債務整理 弁護士コラム
借金などの支払いを滞納していると、催告書と題された書類が届くことがあります。
それまでにも借入先の金融機関等から電話や書面で何度も支払いの催促を受けているはずですが、催告書が届いたときには事態は最終局面に突入しかけている、といえます。すぐに支払わなければ債権者は法的措置をとってくる可能性が高いので、催告書を無視するのは危険です。
それでも、払いたくても払えないという場合があるでしょう。本コラムでは、催告書を無視してはいけない理由と、催告書が届いても払えないという場合における対応方法を、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
催告書とは、未払いの借金などの支払いを催促する書面を指します。
ただ、それまでに送られてきた督促状や、電話による支払い催促とは異なる意味合いを持っているケースが一般的です。
催告書は、借金などの支払いを長期間滞納している場合に送られてくる書面です。
記載されている内容は、以下のとおりです。
債権者としては、「遅れているので早めに支払ってください」と連絡するだけで支払ってもらえれば、それでこと足ります。しかし、いつまでも支払わない債務者に対しては、強力に支払いを促すために、法的措置をとるという警告を発してきます。
つまり、催告書には「この通知をもってしても支払わない場合は、強制的に回収する手段に移行します」という最終の警告書としての意味合いがあるのです。
督促状も、催告書と同じように、滞納している債務者に対して支払いを催促するために送られてくる書面です。滞納していることの確認や滞納額、支払期限や振込先が記載されていることも催告書と同様の内容が記述されているのではないでしょうか。
しかし、異なる点があります。通常、督促状は、滞納が発生した直後の段階で送られてくるものです。「支払わなければ法的措置をとる」ということは強調されておらず、滞納していることの「お知らせ」と支払いの「お願い」といったニュアンスの書面となっています。
督促状を無視すると、その後も何度か督促状が送られてくるのが一般的です。債務者が督促状を無視し続け、債権者が「これ以上は待てない」と判断したときに、警告の意味合いも込めて催告書を送ってきます。
督促状と催告書には、法律上の意味に明確な違いはありませんが、実務上は以上のように使い分けられています。
催告書を受け取ったあと、「支払えない」「連絡をするのが怖い」などの理由で無視すると、以下のように深刻な事態に陥る可能性があります。
借金の支払いを「61日以上」または「3か月以上」滞納すると、信用情報機関に事故情報が登録されます。
いわゆる「ブラックリスト」に載せられた状態となり、その後の一定期間は新たな借り入れやクレジットカードの利用などができなくなるのです。
催告書が送られてくるのは、本来の支払日から2~3か月後のことが多く、その時点ですでに事故情報が登録されていることもあります。催告書を無視した場合には、間違いなく事故情報が登録されることになるでしょう。
催告書を無視すると、滞納額だけでなく残債務の全額を一括で返済するように請求されます。なぜなら、法的な用語でいえば「期限の利益」を失うことになるからです。
期限の利益とは、返済期限までは返済しなくてよいという債務者の利益のことです。たとえば、分割払いの場合は毎月の返済日までに分割金を支払えば残りの債務を支払う必要はありません。期限さえ守れば分割で支払えるという点は、債務者にとって大きな利益といえるのではないでしょうか。これが、期限の利益です。
期限の利益を失ってしまった債務者は、債権者から請求されたとき、直ちに残債務全額を支払う必要があります。
滞納をどれぐらい続けたら期限の利益を失ってしまうのかについては、契約約款等に記載されています。
一括返済の請求も無視すると、債権者はやむを得ず裁判を起こすでしょう。その場合は、裁判所から「支払督促」または「訴状」が届きます。
支払督促が届いた場合は、2週間以内に異議申立てをすると通常の訴訟に移行します。訴状が届いたということは、債権者から通常訴訟を提起されたことです。
支払督促も訴状も、放置すると債権者が申し立てた内容のとおりに支払い義務が確定します。
債務が確定した後も放置していると、最終的に債権者から強制執行を申し立てられ、財産を差し押さえられます。差し押さえられるものは、主に給料や預金口座です。
給料が差し押さえられると、毎月の手取り額から4分の1の金額(手取り額が44万円を超える場合は33万円を超える部分の全額)が差し引かれ、勤務先から債権者に支払われます。当然ながら、借金等を滞納していることを勤務先に知られることにもなるでしょう。
預金口座が差し押さえられた場合は、預金の中から債権額に満ちるまでの全額が債権者に直接支払われます。
いずれの場合も、生活に支障をきたすおそれがあります。
催告書を受け取ったら、早急に以下のように対処する必要があります。
借金等の消滅時効期間が経過していても、請求してくる金融機関は少なくありません。しかし、消滅時効が成立している債務は支払う必要がないので、まずは時効が成立していないかを確認しましょう。
金融機関からの借金の時効期間は、最後の返済日から5年です。この間にまったく返済せず、債権者に対して債務を認める言動もしておらず、裁判も起こされていない場合は、時効が成立しています。ただし、そのまま放置しているだけで借金が消える、というわけではありません。時効の成立を理由に返済の義務を免れたいときには、時効の援用という手続きを行う必要があります。
なお、時効の成立までには、時効に至るまでの期間を引き延ばす「更新」と呼ばれる制度があるため、実際に時効が成立しているかどうかがわかりづらいケースがほとんどです。時効の成立を主張したい場合、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
悪質業者が「催告書」と題するハガキなどで架空請求をしてくるケースも多々あるので、要注意です。
架空請求の書面は注意して見ればすぐに気付きますが、不安な場合は弁護士に相談して確認したほうがよいでしょう。
債権者から送られてきた催告書の内容が、時効が成立していない債務であれば、当然、支払い義務があるので、返済をしなければなりません。
何とかお金を捻出して期限までに請求額を支払うことが理想的ですが、支払えない場合でも債権者に相談すれば、ある程度は法的措置を待ってもらえる可能性があります。
催告書を無視してしまうとより重大な事態へ陥ってしまいかねないので、できるだけ早く債権者に連絡してください。
催告書は、税金や社会保険料を滞納したときに役所から送られてくることもあります。
これらの債務は債務整理をしても減免されませんが、所定の手続きをとれば納税の猶予や分納、免除などが受けられる可能性があります。
税金などについての催告書を無視した場合は、金融機関の場合とは異なり、裁判手続きを踏まずにすぐ差し押さえが行われることになっているので、注意が必要です。役所から税金などについての催告書が届き、支払えない場合には、すぐに役所に相談しましょう。
借金を滞納して催告書が届き、支払えない場合でも諦める必要はありません。
そんなときは、債務整理で解決することが可能です。
債務整理とは、合法的な手段で借金を減免してもらえる手続きのことです。
4種類の手続きがあり、任意整理・特定調停・個人再生では、支払い可能な額にまで借金の減額を図ることができます。自己破産では、借金の返済義務をすべて免除してもらうことが可能です。
債務整理をすれば、一括返済の請求や裁判、差し押さえといった法的措置をとられることがなくなるというメリットが得られます。
債務の内容が合法的に変更されるため、その後の返済を怠らなければ債権者から催促を受けることもありません。自己破産をして免責を受けた場合には、支払い義務自体が消滅します。
債務整理をするなら、自分の状況に合った手続きを選ぶことが重要です。また、どの手続きを選んだ場合でも、一定のデメリットがあることに注意しましょう。
債務整理に関する不安や疑問があるときは、弁護士への相談が有効です。弁護士が豊富な経験に基づき、状況に応じて最適な解決方法を提案してくれるでしょう。手続きを進める際には、弁護士に依頼すればすべて代行してくれます。
催告書が届いても支払いが難しいときは、ひとりで悩まず弁護士に相談しましょう。
催告書を受け取る方は、すでに払いたくても払うためのお金がない、という状況に陥っていることが多いものです。
そんなときは、法的措置を受けてしまう前に債務整理をすることをおすすめします。この機会に借金問題を根本的に解決してしまいましょう。
ベリーベスト法律事務所にご相談いただければ、経験豊富な弁護士が最適な解決方法を提案します。借金問題に関するご相談は何度でも無料でご利用いただけますので、まずは無料相談をご利用ください。
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『旦那や家族には言っていないけど、実は私、借金を抱えてます…』
実は、主婦で借金を抱えている人は多く、それを言えずに悩んでいる方もたくさんいるのが現状です。もしかしたらこの記事をご覧のあなたも、そういった悩みをお持ちなのかもしれません。
一人で悩むことなく、主婦で借金をしている人は意外と多いということを知っていただいて、ぜひご自身の借金返済について前向きに考えていってください。この記事があなたにとって、ご参考になれば幸いです。
これから債務整理をしようと考えている方の中には、債務整理後にキャッシングできるのか、債務整理中にお金が足りなくなったときキャッシングを利用することは認められるのかと、お悩みの方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、債務整理をしたことで、キャッシングなどを法律で禁止されるわけではありません。
しかし、債務整理をすると信用情報に事故情報が登録される(ブラックリスト入りする)ので、ほとんどの金融機関は、融資に応じてくれなくなります。
親子であっても、他人の借金を返済する義務は原則としてありません。肩代わりするかどうかは、基本的に子ども自身の判断で自由に決められます。
しかし親の借金でも子どもに返済義務が生じることがあり、借金を放置すると子どもが差し押さえを受けることにもなりかねません。
本コラムでは、親の借金が降りかかってきた場合に、子どもはどのように対処すればよいのかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。