債務整理 弁護士コラム
借金を滞納しても、すぐに返済して滞納を解消できるのであれば大きな問題にはなりません。しかし、滞納を続けると最終的には財産を差し押さえられるなどの深刻なデメリットが生じるおそれがあります。
借金には時効があるので、時効が成立するまで滞納を続けようと考える人もいますが、返済できなくなった借金を放置することは賢明ではありません。
本コラムでは、借金の滞納を続けるとどうなるのか、時効が成立することはあるのか、滞納を解消できないときにはどうすればよいのかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
借金を滞納すると、以下の流れで債権回収の手続きが進められていきます。
まずは、債権者から電話や郵便などで督促が行われます。当初の段階では、電話がかかってきたとしても、入金ができていないことの確認と、いつまでに支払えるのかを尋ねられるのみで、債権者の対応も穏便なものです。
そこで約束した期日や督促状に記載されている期日までに返済して滞納を解消すれば、若干の遅延損害金はかかりますが、それ以上の問題には発展しません。
しかし、督促を無視すると連日のように電話がかかってきたり、督促状が何度も送られてきたりします。
借金の返済が遅れると、返済期日の翌日から遅延損害金が発生します。遅延損害金とは、約束した期限までに借金を返済しないときに加算される損害賠償金のことです。
遅延損害金の利率は、通常の利息の利率よりも高く設定されていることがほとんどです。滞納を解消するまで遅延損害金が日々発生し続けるため、滞納期間が長引けば長引くほど返済額が増えてしまいます。
滞納が2~3か月ほど続くと期限の利益を失うため、債権者から一括返済を請求されます。
期限の利益とは、返済期限が到来するまでは残りの借金を返済しなくてよいというメリットのことです。本来なら一括で返済すべき借金でも、期限の利益が付与されることにより分割払いでの返済が認められます。
しかし、通常は貸金業者との契約で、滞納が一定の期間にわたって続いた場合には期限の利益を失う旨が定められています。債権者はこの契約条項に基づき、一括返済を請求してくるのです。
やはり滞納が2~3か月にわたって続くと、債権者によって信用情報機関に事故情報が登録されます。
信用情報機関には、個人の信用取引における利用額や返済状況などの情報が保有されています。これらの情報は、信用情報機関に加盟している貸金業者やクレジットカード会社などが申込者や顧客の支払い能力を審査する際に提供されます。延滞などの事故情報が登録されている場合には「支払い能力に問題あり」と判断されるため、新たな借り入れやクレジットカードの利用などが難しくなってしまうのです。
債権者から一括返済の請求を受け、さらに督促を受けても滞納を続けていると、裁判所を利用した強制的な債権回収手続きを起こされます。
借金の回収を図るための裁判手続きとしては、主に「支払督促」と通常の「民事訴訟」の2種類があります。支払督促は、通常の民事訴訟よりも簡易的な手続きで、裁判所が債務者に対して支払いを命じるものです。
どちらの裁判を起こされた場合も、裁判所から債務者へ書類が送付されます。届いた書類を放置していると、債権者の言い分がそのまま裁判所で認められることになります。
裁判所で債権者の言い分が認められると、債権者は強制執行を申し立てることが可能となります。強制執行とは、債権者からの申し立てにより裁判所が債務者の財産を差し押さえて、その財産の中から債権者が強制的に債権を回収することが認められる手続きです。
借金を回収するための強制執行で差し押さえられる財産は、主に給料や預金口座です。差し押さえられると、勤務先の会社や預金先の銀行から債権者へ直接、お金が支払われます。そのため、債務者は生活に支障をきたすおそれがあります。給料を差し押さえられた場合には、確実に借金のことを会社に知られてしまうことにも注意が必要です。
借金を返済しないまま長期間が経過すると、時効が成立して返済義務が消滅する可能性もあります。
貸金業者からの借金の消滅時効期間は、最後の取引から5年です。ただし、時効が成立していても「時効の援用」をしなければ返済義務は消滅しません。時効を援用するには、「時効援用通知書」を作成して内容証明郵便で債権者へ送付するのが一般的です。
また、時効を援用する前に少しでも借金を返済した場合や、債権者に対して返済を約束したり、返済の猶予を求めたりした場合は、時効が更新されることにも注意が必要です。時効が更新されると、それまでの時効期間がリセットされ、そのときから新たに5年が経過するまで時効は成立しません。
なお、時効成立前に支払督促や民事訴訟を起こされた場合にも時効が更新されます。裁判所で債務が確定した場合には、その後の時効期間は10年に延びることに注意しましょう。
金融機関や貸金業者、クレジットカード会社などは、滞納が続いている債務者に対しては確実に督促や裁判手続きをとってくるため、消滅時効が成立する可能性は極めて低いのが実情です。たとえ債務者が夜逃げをしても、債権者は「公示送達」という手続きを利用して債務者不在のまま裁判手続きをとることが可能です。
たまたま何らかの事情ですでに時効期間が経過していたり、時効成立間近となっていたりする場合には時効の援用が有効な対処法となります。
そうでない場合は、時効成立を期待して借金を放置することは賢明な対処法とはいえません。
借金を滞納してしまい、どうしても返済できないときには、以下の対処法を検討する必要があります。
裁判(通常の民事裁判)を起こされた場合でも、放置せず裁判に対応すれば、分割払いで裁判上の和解ができる可能性があります。債権者にとっても強制執行の手続きに進むよりは債務者から任意で支払ってもらった方が労力やコストの負担が軽減されるため、ほとんどの場合は和解協議に応じてくれます。
支払督促を申し立てられた場合には、裁判所からの書類を受け取ってから2週間以内に異議申し立てをすれば、通常の民事訴訟の手続きに移行します。
裁判上の和解が成立しない場合や、裁判を起こされる前でも返済の継続が難しくなった場合には、債務整理を検討することが賢明です。債務整理とは、法律にのっとった手続きをとることで借金の減額や免除が可能となる方法のことで、主に以下の3種類の手続きがあります。
それぞれ特徴が異なる手続きであるため、借金滞納の問題をスムーズに解決するためには、状況に合った手続きを選択することが重要です。
債務整理を検討する際には弁護士に相談し、実際の債務整理手続きは弁護士に依頼することが有効です。弁護士に依頼することで得られるメリットは、以下のとおりです。
状況に合った債務整理を選ぶためには、専門的な知識や経験が要求されます。自己判断で債務整理を行うと選択を誤る可能性があることを否定できません。弁護士に相談して専門的なアドバイスを受けることにより、最適な手続きを的確に選ぶことが可能となります。
弁護士に債務整理を依頼すると、まずは受任通知が送付されます。債権者が受任通知を受け取った後は、一時的に督促が止まり、返済する必要もなくなります。債務整理手続きが無事に終了すれば、その後も督促を受けることはありません。任意整理と個人再生の場合は、決められた返済条件のとおりに返済を開始することになります。
個人再生と自己破産では、裁判所における複雑な手続きを法律に従って正確に進めなければなりません。任意整理では裁判所の手続きはありませんが、債権者と交渉する必要があります。これらの手続きを債務者自身が的確に進めることは困難です。
弁護士に依頼すれば、弁護士が代理人として債務整理の複雑な手続きをすべて代行するので、依頼者には手間がかかりません。
当初は借金を順調に返済できると考えていても、その後にさまざまな事情で収入が減少したり、支出が増大したりするなどして滞納してしまうケースも少なくありません。自力で滞納を解消できないと感じたら、早めに弁護士に相談し、状況に合った解決方法を見つけることが大切です。
ベリーベスト法律事務所では、経験豊富な弁護士が状況に応じて最適な解決方法を提案いたします。借金問題に関するご相談は何度でも無料でご利用いただけますので、お困りの際はお気軽にお問い合わせください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。
『旦那や家族には言っていないけど、実は私、借金を抱えてます…』
実は、主婦で借金を抱えている人は多く、それを言えずに悩んでいる方もたくさんいるのが現状です。もしかしたらこの記事をご覧のあなたも、そういった悩みをお持ちなのかもしれません。
一人で悩むことなく、主婦で借金をしている人は意外と多いということを知っていただいて、ぜひご自身の借金返済について前向きに考えていってください。この記事があなたにとって、ご参考になれば幸いです。
これから債務整理をしようと考えている方の中には、債務整理後にキャッシングできるのか、債務整理中にお金が足りなくなったときキャッシングを利用することは認められるのかと、お悩みの方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、債務整理をしたことで、キャッシングなどを法律で禁止されるわけではありません。
しかし、債務整理をすると信用情報に事故情報が登録される(ブラックリスト入りする)ので、ほとんどの金融機関は、融資に応じてくれなくなります。
親子であっても、他人の借金を返済する義務は原則としてありません。肩代わりするかどうかは、基本的に子ども自身の判断で自由に決められます。
しかし親の借金でも子どもに返済義務が生じることがあり、借金を放置すると子どもが差し押さえを受けることにもなりかねません。
本コラムでは、親の借金が降りかかってきた場合に、子どもはどのように対処すればよいのかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。