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借金を放置して裁判所も無視するとどうなる? 解決方法も解説

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更新日:2022年12月26日 公開日:2022年12月26日

借金を放置して裁判所も無視するとどうなる? 解決方法も解説

借金を返済できずに放置しても、銀行や正規の貸金業者は脅迫的・暴力的な取り立てをすることはありません。しかし、法律にのっとって確実に債権回収を図ってくるため、放置していると裁判を起こされます。

裁判所からの通知も無視すると、いよいよ強制的な法的措置をとられてしまいます。返済できなくなった借金を放置することは、得策ではありません。

本コラムでは、借金を放置し、裁判所からの通知も無視すると具体的にどのような事態に陥るのか、そして借金を返済できない場合の解決方法を解説します。

1、借金を放置するとどうなる?

まずは、借金を放置するとどうなるのかについて、順を追ってご説明します。

  1. (1)遅延損害金が加算される

    借金の返済が1日でも遅れると、遅延損害金がかかります。
    一般的に遅延損害金の利率は通常の利息よりも高く設定されており、消費者金融などの場合は20%、住宅ローンでは14.6%程度とされることが多くなっています。

    借金を放置していると遅延損害金が加算され続けるため、返済額が膨れ上がっていくことに注意が必要です

  2. (2)債権者からの督促を受ける

    返済期限までに借金を返済しなければ、債権者から電話や郵便による督促を受けます。
    当初はソフトな口調や文面で返済を催促されるだけですが、放置していると繰り返し督促を受け、口調や文面も厳しいものに変わっていくのです。

    債権者からの連絡を無視していると、自宅に取り立てが来たり、職場に電話がかかってきたりすることもあります。

  3. (3)期限の利益を喪失する

    借金の滞納を続けていると、やがて「期限の利益」を喪失します。期限の利益とは、返済期限までは返済しなくてよいという債務者のための利益のことです。
    分割払いの場合は、毎月の返済日までに所定の金額を支払えば残りの借金はまだ返済しなくてよいという期限の利益が与えられています。

    期限の利益を喪失すると債務者は残りの借金を一括で返済しなければならないこととなり、実際にも債権者は一括返済を請求してきます。

  4. (4)連帯保証人が請求を受ける

    連帯保証人が付いている借金については、放置していると連帯保証人が請求を受けます。
    期限の利益を失っている場合は、連帯保証人に対しても一括返済の請求が行われることに注意が必要です

    なお、法律上は債権者が借主よりも先に連帯保証人に請求することも認められていますが、実務上は借主が滞納して初めて連帯保証人に請求されます。

  5. (5)裁判を起こされる

    借金を放置し続ければ、裁判を起こされます。債権者は通常の「民事訴訟」を提起することもありますが、「支払督促」を申し立てることもあります

2、裁判所から届いた書類も無視するとどうなる?

民事訴訟を提起された場合も、支払督促を申し立てられた場合も、裁判所から書類が送られてきます。その書類も無視すると、以下の流れで最終的には財産の差し押さえを受けてしまいます。

  1. (1)債権者の主張どおりに債権が確定する

    民事訴訟の場合は、被告(債務者)が答弁書を提出せずに、裁判期日にも出頭をしなければ、原告(債権者)が訴状に記載した主張がすべて認められ、判決が言い渡されます。
    そして、被告が判決書を受け取ってから2週間以内に控訴をしなければ、判決が確定します。つまり、借金の支払い義務が公的に証明され確定するということです。

    支払督促は、簡易裁判所の書記官が、債権者の提出した書類を審査するのみで債務者に対して支払いを命じるものです。
    債務者が支払督促の書類を受け取ってから2週間以内に、異議申し立てをしなければ、債権者から裁判所書記官に対する申し立てにより、支払督促に仮執行宣言が付与されます。
    債務者が仮執行宣言付支払督促の書類を受け取ってから2週間以内に、異議申し立てをしなければ、この支払督促は確定した判決と同一の効力を有するようになります

  2. (2)強制執行手続きを申し立てられる

    確定した判決や仮執行宣言付支払督促を取得した債権者は、強制執行手続きの申し立てができるようになります。強制執行手続きとは、債務者の財産を裁判所の命令によって差し押さえ、その財産を売却するなどして換価したお金の中から債権を回収する法的措置のことです。

    差し押さえられる財産は主に給料や預金口座ですが、生命保険や株式などの有価証券が差し押さえられることもあります。また、場合によっては、不動産や自動車などの高価な財産が差し押さえられる可能性もあるので注意が必要です。

  3. (3)突然、財産が差し押さえられる

    差し押さえが行われる際には、事前の予告などはありません。突然、裁判所から「差押命令」という書類が届き、差し押さえを受けたことを知らされます。

    給料を差し押さえられた場合には、裁判所から会社に対して直接書類が送付されるため、借金のことを会社の人に知られてしまうでしょう。給料の手取り額のうち、4分の1に相当する金額(手取り額が44万円を超えるときは、33万円を超える部分全額)は受け取れなくなります

    預金口座を差し押さえられた場合は、預金の中から債権者の請求額を上限として、銀行から債権者に対して直接支払われます

    どちらの場合も、債務者は生活に支障をきたすおそれがあるでしょう。

3、借金を放置し続けても何も解決しない

借金を放置し続けても以上のデメリットが生じるだけであり、何も解決しないので、放置することは得策ではありません。特に、以下の点には注意が必要です。

  1. (1)時効が成立する可能性は低い

    貸金業者からの借金は最後の取引から5年で時効にかかることから、時効消滅を期待して借金を放置する人が少なくありません。しかし、債権者は時効が成立しないように請求の手続きを進めてくるため、時効が成立する可能性は低いのが実情です。

    請求を受けた債務者が1円でも返済したり、返済の約束や返済猶予の申し出など債務を認める発言したりすると、時効期間が更新(リセット)され、さらに5年が経過しなければ時効は成立しません

    債権者が裁判を起こした場合も時効期間が更新(リセット)され、裁判手続きによって債権が確定した場合には時効期間が10年に延びます。

  2. (2)夜逃げはリスクが極めて高い

    債権者による請求から逃れるために夜逃げを考える人もいますが、リスクが極めて高いため決しておすすめはできません。

    夜逃げをして住居を移しても、住民票を異動させると債権者に居場所を知られてしまう可能性が十分にあります。また住民票を異動させなければ行政の主なサービスが受けられないため、極めて苦しい生活を覚悟しなければなりません。

    さらにいえば、債権者は債務者の住所が分からなくても「公示送達」という方法で裁判をすることが可能なので、債務者不在のまま時効期間が延長されることもあります。

  3. (3)信用情報も回復しない

    借金の滞納が続くと信用情報機関に事故情報が登録され、新たな借り入れやクレジットカードの利用が難しくなります。
    借金を放置すれば滞納が続くことになるので、事故情報は登録されたままです。信用情報を回復させるためには、何らかの方法で借金問題を解決する必要があります

4、借金を放置してしまったときの対処法

借金を放置してしまった後でも、以下の対処法により解決が可能です。

  1. (1)裁判で和解をする

    民事訴訟を起こされても、多くの場合は分割払いで裁判上の和解をすることができます。支払督促を申し立てられた場合には、異議申し立てをすれば民事訴訟の手続きに移行します。

    債権が確定した後では、債権者は強制執行手続きが可能となるため、もはや分割払いの交渉は難しくなるでしょう。そのため、裁判所からの書類が届いたら、無視せずに対応することが重要です。

  2. (2)どうしても払えないときは債務整理

    債権者と分割払いの和解交渉をしても折り合えない場合は、債務整理が有効です。
    債務整理のうち、任意整理は話し合いの手続きなので、この状況で利用することは難しいでしょう。主として、個人再生または自己破産を検討することになります。

    個人再生と自己破産は、裁判所での手続きが開始すると差し押さえが停止されるため、すでに差し押さえを受けている場合でも有効な解決方法です

    借金総額や収入の額など、状況に応じて適した債務整理を選ぶことが重要です。

  3. (3)早めに弁護士に相談することが鍵となる

    最適な債務整理手続きを選ぶためには専門的な知識も要求されるので、弁護士に相談することも大切です。弁護士への相談は早ければ早いほど、解決方法の選択肢が多くなります

    裁判を起こされる前であれば任意整理で解決できる可能性も十分にあるので、借金をある程度の期間、放置してしまった後でも、できる限り早めに相談したほうがよいといえます。

5、まとめ

借金を放置しても何も解決せず、裁判所から届いた書類も無視すると最終的に給料や預金口座を差し押さえられてしまいますので、借金は放置せず、早めに解決を図らなければなりません。弁護士に相談することにより、最適な解決方法についてアドバイスが得られます。

ベリーベスト法律事務所では、借金問題に関するご相談は何度でも無料でご利用いただけます。お困りの際は、当事務所の無料相談をお気軽にご利用ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
オフィス
[実績]
・債務整理の相談件数 36万8091件
  ※集計期間:2011年2月~2022年12月末
・過払い金請求 回収実績件数 90253件
・過払い金請求 回収実績金額 1067億円以上
  ※集計期間:2011年2⽉〜2022年12⽉末
[拠点・弁護士数]
全国76拠点、約350名の弁護士が在籍
※2024年10月現在
[設立]
2010年(平成22年)12月16日

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