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任意整理(債務整理)後に今月だけ払えないときのリスクと対処法

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更新日:2022年03月22日 公開日:2022年03月22日

任意整理(債務整理)後に今月だけ払えないときのリスクと対処法

任意整理後、今月だけ払えないという状況になる場合があるかもしれません。

任意整理をすると借金を減額できますが、3年~5年にわたって返済を継続する必要があります。その間には、急な出費や失業などによって「今月だけ払えない」と困ってしまう場合もあることでしょう。

そこでこの記事では、任意整理(債務整理)後に今月だけ払えないときのリスクと対処法をご紹介します。

1、任意整理後に払えない場合のリスク

まずは、任意整理で債権者と約束したとおりに払えなくなった場合に、どのようなリスクを負うのかを解説します。

  1. (1)今月だけ払えない場合

    何らかの事情で今月だけ払えない場合でも、来月からはまた確実に払えるのであれば、通常直ちに問題が生じることはまずありません。

    原則、任意整理の和解書には「返済を2回以上怠ると期限の利益を失う」と記載されています(借金残額を一括請求されてしまう)。逆に言えば、1回怠っただけでは特に不利益を受けることはありません。債権者から「今月分のお支払いはいつになりますか」と尋ねられますが、「来月中に必ず支払います」と答えれば済みます。

    ただし、債権者によっては和解書に「1回でも返済を怠ると期限の利益を失う」と記載されていることもあります。その場合には、今月だけ払えなかった場合でも期限の利益を失ってしまいます。期限の利益の意味は、後ほど(3)でさらに詳しく解説します。

  2. (2)その後も払えない場合

    今月分を払えず、来月も払えない場合は、返済を「2回以上」怠ったことになるので、期限の利益を失います。

    なお、「返済を2回以上怠る」とは、2回分以上の返済金を延滞することを意味します。したがって、1回分の延滞を放置していると、来月は払えてもその後に1回でも延滞すると2回以上怠ったことになるため、期限の利益を失うことに注意が必要です。

  3. (3)2回以上、延滞した場合

    2回以上、返済を怠った場合には期限の利益を失い、債権者から残額を一括請求されてしまいます。

    期限の利益とは、返済期限までは支払わなくてよいという債務者の利益のことです。分割払いの和解をした場合には、毎月の支払日までに決められた金額を支払えば、残額の支払いを待ってもらえます。

    しかし、期限の利益を失うと待ってもらう権利がなくなるため、直ちに残額を一括で支払わなければなりません。通常、一括請求を受けた場合には遅延損害金(消費者金融の場合は14.6%~20%程度が一般的)も加算して支払わなければならないことに注意が必要です。

    一括で支払えない場合には債権者から裁判を起こされ、最終的には

    • 給料
    • 預金口座


    などの財産を差し押さえられることになります。

2、任意整理後に今月だけ払えない場合の対処法

任意整理後に返済が厳しくなったときは、まず和解書を確認しましょう。延滞によって期限の利益を失うのが「1回」なのか「2回」なのかを確認する必要があります。

「2回以上」となっている場合で、今月だけ払えない場合には、何らかの対処が必要不可欠というわけではありません。しかし、今後払えなくなるリスクも考えて、以下の対処をとることをおすすめします。

  1. (1)債権者に連絡する

    返済できないことが分かったら、早めに債権者に連絡して、その旨を伝えましょう。

    延滞すると債権者の方から連絡がありますが、先にこちらから連絡することで誠意を示すことができます。

  2. (2)いつまでに支払えるかを伝える

    債権者に連絡したら、払えない事情を説明した上で、いつまでに支払えるのかを伝えましょう。

    延滞したのが1回だけでも、債権者は「この債務者はもう支払えないのではないか」と危惧するものです。いつまでに支払うかを約束することで債権者も安心してくれるでしょう。

  3. (3)早期に延滞を解消することが重要

    今月だけ払えず、来月からは通常どおりに払える場合でも、延滞してしまった分は早めに返済しておくことが重要です。

3、任意整理後に払えなくなる原因

任意整理で借金を減額したにもかかわらず返済ができなくなるときには、必ず原因があります。事情によっては再度、債務整理をする必要もあるかもしれません。

借金問題を無事に解決するために、1回でも払えなくなった場合はご自身の原因を把握しておきましょう。

  1. (1)突発的な出費や減収、失業など

    今月だけ返済できないという場合は、突発的な出費のために返済資金が不足するケースがほとんどでしょう。

    • 冠婚葬祭
    • 病気
    • 事故
    • 家具や家電の買い換え


    など、さまざまな事情が考えられます。

    他にも

    • 勤務先の業績悪化などによる減収
    • リストラなどによる失業


    などで収入が途絶えた場合は、今後も返済が難しくなる可能性が高いといえるでしょう。

  2. (2)無理な和解をした

    任意整理で和解する際に、毎月の返済額を高めに設定することも払えなくなる原因となり得ます。月3万円なら問題なく払えても、月5万円になると払えないときもあるという方は多いことでしょう。しかし、早期に完済したいという思いが強いと、無理な条件で和解をしがちです。

    繰り返しになりますが、3年~5年の返済期間中には誰にでも突発的な出費があるでしょうし、減収や失業の可能性もあります。そのため、任意整理ではある程度の余裕を持った返済計画で和解することが重要です。

  3. (3)借金額が大きすぎる

    借金額が大きすぎて、無理な和解をせざるを得なかったというケースもあります。その場合は、そもそも任意整理に適した事案ではなかったということも考えられます。

    任意整理では、借金総額が100万円なら毎月1万7000円~2万8000円程度の返済で済みますが、借金総額が300万円になると最低でも毎月5万円の返済は必要となります。最初から返済が苦しいような場合には、別の債務整理手続きを検討した方がよいでしょう。

4、任意整理後の継続的な返済が難しくなった場合の対処法

任意整理後の返済が2回遅れた場合でも債権者に対して誠実に対応していれば、今後の返済が可能である限り、分割払いの継続を認めてもらえる可能性は十分にあります。

しかし、今後の継続的な返済が難しくなった場合には、再度の債務整理が必要となります。具体的には、以下の対処法が挙げられます。

  1. (1)2回目の任意整理(再和解)

    すでに任意整理をした債権者と、2回目の任意整理をすることも可能です。1回目の任意整理の返済ができなくなった時点で残っている借金について、改めて返済方法を交渉し、再和解をするのです。

    ただし、1回目の任意整理ですでに利息はカットされているはずなので、2回目の任意整理で借金を減額することはあまり期待できません。むしろ、遅延損害金が加算されることにより返済総額が増えてしまう可能性が高いといえます。

  2. (2)個人再生

    個人再生では、裁判所の決定によって借金が大幅に減額されます(原則として5分の1、最大で10分の1まで)。任意整理で返済が難しくなった場合でも、個人再生に切り替えれば返済できる可能性は高いといえます。

    ただし、

    • 安定収入が必要であること
    • 連帯保証人がついている借金も手続きから除外できないこと


    などに注意が必要です。

  3. (3)自己破産

    自己破産で裁判所から免責を許可されると、すべての借金の返済義務が免除されます。失業して無収入の方や、収入が少ない方には自己破産が向いているといえます。

    ただし、

    • 浪費やギャンブルなど一定の事由がある場合には免責が許可されないこと
    • 財産を処分しなければならない可能性があること
    • 連帯保証人がついている借金も手続きから除外できないこと
    • 一定の資格や職業に制限を受けること


    などの点に注意が必要です。

5、まとめ

任意整理後に「今月だけ払えない」という場合は、それほど慌てて対処する必要はありません。しかし、今後も払えなくなる可能性がある場合には、早めに対処しなければ最終的に財産を差し押さえられるおそれがあります。2回以上延滞してしまった場合には、債務者が自分で債権者と再交渉をするのは難しいことが多いものです。

ベリーベスト法律事務所では、借金問題のご相談をお受けしていますので、お気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
オフィス
[実績]
・債務整理の相談件数 36万8091件
  ※集計期間:2011年2月~2022年12月末
・過払い金請求 回収実績件数 90253件
・過払い金請求 回収実績金額 1067億円以上
  ※集計期間:2011年2⽉〜2022年12⽉末
[拠点・弁護士数]
全国76拠点、約350名の弁護士が在籍
※2024年10月現在
[設立]
2010年(平成22年)12月16日

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