債務整理 弁護士コラム
リボ払いは、銀行や消費者金融のカードローン、クレジットカード代金などの返済方法として広く利用されています。毎月の返済額が一定となるため家計の管理がしやすくなり、月々の返済の負担を軽減することも可能な、非常に便利な返済方法であるといえるでしょう。
ただし、リボ払いには借金が減りにくいなどのデメリットがあります。気が付けば返済できないほどにカードの利用残高が膨らんでいたというケースも少なくありません。
そこで今回は、リボ払いの返済が苦しくなったときに返済額を減額する方法について、その仕組みとメリット・デメリットについて、弁護士が解説します。
リボ払いにはいくつかの方式がありますが、「元利定額方式」を利用すると、毎月の返済額が一定の金額に固定されます。
そうすることで毎月の返済の負担を抑えることが可能ですが、以下の理由により返済がなかなか終わらないことになりがちです。
リボ払いの利率は債権者や利用残高によって異なります。
一般的に、消費者金融やクレジットカードのキャッシングでは年18%程度、クレジットカードのショッピングでは年15%程度、銀行カードローンでは年14.5%程度に設定されています。
毎月の返済額が一定であるため、利息や手数料の負担を意識せずに利用してしまいがちです。しかし、利用した以上は年14.5%~18%という高利による利息・手数料を支払わなければなりません。
リボ払いでは、毎月の返済額の中で利息・手数料が占める割合が高くなりがちです。
たとえば、消費者金融から50万円を年18%の金利で借りた場合、1か月後には7500円の利息を支払う必要があります。
仮に元利定額方式のリボ払いで毎月の返済額を1万円に指定すると、元金は2500円しか減りません。
返済を継続すれば利息・手数料が占める割合は減少していきますが、元金が少しずつしか減らないため、利息・手数料の負担もわずかずつしか減っていきません。
元金があまり減っていなくても、毎月の返済を遅滞なく続けていると「返済は順調に進んでいる」と思いがちです。「5か月で5万円を返済したから、5万円分は利用しても大丈夫だろう」と考えて追加でカードを利用すると、元金残高は追加利用前よりも増えてしまいます。
ついカードを使いすぎてしまうことで、リボ払いの返済がなかなか終わらないだけでなく、気が付けば返済できないほどに利用残高が膨らんでしまっているケースも少なくありません。
リボ払いで作った借金の返済額を減らすためには、余裕があるときに繰り上げ返済をする方法や残高すべてを一括返済する方法が挙げられます。
毎月の返済額を減らしつつ借り入れているお金の残高を減らしたい場合は、リボ払いをやめて通常の分割払いに変更してもらいたいとお考えになるかもしれません。しかし、カードローンやクレジットカードの返済方法はリボ払いのみに限定されていることが多いのが実情です。
まとまったお金を準備できない方がリボ払いの返済額を減らすためには、債務整理をすることが必要となってきます。
金利・手数料の利率が高く元金が減りにくいリボ払いの返済額を減らすためには、任意整理で利息・手数料をカットすることが有効です。
任意整理とは、債権者と直接交渉して今後の返済額や返済方法を変更する手続きのことです。借金をどこまで減額できるかは債権者との交渉次第ですが、基本的には今後発生する予定だった利息・手数料を全額カットしてもらい、残った元金を3年~5年で分割返済していきます。
任意整理後に返済するお金は全額元金に充当されるので、滞納しなければ順調に元金を減らしていくことが可能となります。
任意整理では、債権者との交渉によって残元金の返済期間を延長してもらうことも可能です。
一般的には5年以内の完済を求められますが、債権者によっては7年程度まで延長に応じてくれるところもあります。
利息・手数料がカットされた上に返済期間が延長されると、毎月の返済額がさらに減ります。
たとえば、クレジットカードのショッピング枠の利用残高が150万円あり、手数料率は年15%、リボ払いを利用しているとします。
このケースで任意整理をしなければ、毎月3万円を返済するとしても返済期間は6年7か月(79回払い)に及び、返済総額は236万8611円にもなります。86万8611円もの手数料が発生するため、返済の負担が重くなるのです。
しかし、任意整理をして返済期間5年(60回払い)で和解した場合には、返済期間は任意整理しない場合よりも短くなりますが、毎月の返済額は2万5000円に減ります。
返済期間7年(84回払い)で和解できた場合には、毎月の返済額は約1万8000円にまで減らすことが可能です。
任意整理にはメリットもありますが、デメリットもあります。任意整理をして後悔しないために、事前にメリット・デメリットを確認しておくことが大切です。
リボ払いの借金を任意整理するメリットは、以下のとおりです。
借金を滞納すると債権者から督促を受けますが、弁護士に債務整理を依頼した場合には債権者宛てに受任通知が送付されるので、数日のうちに督促がいったん止まります。和解が成立するまでは督促を受けることもありませんし、返済する必要もありません。
任意整理で減額できるのは、基本的には将来の利息・手数料の部分だけです。元金を減額できるケースは皆無ではないものの、まれにしかありません。滞納したときに発生する遅延損害金についても、カットに応じない債権者が大半なので、任意整理では返済額を大幅に減額できるわけではありません。
また、任意整理をすると借入先のカードは強制解約となり、利用できなくなります。信用情報機関に事故情報が登録され、その影響で他のカードも半年以内には使えなくなってしまいます。任意整理後の完済から5年程度は、新たな借り入れやクレジットカードの作成も難しくなることに注意が必要です。
なお、クレジットカードのショッピング枠で高価な買い物をした場合は、商品の所有権がクレジットカード会社に留保されているため、任意整理すると商品を引き揚げられるリスクがあります。リボ払いの場合は実際に引き揚げられるケースは少ないですが、その可能性があることは知っておくべきです。車やバイクなど換金価値が高いものであれば、引き揚げられる可能性もあります。
任意整理で利息・手数料をカットしたとしても返済が難しいと見込まれる場合には、以下のように他の債務整理を検討する必要があります。
個人再生とは、裁判所の手続きを利用することにより借金総額を大幅に減額することが可能な債務整理の方法です。利息・手数料だけでなく元金や遅延損害金も含めて、返済額を5分の1~10分の1にまで減らすことができます。
たとえば、総額500万円の借金があったとしても一定の条件を満たせば返済額は100万円となります。これを3~5年で分割返済していくので、毎月の返済額はおよそ1万7000~2万8000円となります。
個人再生を利用するには安定収入が必要ですが、任意整理で返済できるほどの収入がなくても、個人再生を利用できる可能性は大いにあります。
自己破産とは、裁判所の手続きを利用することにより借金の返済義務をすべて免除してもらうことが可能な債務整理の方法です。一定の条件を満たせば返済する必要がなくなるので、無収入の人も利用できます。
ただし、借金で浪費やギャンブルをした場合などのように「免責不許可事由」がある場合には原則として免責が認められず、借金がすべて残ってしまいます。事情によっては、裁判所の裁量による免責(裁量免責)が認められる可能性があるので、自己破産を検討する余地はあります。
リボ払いは便利な支払い方法ですが、元金がなかなか減らず、カードを使いすぎると返済できないほどに利用残高が膨らんでしまうというリスクがあります。利用する際は、毎月の返済額の中からいくらが利息・手数料の返済に充てられるのか、いつまで返済を続ける必要があるのかをこまめに確認することが大切です。
もし返済が苦しくなったときは、任意整理をはじめとする債務整理を検討すべきときかもしれません。その際には、弁護士に相談して専門的なアドバイスを受けることをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所では、借金問題に関するご相談は何度でも無料で承っております。経験豊富な弁護士が最善の解決方法をご提案しますので、お気軽に相談ください。
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『旦那や家族には言っていないけど、実は私、借金を抱えてます…』
実は、主婦で借金を抱えている人は多く、それを言えずに悩んでいる方もたくさんいるのが現状です。もしかしたらこの記事をご覧のあなたも、そういった悩みをお持ちなのかもしれません。
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これから債務整理をしようと考えている方の中には、債務整理後にキャッシングできるのか、債務整理中にお金が足りなくなったときキャッシングを利用することは認められるのかと、お悩みの方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、債務整理をしたことで、キャッシングなどを法律で禁止されるわけではありません。
しかし、債務整理をすると信用情報に事故情報が登録される(ブラックリスト入りする)ので、ほとんどの金融機関は、融資に応じてくれなくなります。
親子であっても、他人の借金を返済する義務は原則としてありません。肩代わりするかどうかは、基本的に子ども自身の判断で自由に決められます。
しかし親の借金でも子どもに返済義務が生じることがあり、借金を放置すると子どもが差し押さえを受けることにもなりかねません。
本コラムでは、親の借金が降りかかってきた場合に、子どもはどのように対処すればよいのかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。