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借金の遅延損害金とは? 計算方法と払えないときの対処法を解説

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更新日:2023年12月28日 公開日:2023年12月28日

借金の遅延損害金とは? 計算方法と払えないときの対処法を解説

借金の返済を滞納すると、遅延損害金というものがかかります。

遅延損害金は通常の利息よりも高い利率で計算されるため、滞納が長引くと返済の継続が困難になることもあるでしょう。返済できなくなれば、最終的には財産を差し押さえられることにもなりかねません。

この記事では、遅延損害金の意味と計算方法、払えない場合のリスク、そして遅延損害金を払えないときの対処法についてベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

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1、借金の遅延損害金とは

まずは、借金の遅延損害金について基本的なことを確認していきましょう。

  1. (1)遅延損害金の基礎知識

    遅延損害金とは、借金を約束の期日までに返済できなかった場合に発生するものであり、法律上は「債務不履行に基づく損害賠償金」(民法第415条1項)に該当します。

    借金の返済義務という金銭債務が不履行となった場合の損害賠償額は、原則として法定利率(年3%)によって定めますが、約定利率がそれよりも高い場合には約定利率によって定めることとされています(同法第419条1項)。

    金融機関との取引においては、一般的に遅延損害金の利率が法定利率よりも高利で約定されているため、約定利率で計算した遅延損害金を請求されることになります

  2. (2)利息との違い

    利息とは、お金を貸してもらったとことへの対価として、債務者から債権者に支払うお金のことです。それに対して遅延損害金は、約束した支払期日を守らず滞納したことに対するペナルティーとしての違約金のようなものです
    遅延損害金のことを俗に「遅延利息」「延滞利息」と呼ぶこともありますが、利息とは法的な意味合いが異なります。

    なお、利息と遅延損害金が同時に発生することはありません。借金を遅滞なく返済している間は利息がかかり、滞納が生じている間は利息に代わって遅延損害金がかかります。

    両者はこのような関係にあるので、ほとんどの場合は遅延損害金の方が高い利率で約定されています

  3. (3)遅延損害金発生のタイミング

    遅延損害金は、借金の返済を滞納した場合に、支払期日の翌日から発生します。そして、滞納を解消するまで発生し続けます。
    たとえば、8月31日の支払期日に返済できず滞納し、9月30日に滞納金を支払った場合は、9月1日から同月30日までの30日分、遅延損害金が発生するということです。

    なお、遅延損害金を支払うタイミングは債権者によってさまざまです。
    基本的には滞納金の支払いと同時に遅延損害金も支払うべきものですが、金融機関によっては滞納が発生した月の、翌々月の支払日に遅延損害金を請求するところもあります。

  4. (4)遅延損害金の利率

    遅延損害金も利息と同じように、所定の「利率」に応じて発生します。しかし、両者の利率は異なるのが通常です。

    借り入れの際に、当事者間の契約で利息と遅延損害金について定めなかった場合は、利息は0%、遅延損害金は法定利率の3%(民法第404条2項)となります。

    しかし、金融機関からの借り入れでは通常、契約で利息と遅延損害金の利率が定められます。
    この利率のことを「約定利率」といい、利息制限法で以下のように上限が定められています(利息につき第1条、遅延損害金につき第4条1項)。


    借入残高 利息 遅延損害金
    10万円未満 20% 29.2%
    10万円以上~100万円未満 18% 26.28%
    100万円以上 15% 21.9%

    もっとも、銀行や消費者金融、クレジットカードによるキャッシングの遅延損害金は、同法第7条1項で20%が上限とされています。そのため、多くの業者が、契約約款で遅延損害金を20%と定めているのが実情です

    なお、クレジットカードのショッピング代金(分割払いの場合)については、利息制限法ではなく消費者契約法が適用されるため、遅延損害金の上限は14.6%(同法第9条2号)となります。


    遅延損害金の法定利率
    年利3%という利率は、2023年4月1日時点の利率です。
    遅延損害金の利率は、民法第404条の法定利率により定められており、3年ごとに見直しがされる変動制です。2023年4月1日から2026年3月31日までの法定利率は、年利3%と法務省より発表されています。
    参考:「令和5年4月1日以降の法定利率について」(法務省)

2、遅延損害金の計算方法

実際に滞納したときに遅延損害金がいくらかかるのかを確認するためには、計算方法を知っておく必要があります。

  1. (1)計算式

    遅延損害金の計算式は、以下のとおりです。

    遅延損害金=滞納額×遅延損害金の利率÷365日(うるう年は366日)×延滞日数


    「滞納額」とは、支払期日に支払うべきであった元金と、その日までに発生した利息の合計額です。つまり、毎月1万円ずつを返済していて滞納が生じた場合は、1万円に対して遅延損害金がかかることになります。

    ここで注意が必要なことは、遅延損害金は滞納した金額にのみかかるものであり、借入残高全体に対してかかるとは限らないということです。
    借金を分割で返済している場合、まだ返済期限が到来していない部分は債務不履行に陥っていないので、通常の利息がかかるだけです。
    すでに返済期限が到来したにもかかわらず返済していない部分にのみ、上記の計算式で計算した遅延損害金がかかることになります。

  2. (2)具体的な金額のシミュレーション|消費者金融からの借金を滞納したケース

    たとえば、消費者金融から50万円を借りていて、毎月1万3000円ずつ返済しているとしましょう。
    このケースで1か月(30日)滞納した場合で、遅延損害金の利率が年20%だとすれば、以下のような計算となります。

    1万3000円×20%÷365日×30日=213円(1円未満は切り捨て)


    多くの金融機関では1円未満の端数は切り捨てとされているので、このケースでの遅延損害金は213円です。
    この金額だけをみると、大した問題ではないように感じられるかもしれません。

    次に、総額300万円の多重債務を抱えていて、毎月10万円を返済しているケースで、3か月滞納した場合の遅延損害金を計算してみましょう。

    • 最初の滞納分:10万円×20%÷365日×90日=4931円
    • 2か月目の滞納分:10万円×20%÷365日×60日=3287円
    • 3か月目の滞納分:10万円×20%÷365日×30日=1643円
    合計 4931円+3287円+1643円=9861円


    毎月の返済金と滞納金に加えて、これだけの遅延損害金が生じると、返済が相当に厳しくなることがおわかりいただけることでしょう。また、期限の利益を喪失すると金融機関が一括請求し得る状態となり、その場合には上記の「滞納額」は元金全額となるため、遅延損害金の額もさらに大きくなります。

3、遅延損害金を支払えないとどうなる?

滞納が生じたら、早期に解消することが大切です。遅延損害金を支払えないまま放置すると、重大なデメリットが生じます。

  1. (1)遅延損害金が増え続ける

    遅延損害金は滞納日数に応じて発生するので、当然ながら滞納を解消するまで増え続けます。

    また、滞納を続けると翌月の滞納金にも遅延損害金がかかり、返済額が加速度的に増えていくことにも注意が必要です。返済が2回以上連続で遅れると、その後の返済は難しくなってしまうことが多いでしょう。

  2. (2)信用情報機関に事故情報が登録される

    61日以上または3か月(3回)以上、滞納が続くと信用情報機関に事故情報として登録されてしまいます。いわゆる「ブラックリスト」に掲載された状態となり、その後は新たな借り入れやクレジットカードの利用などの信用取引ができなくなります。

    事故情報は滞納を解消してから5年は消えないので、遅延損害金を支払えなければいつまでたっても信用取引はできないままです。

  3. (3)財産を差し押さえられることがある

    滞納が続くと、債権者から再三にわたって電話や郵便による督促を受けます。それでも滞納が解消できなければ、債権者は法的措置によって債権の回収を図ってきます

    具体的には、支払い督促や訴訟を経て、強制執行手続きにより財産を差し押さえられることになるでしょう。
    差し押さえの対象となるのは主に給料や預金口座です。これらの財産が差し押さえられると、生活費に支障をきたす可能性が高い上に、職場や家族に借金のことを知られることにもつながります。

4、遅延損害金の支払いを回避する方法

返済が苦しい場合でも、遅延損害金の支払いを回避できる可能性があります。

  1. (1)借入先に相談する

    まずは、借入先に相談しましょう。支払期日を過ぎると遅延損害金を免除してもらうことは難しくなりますが、滞納が発生する前に連絡して相談すれば、ある程度は柔軟な対応も期待できます

    たとえば、毎月の返済額を支払い可能な程度に減額してもらえたり、支払期日に利息さえ支払えば滞納扱いとはならなかったりといったケースもあり得るのです。

    このような配慮をしてもらえるかどうかは債権者次第なので、返済できない理由や、いつまでに支払えるのかなどを具体的に伝えるなどして、誠実に対応することが重要となります。

  2. (2)債務整理をする

    債権者に少し待ってもらうだけでは返済が追いつかないような場合には、債務整理を検討するのが良いでしょう。ただし、遅延損害金は債務整理手続きに影響を及ぼす可能性もあることに注意が必要です


    • 任意整理
    • 任意整理では和解成立後の利息免除は可能ですが、和解成立日までの遅延損害金は免除されないことがほとんどです。滞納発生から3~6か月程度で和解しなければ、返済額が膨れ上がる可能性が高くなります。

    • 個人再生
    • 個人再生は、裁判所に申し立てることにより借金総額を大幅に減額できる手続きです。
      遅延損害金がすべて免除されるわけではありませんが、元金・利息・遅延損害金を含めた総額が5分の1~10分の1にまで減額されます。
      ただし、裁判所に申し立てた後の債権届のときまで遅延損害金が加算され続けるので、手続きをするまでに時間がかかると返済額が増えることがあります。

    • 自己破産
    • 自己破産は、裁判所に申し立てることにより、一定の条件を満たせば借金の返済義務がすべて免除される手続きです。「免責」が許可されると、元金・利息・遅延損害金のすべてが免除されます。


    債務整理を検討する場合も、できる限り早期に弁護士に相談し、状況に合った手続きを選択した方がよいでしょう。

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5、まとめ

遅延損害金は1か月分だけであれば大した金額にはならないことが多いですが、滞納が続いた場合や、借入件数・借入総額が大きい場合には積み重なることにより、返済が難しくなってしまいます。

「このままでは返済が苦しい」と感じた時点で弁護士に相談し、正しく対処することをおすすめします。

ベリーベスト法律事務所では、借金問題に関するご相談は何度でも無料でご利用いただけます。お悩みの場合は、ぜひ一度お問い合わせください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
オフィス
[実績]
・債務整理の相談件数 36万8091件
  ※集計期間:2011年2月~2022年12月末
・過払い金請求 回収実績件数 90253件
・過払い金請求 回収実績金額 1067億円以上
  ※集計期間:2011年2⽉〜2022年12⽉末
[拠点・弁護士数]
全国73拠点、約360名の弁護士が在籍
※2024年2月現在
[設立]
2010年(平成22年)12月16日

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