債務整理 弁護士コラム
FXは、少ない資金で始められる上に、レバレッジの作用で大きな利益を得ることが可能であることから、人気の投資手法となっています。
ところが、お金を増やすためにFX投資を始めたにもかかわらず、多額の借金を抱えて返済できなくなる人が少なくありません。
これからFXを始める方は、FXで借金をしてしまう原因を知っておきましょう。すでに、返済できないほどの借金を抱えてしまった方は、借金問題の正しい解決方法を知る必要があります。
そこでこのコラムでは、FXで借金をしてしまう原因と、借金を返せなくなってしまったときの対処法について解説します。
FXとは、「外国為替証拠金取引」の略称で、証拠金を担保としてある国の通貨を別の国の通貨と両替し、その際の為替差益によって利益を出す投資手法のことです。
このFXで借金を作ってしまう主な原因として、以下の3つのことが考えられます。
ほとんどのFX会社は利用者の損失を最小限に抑えるために、「強制ロスカット」と呼ばれるシステムを導入しています。
ですが、場合によってはこの強制ロスカットが間に合わず、大きな損失が発生することがあります。
FX取引をするためには、まずFX会社の口座に「証拠金」を入金します。
証拠金とは、損失が発生した場合の担保となるものですが、FXでは証拠金の額の25倍まで取引ができます(日本国内のFX会社の場合)。このことを「レバレッジ」といいます。
高いレバレッジで通貨を購入した場合、その通貨が値上がりすれば高い利益が得られます。その反面、値下がりすれば大きな損失が生じます。
このとき、証拠金の額を超える損失が発生しないように、自動で強制的に損失を確定させるシステムが強制ロスカットです。
しかし、為替相場が大幅に変動した場合には、強制ロスカットのタイミングが遅れてしまい、証拠金の額を超える損失が発生することがあるのです。
その場合には、FX会社から差額分の「追証」を入金するように求められます。
追証の金額が大きすぎて払えない場合、やむを得ず借金をしてしまう人が少なくありません。
証拠金は少額でもFX取引は可能ですが、高額の証拠金を預け入れるほど大きな取引を行うことができるため、大きな利益を出すことをもくろみ、借金をしてまで証拠金を入金する人がいます。
結果として、思うように利益が出なければ借金が残ってしまうのです。
損失を取り戻そうとして追加入金することも、FXで借金を作ってしまう原因となります。
「負けた分は勝って取り戻す」「借金は勝ったお金で返済する」といった考え方は、投資やギャンブルで借金を作りやすい人によくある傾向といえます。
感情に流されて、追加入金を繰り返すと、あっという間に借金が膨らんでしまうことにもなりかねません。
FXで大きな損失を出さないためには、損切りを適切に行うことが重要です。自動で損切りが行われる「ストップロス」を設定しておくのもよいでしょう。
FX取引で借金を作ってしまったら、放置してはいけません。債権者から裁判を起こされ、給料や預金口座などの財産を差し押さえられるおそれがあります。
返済が難しい場合には、以下のような対処が必要です。
返済できないほどの借金をFXで作ってしまったのであれば、いったんFXはやめるべきでしょう。そのままFX取引を続けると、借金を増やしてしまう可能性が高いといわざるを得ません。
まずは、借金問題を解決することが先決です。その上で余裕資金ができるまで、FXのように投機的な投資に手を出すことはやめておきましょう。
借金を抱えてしまったときは、家計を見直すことや、場合によっては増収を図るなどして返済に努めることが基本となります。それでも返済は難しい場合には、債務整理を検討した方がよいでしょう。
債務整理とは、法律にのっとって借金を減額または免除してもらい、経済生活を再建するための手続きのことです。
FXで作った借金も債務整理で解決できます。以下で、FXの借金で債務整理をする方法や注意点について解説していきます。
FXでは、高いレバレッジを効かせた取引に失敗し、到底返済できないほど多額の借金を抱えてしまう人が少なくありません。そのため、自己破産を検討せざるを得ないケースも多いものです。
ただ、FXの借金で自己破産するときには以下の点に注意が必要です。
自己破産は、裁判所に申し立てをして「返済不能」であることを認めてもらった上で、一定の条件を満たせば免責が許可され、借金の返済義務が全て免除される手続きです。
しかし、破産法に「免責不許可事由」が定められており、該当する事情がある場合には原則として免責が許可されません。
免責不許可事由のひとつとして、「浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと」(同法第252条1項4号)というものがあります。
FXは、ここでいう「射幸行為」に該当します。
借金の原因が主にFXである場合には、原則として免責不許可となってしまうのです。
免責不許可事由がある場合でも、事情によっては裁判所の裁量により免責が許可されることがあります(同条2項)。このことを「裁量免責」といいます。
FXで借金を作った場合でも、裁判所に対して正直に事情を申告して反省の態度を示せば、裁量免責が得られる可能性は十分にあるでしょう。
その際には、借金総額やFXによる借金額の割合、現在の生活状況、その他さまざまな事情が考慮されます。
裁量免責を求める場合、裁判所が免責の可否を判断するために詳しい事情を調査する必要があり、そのために破産管財人が選任されることが一般的です。
破産管財人が選任される事案のことを、「管財事件」といいます。
破産管財人は、債務者との面談などによって事情を調査した上で、免責不許可事由の有無と裁量免責の可否について裁判所に対して意見を提出します。
基本的に、裁判所は破産管財人の意見に応じて裁量免責の可否を判断します。
なお、管財事件になると「管財費用」がかかります。
免責調査のために管財事件となる場合の多くは手続きが簡易的な「少額管財事件」となり、その場合の管財費用は基本的に20万円です。
ただし、裁判所によって取り扱いが異なりますし、少額管財事件の費用も裁判所によって異なる可能性があります。
自己破産を検討する際は、弁護士に相談して、申立先の裁判所における取り扱い状況を確認するようにしましょう。
債務整理には、自己破産以外にも「任意整理」と「個人再生」があります。3つの手続きの中から、状況に合った手続きを選択することが大切です。
任意整理とは、裁判所を介さず債権者と直接交渉することによって借金を減らすことが可能な手続きのことです。
基本的には、将来利息を免除してもらい、残元金を3~5年で分割返済します。手続きが比較的簡易的で、費用も自己破産・個人再生の場合よりは低いことが多いというメリットがあります。
借金総額が比較的少なく、毎月の返済額を減らせば返済していけるという場合には、任意整理を検討するとよいでしょう。
個人再生とは、裁判所で手続きをすることで、借金を大幅に減額することが可能となる借金整理方法です。
借金総額を5分の1~10分の1にまで減らすことが可能で、減額後の借金を3~5年で完済すれば残りの借金は免責されます。
自己破産とは異なり免責不許可事由がないので、多額の借金を抱えたものの自己破産では裁量免責が見込めない場合には、個人再生を検討するとよいでしょう。
FXはレバレッジの作用により大きな期待できる反面で、失敗すれば大きな損失が生じるという、ハイリスク・ハイリターンの投資手法です。
余裕資金で投資し、損切りを適切に行わなければ借金を作ってしまうおそれがあます。
万が一、FXで借金を作ってしまっても、状況に合った債務整理を選んで手続きをすれば解決可能です。
債務整理を適切に選んで行うためには、弁護士に相談して専門的なアドバイスを受けることをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所では、債務整理の対応経験が豊富な弁護士がお話を伺い、最適な解決方法を提案いたします。
借金問題に関するご相談は何度でも無料でご利用できますので、ぜひ無料相談をご利用ください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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『旦那や家族には言っていないけど、実は私、借金を抱えてます…』
実は、主婦で借金を抱えている人は多く、それを言えずに悩んでいる方もたくさんいるのが現状です。もしかしたらこの記事をご覧のあなたも、そういった悩みをお持ちなのかもしれません。
一人で悩むことなく、主婦で借金をしている人は意外と多いということを知っていただいて、ぜひご自身の借金返済について前向きに考えていってください。この記事があなたにとって、ご参考になれば幸いです。
これから債務整理をしようと考えている方の中には、債務整理後にキャッシングできるのか、債務整理中にお金が足りなくなったときキャッシングを利用することは認められるのかと、お悩みの方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、債務整理をしたことで、キャッシングなどを法律で禁止されるわけではありません。
しかし、債務整理をすると信用情報に事故情報が登録される(ブラックリスト入りする)ので、ほとんどの金融機関は、融資に応じてくれなくなります。
親子であっても、他人の借金を返済する義務は原則としてありません。肩代わりするかどうかは、基本的に子ども自身の判断で自由に決められます。
しかし親の借金でも子どもに返済義務が生じることがあり、借金を放置すると子どもが差し押さえを受けることにもなりかねません。
本コラムでは、親の借金が降りかかってきた場合に、子どもはどのように対処すればよいのかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。