債務整理 弁護士コラム
任意整理をすると、信用情報に事故情報が登録されます。いわゆる「ブラックリスト」に登録された状態となり、その後はローンなどの借り入れやクレジットカードなどの利用が難しくなってしまいます。
しかし、一定期間が経過すると事故情報が削除されるので、その状態は解消されます。本コラムでは、任意整理によってブラックリストに登録されるのは、いつからいつまでなのかを解説します。登録期間中に生じるデメリットと対応策も具体的にご紹介しますので、参考になさってください。
「ブラックリスト」とは信用情報機関のデータベースに登録された、金融取引に関する事故情報のことです。事故情報が登録されるとローンやクレジットカードなどの審査にとおりにくくなるため、俗に「ブラックリスト」と呼ばれています。ブラックリストという名称の帳簿やデータベースが存在するわけではありません。
任意整理をすると、契約どおりに借金を返済しなくなるので「金融事故」に該当し、ブラックリストに登録されるのです。
債権者となる消費者金融やクレジットカード会社、銀行などは次の3種類の信用情報機関のどれかひとつ、または複数の機関に加盟しています。
任意整理に関して登録される事故情報の内容は、次の表のとおり、信用情報機関によって異なります。
信用情報機関 | 任意整理に関する事故情報 | 主な加盟業者 |
---|---|---|
JICC | 債務整理、延滞、保証履行、強制解約 | 消費者金融、クレジットカード会社など |
CIC | 延滞、保証履行 | クレジットカード会社、消費者金融など |
KSC | 延滞、代位弁済 | 銀行、信用金庫、農協など |
任意整理をしてブラックリストに登録される時期は、大まかにいえば「任意整理を始めたとき」です。しかし、細かく見ると、登録される事故情報の内容によって以下のような違いがあります。
弁護士に任意整理を依頼した場合は、まず受任通知が各債権者宛てに送付されます。
JICCでは、受任通知が債権者に届いた時点で「債務整理」という事故情報が登録されます。
CICとKSCでは債務整理に関する情報は登録されないため、受任通知が債権者に届いてもブラックリストに登録されるわけではありません。
延滞が「61日以上」または「3か月(3回)以上」続くと、どの信用情報機関でも「延滞」という事故情報が登録されます。
CICとKSCでも、任意整理の開始に伴い返済をストップしてから上記の期間が経過すると、ブラックリストに登録されることになります。
任意整理をする前でも延滞が2~3か月続くと、その時点でブラックリストに登録されることに注意が必要です。
銀行カードローンには、保証会社として消費者金融やクレジットカード会社などが付いているのが一般的です。債務者が任意整理を始めると、速やかに保証会社が銀行に対して債務者の借入残高を支払います。このことを「代位弁済」といいます。
代位弁済が行われると、JICCとCICでは「保証履行」、KSCでは「代位弁済」という事故情報が登録されます。
クレジットカード会社と任意整理をすると、受任通知がカード会社に届いた時点で、会員規約に従いカードが強制解約されます。
JICCでは、カードが強制解約となった時点で「強制解約」という事故情報が登録されます。
CICとKSCでは強制解約という情報は登録されませんが、状況に応じて延滞、保証履行、代位弁済といった事故情報が登録されます。
任意整理を始めても、利息引き直し計算の結果、過払い金が発生していることが判明することもあります。この場合はすでに借金を完済しているため、ブラックリストには登録はされません。各信用情報機関のデータベースには「完済」という情報が登録されます。
任意整理による事故情報は5年で削除され、ブラック状態が解消されます。ただし、いつから5年で事故情報が削除されるのかについては注意が必要です。
目安としては、任意整理をした後に、残った借金を全部返してから5年が経過してはじめて、事故情報が削除されると考えておく必要があります。
なぜなら、どの信用情報機関でも任意整理に関する事故情報の保有期間は「契約期間中および契約終了後5年以内」とされているからです。一般的に任意整理後に完済するまでは「契約期間中」として取り扱われるため、完済後5年間はブラック状態が続きます。
ただし、JICCでは、2019年9月30日以前の事故情報については「当該事実の発生日から5年を超えない期間」だけ保有されるので、完済から5年が経過する前にブラック状態が解消される可能性もあります。
任意整理後にご自身の信用情報を見れば、事故情報が削除されているかどうかを確認できます。
どの信用情報機関でも情報開示請求を行うことでご自身の信用情報を取得できるので、任意整理後にローンやクレジットカードの作成を申し込む際には、事前に情報開示請求をしましょう。
信用情報機関 | 開示請求の方法と手数料(税込み) |
---|---|
JICC | スマホアプリ(1000円) 郵送(1000円) |
CIC | インターネット(500円) 郵送(1500円) |
KSC | インターネット(1000円) 郵送(1124円~1200円) |
ブラックリストに登録されると以下のデメリットが生じてしまうので、なるべく任意整理前に対応策を確認しておくことが大切です。
借り入れやローンを申し込むと、審査の際に信用情報を照会されるため、事故情報が登録されていると原則的に審査で落とされてしまいます。
ブラックリスト登録期間中に、どうしても借り入れやローンを利用する必要がある場合には、家族の名義で申し込むことが考えられます。ただし、経済状況が安定するまでは、基本的に借金しない生活を心がけることが望ましいといえます。
事故情報が登録されている期間は、クレジットカードも使えなくなります。手持ちのカードはすべて強制解約となり、新規作成もできません。
ただし、家族が契約しているカードに紐づいた家族カードを作成し、利用することは可能です。とはいえ、使いすぎには注意が必要です。家族カードを使いすぎてしまうと、本会員である家族にも債務整理の必要性が生じるおそれがあります。
携帯電話やスマホの端末を分割払いで購入する際にも、信用情報を照会されます。そのため、事故情報が登録されている間は端末の分割購入ができません。
端末を購入する必要があるときは、家族名義で分割購入するか、低価格の機種や中古品を一括払いで購入するとよいでしょう。
近年、賃貸住宅に入居する際に家賃保証会社の利用を条件としている物件が増えています。この場合、入居前の審査で信用情報を照会されます。事故情報が登録されていると保証契約を拒否されてしまうため、賃貸住宅に居住できないことがあるのです。
新たに賃貸住宅に入居するためには、連帯保証人を立てることで入居できる物件や、信販系以外の保証会社を利用できる物件を探す必要があります。不動産会社に事情を話して相談すれば、ブラックリストに登録されていても入居できる物件を紹介してもらえるはずです。
ブラックリストに登録されている間は、家族がローンを組んだり、子どもが奨学金を借りたりするときに、保証人になることができません。
家族がローンを組むときは、別の保証人候補者を探すか、保証人不要のローンを利用する必要があるでしょう。
子どもが奨学金を借りるときには、他の家族(配偶者など)を連帯保証人にするか、保証機関を利用する(機関保証とする)ことで対応できます。
任意整理をすると、完済後5年が経過するまでブラックリストに記録が残ります。返済期間は3~5年が一般的なので、合計で約8~10年にわたってその状態が続くことに注意が必要です。
ただ、返済できない借金を放置すると、いつまでも延滞による事故情報が登録され続けることになりかねません。そのため、借金問題は早めに任意整理などの債務整理で解決してしまうことが得策です。
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任意整理は、債権者と将来利息の免除や返済期間の延長などについて交渉することにより、毎月の返済額を減らすことが可能な手続きです。
しかし、任意整理をすると信用情報機関に事故情報が登録されるため、ETCカードも使えなくなるのではないかと心配する方もいらっしゃることでしょう。特に、仕事や生活などでETCの利用が必要な方にとっては、切実な問題です。
この記事では、任意整理をするとETCカードが使えなくなるのか、一般的なETCカードが使えなくなるとしても、他にETCカードを利用する方法はないのかについて解説していきます。
借金の返済が厳しくなってきたら「任意整理」という方法で、返済の負担を軽減できる可能性があります。
しかし、任意整理を検討している方の中には、弁護士に依頼した際の費用がどのくらいかかるかわからずに、依頼を躊躇しているという方もいるかもしれません。そのような方は、任意整理の費用相場をしっかりと理解しておくことで、安心して弁護士への依頼に踏み切ることができるでしょう。
今回は、任意整理の費用相場と費用の支払いが不安な場合の対処法について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
任意整理は、借金などの債務の負担を軽減できる手続きです。借金返済が困難になってしまった方は、任意整理を検討するとよいでしょう。
なんとなくの印象で「任意整理はやばい」と言われることもあるようですが、決してそんなことはありません。正しい知識と情報をもとに、任意整理を行うべきかどうかを判断しましょう。
本記事では、任意整理のメリットとデメリットを踏まえて、任意整理は本当に「やばい」のかどうか、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。