債務整理 弁護士コラム
消費者金融や銀行といった金融機関に対する過払い金の返還請求は、借金の負担を軽減できる有効な方法のひとつです。
しかし、「過去に過払い金の請求をしたことが原因で、自動車ローンや住宅ローンなどの借金に悪い影響が出るのでは?」などと考えて、過払い金請求をためらう方は少なくないようです。
そこで今回は、過去の過払い金請求が、その後の自動車ローンや住宅ローンなどに影響を与えるのかについて、解説します。
結論からいうと、原則として過払い金請求は、その後の新しい信用取引(借金申し込み・クレジットカードの新規発行・更新など)に影響しません。なぜなら、そもそも過払い金請求とは、多く払いすぎてしまった利息分の返還を求める正当な手続きであるためです。
インターネットなどの情報で「過去に過払い金請求をしていると、その後借金の申し込みができなくなる」という話を目にしたことがある人もいるかもしれません。
なぜそのような話があるのかについて解説します。
過払い金請求がなされた場合の信用情報の取り扱いは、時代と共に変化してきました。信用情報とは、クレジットカードやローン等の契約において、支払いや滞納などの取引事実を登録した個人情報のことです。
信用情報は、下記3つの信用情報機関に登録されます。
この信用情報の登録において、過払い金請求をした場合には、自己破産などの債務整理をした場合と同じ取り扱いになるとされていた時期がありました。
特に、消費者金融系の信用情報機関であるJICCでは、過払い金請求があった場合に、債務整理を行った債務者に対して設定される顧客属性と同じ、「コード32」という区分を付していました。
しかし、過払いの返還を求める過払い金請求と、自己破産などの債務整理を同じに取り扱うことは、公平な取り扱いとはいえません。そのため、債務整理と同じ取り扱いは、平成19年に撤廃されることになりました。
つぎに行われたのは、過払い金請求のあった顧客に対して「コード71」と呼ばれる属性を割り当てる方法でした。「コード71」というのは「契約見直し」が行われた場合に付される顧客属性ですが、債務整理と離れて契約見直し(典型例は返済期間延長などのリスケ)をするケースはあまりありません。
したがって、実際には「過払い金請求をしたことのある要注意顧客」を見分ける手段として用いられていたことには変わりがありませんでした。
前述のとおり、かつて信用情報の取り扱い方は、不平等なものでした。しかし、現在ではこのような信用情報の取り扱いは、すべて撤廃されています。
国(金融庁)が、平成22年に、「過払い金請求があったことを明示するような信用情報の登録を禁止」することを決めたからです。また、これとあわせて、国は、過去に登録された情報についても削除がない場合には、「信用情報機関としての指定を取り消す」ことをそれぞれの信用情報機関に通告しています。
信用情報機関は「国の指定(許認可のようなもの)」を受けなければ、営業を行うことができませんから、現時点で、営業の許されている信用情報機関には、「過去の過払い金請求に関する信用情報は一切存在しない」と考えることができます。
したがって、「過去に過払い金請求をしたことがある」ということだけで、自動車ローンや住宅ローンが組めないということは、あり得ないといえます。
前述のとおり、原則のルールに従えば、過去の過払い金請求がその後の信用取引に悪い影響を与えることはありません。
しかし、例外的なケースがないわけではありません。以下では、過払い金請求によってブラック情報が登録されてしまう3つの典型例について解説を加えることにします。
過払い金請求したことで、信用情報が汚れてしまう(ブラックリスト入りしてしまう)もっとも典型的なケースは、過払い金の金額よりも多額の借金が残っている債権者に対して過払い金請求をしてしまった場合です。
たとえば、消費者金融Aに対して過払い金請求をしたところ、これまでに200万円の過払い金があることが判明したとしても、そのときの借金残額が220万円というケースがあります。この場合、過払い金と借金残金を相殺しても、借金が20万円残ってしまいます。
そのため、過払い金請求のための弁護士などの介入行為は「債務整理」という取り扱いになってしまう可能性があるでしょう。「過払い金だけ請求すればよいのではないか」と思う方もいるかもしれません。しかし、金融業者側も借金が残っているのに、借金をそのままにして過払い金だけを返してくれるということはないのです。
ただし、過払い金の請求を弁護士に依頼していれば、信用情報機関に事故情報が登録される(ブラックリスト入りする)可能性が高いことが判明した段階で説明があるでしょう。過払い金請求や債務整理をした際のメリット、デメリットについては弁護士に確認することをおすすめします。
クレジットカード利用分に対する過払い金請求は、カードローンの場合よりも複雑になるので注意する必要があります。
クレジットカード利用分のうち過払い金が発生するのは、「キャッシング利用分」に利息制限法の上限利率を超える違法金利(いわゆるグレーゾーン金利)が適用されていた場合のみとなります。
したがって、多額の「ショッピング利用分」が残っている状態で、少額のキャッシング利用分に対して発生した過払い金を請求すると、ショッピング利用分の「債務整理」という取り扱いになってしまうケースがあるため注意が必要です。
かつての消費者金融のほとんどは、非銀行系だったのですが、いまでは多くの消費者金融が銀行の子会社となっています。また、消費者金融同士、クレジットカード会社同士の合併なども多く行われています。
そのため、多数の金融機関から借金(過払い金)がある場合、かつて存在していたA社に対する過払い金請求であっても、その業務を承継したB社に多額の借金があると、B社の債務整理になってしまう可能性があるでしょう。
過去の過払い金請求は、自動車ローンだけでなく、その後のローン申し込みに影響を与えないというのが原則です。しかし、実務上、「債務整理の一環」として過払い金請求が行われるケースがあります。その場合、過払い金請求が自動車ローンの審査に影響を与えないと断言することはできません。
また、信用情報にブラック情報が登録されてしまったケースで気になるのは、「いつになればブラック情報が消えるのか」ということでしょう。登録期間は、登録されている内容や信用情報機関によって異なります。
信用情報は本人が情報開示を求めれば、確認することができます。過去の過払い金請求が原因で信用情報に問題があるかもしれない……、と不安があるときには、それぞれの信用情報機関に対して、情報開示請求を行い、現在の信用情報の状態を正確に確認するようにしましょう。
過払い金請求は「債務者の正当な権利」です。そのため、過去に過払い金請求を行っても、その後の自動車ローンや住宅ローンに、原則として影響はありません。しかし、過払い金請求の多くは、債務整理も併せて行っている可能性があります。その場合には、信用情報に登録(ブラックリスト)されている可能性が高いでしょう。
信用情報に問題がある場合、自動車ローンや住宅ローンの申し込みで「審査落ち」となる可能性もあります。また、「審査落ち」になったことそれ自体もブラック情報として信用情報に登録されてしまいます。
過去に過払い金の請求をした経験があって、いまの信用情報に少しでも不安があるという場合には、自動車ローンなどの申し込み前には必ず自分の信用情報を確認しておくことをおすすめします。
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消費者金融や銀行といった金融機関に対する過払い金の返還請求は、借金の負担を軽減できる有効な方法のひとつです。
しかし、「過去に過払い金の請求をしたことが原因で、自動車ローンや住宅ローンなどの借金に悪い影響が出るのでは?」などと考えて、過払い金請求をためらう方は少なくないようです。
そこで今回は、過去の過払い金請求が、その後の自動車ローンや住宅ローンなどに影響を与えるのかについて、解説します。
ラジオでは、相変わらず、あなたにも過払い金があるかもしれないという内容のCMが流れています。私にも関係あるかも?と思う方もいるでしょう。
CMを聴いてフリーダイヤルに電話する前に、過払い金についておさらいしておきましょう。
テレビや雑誌などで目にすることのある過払い金請求。
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