債務整理 弁護士コラム
任意整理は、債務者が債権者と直接交渉することによって借金を減額する手続きです。自己破産や個人再生とは異なり、細かな法律の規定に従って裁判所に申し立てる必要がないので、手軽に借金を整理できるというメリットがあります。
その反面で、自己破産のように借金を免除されるわけではなく、個人再生のように借金が大幅に減額されるというわけでもありません。そのため、「任意整理ではあまり借金が減額されない」と言われることもあります。
そこで今回は、「実際に任意整理で借金がどれくらい減額されるのか」をシミュレーションつきで解説し、思うように借金が減らない場合の対処法についても併せてご紹介します。
任意整理とは、債権者と債務者が直接話し合い、双方が納得する条件で和解することによって借金を減額できる債務整理の方法です。手続きの内容や効果が法律で詳細に定められているわけではなく、当事者が任意に話し合う方法であることから「任意」整理と呼ばれています。
法律で定められた債務整理の手続きのひとつである自己破産や個人再生と比べて、任意整理には以下のメリットがあります。
任意整理では、当事者が合意するのであれば、返済条件をどのようにでも変更することが可能です。とはいえ、債権者にとってもメリットのある条件でなければ和解に応じてもらえないため、借金の減額効果には限界があります。
通常、任意整理では以下の仕組みで借金が減額されます。
将来利息とは、今後発生する利息のことで、任意整理においては、和解後に発生する利息のことを意味し、原則将来利息を全額免除してもらうことが可能です。
ただ、元金は原則として一切免除されません。そのため「任意整理では借金が減らない」と思われることもあるでしょう。しかし、
程度の金利がかかることが多いので、これらの金利が免除されるだけでも今後の返済額は減少します。
なお、以下のような場合には将来利息を一部(数%~10%程度)要求する債権者もいるので注意が必要です。
最近では遅延損害金と経過利息については、免除に応じない債権者が多くなっています。
遅延損害金とは滞納してから和解が成立するまでの違約金のようなものであり、経過利息とは支払いを停止してから返済日が来るまでにかかる利息のことです。
長期間、返済を滞納している場合には高額の遅延損害金が加算され、任意整理をしても思うように返済総額が減らないケースもあります。しかし、遅延損害金は任意整理をしなくても加算されるものです。任意整理をすれば、将来利息が免除される分だけ、返済額が減ることになります。
なお、現在でも交渉次第では遅延損害金および経過利息の免除に応じてくれる債権者もいます。
任意整理では、交渉によって返済期間を延長してもらうこともできます。基本的には3年~5年で完済することを求められますが、交渉次第では6~7年くらいまで延長に応じてもらえる場合もあります。
元金が減らなくとも、返済期間が延長されれば毎月の返済額が減ります。そのため、返済を継続していける可能性が高まります。
それでは、任意整理をすることで実際に借金がどれくらい減額されるのかをシミュレーションで確認してみましょう。
ここでは、消費者金融2社から50万円ずつ(合計100万円)、金利はいずれも年18%で借りたケースで、
の返済額を比較してみます。
任意整理しない場合 | 任意整理をした場合 | |
---|---|---|
金利 | 18% | 0% |
返済期間 | 3年 | 5年 |
総返済額 | 130万1468円 | 100万円 |
毎月の返済額 | 3万6152円 | 1万6667円 |
任意整理によって将来利息が免除されるだけで総返済額が30万円以上減り、さらに返済期間を2年延長することで毎月の返済額が約2万円減ることがおわかりいただけるでしょう。
次に、消費者金融6社から50万円ずつ(合計300万円)、金利はいずれも年18%で借りたケースで、任意整理をしない場合とした場合の返済額を比較してみましょう。
任意整理しない場合 | 任意整理をした場合 | |
---|---|---|
金利 | 18% | 0% |
返済期間 | 5年 | 5年 |
総返済額 | 457万0775円 | 300万円 |
毎月の返済額 | 7万6180円 | 5万円 |
こちらのケースでは、総返済額を157万円以上も減らすことができました。借金総額が大きければ大きいほど、任意整理によって減額できる金額の幅も大きくなる傾向にあります。返済期間の延長に応じてもらえれば、毎月の返済額をさらに減らすことも可能となります。
任意整理をしても、
などの要因で、思うように借金が減らないこともあります。そのような場合では、個人再生または自己破産を選択すれば強制的に借金を減免することができます。
個人再生では、将来利息だけでなく元金や遅延損害金も含めて大幅に借金を減額することが可能です。基本的に借金総額が5分の1に圧縮され(最低弁済額は100万円)、その金額を3年~5年で返済していくことになります。
最低弁済額とは債務者が債権者に最低限返済しなければならない金額のことです。
借金総額が300万円の場合、任意整理では最低でも毎月5万円以上の返済が必要です。しかし、個人再生をすれば毎月の返済額を1万6667円にまで減らすことが可能です。「毎月5万円の返済は厳しいけれど、毎月2万円くらいなら支払える」という場合は、個人再生の申立てを検討するとよいでしょう。
自己破産では、「免責許可決定」を得ることですべての借金の返済義務が免除されます。
借金総額が大きい場合には、個人再生でも毎月の返済額が大きくなってしまうことがあります(最大8万3334円)。個人再生でも思うように借金が減らない場合や、そもそも返済に充てることが可能な収入がない場合には、自己破産の申立てを検討しましょう。
ただし、自己破産では以下のデメリットに注意が必要です。
債務整理の中でどの手続きが最適かは状況によって異なりますので、弁護士に相談した上で方針を決定することをおすすめします。
任意整理で将来利息が免除されるだけでも、借金総額によっては返済額を100万円以上減らせることがあります。ただ、自己破産や個人再生と比べれば、借金の減免効果が限定的であることも否定できません。
任意整理で思うように借金が減らない場合でも、適切に対処すれば借金問題の解決は可能です。そのためには専門的な知識が要求されますので、弁護士に相談してアドバイスを受けることが得策です。
ベリーベスト法律事務所では、債務整理に関する案件の経験が豊富な弁護士が状況に応じて最適な解決方法を提案いたします。債務整理に関するご相談は何度でも無料でご利用いただけます。借金問題でお困りの際は、お気軽に当事務所までご連絡ください。
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任意整理は、債権者と将来利息の免除や返済期間の延長などについて交渉することにより、毎月の返済額を減らすことが可能な手続きです。
しかし、任意整理をすると信用情報機関に事故情報が登録されるため、ETCカードも使えなくなるのではないかと心配する方もいらっしゃることでしょう。特に、仕事や生活などでETCの利用が必要な方にとっては、切実な問題です。
この記事では、任意整理をするとETCカードが使えなくなるのか、一般的なETCカードが使えなくなるとしても、他にETCカードを利用する方法はないのかについて解説していきます。
借金の返済が厳しくなってきたら「任意整理」という方法で、返済の負担を軽減できる可能性があります。
しかし、任意整理を検討している方の中には、弁護士に依頼した際の費用がどのくらいかかるかわからずに、依頼を躊躇しているという方もいるかもしれません。そのような方は、任意整理の費用相場をしっかりと理解しておくことで、安心して弁護士への依頼に踏み切ることができるでしょう。
今回は、任意整理の費用相場と費用の支払いが不安な場合の対処法について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
任意整理は、借金などの債務の負担を軽減できる手続きです。借金返済が困難になってしまった方は、任意整理を検討するとよいでしょう。
なんとなくの印象で「任意整理はやばい」と言われることもあるようですが、決してそんなことはありません。正しい知識と情報をもとに、任意整理を行うべきかどうかを判断しましょう。
本記事では、任意整理のメリットとデメリットを踏まえて、任意整理は本当に「やばい」のかどうか、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。