債務整理 弁護士コラム
最初は少額だった借金も200万円にまで膨れあがると、一般的な会社員や公務員の収入では返済が難しくなってくるものです。自力で返済するのも不可能ではありませんが、相当長期間にわたって生活費を切り詰めながら返済を継続する必要があります。
しかし、生活が苦しいために新たな借金をしてしまうおそれもあります。返済のために借金をするようになると、完済するのはかなり難しくなってしまいます。「借金200万円」を抱えて、毎月返済しているのに借金がなかなか減らないという方も少なくありません。このような状態になると、債務整理を検討する必要があります。
そこで今回は、
• 借金200万円を自力で返済する方法
• 債務整理で解決する方法
の両方について、債務整理の経験が豊富なベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。併せて、ケース別に適した債務整理の方法も紹介しますので、借金200万円の返済に困っている方はぜひ参考にてみてください。
まずは、借金200万円を自分で返済する方法を解説します。現在、毎月の返済によって順調に借金が減っている場合はそのまま返済を継続してもよいですが、なかなか減らないという場合は、以下の点を検討する必要があります。
第一に重要なことは、これ以上は借金を増やさないということです。借金が200万円を超えてしまうと、自力で返済するのは相当に困難となってしまいます。
もし、生活費や返済のために借り入れが必要という状態であれば、債務整理を検討した方がよいと考えられます。
追加の借り入れをせずに返済可能と判断した場合は、返済計画をきちんと立てて返済していくことが大切です。
多額の借金を抱えてしまう方は、どこからいくら借りて、いくらを返済しなければならないのかが把握できなくなっていることが多い傾向にあります。そこでまずは、借金の詳細を明確に調べて、一覧表などにまとめることをおすすめします。
借入先の業者ごとに借入残高や毎月かかる利息、毎月の返済額、返済日、完済予定日などを記載した表を作成しましょう。こうすることで「いくら返済すれば借金がどのくらい減るのか」、「いつ返済が終わるのか」が明確となるので、返済のモチベーションも上がるはずです。返済をうっかり忘れることを防止できる効果もあります。
借金を自力で返済する場合には、手元のお金に余裕があるときに繰り上げ返済をすることが有効です。元金を予定よりも早く減らすことで、今後支払うべき利息が減るため、返済総額が減少するからです。
たとえば、消費者金融4社に対して、それぞれ金利18%で合計200万円の借金がある場合、毎月5万円ずつ返済していくと、5年2か月後に完済となりますが、その間に支払う利息は107万6824円にのぼります。
しかし、50万円を繰り上げ返済して元金を150万円に減らせば、3年5か月後に完済となり、その間に支払う利息は50万7471円です。
このケースでは、元金の4分の1を繰り上げ返済することで、利息を半分以下に減らすことができるのです。返済総額が減りますので、毎月の返済額を減らすことも可能になります。
自力で返済する場合にもうひとつ効果的な方法として、「おまとめローン」の利用があります。おまとめローンとは、複数の債権者から借金をしている場合に、別の金融機関からまとまった金額を借りて従来の債権者へ完済することによって、借金を一本化するためのローンです。
おまとめローンの金利は金融機関や借金総額、収入などに応じてさまざまですが、低金利で利用できる場合には返済に大きく役立ちます。
たとえば、上で例に挙げた消費者金融4社に対する合計200万円の借金を金利8%のおまとめローンを利用して一本化した場合、毎月5万円ずつ返済すれば3年11か月後に完済となり、その間に支払う利息は33万3825円にまで減ります。
ただし、おまとめローンでは一般的な借金よりも長期間の分割払いによる返済が認められることが多いですが、その場合にはかえって返済総額が増えてしまう可能性があります。金利が低くなっても、返済期間が長期化すれば、その間に支払う利息の金額が大きくなるからです。
おまとめローンを利用する場合には、金利と毎月の返済額も重要ですが、総額でいくら返済することになるのかを確認することも必要といえます。
借金200万円を自力で返済するのが難しい場合は、債務整理を検討する必要があります。
債務整理には、
という3つの種類があります。ここでは、それぞれの手続きの概要と、借金200万円のケースでこれらの手続きを利用した場合にどうなるのかについて解説します。
任意整理とは、裁判所を介さずに債権者と直接交渉することによって、今後の返済額や返済方法を変更する手続きのことです。
一般的に元金を減額することは難しいですが、将来利息(今後発生する利息)や遅延損害金をカットすることが可能です。通常は元金のみを3年~5年の分割払いで返済していくことになります。
先ほど例に挙げた消費者金融4社に対する合計200万円の借金(金利18%)のケースで、そのまま返済する場合は、返済総額は307万6824円(元金200万円+利息107万6824円)となります。
このケースで任意整理を行って利息をカットすると、返済総額は元金の200万円のみとなります。これを5年(60回払い)で返済する場合、毎月の返済額は3万3333円に減ります。この程度の金額であれば、十分に返済できる方も多いはずです。
任意整理は債務整理の中で最もデメリットが少なく、多くの方にとって利用しやすい方法でもあります。
ただし、任意整理をすると信用情報に傷が付き、いわゆるブラックリストに登録されてしまいます。任意整理の和解後または完済から5年は新たな借り入れやクレジットカードの利用が難しくなることに注意が必要です。
個人再生とは、裁判所で手続きをすることによって借金総額を大幅に減額する手続きです。任意整理の場合とは異なり、将来利息が免除される上に元金も大幅に減額されます。
元金は原則として1/5に減額されますが、借金総額に応じて最大で1/10にまで減額される可能性があります。ただし、最低100万円は返済しなければならないこととされています。減額後の借金は3年~5年の期間で分割返済していきます。
上記の例で個人再生をすると、借金200万円の1/5は40万円ですが、最低返済額が100万円ですので、返済総額は100万円となります。これを3年~5年で分割返済しますので、毎月の返済額は1万6667円~2万7778円となります。
借金の減額効果は任意整理よりも大きいですが、利用条件が細かく定められており、手続きできるケースは任意整理よりも限られます。また、官報に氏名や住所が掲載されたり、保証人が残高の請求を受けてしまうなどのデメリットもあります。ブラックリストへの登録期間も任意整理の場合より長く、再生計画案の認可決定が確定してから10年とされています。
自己破産とは、裁判所での手続きをすることによってすべての借金の返済義務が免除される手続きのことです。
借金200万円のケースに限らず、いくら借金を抱えていても、免責が許可されればすべての借金から解放されます。
ただし、浪費やギャンブルのために借金をした場合や、友人からの借金や保証人付きの借金など一部の債権者にのみ優先的に返済した場合など「免責不許可事由」に該当する事情がある場合には、免責許可が得られない可能性もあります。
また、個人再生の場合と同様に、官報に掲載されますし、保証人が債権者からの請求を受けることもあります。さらに、自己破産に特有のデメリットとして、一定の財産が処分されることや、手続き中は一部の資格や職業に制限が課せられるということもあります。ブラックリストへの登録期間は、免責許可決定が確定してから10年です。
債務整理の3つの方法のうち、どれを選ぶのが最適であるのかは、以下のようにケースによって異なります。
多くの場合は、任意整理が最適であると考えられます。
個人再生の方が借金の減額効果は高いですが、手続きが複雑なため弁護士に依頼する必要性が高く、弁護士費用が必要となります。裁判所に納める費用等も合わせると50万円~70万円ほどの費用がかかることが多いので、借金200万円のケースではそれほどメリットが大きいとはいえません。
自己破産については、「200万円程度の借金ではまだ返済不能とはいえない」という理由で、裁判所に申し立てても棄却されるケースも考えられます。
借金総額がいくらであれば自己破産が認められるのかについて明確な基準はありませんが、おおよその目安として手取り月収の10倍~20倍程度と考えられています。したがって、手取り月収が25万円ある人の場合は、自己破産が認められない可能性があります。
任意整理が最もデメリットが少ないという点からも、一般的に借金200万円のケースでは、まず任意整理を検討するのがよいといえます。
借金200万円の他に住宅ローンを抱えていて返済が厳しいという場合は、個人再生がおすすめです。
個人再生には、「住宅ローン特則」(正式名称は「住宅資金特別条項」)という制度があり、一定の条件を満たせば、住宅ローンを支払いながら他の借金のみを整理することができるので、マイホームを残すことが可能になります。
任意整理と個人再生はどちらも、借金が減額されるものの返済していかなければならない手続きなので、継続的に安定した収入があることが要求されます。したがって、収入が乏しい場合には自己破産が最適な解決方法となります。
自己破産をしても「99万円以下の現金」などは手元に残せますので、めぼしい保有財産がない方の場合は自己破産後の生活にほとんど影響がないこともあります。
借金の返済が難しくなったら、総額が膨らむ前に弁護士に相談して適切に対処することが重要です。借金が膨らんでしまった後では、選択できる解決手段が限られてしまうからです。
借金200万円であれば、多くの方は自力での返済が難しくても任意整理で解決が可能です。しかし、借金を放置して総額が300万円、400万円と膨らんでいくと、個人再生や自己破産を検討せざるを得なくなっていきます。これ以上借金が増える前に、弁護士に相談することをおすすめします。
「借金200万円」は、多くの方にとって債務整理が気になりつつも、「まだ自力で返せるだろう」と考えがちな金額といえます。自力での返済に努めるのもよいですが、無理をするとかえって借金が増えてしまい、解決が難しくなるおそれもあります。
自力で返済することが可能か、債務整理をするのが得策かを判断するためにも、まずは弁護士の無料相談を利用してみるとよいでしょう。
ベリーベスト法律事務所では、借金問題のご相談は何度でも無料で利用していただけます。債務整理の実績が豊富な弁護士が対応しますので、状況に応じて最適な解決方法を提案いたします。ぜひ一度、当事務所の無料相談をご利用ください。
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『旦那や家族には言っていないけど、実は私、借金を抱えてます…』
実は、主婦で借金を抱えている人は多く、それを言えずに悩んでいる方もたくさんいるのが現状です。もしかしたらこの記事をご覧のあなたも、そういった悩みをお持ちなのかもしれません。
一人で悩むことなく、主婦で借金をしている人は意外と多いということを知っていただいて、ぜひご自身の借金返済について前向きに考えていってください。この記事があなたにとって、ご参考になれば幸いです。
これから債務整理をしようと考えている方の中には、債務整理後にキャッシングできるのか、債務整理中にお金が足りなくなったときキャッシングを利用することは認められるのかと、お悩みの方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、債務整理をしたことで、キャッシングなどを法律で禁止されるわけではありません。
しかし、債務整理をすると信用情報に事故情報が登録される(ブラックリスト入りする)ので、ほとんどの金融機関は、融資に応じてくれなくなります。
親子であっても、他人の借金を返済する義務は原則としてありません。肩代わりするかどうかは、基本的に子ども自身の判断で自由に決められます。
しかし親の借金でも子どもに返済義務が生じることがあり、借金を放置すると子どもが差し押さえを受けることにもなりかねません。
本コラムでは、親の借金が降りかかってきた場合に、子どもはどのように対処すればよいのかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。