債務整理 弁護士コラム

任意整理しない方がいいケースとは? デメリットを具体的に解説

2021年12月21日
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任意整理しない方がいいケースとは? デメリットを具体的に解説

借金の返済が苦しくなったとき、任意整理で毎月の返済の負担を軽減するのが有効となることがあります。任意整理は、他の債務整理に比べて手続きが簡易的で、デメリットも少ない方法です。そのため、借金問題を抱えた人の多くが、解決手段として任意整理を選択しています。

しかし、なかには任意整理をしても、思うように借金が減らないというケースもあります。メリットよりデメリットの方が大きいのであれば、「任意整理しない方がいい」ということになります。

そこで今回は、任意整理のデメリットを具体的に解説した上で、任意整理しない方がいいケース・任意整理した方がいいケースをご紹介します。

1、任意整理のデメリット

任意整理をすることで生じるデメリットは、主に次の4点です。

  1. (1)ブラックリストに登録される

    任意整理をすると、いわゆる「ブラックリスト」に登録されてしまいます。

    ブラックリストに登録されるといっても、借金の返済ができなくなった方々のリストがあって、そこに名前が載るというわけではありません。俗にいう「ブラックリストに登録される」とは、事故情報が信用情報に登録されることを示しています。

    そもそも、自身の借り入れ状況や返済状況については、信用情報というデータベースに掲載されています。事故情報とは、借金を約定どおりに返済しない、変更があった情報です。任意整理を行うことは、まさに最初の契約から返済内容を変更することにあたるので、信用情報に事故情報があることが登録されてしまうのです。これを俗に「ブラックリストに登録される」と呼ばれています。

    ブラックリストに登録されると、具体的には以下のデメリットが生じます

    • 新たな借り入れができなくなる
    • 各種ローンが組めなくなる
    • クレジットカードを作れなくなる
    • 手持ちのクレジットカードも使えなくなる
    • 携帯電話やスマートフォンの端末の分割購入ができなくなる
    • 子どもの奨学金などについて、保証人になれなくなる


    ただし、一定期間が経過すると事故情報は削除され、その後は以上のデメリットが解消されます。事故情報が削除されるまでの期間は、任意整理の場合で完済から5年、自己破産・個人再生の場合で約10年となっています。

  2. (2)元金は減額できない

    任意整理によって減額できるのは、基本的には将来利息(和解後に発生する利息)のみです。自己破産または個人再生をした場合とは異なり、元金が減額されることはほとんどありません。最近では、遅延損害金も基本的に免除されなくなっています。

    将来利息が免除されることで今後の返済額は減りますが、少なくとも元金はそのまま残るため、「思うように借金が減らない」というケースがあります。

  3. (3)費用がかかる

    債務整理の手続きは自分で行うこともできますが、専門的な法律知識がなければ失敗するケースも少なくないため、弁護士など法律の専門家に依頼するのが一般的です。

    任意整理を弁護士に依頼するためにかかる費用は、弁護士によって異なりますが、1社あたり5~10万円程度が平均的となっています

    弁護士費用の分割払いに対応している法律事務所も多いですが、任意整理の和解が成立すると債権者への分割返済が始まります。そのため、弁護士費用を分割で支払う場合でも、依頼後の3か月~6か月程度の間に完済しておく必要があるといえます。

  4. (4)任意整理できない債務もある

    債務のなかには、任意整理できないものがあります。たとえば、以下のような債務は任意整理で解決することはできません。

    • 税金や社会保険料
    • 養育費
    • 故意または重過失の不法行為による損害賠償債務
    • 債権者が任意整理に応じない借金


    この4つのうち、上の3つはそもそも債務整理の対象外の債務です。

    貸金業者からの借金については、ほとんどのものが債務整理の対象となりますが、なかには任意整理の交渉に応じない債権者もいます。一切の交渉に応じない債権者はごくわずかですが、取引期間が短い場合や、一度も返済していない場合には交渉に応じないという債権者は少なくないでしょう。

    任意整理は、裁判所を介さず債権者と直接交渉する手続きなので、和解に応じるかどうかは債権者の意向次第となります。そのため、債権者が和解交渉に応じない場合には、任意整理をすることができません。

2、任意整理しない方がいいケース

前項でご紹介したデメリットを踏まえて、任意整理しない方がいいケースとして以下の5つが挙げられます。

  1. (1)利息をカットしても完済が難しい

    任意整理では、利息(将来利息)をカットした残債務を、基本的に3年~5年の分割払いで完済する必要がありますこの条件で完済が難しい場合は、最初から自己破産または個人再生の申し立てを検討すべきであり、任意整理はしない方がいいことになります。

    たとえば、元金300万円の借金が残っている場合、5年の分割払い(60回払い)で和解できたとしても、毎月5万円を返済していかなければなりません。5年にわたって毎月5万円を支払い続けることが可能なだけの収入がない場合は、任意整理しない方がいいといえます。

  2. (2)もともと金利が低い

    もともとの約定金利が低い借金の場合は、任意整理で将来利息をカットしても返済額があまり減らないため、任意整理しない方がいいというケースがあり得ます

    たとえば、複数の消費者金融からいずれも金利18%で合計200万円を借りている場合、返済期間が5年だとすると、完済までに約105万円の利息を支払うことになります。この場合は、将来利息をカットしてもらうだけでも返済額を100万円以上も減らせるので、任意整理をするメリットは大きいといえます。

    一方、銀行のカードローンでは、元金200万円の借金の金利は10%を切ることが多くなります。仮にですが、金利5%で返済期間が5年だとすると、完済までに支払う利息は約26万円です。任意整理でこの利息をカットしてもらったとしても、毎月の返済額は約4400円しか減りません(60回払いで和解した場合)。

    約定金利が0%でない限り、任意整理をするメリットはありますが、約定金利が低ければ低いほど、そのメリットは小さくなります。返済額がわずかしか減らない場合、デメリットを甘受してまで任意整理をしない方がいいというケースもあるはずです。

  3. (3)ブラックリストに載ると困る

    ブラックリストに載ってしまうと、住宅ローンや自動車ローンを組めなくなります。したがって、近い時期にローンを組む予定がある方は任意整理しない方がいいでしょう。会社の経営者や個人事業主などで、自分の名義で事業資金を借りる必要がある方も、任意整理しない方がいい場合があります。

    ただし、これらの人も他に借金がある場合には、必要な融資を受けたら早めに任意整理を検討した方がいいといえます。負債総額が大きくなると、任意整理では解決できなくなる可能性があるからです。

    任意整理には、手続きをする借金を自由に選択できるというメリットがあります。たとえば、住宅ローンを組んだ後に他の借金のみを任意整理して、住宅ローンだけは約定どおりに返済していくことによって、マイホームを守ることが可能となります。

  4. (4)借金に担保がついている

    借金に物的担保を提供している場合や、保証人がついている場合も、任意整理しない方がいいケースがあります

    住宅ローンや自動車ローンのように物的担保を提供している借金について任意整理を申し出ると、担保権を実行されてマイホームや自動車を失ってしまうことになります。保証人がついている場合には、保証人が残債務の一括返済請求を受けてしまいます。このような事態を回避する必要がある場合は、その借金を任意整理で解決することはできません。

    ただし、他にも借金がある場合は、担保付きの借金を除外して任意整理することで、借金問題を解決できる可能性があります。

  5. (5)やりくりすれば返済可能

    先ほどもご説明したように、元金300万円の借金を抱えている場合には、少なくとも毎月5万円の支払いが可能なだけの収入がなければ任意整理で解決することは難しいです。ただ、毎月5万円の返済が難しいという場合、本当に返済不可能なのかを再検討した方がよいでしょう。

    現状では毎月3万円しか返済できないという場合でも、家計を見直して家賃や通信費などの固定費を削減し、節約に努めれば、毎月の返済資金を2万~3万円ほど増やせるケースは少なくありません。

    このように、やりくりすれば返済可能であれば、デメリットを甘受してまで任意整理しない方がいいという場合もあります。

    ただし、借金総額が200万~300万円にものぼっている場合は利息の負担が大きく、長期間にわたる返済が必要となるため、一般的には任意整理を検討した方がよいといえます。他方で、借金総額がおおむね50万~100万円以内と比較的少額の場合は、任意整理しない方がいい場合があるでしょう。もっとも、総額が少額でも、複数社から借り入れている場合は早期に状況が悪化する可能性が非常に高いので、傷口が広がらないうちに対処することも大切です。

3、任意整理をした方がいいケース

一方で、以下のケースでは任意整理をした方がいいといえます。

  1. (1)返済を続けても借金がなかなか減らない

    ある程度の期間にわたって毎月返済を続けているのに、借金がなかなか減らないという場合は、任意整理をしなければ完済するのは難しい可能性が高いといえます。

    たとえば、複数の消費者金融からの借金が合計で200万円、金利はいずれも18%、60回払いのケースでは、14回目の返済までは支払う金額のうち半分以上は利息となるため、なかなか元金が減りません。追加の借り入れをすると、いつまで返済しても借金が減らないことにもなります。多少利息がかかっても返済に専念できればまだいいのですが、借金に悩んでいる方は借金を頼りに生活している状態でもあるので、経験上、追加借り入れを一切しないで返済に専念するということ自体が非常に難しいのです。

    このようなケースでは利息の返済に追われて元金がなかなか減らないのですから、任意整理によって将来利息をカットしてもらうのが有効です。任意整理をすれば返済に専念できますし、利息に充てられる部分がなくなって、返済したら返済した分だけきっちり残高が減っていくことになります。

    なお、クレジットカードやカードローンの返済でリボ払いを利用している場合も、なかなか元金が減らないというケースが多々あります。この場合、毎月の返済額を少なく設定しているために、支払ったお金の大半が利息に充当されているのです。

    毎月の返済額を多く設定するか、リボ払いを分割払いに変更すれば、元金への充当額が大きくなりますので、返済がスムーズに進むようになります。それでも返済が厳しいという場合は、任意整理を検討しましょう。

  2. (2)多重債務に陥っている

    借金を返済するために他社から借り入れてしまい、何社もの債権者から借金をしているという「多重債務」に陥っている場合も、任意整理をした方がいいといえます。

    返済のための借り入れを繰り返していると、やがて限度額いっぱいまで借りてしまうために他の借入先を探さなければならず、次々に借入先が増えてしまいます。新たな借入先への返済も利息の負担が大きいことが通常なので、利息を支払うために借り入れをするような状態となり、借金総額がみるみるうちに膨らんでしまいます。

    借金総額が大きくなると、自己破産または個人再生をしなければ解決できない可能性が高くなります。したがって、多重債務に陥った場合は、できる限り早いうちに任意整理に踏み切った方がよいでしょう。

  3. (3)自己破産や個人再生はしたくない

    自己破産をすれば借金を全額免除してもらうことが可能で、個人再生では元金も含めて借金が大幅に減額されます。多額の借金を抱えてしまった場合には、自己破産または個人再生が有効な解決方法となります。

    ただし、どちらの場合も担保付きの借金を手続きから除外できないというデメリットがあります。さらに自己破産では、一定額を超える財産を処分する必要があることや、手続き中は一部の資格や職業に制限を受けるというデメリットもあります。そのため、多額の借金を抱えていても自己破産や個人再生はしたくないという場合もあるでしょう

    その場合には、任意整理で将来利息をカットしてもらった上で、返済期間もできる限り延長してもらえるように交渉して、毎月の返済額を軽減させて完済を目指すことになります


    ただし、任意整理では元金(ほとんどの場合、遅延損害金と経過利息も加算されます)を3年~5年で完済できるだけの収入が求められます。そのような収入を継続的に得られる見通しが立てられない場合には、デメリットを甘受してでも自己破産または個人再生の申し立てを検討すべきです。

4、まとめ

任意整理は、自己破産や個人再生よりもデメリットが少ない反面で、借金の減額幅が小さいというデメリットがあります。そのため、任意整理は借金総額が比較的小さいケースに向いています。借金総額が100万円を超えると個人再生の方が借金の減額効果が高いケースが多くなり、200万~300万円を超えるようになると、一般的には自己破産または個人再生をした方がよいケースが多くなる傾向があります。

また、借金総額が比較的少額であっても、もともと金利が低い、ブラックリストに載るのは困る、債権者が任意整理に応じないなどの理由で、任意整理しない方がいいケースもあります。

しかし、状況に応じて最適な解決方法を選択すれば、借金問題を解決することは可能です。どの方法を選べばよいのかをご自身で判断するのが難しい場合は、弁護士に相談して専門的なアドバイスを受けるのが有効です。

ベリーベスト法律事務所では、債務整理業務の経験が豊富な弁護士が詳しい事情を伺い、最適な解決方法を提案します。借金問題に関するご相談は何度でも無料でご利用いただけますので、お困りの際にはお気軽にお問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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