債務整理 弁護士コラム
借金の返済を滞納したら、借金を借りた本人だけでなく、その家族も取り立てを受けてしまうのではないかという不安をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
原則として、借金の返済義務を負うのはお金を借りた本人だけであり、たとえ家族であっても、他人の借金の支払い請求を受けることはありません。
しかし、状況によっては家族にも返済義務が発生し、本人が滞納してしまうと、家族が借金の取り立てを受けることもあります。
本コラムでは、どのような場合に家族が借金の取り立てを受けるのか、その場合の返済義務や対処法について、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。
消費者金融や銀行カードローン、クレジットカードのキャッシングなどによる借金の取り立てが家族に来ることは、原則としてありません。その理由は以下のとおりです。
借金をする際には「金銭消費貸借契約」を結びます。この契約は、貸し手がお金を貸し、借り手がそのお金を返済することを約束することによって成立します。
契約というものは合意した当事者だけを拘束するものであり、家族であっても第三者には効力が及びません。したがって、返済義務を負うのは借りた本人だけであり、家族には返済義務がありません。
貸主から見ると、借主の家族に対しては返済を請求する権利がないということになります。
債権者が返済義務を負わない家族に対して取り立てを行うことは、法律上禁止されています。
貸金業法第21条1項で、債務者以外の者に対して返済を要求することが禁止されているのです。
それだけでなく、債務者以外の者が拒否しているにもかかわらず債務者の居所や連絡先を知らせるように要求することも禁止されています。
もし、家族であっても返済義務のない人が貸金業者から借金の取り立てを受けたとしたら、貸金業法違反ということになります。
消費者金融や銀行、クレジットカード会社などは法律を守りますので、返済義務のない家族に対して取り立てを行うことはまずありません。
以上の原則があるにもかかわらず、家族が借金の取り立てを受けるのは以下のケースです。
連帯保証人は、主たる債務者(借金をした本人)と同一の責任を負います。債権者から返済を請求された場合には、支払いを拒むことができません。
家族の借金の連帯保証人である場合には、取り立てを受けることがあります。
法律上、債権者は主たる債務者より先に連帯保証人に請求することもできますが、通常は主たる債務者が滞納してはじめて連帯保証人が請求を受け、支払えなければ取り立てを受けることになります。
住宅ローンや事業性のローン、中小の貸金業者からの借り入れなどでは家族が連帯保証人となっていることが少なくないので、注意が必要です。
名義貸しとは、自分の名義を使用して他人が借金することを認める行為のことです。
たとえば、子どもの名義では借りられないために、親が名義を貸して借りさせるようなケースが挙げられます。
理論上、名義貸しは刑法上の詐欺罪に該当します。
本来なら借りられない状況であるにもかかわらず、名義を偽って貸金業者からお金を受け取る行為だからです。
ただ、民事上の返済義務は名義を貸した人が負うことになります。名義を借りた人が返済を怠った場合には、名義を貸した人が貸金業者からの取り立てを受けます。
ただし、家族が無断で自分の名義を使用して借金した場合は「名義の冒用」に当たり、契約は無効なので名義を使われた人に返済義務はありません。
家族に実印や身分証明書を預けていた場合など、容易に名義を使用できる状況であった場合には名義を使用された人にも落ち度があるため「名義貸し」に該当し、返済義務を負うことがあるので注意が必要です。
ヤミ金業者は法律を無視する違法業者なので、本人が返済しない場合には家族に対しても取り立てをしてきます。
そもそも、ヤミ金による貸し付けの契約は法外な金利を伴うことから、公序良俗に反するため無効であり、借りた本人にも返済義務はありません。家族に返済義務がないのは、もちろんのことです。
ヤミ金業者も、そんなことは百も承知です。そうであるからこそ、家族や職場、友人・知人にまで返済を迫るなどの嫌がらせをして本人を精神的に追い込み、お金を払わせようとしてきます。
家族が借金の取り立てを受けた場合は、まず返済義務の有無を確認した上で、状況に応じて適切に対処する必要があります。
家族の借金の連帯保証人となっていたり、家族に名義貸しをしたりした場合には、その人にも返済義務があります。
取り立てを受けた家族も、自分の債務として借金を清算する方法を検討しなければなりません。
一括での返済を請求された場合には、分割払いの交渉をすることが考えられます。相手が正規の貸金業者であれば、多くの場合は交渉によって分割払いにしてもらうことが可能です。
分割払いにしてもらっても返済が難しい場合は、家族自身が債務整理を検討した方がよいでしょう。
「名義貸し」ではなく「名義の冒用」に当たる場合は、家族は返済を拒むことができます。
ただし、貸金業者も所定の手続きを踏んで融資をした以上は容易に諦めることはなく、返済を拒み続ければ裁判を起こされる可能性が高いといえます。
その場合には、名義を冒用されたことと、そのことについて自分に落ち度がなかったことを証明しなければなりません。この証明は難しいことが多いので、弁護士に相談して対処した方がよいでしょう。
ヤミ金から取り立てを受けた場合は、本人・家族とも返済を拒否することが重要です。
そもそも返済義務がない上に、返済してしまうとヤミ金業者から「この人たちは脅せば支払う」と判断され、さらに取り立てを受けてしまうので、1円も支払ってはいけません。
しかし、ヤミ金に対して返済を拒否すると、当然ながら取り立てや嫌がらせ行為が止まりません。その場合には警察や弁護士に相談して対処することが必要となってきます。
警察に被害届を提出すれば、ヤミ金業者を逮捕してもらえる可能性があります。逮捕とはならなくても、警察からヤミ金業者に連絡してもらうことで取り立てが止まることもあります。
それで解決できなくても、弁護士に依頼して代理人としてヤミ金業者に対して連絡してもらうことで、多くの場合は取り立てが止まります。
ヤミ金業者は、弁護士が介入した借り手からお金を回収することは容易でないことを知っているので、取り立てを諦めることが期待できるのです。
家族の中に多額の借金を抱えている人がいる場合、家族が取り立てを受けるかどうかにかかわらず、その借金問題を解決しなければ安心して生活することは難しいでしょう。
借金問題は本人の責任ですが、家族も借金問題の解決のために以下のことができます。
本人が返済しきれないほどの借金を抱えている場合には、債務整理を推奨することがもっとも現実的な解決方法です。
債務整理には、主に「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3種類があります。それぞれ特徴が異なる手続きであり、状況に合った手続きを選択することで借金問題の解決が可能となります。
本人が債務整理に乗り気でない場合には、家族が債務整理について調べた上で本人にすすめ、場合によっては説得するとよいでしょう。
適切な債務整理の手続きを選択するためには、前提として本人の借金をすべて把握する必要があります。
しかし、家族に内緒で借金している人は多く、発覚しても一部の借金を隠し続けることが少なくありません。
家族としては、信用情報機関に情報開示請求をして、本人名義の借金をすべて確認することが重要です。
信用情報機関には次の3種類があり、それぞれ、信用情報の開示請求に応じています。
情報開示請求は原則として本人が行う必要がありますが、本人の了承をとれば家族が代理人として請求することもできます。
状況に合った債務整理の手続きを選択するためには専門的な知識が要求されるため、弁護士に相談することも重要です。
本人が乗り気でない場合には、家族が代わって弁護士に相談することもできます。状況を正確に伝えれば、弁護士が最適な解決方法を提案します。
ただし、弁護士に債務整理を依頼する際には、本人が弁護士と直接面談することが必要です。したがって、借金問題を解決するためには、最終的には本人を説得することが必要となります。
本人名義の借金について、家族が取り立てを受けることは原則としてありません。
もし家族が借金の取り立てを受けた場合には、返済義務の有無によって対処すべき方法が異なります。
取り立てが気になるのであれば、借金問題そのものを解決することが大切です。
借金問題を解決するにあたり、どうするべきかお困りの方は、ぜひ一度、ベリーベスト法律事務所の無料相談をご利用ください。
債務整理専門チームの弁護士が、最適な形で解決するために、親身になってサポートいたします。
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家族の借金が発覚すると「自分も借金を負担しなければならないのだろうか」と不安になる方も多いと思います。家族の借金については、身内であっても原則として返済義務はありませんが、具体的な状況によっては例外的に返済義務が生じることもあります。
そのため、家族の借金について返済義務が生じるケースや具体的な対処法をしっかりと理解しておくことが大切です。
今回は、家族の借金が発覚した場合の返済義務の有無について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
自分の銀行口座に身に覚えのない振り込みがあったときには、ヤミ金からの「押し貸し」である可能性が考えられます。
不要なトラブルに巻き込まれるリスクを回避するためにも、「誰かがお金をくれてラッキー」などと安易に考えずに慎重に対処しましょう。
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しかし、借金の返済などを滞納してしまえば、銀行口座が差し押さえにあってしまうこともあります。債権者にとっても銀行口座の預貯金は、滞納した借金を回収するための重要な引き当て財産だからです。
令和2年4月に改正民事執行法が施行され、債権者による債務者の財産調査が容易になりました。そのため、銀行口座は以前よりも差し押さえやすくなったといえます。
銀行口座に限った統計ではありませんが、裁判所が公表する「令和5年 司法統計年報」によると、「債権及びその他の財産権に対する強制執行」の手続きが裁判所で行われた数は、14万3400件でした。うち12万2649件は、取り下げられています。
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