債務整理 弁護士コラム
借金の返済が難しくなったときは、債務整理でその借金を減免してもらうことで解決できます。任意整理と自己破産は、どちらも債務整理の一種です。借金問題を解決するために、どちらを選べばよいのかで迷われている方も多いことでしょう。
ただ、任意整理と自己破産は別の制度なので、手続きの流れが違いますし、メリット・デメリットもそれぞれ異なります。
そこで今回は、任意整理と自己破産には具体的にどのような違いがあるのか、どんなポイントに注意して選べばよいのかについて解説します。
任意整理は、裁判所を介さず債権者と直接交渉することにより、今後の返済額や返済方法を変更する手続きです。大幅な借金の減額は期待できない一方で、他の債務整理と比べてデメリットが少ない手続きとなっています。
一方、自己破産は、裁判所の手続きを利用して借金の返済義務を全て免除してもらうことが可能な手続きです。借金が全てなくなるという大きなメリットがある反面で、デメリットも多い手続きとなっています。
任意整理と自己破産の具体的な違いは、以下のとおりです。
任意整理 | 自己破産 | |
---|---|---|
借金の減免 | 基本的に将来利息のカットのみ | 全額が免除される |
手続きの内容 | 債権者との直接交渉 | 裁判所に申し立てる |
手続きの複雑さ | 比較的簡便 | 複雑で厳格 |
財産の処分 | 処分不要 | 20万円を超える財産は処分 |
対象とすべき借金 | 自由に選べる(保証人への影響を回避できる・ローンを組んだ車の引き揚げを回避できる) | 全ての借金を対象としなければならない(保証人に迷惑がかかることがある・ローンを組んだ車は引き揚げられる) |
手続きにかかる期間 | 3~6か月程度 | 3~12か月程度 |
必要な費用 | 1社につき5~7万円程度 | 30~130万円程度 |
仕事への影響 | 影響なし | 手続き中は一部の資格・職業に制限がかかる |
信用情報への影響 | 事故情報が登録される | 事故情報が登録される |
事故情報の登録期間 | 完済から5年 | 免責許可決定の確定から10年 |
官報への掲載 | 掲載されない | 掲載される |
家族等に知られるか | 知られる可能性はほぼない | 知られる可能性がある |
次に、どのような流れで手続きが進められるのか、それぞれについて解説します。
任意整理の手続きは、以下の流れで進められます。
裁判所の手続きを利用しないため、必要書類は特にありません。交渉によって、債権者にどこまで譲歩してもらえるかがポイントとなります。
自己破産の手続きは、以下の流れで進められます。
破産法にのっとって手続きが進められるため、正確に手続きを行うことと、借金の使い道等に問題がないことを、裁判所にわかりやすく説明することがポイントとなります。
次に、両者のメリット・デメリットを比較してみていきましょう。
任意整理のメリットをひとことで言うと、簡便な手続きで柔軟な解決を図れるということです。
裁判所を介さないため手続きは比較的簡便かつ柔軟であり、短期間で解決を図ることも可能で、費用も低額で済む傾向にあります。自己破産では、複雑かつ減額な手続きが必要なので、一定の期間がどうしてもかかる上に、費用も高額となる傾向にあります。
任意整理では整理する借金を自由に選べるので、保証人付きの借金を除外して手続きすれば、保証人が請求を受けることもありません。
自己破産では、全ての借金を対象としなければならないので、保証人付きの借金を除外して申し立てることはできません。そのため、保証人が請求を受けてしまうことがあります。
任意整理は、財産を処分する必要がなく、職業制限もないので、手続き後も生活や仕事を今までどおりに続けることができます。
自己破産では、評価額20万円を超える財産は原則として処分しなければなりません。
家や車、生命保険などを失う可能性が高いことに注意が必要です。
また、手続き中は一部の資格や職業に制限がかかるため、仕事を辞めなければならないこともあります。
任意整理では借金の使い道は問われないので、ギャンブルや浪費で作った借金も整理できます。自己破産ではギャンブルや浪費で借金を作った場合は「免責不許可事由」に該当し、原則として借金がそのまま残ってしまいます。
任意整理は手続きしたことが公表されることはないので、家族や勤務先等に内緒で手続きしやすいです。
自己破産をすると、官報に住所や氏名が掲載され、公表されてしまいます。ただ、一般の方が官報を見ることはほとんどないので、この点は、さほど気にする必要はありません。
自己破産のメリットをひとことで言うと、多額の借金が全てなくなるということです。
免責不許可事由がない限り、裁判所の決定によって、強制的に全ての借金の返済義務が免除されます。返済の必要がなくなるので、無収入の方も自己破産手続きを利用できます。
任意整理では、債権者の同意が得られない限り借金は減額されません。同意が得られるとしても、基本的には将来利息が免除されるのみです。残元金を3年~5年で完済できる程度の安定収入がなければ、任意整理手続きは利用できません。
任意整理と自己破産、どちらを選ぶかで迷ったときは、それぞれの手続きの特徴とメリット・デメリットを比較して検討することで、適切に判断することができます。
以下では、任意整理に向いている人・自己破産に向いている人の特徴をそれぞれまとめておきます。
任意整理に向いている人の特徴は、以下のとおりです。
「自己破産したくない」と思っても、借金総額が大きい場合や収入が少ない場合は、任意整理では解決できないことがあります。
借金総額がいくらまでであれば任意整理で解決できるかは、収入や金利にもよりますが、一般的な会社員の方であれば300万~400万円を超えると厳しくなってくるでしょう。
自己破産に向いている人の特徴は、以下のとおりです。
自己破産は最終手段ではありますが、任意整理や個人再生でも解決できないほどの借金を抱えた場合は、デメリットを受け入れてでも手続きをしたほうがよいでしょう。
借金を放置しているといつまでも返済に追われる上に、精神的にもダメージを受けてしまうはずです。自己破産は法律で認められた正当な解決手段なので、必要な場合には自己破産を申し立てて、一から生活を立て直すことを検討しましょう。
任意整理と自己破産には異なる特徴とメリット・デメリットがあります。自分で「任意整理をしたい」あるいは「自己破産をしたい」と思っても、状況によっては希望どおりに手続きできないことも多いものです。
一方では、任意整理と自己破産のどちらでも解決可能というケースもあります。それだけに、どちらを選べばよいのかで迷ってしまう方も多いことでしょう。
債務整理手続きの選択を誤ると、借金問題が悪化してしまい、解決が難しくなってしまうこともあります。迷ったときは、弁護士にご相談の上、適切な手続きを選ぶことをおすすめします。
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任意整理は、債権者と将来利息の免除や返済期間の延長などについて交渉することにより、毎月の返済額を減らすことが可能な手続きです。
しかし、任意整理をすると信用情報機関に事故情報が登録されるため、ETCカードも使えなくなるのではないかと心配する方もいらっしゃることでしょう。特に、仕事や生活などでETCの利用が必要な方にとっては、切実な問題です。
この記事では、任意整理をするとETCカードが使えなくなるのか、一般的なETCカードが使えなくなるとしても、他にETCカードを利用する方法はないのかについて解説していきます。
借金の返済が厳しくなってきたら「任意整理」という方法で、返済の負担を軽減できる可能性があります。
しかし、任意整理を検討している方の中には、弁護士に依頼した際の費用がどのくらいかかるかわからずに、依頼を躊躇しているという方もいるかもしれません。そのような方は、任意整理の費用相場をしっかりと理解しておくことで、安心して弁護士への依頼に踏み切ることができるでしょう。
今回は、任意整理の費用相場と費用の支払いが不安な場合の対処法について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
任意整理は、借金などの債務の負担を軽減できる手続きです。借金返済が困難になってしまった方は、任意整理を検討するとよいでしょう。
なんとなくの印象で「任意整理はやばい」と言われることもあるようですが、決してそんなことはありません。正しい知識と情報をもとに、任意整理を行うべきかどうかを判断しましょう。
本記事では、任意整理のメリットとデメリットを踏まえて、任意整理は本当に「やばい」のかどうか、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。