債務整理 弁護士コラム

債務整理のデメリットとは? 自分に合う方法の選び方を弁護士が解説

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更新日:2024年02月29日 公開日:2022年05月18日

債務整理のデメリットとは? 自分に合う方法の選び方を弁護士が解説

債務整理は、借金問題を解決するための法的手続きの総称です。
債務整理の手続きを通して、合法的な手段で借金を減額したり、返済そのものを免除したりすることができます。しかし、それと引き換えに、一定のデメリットもあります。

債務整理には任意整理や特定調整、個人再生、自己破産といった種類があり、それぞれ特徴や注意すべき事項が異なります。
そのため、借金問題を適切に解決するためには、自分に合った手続きを選ぶことが重要です。

本コラムでは、債務整理の各手続きにおけるデメリットや、債務整理のなかでも自分に合う方法の選び方について、ベリーベスト法律事務所 債務整理チームの弁護士が解説します。

1、債務整理とは

債務整理とは、借金を当初の約束どおりに返済できなくなった場合に、一定の手続きをとることで残債務の減額や返済の免除が認められる制度のことです。

具体的な手続きとして、以下の4種類のものがあります。

● 任意整理
貸金業者と直接交渉することによって、今後の返済額と返済方法を新たに取り決める手続き

● 特定調停
簡易裁判所を介して、任意整理と同じような交渉を行うもの

● 個人再生
裁判所の強制的な手続きを利用して借金総額を大幅に減額し、残った借金を3年~5年で返済していく手続き

● 自己破産
裁判所に「返済不能であること」を認めてもらう手続きで、免責許可を得ることですべての借金の返済義務が免除される

2、債務整理のデメリット

債務整理を行うと、どの手続きを選択した場合でも信用情報機関に事故情報が登録され、一定期間は新規の借り入れやクレジットカードの利用などができなくなるというデメリットがあります。いわゆる、ブラックリストに登録された状態となります。

事故情報が削除され、再び借り入れ等ができるようになるまでの期間の目安は、以下のとおりです。

任意整理、特定調停 完済から5年
個人再生 再生計画案の認可決定の確定から10年
自己破産 免責許可決定の確定から10年

その他にも、各手続きに特有のデメリットがあるため、それぞれについての注意点も確認するようにしましょう。

  1. (1)任意整理のデメリット

    任意整理に特有のデメリットとして、以下のものが挙げられます。

    • 返済を継続しなければならない
    • 借金をどれだけ減額できるかは債権者の意向次第
    • 基本的には将来利息がカットされるのみであり、大幅な減額は難しい
    • 交渉に応じない債権者もいる


    任意整理は手続きにかかる手間や費用の負担が軽いというメリットがある反面で、借金減額の効果が限定的なものにとどまるデメリットがあるといえます。

  2. (2)特定調停のデメリット

    特定調停も交渉の手続きであるため、任意整理と同様のデメリットがあります。

    さらに、任意整理にはないデメリットとして以下のものが挙げられます。

    • 過払い金が発生していても裁判所は取り戻してくれない
    • 裁判所からの郵便物により家族に借金のことを知られてしまう可能性がある


    その反面で、裁判所の手続きによって差し押さえを停止させることが可能というメリットもあります。

  3. (3)個人再生のデメリット

    個人再生に特有のデメリットとして、以下のものが挙げられます。

    • 官報に住所や氏名が掲載される
    • 利用できる条件が厳格に定められている
    • 手続きが煩雑である
    • 高価な財産があると返済額が高額となる
    • 保証人に迷惑がかかることがある


    個人再生は、財産を処分することなく借金の大幅な減額が可能となる手続きです。「住宅ローン特則」を利用すれば、持ち家を維持することも可能です。非常に大きなメリットがある反面で、手続きの内容は債務整理の中でもっとも煩雑なものとなっています。

    そのため、個人再生を申し立てる人のほとんどは、弁護士など専門家に依頼しています。

  4. (4)自己破産のデメリット

    自己破産にも、個人再生と同様に以下のデメリットがあります。

    • 官報に住所や氏名が掲載される
    • 保証人に迷惑がかかることがある


    その他にも、自己破産に特有のデメリットとして、以下のものが挙げられます。

    • 財産は生活に必要なものを除いて基本的に処分される
    • 手続き中は一部の資格や職業に制限を受ける
    • 手続き中は引っ越しや旅行を制限されることがある
    • 手続き中は破産管財人に郵便物を調査されることがある
    • 状況によっては免責が許可されないこともある


    自己破産はすべての借金の返済義務が免除されるという絶大な効果が得られる反面で、デメリットも債務整理の中でもっとも大きなものとなっています。

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3、債務整理のデメリットを回避する方法

デメリットを回避しつつ債務整理で借金問題を解決するためには、自分に合った手続きを選ぶことが重要です。各手続きの特徴を踏まえて選択することで、デメリットを回避することが可能となります。

以下で、手続きごとに、どのような人が向いているのかを解説します。

  1. (1)任意整理に向いている人

    一般的に、任意整理に向いているのは以下のような人です。

    • 借金総額が比較的少ない
    • 継続的に返済できるだけの安定収入がある
    • 手続きにかかる手間や費用の負担を抑えたい


    これを前提として、以下のデメリットを回避したい場合は任意整理を検討するとよいでしょう。

    • 手続きをしたことを第三者に知られたくない
    • 保証人に迷惑をかけたくない
    • 財産を処分したくない


    任意整理では、手続きをしたことが公表されることがないので、第三者に知られることなく手続きがしやすくなっています。また、個人再生および自己破産とは異なり、対象とする債権者を自由に選択することが可能です。

    保証人が付いている債権者を手続きから外すことで、保証人が返済請求を受けるという事態を回避できます。また、オートローンを組んでいる債権者を手続きから外すことで、車の引き揚げを回避することも可能です。

    さらに、所有財産の額などは問われないので、財産を処分する必要は一切ありません。

  2. (2)特定調停に向いている人

    特定調停に向いているのは、任意整理に向いている人のうち、以下の要望がある人です。

    • 自分で手続きを行いたい
    • 手続きにかかる費用を抑えたい
    • 差し押さえを解除したい


    特定調停では、簡易裁判所の調停委員が債権者との交渉を仲介してくれるので、弁護士に依頼せず自分で手続きを行うことも十分に可能です。自分で行えば、弁護士費用は不要です。

    また、特定調停の申立てと併せて「強制執行停止の申立て」をすると、給料や預金口座などについて、すでに受けている差し押さえ手続きを停止させることができます。

  3. (3)個人再生に向いている人

    一般的に、個人再生に向いているのは以下のような人です。

    • 多額の借金を抱えている
    • 減額してもらえれば返済可能となるだけの安定収入がある


    これを前提として、自己破産におけるデメリットを回避したい場合は、個人再生を選択することで大きなメリットが得られます。

    個人再生では自己破産とは異なり、財産を処分する必要はありません。資格や職業、引っ越し、旅行などを制限されることもなく済みます。

    借金で浪費やギャンブルをした場合など、自己破産では免責が許可されないようなケースでも、個人再生なら大幅に借金を減額してもらうことが可能です。

    特に、住宅ローンを返済しつつマイホームを維持して他の借金のみを整理したい人にとっては、個人再生のメリットは大きいものといえます。

    その他にも任意整理では交渉に応じない債権者がいる場合には、個人再生をすれば裁判所の決定によって強制的な借金減額が期待できます。

  4. (4)自己破産に向いている人

    一般的に、自己破産に向いているのは以下のような人です。

    • 到底返済不能な多額の借金を抱えている
    • 減額してもらっても返済できるだけの安定収入がない


    自己破産は借金問題解決の最終手段であるため、選択する場合にはデメリットを受け入れることが必要です。

    とはいえ、実際には多くの場合、自己破産をしても生活に支障をきたすことはありません。生活に必要な財産は処分する必要がないからです。
    高価な財産がなく、制限を受ける職業に就いていないなどの場合には、事故情報が登録されることを除いて特段のデメリットを感じないといえるでしょう。

4、自分に合った債務整理を選ぶには弁護士へ相談を

任意整理や個人再生など、債務整理の各手続きには、それぞれ利用可能な条件もあります。

また、自分では特定の手続きを希望していても、状況によっては他の手続きの方が向いている場合もあります。手続きの選択を誤ると、借金問題の解決に失敗することにもなりかねません。

どの手続きがもっとも自分に適しているかを判断するためには、専門的な知識も要求されます。そのため、債務整理の実績が豊富な弁護士にご相談の上、専門的なアドバイスを受けて最適な手続きを選択することがおすすめです。

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5、まとめ

返済できなくなった借金は債務整理で解決できますが、事前に各手続きのデメリットを知っておかなければ、思わぬデメリットを受けて後悔するおそれがあります。

債務整理をする以上は避けられないデメリットもありますが、ご自身に合う方法を選択することでデメリットを最小限に抑えることは可能です。

ベリーベスト法律事務所では、借金問題について経験豊富な弁護士が親身に対応し、状況に応じて最適な解決方法を提案いたします。債務整理に関するご相談は何度でも無料でご利用いただけますので、お困りの際は当事務所へご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
オフィス
[実績]
・債務整理の相談件数 36万8091件
  ※集計期間:2011年2月~2022年12月末
・過払い金請求 回収実績件数 90253件
・過払い金請求 回収実績金額 1067億円以上
  ※集計期間:2011年2⽉〜2022年12⽉末
[拠点・弁護士数]
全国76拠点、約350名の弁護士が在籍
※2024年10月現在
[設立]
2010年(平成22年)12月16日

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