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借金500万円! 状況に応じた債務整理の方法を弁護士が解説

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更新日:2023年10月30日 公開日:2021年11月29日

借金500万円! 状況に応じた債務整理の方法を弁護士が解説

500万円の借金、とひと口にいっても、借入理由や借入場所、状況などは個々の債務者によって異なります。

本コラムでは、任意整理・個人再生・自己破産の債務整理を利用して、500万円の借金を解決するとどうなるかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

借金の解決方法は、それぞれのケースが抱える事情によって最善の方法が異なります。ご自身の状況に合った解決方法を見つける際の参考にするために、本コラムをご活用ください。

1、任意整理で借金500万円を解決する

任意整理を利用して500万円の借金を解決すると、将来利息が免除されます。
したがって、カードローンやクレジットカードに多額の利用残額がある場合の借金解決の方法としてとても有効といえます。

しかし、任意整理が利用できない場合もありますので、確認してみましょう。

  1. (1)任意整理すると将来利息が免除される

    任意整理とは、裁判所を介さずに債務者が債権者と交渉して、交渉に成功すれば将来利息を免除してもらえる手続きです

    将来利息を免除してもらえれば、元本だけを返済すればよくなるので、月々の負担が軽減されます。
    また、利息がなくなれば、返済した額だけ確実に借金が減っていくので、返済を続けるモチベーションを維持しやすいのもメリットのひとつといえるでしょう。

  2. (2)借金500万円を任意整理できない場合

    次のような場合には、任意整理を利用することはできません

    ① 毎月の返済に必要な金額を工面できない場合
    任意整理をして、借金を返済する期間は、3年~5年間が基本とされています。
    返済期間は、債務者の都合で決められるのではなく、債権者の都合も考えなければならないからです。

    返済回数が長くなれば、債務者にとっては有利ですが、その他方で無利子の借金の返済期間が長くなることは、債権者にとっては損失といえます。

    そのため、債権者と同意できる返済期間で完済できるだけの返済能力がないときには、任意整理で借金を解決することはできないのです。

    ② 中小の消費者金融から借金がある場合
    中小の消費者金融をはじめとする、一部の金融機関には、「任意整理に応じない」という方針をとっている金融機関もあります。

    簡単に任意整理に応じると、顧客のモラルハザードにつながる場合や、株主から責任追及されるリスクが生じるからです。

    中小の金融機関は、企業体力も大手に比べて脆弱ですから、「踏み倒される危険の高い顧客ばかり」になってしまえば経営に大きな影響も出てしまうのです。

    ③ 取引期間が短い場合
    借金返済のために、他の金融機関などから借金をすると、利息の高い小口の借金で借入件数を増やしてしまいます。

    借りてから間もない(ほとんど返済していない)借金は、任意整理に応じてもらえないことが多くあります。

    取引期間が短く、利息をほとんど支払っていない場合には、債権者にとって損失が大きいので任意整理に応じてもらえないことが多いためです。

2、個人再生で借金500万円を解決する

個人再生を利用すると利息だけではなく、借金の元本も一部免除してもらえます

状況によっては、大きく借金を減らすことができるのでメリットの大きい手続きといえますが、その一方で債務者の保有財産の状況によっては、ほとんどメリットがないケースもあります。

  1. (1)借金500万円は個人再生するとどのくらい減額されるのか?

    個人再生では、民事再生法で定められた「最低弁済基準額」という基準額まで借金を減らしてもらうことができます。

    たとえば、100万円以上500万円までの借金は、100万円までの減額が認められているので、裁判所の許可が下りれば、500万円の借金は100万円まで減額される(400万円の免除となる)可能性があるのです。

  2. (2)個人再生をしても借金が減額されない場合

    個人再生を利用したすべてのケースで、400万円の免除となるわけではありません。借金減額との関係では、次の点に注意しておく必要があります。

    ① 清算価値保障の原則
    清算価値とは、債務者の財産(マイホーム、自動車、株、預金など)を現金に換価した場
    合の価値のことをいいます。

    個人再生では、清算価値の額が最低弁済基準額(借金500万円の場合は100万円)よりも高額なときには、清算価値の金額までは返済を行わなければならないとされています。これを、清算価値保証の原則といいます。
    清算価値保証の原則が問題となる典型例は、アンダーローンのマイホームがあるときです。アンダーローンというのは、ローン残額よりもマイホームの現評価額が高い場合をいいます。

    たとえば、住宅ローンの残債務が、1000万円あり、住宅時価評価額が1450万円の場合には、「450万円の財産がある」ということになるのです。

    清算価値保障の原則から、債務者は、最低でも、清算価値よりも多い金額を債権者へ弁済しなければなりません。

    住宅ローン以外の借金が500万円ある場合に、資産価値450万円のマイホームを所有して
    いると、個人再生を利用した場合の弁済額は450万円以上となり、借金がほとんど減額されないため、個人再生をするメリットがほとんどなくなってしまうのです。

    ② 年金・健康保険・税金の未納分は減額されない
    多額の借金の返済に苦しんで、年金・健康保険・税金などの公租公課を滞納してしまっている人も多くいるでしょう。

    しかし、公租公課の滞納分は「非免責債権」として取り扱われて、減額や免除の対象にはなりません

    税金などに多額(長期間)の滞納があると、行政機関から財産差し押さえが行われて、個人再生ができなくなる原因にもなってしまうので、注意する必要があります。

3、自己破産で借金500万円を解決する

自己破産は、免責を受けられれば借金が帳消しになる手続きですが、デメリットも少なくありません
また、「自己破産をすれば必ず免責が受けられる」、というわけでもないのです

  1. (1)自己破産をすると借金500万円はどうなるか

    自己破産の申立てをして、内容に問題がなければ破産手続きが開始されます。

    債務者が「差し押さえ可能な財産を持っていなかった」場合には、同時廃止事件となり、債務者の財産を換金するための手続きを行うことなく、終了し免責手続きに移ります。

    免責審尋の結果、免責が確定すると借金返済の義務が完全になくなります。
    免責が受けられなかった場合には、借金返済の義務は残ります。自己破産の申立てをすれば、自動的に借金が全部なくなるというわけではない点に注意してください。

  2. (2)自己破産すると失ってしまう財産の例

    自己破産を行うと手放すことになってしまう財産について解説します。
    なお、これらの財産も、自由財産の拡張によって残せられる場合もあります。

    ① マイホーム
    マイホームは、住宅ローンの有無にかかわらず、自己破産をすると失ってしまいます
    ローンがない場合は、管財事件とされ、換金するために差し押さえられます。

    ローンが残っている場合は、自己破産の手続きでは「資産価値がない」とされて、差し押さえられない代わりに、住宅ローン債権者によって処分されてしまうことになります。

    自己破産は、すべての債権を対象としなければならないので、住宅に住み続けたいからといって、住宅ローンを除外することはできませんから、マイホームのある人が自己破産をすれば、ほぼ確実にマイホームを失うことになります(マイホームに全く資産価値がない場合は、破産管財人がマイホームを放棄することもないわけではありません)。

    ② 自動車(売却価値のない車は除外)
    自動車は、ローンが残っていない場合で、査定額が20万円以上のものは、換金価値があるとされ、差し押さえられます。

    ローンが残っている場合は、所有権がローン会社にあるので、ローン会社によって処分されます。

    ローンが残っていない場合でも、査定額が20万円以下の自動車は、売却価値がないので、差し押さえられることはありません。

    ③ 退職金や生命保険の解約返戻金
    退職金は、法律上は「それまでの給料の後払い」という性質であるとされています。

    そのため、自己破産をすると、その時点で一定額以上の退職金を受け取れる状況にある場合には、退職金(の見込額)が清算の対象となります

    退職金が清算の対象となるかどうかは、次の条件に合致しているかどうかで決定されます。

    • 在職中(当面退職しない)
      退職金見込額の1/8が一定額(多くの裁判所で20万円)を超える場合
    • 退職間近(退職金額が確定している)
      確定した退職金額の1/4が一定額(多くの裁判所で20万円)を超える場合
    • 退職済み
      現金(99万円を超える部分)・預貯金と同様に取り扱う


    在職中の人の場合には、実際に退職する必要はありませんが、退職金相当額を積み立てる(破産管財人に支払う)必要があるのです

    また、貯蓄型の生命保険には解約返戻金がありますが、この解約返戻金も一定額(多くの裁判所で20万円)を超えるときには清算の対象となります。したがって、生命保険を解約するか解約返戻金相当額を積み立てる必要があるのです。

    ④ 一定額(多くの裁判所で20万円)を超える預貯金
    一定額以下の預貯金は、自由財産として所有できますが、一定額を超える預貯金は差し押さえられます

    複数の口座に数万円ずつ預貯金があるという場合でも、その総額が一定額超えるのであれば、すべての口座の預貯金を清算の対象とする運用の裁判所が多数です。

    ⑤ 99万円を超える現金
    民事執行規則により、1ヶ月の生活費は33万円と定められており、自己破産した場合は3ヶ月分の生活費(99万円)までは差し押さえの対象外となります。

  3. (3)免責を受けられない可能性がある典型例4つ

    免責を受けられないなら、自己破産を申立てるメリットがほとんどありません。

    次のような事情を抱える場合には、免責を受けられない可能性も高くなるので、注意しましょう

    • 財産隠し
    • 嘘の申告
    • 債権者の権利を害する行為や詐欺的な借金がある場合
    • 自己破産の手続きに協力しない場合


    ① 財産隠し
    財産を他人名義に変更したり譲渡したり、意図的に破損させたりする行為は、債権者を害する行為とされて、免責が受けられない可能性があります。

    ② 嘘の申告
    自己破産の申立ての際に、債務者は、「債権者一覧表」を提出しなくてはなりません。
    たとえば、債権者一覧表に知人や、家族からの借金を記載しない、金額をごまかして記載することも、嘘の申告に当たるのです。

    ③ 債権者の権利を害する行為や詐欺的な借金がある場合
    債務者が返済不可能な状況にあるにもかかわらず、自己破産の直前に、新たに借金をしたような場合や氏名や住所などを偽って、嘘の情報で借金をした場合にも免責が受けられない可能性があります。

    ④ 自己破産の手続きに協力しない場合
    自己破産は、裁判所を介して借金を免除してもらう手続きなので、裁判所や、破産管財人、債権者への誠実な対応が求められます。

    財産隠しや、嘘の申告、正当な理由もなく期日に出頭しない等、手続きへの不誠実な対応は、「免責不許可事由」として最も重視されています。そのため、手続きに協力しない場合ことも免責判断に不利益を生じさせます。

4、借金返済が苦しいときには1日も早く弁護士に相談を

「500万円の借金の返済ができない」という状況での借金解決方法は、いくつかありますが、借金の内容により、解決方法は異なります。

あなたの状況に合った解決方法を選択しなければ、債務整理によって生じるデメリットも小さくはないので、注意が必要です。

誰にも相談せずに、ひとりで借金問題を抱えこんでしまうと、ヤミ金などに手を出してしまって、状況がさらに悪化してしまうおそれがあるのです。

ヤミ金などを利用すると、新規の借金が増え、さらに返済に苦しむだけでなく、債務整理ができなくなってしまう原因になります。

借金にお悩みなら、まずは弁護士に相談してください
弁護士に相談し、債務整理を依頼すると、借金の取り立てがなくなり、返済を一時的に停止させることができます。その間に、弁護士費用を準備することもできます。

5、まとめ

今回は、借金500万円の解決方法として、債務整理(任意整理、個人再生、自己破産)を紹介しました。

一般の方がひとりで借金の状況を見極め、どの方法を選択したら良いかを判断するのは、難しいものです。誤った選択をしてしまうと、借金を解決できないばかりでなく、今以上に苦しむことになるかもしれません。

弁護士には守秘義務があるため、安心して相談することができます。
まずは、ご自身に合った解決方法を知るためにも、ベリーベスト法律事務所にご相談ください

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
オフィス
[実績]
・債務整理の相談件数 36万8091件
  ※集計期間:2011年2月~2022年12月末
・過払い金請求 回収実績件数 90253件
・過払い金請求 回収実績金額 1067億円以上
  ※集計期間:2011年2⽉〜2022年12⽉末
[拠点・弁護士数]
全国76拠点、約350名の弁護士が在籍
※2024年10月現在
[設立]
2010年(平成22年)12月16日

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