債務整理 弁護士コラム
債務整理は、返済が難しくなった借金を合法的な手段で減額または免除してもらい、解決することが可能な救済制度です。
具体的には、任意整理・個人再生・自己破産という3種類の制度があり、それぞれ手続きの流れが異なります。債務整理をお考えの方は、必要な書類やかかる費用、期間なども気になることでしょう。
この記事では、債務整理の種類ごとに手続きの流れや、手続き終了後の注意点などについて解説します。
債務整理は自分で行うことも可能ですが、専門的な法律の知識や経験が要求されることから、弁護士に依頼して行うことが一般的となっています。
まずは、弁護士に相談してから債務整理手続きを始めるまでの流れをみていきましょう。
借金問題で弁護士に相談する際には、債務整理事案の経験が豊富な弁護士を選ぶことが重要になります。全ての弁護士が、債務整理を数多く取り扱っているわけではないからです。
また、債務整理を依頼する際にかかる費用も、事務所によって大きく異なります。
インターネットで検索し、弁護士の実績が豊富で、利用しやすい料金体系を備えている事務所を選ぶようにしましょう。
弁護士の法律相談は原則として予約制なので、気になる事務所が見つかったら連絡して予約をとります。
相談時には弁護士から以下のことを聞かれるので、あらかじめメモにまとめて持参しましょう。
記憶だけでは詳細が判明しないこともあるので、相談時には以下の資料もあるだけ持参してください。
弁護士との相談時には、自分に不利な事情も含めて、ありのままを正直に伝えることが重要になります。弁護士が最適な解決方法を提案するためには、正確な事情を把握することが前提となるからです。
弁護士が具体的な事情を把握し、最適な解決方法が提案されたあとは、相談者自身の希望も考慮しつつ、どの債務整理手続きを選ぶかを弁護士と一緒に検討します。
そして、具体的な手続きが決まったら、弁護士と委任契約を結びます。
依頼を受けた弁護士は、まず各債権者宛てに受任通知を送付します。受任通知を受け取った債権者が債務者に対して、直接返済を要求することは貸金業法で禁止されています。
依頼してから数日経ち、受任通知が債権者に届いた時点で、債権者からの督促や取り立てが一時的に止まります。その後、債務整理手続きが終了するまでは返済する必要もありません。
債務整理手続きの具体的な流れは、手続きの種類によって異なります。費用についてもご紹介しますが、あくまでも目安であることと、弁護士費用については事務所によって異なることにご注意ください。
弁護士は、受任通知の送付と同時に債権者に対して取引履歴の開示を請求しているので、しばらくすると、取引履歴が弁護士の事務所に送付されることとなります。
弁護士は、全ての取引について利息引き直し計算を行い、正確な債務残高を割り出します。
債務残高が判明したら、債権者ごとに毎月の返済額や返済期間などを弁護士と打ち合わせて和解案を検討し、和解案が定まったら弁護士が債権者に対して提案、交渉を行う流れで進みます。
交渉の経過は随時、弁護士から依頼者へ報告されます。依頼者が納得できる内容で債権者と合意できれば、和解成立です。
弁護士が和解書を作成して債権者と取り交わしたうえで、依頼者には原本が交付されます。
和解が成立するまでの期間は債権者の対応によっても異なりますが、弁護士への依頼後、3か月~6か月程度が平均的です。
6か月を超える期間をかけることも可能ですが、その場合は遅延損害金が高額となりがちであることと、債権者から裁判を起こされる可能性があることにご注意ください。
任意整理に必要な書類は特にありませんが、契約書や振込明細書、返済用通帳のコピーなどがあれば、役に立つことがあります。
任意整理にかかる費用の目安は、1社あたり5万~7万円程度です。
個人再生では、最初に必要な書類を集めたうえで、裁判所に申し立てを行います。申し立て時に必要な書類は、主に以下のとおりです。
申し立て後、裁判所によっては個人再生委員が選任されることがあり、その場合は個人再生委員との面談後に再生手続きが開始されます。面談後には、「履行テスト」も始まります。
原則として、再生計画案による返済見込み額を4~6か月の間、個人再生委員の口座に入金して積み立てることが必要です。
並行して、裁判所では債権者による債権届などの手続きがあり、債権額が確定すれば弁護士と打ち合わせのうえ、再生計画案を作成して裁判所に提出します。特に問題がなければ、再生計画案が認可されます。
再生計画案が認可されるまでの期間は裁判所によっても異なりますが、申し立てから4~6か月です。
なお、個人再生にかかる費用の目安は50万円~70万円程度です。
自己破産でも、最初に必要な書類を集めたうえで、裁判所に申し立てを行います。申し立て時に必要な書類は、主に以下のとおりです。
申し立て後、換金可能な財産がない場合には、特に問題がなければ破産手続き開始決定と同時に廃止決定が行われます(同時廃止事件)。その後は免責審尋を経て、免責許可となります。
財産が多い場合や借入の経緯などに問題がある場合は、破産管財人が選任されます(管財事件)。
破産管財人によって財産の換価や債権者への配当、免責に関する調査などが行われ、全てが終了した後に免責の許否が判断されます。
申し立てから免責許可決定が出るまでの期間は、同時廃止事件では3~4か月程度、管財事件では事案の内容により大きく異なりますが、6か月~1年程度が平均的です。
自己破産の費用の目安は、同時廃止事件では30万円~50万円程度、少額管財では50万円~80万程度です。
任意整理で分割払いの和解をした場合と、個人再生をした場合は、手続き終了後に返済が始まります。
任意整理の場合は和解内容次第ですが、一般的には3~5年、個人再生では原則として3年、最長5年をかけて分割返済していくことが必要です。
自分が希望する債務整理手続きができないことはあり得ます。
たとえば、借金総額が大きすぎる場合は任意整理では解決できませんし、個人再生も減額後の借金を返済していけるだけの収入がない場合は利用できません。
自己破産では、浪費やギャンブルで借金を作った場合や、手続き中に制限される職業に就いている場合は利用できないことがあります。
また、闇金から借りている場合も債務整理では解決することができません。
その他の場合は、状況に応じて適切な手続きを選択すれば、債務整理で借金問題を解決できるはずなので、弁護士に相談してみましょう。
債務整理手続きが成功した後も、以下の点には注意が必要です。
弁護士が送付した受任通知が債権者に届くと信用情報機関に事故情報が登録され、その後の一定期間は新たな借入やクレジットカードの利用などができなくなります。
事故情報が残る期間は債務整理の種類によって異なり、以下の期間が目安となります。
任意整理と個人再生では、残った借金を完済するまでは完全に解決したことにはなりません。
任意整理の場合は和解内容次第ですが、通常は返済を2回以上怠ると、残額の一括返済を請求されます。
個人再生の場合は、1回でも返済を怠ると再生計画が取り消されるおそれがあり、取り消されてしまうと、減額前の借金額に基づき一括返済を請求されます。
手続き終了後に返済が難しくなった場合は、再度の債務整理を検討する必要があることが多いです。
ただし、2回目の任意整理では和解条件が厳しくなり、2回目の個人再生でも遅延損害金などの影響で返済額が増える可能性があります。また、2回目の自己破産は、1回目の免責許可決定から7年以上が経過した後でないと申し立てることができません。
このように、再度の手続きは難しくなることもありますが、解決可能な方法がゼロというわけではないため、諦めずに弁護士に相談しましょう。
債務整理を弁護士に依頼すれば、基本的には弁護士の指示に従うだけで手続きが進められます。重要なことは、経験豊富な弁護士に相談し、納得のいく解決方法を選ぶことです。
ベリーベスト法律事務所では、債務整理事案の経験が豊富な弁護士で構成された専門チームに所属のスタッフが対応し、依頼者の状況に応じて最適な解決方法を提案いたします。
債務整理に関するご相談は何度でも無料でご利用いただけますので、お困りの際はべリーベスト法律事務所までお気軽にお問い合わせください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。
債務整理中は、基本的に借入をすることはできません。信用情報機関に事故情報が登録されているため、一般的な金融機関や消費者金融などに借金を申し込んでも、審査に通らないからです。
しかし、債務整理中であっても、生活費の不足などでお金が必要になることもあるでしょう。そのようなとき、一部の業者や個人から借入できることもありますが、安易な借入は控えるべきです。
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借金の返済は「辛い」と感じることが少なくありません。
特に、「思うように借金が減らない」「長年返済しているのに完済のめどが立たない」「収入が減って返済に行き詰まりそうになった」という場合には、どうしようもなく辛いと感じることもあるでしょう。
借金の返済が苦しくなったとしても、諦めてしまう必要はありません。借金問題は、公的な支援や債務整理によって解決することができるからです。
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年々、投資や資産運用に関心を持つ方が増加しているようです。そのなかでも株は、資産運用としてもっともベーシックな方法といえます。
しかし、資産運用や投資にはリスクがつきものです。買った株が必ず値上がりするとは限りません。実際のところ、株で大きな損失を出した方も少なくないでしょう。
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