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任意整理できる3つの条件とは? 任意整理できないケースも解説

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更新日:2025年08月21日 公開日:2021年11月22日

任意整理できる3つの条件とは? 任意整理できないケースも解説

任意整理は、裁判所を介さずに弁護士が債権者と直接交渉することで、借金の返済計画を立て直すことができる手続きです。

個人再生や自己破産などの他の債務整理と比較すると、手続きの手間が少なく、利息の負担を減らす・毎月の返済額を調整するといった可能性があるため、実際に多くの方が選んでいる方法のひとつといわれています。

ただし、任意整理ですべての借金問題が解決できるわけではありません。条件に合わないまま進めてしまうと、かえって返済が難しくなってしまうおそれがあるため、注意が必要です。

本コラムでは、任意整理を検討するうえで知っておきたい基本的な条件や、債務整理できないケースなどについて、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。

この記事で分かること

  • 任意整理と債務整理の違い
  • 任意整理するための基本的な条件
  • 任意整理ができないケースと注意が必要なケース

1、債務整理と任意整理の違い

「債務整理」と「任意整理」はよく似た言葉ですが、両者は別の概念です。任意整理の条件について正しく理解するためにも、まずは債務整理と任意整理がどのように違うのかを確認しておきましょう。

債務整理とは、返済することが難しくなった借金を減額または免除してもらうことによって、借金問題を解決するための手続きの総称です。具体的な方法としては、個人再生自己破産、任意整理の3つがあります。

このうち、任意整理とは、裁判所の手続きを介することなく債権者と債務者が直接交渉することによって、借金の返済条件を取り決め直す手続きのことです。

どの債務整理方法であっても、それぞれ手続きをするための条件があります。借金問題を適切に解決するには、状況に応じて最適な債務整理を選ぶことが極めて重要です。

2、任意整理するための基本条件3つ

任意整理をするための前提ともいうべき基本的な条件は、以下の3つです。

  1. (1)ある程度の安定収入があること

    任意整理は借金がある程度は減額されるものの、継続的に返済をしていく手続きです。そのため、ある程度の安定収入があることが必要です。

    任意整理の返済中にも突発的な出費が発生することも十分に考えられるため、毎月の必要生活費と返済金を差し引いてもなお、多少の余裕があることが望ましいといえます。

    なお、任意整理では基本的に将来利息(今後発生する利息)はカットできますが、元金をカットすることはできません。したがって、元金の大幅カットが可能な個人再生をするよりも、高額の収入が必要となります。

  2. (2)3年~5年で返済できる見込みがあること

    任意整理では、借金の元金を分割で返済していくことになりますが、返済期間は3年~5年程度となるのが一般的です。そのため、3年~5年で返済できる見込みがあることが2つ目の条件となります。

    たとえば、元金が総額で200万円の場合、毎月の返済額は3万3333円~5万5556円です。手取り月収から必要生活費を差し引いて、この程度の金額が残らないか、残ったとしても余裕がない場合、任意整理をするのは難しいといえます。

  3. (3)完済まで返済を続ける意思があること

    3つ目の条件は、完済まで返済を続ける意思があることです。

    任意整理後の返済を途中で怠ると、通常は債権者から残額の一括返済を請求されます。返済できない場合は、裁判を起こされたうえで給料や銀行口座などを差し押さえられてしまう可能性があります。

    その場合には、個人再生や自己破産に方針変更することも可能ですが、場合によっては変更後の手続きに支障をきたす可能性もあることに注意が必要です。

    任意整理によって、すべての債権者に対して同じ割合で返済していた場合には問題ありません。しかし、割合が異なる場合や、一部の債権者を手続きから除外していた場合は、「偏頗(へんぱ)弁済」の問題が生じます。

    自己破産では、偏頗弁済は「免責不許可事由」とされているため、免責が認められず、借金がそのまま残ってしまう可能性があります。

    個人再生では、偏頗弁済をした金額は債務者の保有資産に持ち戻して評価されるため、返済額が増えてしまうケースが多いです。

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3、任意整理できない可能性があるケース

任意整理の基本条件を満たしていても、以下のケースでは事実上、手続きができない可能性もあります。

  1. (1)借金額が大きすぎる場合

    任意整理は借金の減額効果が大きいとはいえないため、借金額が大きすぎる場合は任意整理には適していません。

    たとえば、将来利息をカットしても総額500万円の借金がある場合、任意整理による毎月の返済額は8万3333円~13万8889円となります。収入にもよりますが、一般的な会社員だと、これだけの金額を返済していくことは難しいと考えられます。

  2. (2)無収入または収入が乏しい場合

    実は債務者本人に安定収入がなくても、保有資産が豊富にあったり、家族に安定収入がある場合には任意整理できるケースがあります。

    しかし、一般的にそのようなケースは少なく、債務者本人が無収入または収入が乏しい場合は基本的に任意整理をするのは難しいでしょう。

  3. (3)借り入れてから一度も返済していない場合

    借り入れてから一度も返済していないにもかかわらず任意整理に着手すると、債権者から「最初から返済するつもりがないのに借りたのでは」と思われる可能性が高くなります。その場合、交渉に応じてもらえず、任意整理に失敗するおそれがあるため、注意してください。

    任意整理をするなら、少なくとも数回は返済した後に着手すべきです。

  4. (4)貸金業者が交渉に応じない場合

    債務者側に特段の悪質な事情がなくても、貸金業者が交渉に応じない場合があります。

    借金額や収入を考慮したうえで「返済の見込みなし」と判断して交渉に応じないケースもありますが、少数ながら、会社の方針として任意整理の交渉には応じない業者もゼロではありません。

    任意整理は、あくまでも「任意」に交渉する手続きです。そのため、債権者に対して強制することはできません。交渉に応じてもらえない場合は、他の債務整理を検討する必要があります。

  5. (5)ローンを組んで商品を購入した場合

    商品を購入した際に組んだローンが残っている場合に、そのローンを任意整理すると、債権者に商品を引き揚げられる可能性があります。なぜなら、ローンを完済するまでは、商品の所有権がローン会社にあるからです。

    ただ、このようなリスクを把握したうえで任意整理をすることは可能です。たとえば、必要のないブランド品などは債権者に引き揚げてもらって返済の一部に充て、なおローンが残れば、任意整理をすることが考えられます。

  6. (6)担保を提供している場合

    上記のローンを組んだケースと似ていますが、借金の担保として何らかのものを提供している場合に任意整理を行うと、その担保物件が処分されてしまうことにも気を付けてください。

    典型的なケースとして、住宅ローンがあります。住宅ローンを組んだ場合、通常は住宅に抵当権が設定されているため、返済が滞ると住宅を競売にかけられてしまいます。住宅ローンの債権者は、このように抵当権を実行してローンを回収できるので、任意整理の交渉に応じることはまずありません。

  7. (7)保証人がついている場合

    保証人がついている借金について任意整理を行うと、保証人が残額の請求を受けてしまいます。保証人とは、債務者本人が返済しない場合に自分が返済することを契約した人であるため、仕方ありません。

    このような場合は、任意整理に着手する前に保証人に事情を説明して、理解を得ておくことが大切です。場合によっては、保証人も債務整理を検討しなければならない可能性もあります。

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4、任意整理の条件は満たすが注意が必要なケース

以下の3つのケースでは、任意整理できるものの、通常のケースと比べて手続きが難しくなる可能性があるため、注意が必要です。

  1. (1)貸金業者から裁判を起こされた

    借金の延滞を続けていると、貸金業者から裁判を起こされることがあります。裁判を起こされた後でも任意整理は可能ですが、和解条件は任意整理前よりも厳しくなりがちです。

    また、裁判を起こされた後の任意整理では通常、「裁判上の和解」の形を取ります。裁判上の和解には確定判決と同一の法的効力があるため、和解した内容どおりに返済ができない場合には、すぐに給料や銀行口座などを差し押さえられる可能性があります。

  2. (2)自分で交渉したい

    任意整理は弁護士に依頼して行うのが一般的ですが、自分で交渉することも可能です。

    ただし、任意整理の交渉を適切に行うためには、専門的な知識や交渉力が要求されます。交渉力が乏しい状態で任意整理を行うと、債権者から一方的に不利な和解案を押しつけられるおそれがあるでしょう。

    たとえば、将来利息もカットせず、単に返済期限を少しだけ延長した形で和解してしまうようなケースも少なくありません。自分で交渉するには、任意整理に関する知識を十分につけたうえで、慎重に行う必要があります。

  3. (3)過去に債務整理をした

    過去に債務整理をしている場合でも、任意整理をすることは可能です。ただし、過去の債務整理の対象とした債権者は交渉に応じてくれないか、応じてくれても和解条件が厳しくなりがちです。

    特に、過去に任意整理をしたにもかかわらず2度目の債務整理が必要となった場合、任意整理ではなく、個人再生や自己破産の方が適している可能性も高いといえます。

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5、任意整理の条件に関するよくある疑問

任意整理の条件や注意点について、他にも疑問を持つ人が多いポイントがあります。5章では、それらの疑問に対する回答を見ていきましょう。

  1. (1)特定の業者だけを除外して任意整理できる?

    任意整理は「任意」の手続きであるため、特定の業者だけを除外して手続きを行うことも可能です。

    したがって、ローンを組んで商品を購入した・担保を提供している・保証人がついている借金があるなどのケースでは、これらの債権者を除外して、他の借金のみを任意整理することができます。

    ただし、その場合は全社を任意整理する場合よりも返済額が多くなりますので、返済の見込みについては慎重に判断することが必要です。

  2. (2)すでに自分で和解した場合も任意整理できる?

    すでに自分で債権者と和解している場合でも、弁護士に依頼して改めて任意整理することが可能です。

    過去の債務整理の対象とした債権者と2度目の任意整理を行う場合、交渉に応じてくれないか、応じてくれても和解条件が厳しくなりがちではあるものの、一度目の債務整理が自分で行った任意整理の場合は心配いりません。

    もっとも、自分で和解した段階ですでに将来利息がカットされており、返済期限も最大限に延長されている場合には、弁護士に依頼しても再和解できる可能性は低くなります。

    しかし、自分で和解したときに将来利息がカットされていなかったり、返済期限も少ししか延長されていない場合は、弁護士が再度交渉することで、より有利な内容で再和解することが期待できます。

  3. (3)契約書や領収書が残ってなくても任意整理できる?

    借金をしたときの契約書や返済したときの領収書が残っていなくても、任意整理をすることに支障はありません。任意整理では、債権者からすべての取引履歴を取り寄せることになるため、自分で取引内容を再現する必要はないのです。

    債権者の名称が借入時とは変わっていたり、他社と合併している場合でも、取引履歴は入手できます。

6、任意整理の条件に該当するかの確認は弁護士へ相談を

任意整理の条件に該当するかどうかを正確に判断することは、必ずしも容易ではありません。

基本条件の第一である「安定収入があること」についてさえ、どの程度の収入があれば任意整理で返済できる見込みがあるのかを的確に判断するのは難しいものです。そこで、自分のケースで任意整理が可能かどうか分からないときや、不安なときは弁護士に相談するのが得策です。

弁護士に相談して詳しい事情を伝えれば、任意整理による借金解決の見通しについて的確なアドバイスを受けることができます。また、任意整理では解決が難しい場合、個人再生や自己破産など、より適切な解決方法を提案してもらうことも可能です。

弁護士に手続きを依頼すれば、受任通知が債権者に届いた時点で督促が一時的に止まるため、落ち着いて任意整理または他の債務整理の準備を進めることができます。

実際の手続きもすべて弁護士が代理して行いますので、自分で手間や時間をかけることなく、借金問題の解決が期待できるようになるでしょう。

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7、まとめ

任意整理の条件に該当しない方は、他の債務整理を検討するしかありません。
しかし、任意整理の条件に該当する方でも、他の債務整理を検討するほうが得策となるケースもあります。

たとえば借金額が大きいとき、任意整理することが可能であっても、個人再生の条件を満たす場合は個人再生をしたほうが返済の負担が軽くなります。

このように、あなたに合う方法で借金問題を解決するには、一度、弁護士に対応方針を相談してみることがおすすめです。

ベリーベスト法律事務所では、債務整理の知見・経験豊富な弁護士がお話を伺い、それぞれの状況に応じて最適な解決方法を提案いたします。借金問題に関するご相談は何度でも無料となっておりますので、まずは当事務所までお問い合わせください

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
オフィス
[実績]
・債務整理の相談件数 13万1237件
  ※集計期間:2010年12⽉〜2024年12⽉末
・過払い金請求 回収実績件数 90253件
・過払い金請求 回収実績金額 1067億円以上
  ※集計期間:2011年2⽉〜2022年12⽉末
[拠点・弁護士数]
全国74拠点、約410名の弁護士が在籍
※2025年4月現在
[設立]
2010年(平成22年)12月16日

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