります。
    適正価格で譲渡した場合でも、買受人の債権と相殺する形をとった場合には、買受人に対してのみ優先的に返済したことになるので、偏頗弁済に該当します。
    これらの場合、自己破産では免責が認められなくなる可能性があります。

    個人再生では強制的に車を失うことはありませんが、車の適正な評価額が財産とみなされるため、場合によっては「清算価値保障の原則」により返済額が増えてしまう可能性があります

  2. (2)税金を滞納した場合は税務署や役所に相談

    税金は必ず納めなければならないので、滞納した場合は放置せず、税務署や役所に相談することが大切です。一定の条件を満たす場合には、「納税の猶予」や「換価の猶予」を受けることができます。

    納税の猶予とは、一定の条件の下に原則として1年間、納付を待ってもらえる制度です。換価の猶予は、差し押さえが可能な状態となった場合でも一定の条件の下で財産の換価処分を待ってもらえる制度です。
    猶予期間中に滞納を解消できれば、差し押さえを回避できます。

  3. (3)借金を滞納した場合は債務整理

    借金を滞納した場合は、債務整理が有効です。債務整理には、主に任意整理・個人再生・自己破産という3種類の手続きがあります。

    任意整理は債権者と直接交渉して借金を減額してもらう手続きですが、裁判を起こされる前であれば、ほとんどの債権者が交渉に応じてくれます。

    個人再生と自己破産は、裁判所に申し立てて借金の大幅な減額(個人再生)や返済義務の全額免除(自己破産)を認めてもらう手続きで、強制執行手続きを停止させる効力もあります。
    債権者から強制執行を申し立てられた後でも、車が売却される前に、個人再生または自己破産の手続き開始決定が出れば、車を手元に残せる可能が高まります。

    ただし、自己破産では車の評価額が20万円を超える場合には、原則として破産手続きによって処分されてしまうことに注意が必要です。
    また、個人再生では、車の評価額が高い場合には返済額が大きくなる可能性があります。

5、まとめ

自動車ローンを除き、借金を滞納しても車が差し押さえられるケースは多くありません。ただし、評価額が高い場合には差し押さえられる可能性もあります。車を手元に残せたとしても、給料や預金口座を差し押さえられてしまうと生活に支障をきたしかねません。

差し押さえを回避するためには早期に適切な対処法をとることが必要で、そのためには弁護士に相談してアドバイスを受けることをおすすめします

ベリーベスト法律事務所では、経験豊富な弁護士が状況に応じて最善のアドバイスをいたします。借金問題に関するご相談は何度でも無料でご利用いただけますので、お困りの際はぜひ一度、お問い合わせください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
オフィス
[実績]
・債務整理の相談件数 36万8091件
  ※集計期間:2011年2月~2022年12月末
・過払い金請求 回収実績件数 90253件
・過払い金請求 回収実績金額 1067億円以上
  ※集計期間:2011年2⽉〜2022年12⽉末
[拠点・弁護士数]
全国73拠点、約360名の弁護士が在籍
※2024年2月現在
[設立]
2010年(平成22年)12月16日

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