債務整理 弁護士コラム
任意整理をすると利息がカットされて返済の負担が軽減されますが、通常は3年~5年にわたって返済を継続する必要があります。その間に収入が減ったり、出費が増えるなどして返済が苦しくなるケースも少なくありません。
借金を返済できない場合には自己破産という手段もありますが、任意整理後に自己破産に変更できるのか、できるとしても、もう一度任意整理をするのと(再和解)自己破産のどちらがよいのかで悩む人も多いでしょう。
そこで今回は、任意整理と自己破産の違いや、ケース別にどちらが向いているのか、自己破産に切り替えるときの注意点などを解説していきます。
任意整理後に返済できなくなった場合に放置すると、以下のリスクを負うことになります。
通常、任意整理後の返済を2回分以上延滞すると、債権者から一括返済を要求されてしまいます。債権者によっては、1回でも延滞すると一括返済を要求してくるところもあります。
何回の延滞で一括返済となるかは、和解の際に合意しているはずです。早めに和解書を見直して確認しておきましょう。
一括返済を要求される場合は、遅延損害金も加算されます。遅延損害金の利率も和解書に記載されているはずです。消費者金融やクレジットカード会社の場合は年利14.6%~20%程度とされているのが一般的です。
元金が大きい場合や延滞が長引いた場合は、遅延損害金が高額化することもあります。
一括返済の要求を受けても放置していると、債権者から裁判を提起され、最終的には給料や預金口座などの財産を差し押さえられる可能性があります。そうなると給料の手取り額が減ったり、預金を引き出せなくなるため、生活に支障をきたしてしまうおそれがあります。
任意整理後でも、返済ができなくなったときは自己破産に切り替えることが可能です。任意整理後の自己破産申し立てを制限する法律はないからです。
ただ、できることなら自己破産よりも2回目の任意整理(再和解)で解決したいと考える方も多いことでしょう。ここでは、任意整理と自己破産の違いを解説します。
任意整理は、裁判所を介することなく債権者と直接話し合うことで、今後の返済額や返済方法を変更する手続きです。そのため、返済の負担をどれくらい軽減できるかは債権者の意向次第となります。
一方、自己破産は裁判所の手続きを利用して、すべての借金の返済義務を免除してもらう手続きです。破産法に基づいて裁判所の決定が下されるため、一定の要件を満たせば債権者の意向にかかわらず強制的に返済義務が免除されます。
任意整理と自己破産、それぞれのメリットをまとめると以下の表のようになります。
手続きの種類 | メリット |
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任意整理 |
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自己破産 |
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任意整理の最大のメリットは、裁判所を介しないため手続きと費用の負担が軽いということです。自己破産のデメリットを回避しつつ、柔軟な形で借金の解決を図れるという点も任意整理のメリットといえます。
自己破産の最大のメリットは、借金が全額免除されることです。生活を一から立て直すためには非常に有効な手段です。
次に、両者のデメリットを比較してみましょう。
手続きの種類 | デメリット |
---|---|
任意整理 |
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自己破産 |
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任意整理で注意すべきデメリットは、借金の減額割合が限定的ということです。手続きと費用の負担が軽い代わりに、思うように借金が減らないこともあります。
自己破産では、場合によっては生活や仕事に悪影響が及ぶこともあります。借金問題を一挙に解決できる代わりに、その代償を求められるということができます。
上記のとおり、任意整理と自己破産ではメリットもデメリットも大きく異なります。そのため、任意整理後に返済できなくなった場合に2回目の任意整理と自己破産のどちらで解決すればよいのかは、ケースバイケースとなります。
ここでは、それぞれに向いているケースを具体的にご紹介します。
2回目の任意整理が向いている主なケースは、以下のとおりです。
ただし、2回目の任意整理では1回目よりも和解条件が厳しくなりがちなので、交渉が難しくなることもあります。ただ、1回目で手続きから除外した借入先がある場合は、そこも追加して任意整理することで解決できる可能性があります。
自己破産への切り替えに向いている主なケースは、以下のとおりです。
多額の借金を抱えている場合で、自己破産によるデメリットがあまり問題にならないケースでは、自己破産に切り替えて生活を一から立て直した方がよいでしょう。
任意整理後に自己破産に切り替えるときには、注意すべきポイントがいくつかあります。
任意整理の際に支払った弁護士費用や、和解後に返済した金銭は、自己破産に切り替えても戻ってきません。自己破産は、あくまでも申し立てをする時点で残っている借金の返済義務を免除してもらう手続きだからです。
任意整理後に自己破産に切り替える場合は、最初から自己破産を申し立てる場合よりも管財事件となる可能性が高くなります。なぜなら、任意整理の内容によっては債権者間に不公平が生じていることがあるからです。
自己破産ではすべての債権者を平等に扱われなければなりません(債権者平等の原則)。任意整理の和解内容が不公平な場合や、和解後の返済状況が公平でない場合、任意整理をした債権者としなかった債権者がいる場合などは、自己破産の際に配当することによって債権者間の公平を図らなければならないことがあります。
配当は通常、破産管財人が行うものなので、配当の必要がある場合は管財事件となってしまいます。破産管財人の報酬は、最低20万円必要なので、費用の負担も大きくなります。
任意整理後の返済が苦しくなったときに、どの解決方法がもっとも有効かを判断するためには、専門的な知識が要求されます。自己判断で選択を誤ると、借金問題が深刻化するおそれもあります。そのため、困ったときは弁護士へ相談することをおすすめします。
債務整理の経験が豊富な弁護士に相談すれば、事案に応じて最適な解決方法を提案してもらえます。自己判断で手続きを進めるよりも、効率的な借金問題の解決が期待できます。
任意整理後の返済が苦しくなったときは、自己破産に変更することも可能です。しかし、それが最適な解決方法であるかどうかは、事前に専門的な見地からしっかりと検討しておく必要があります。
ベリーベスト法律事務所では、借金問題の対応経験が豊富な弁護士が詳しい事情を伺い、事案に応じて最適な解決方法を提案いたします。借金問題に関するご相談は何度でも無料でご利用いただけますので、返済が苦しくなったときはお気軽にご相談ください。
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銀行ローンは、消費者金融からの借金とは異なり、安心感がある上に金利(利息の割合)も消費者金融に比べると低い場合が多いため、利用者も多数いらっしゃいます。
しかし、銀行ローンには総量規制(借り入れできる金額の上限を定める制度)が適用されないこともあり、ついお金を借りすぎてしまって、返済が困難となるケースも少なくありません。
借金の返済が難しくなった場合は、任意整理で毎月の返済額を減額することが有効です。銀行ローンも基本的に任意整理の対象となりますが、消費者金融とは異なる点に注意してください。
本コラムでは、銀行ローンの任意整理について、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。
任意整理をすると、信用情報に事故情報が登録されます。いわゆる「ブラックリスト」に登録された状態となり、その後はローンなどの借り入れやクレジットカードなどの利用が難しくなってしまいます。
しかし、一定期間が経過すると事故情報が削除されるので、その状態は解消されます。本コラムでは、任意整理によってブラックリストに登録されるのは、いつからいつまでなのかを解説します。登録期間中に生じるデメリットと対応策も具体的にご紹介しますので、参考になさってください。
弁護士に任意整理を依頼した方のなかには、費用の滞納や、弁護士からの連絡を無視するなどの不誠実な態度をとってしまった方もいるかもしれません。そのような状況では、担当する弁護士に辞任されてしまう可能性があります。
弁護士に辞任されると、債権者から借金返済の督促が再開します。そして督促に対して支払いが滞ったままだと、家や車などの財産を差し押さえられてしまうリスクにつながります。
弁護士に辞任されてしまったとしても、別の弁護士に再度任意整理の依頼をすることは可能です。ただし、再度の依頼には注意点がありますので、しっかりと押さえておきましょう。
今回は、任意整理で弁護士に辞任された場合のリスクや、その場合の対処法などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。