債務整理 弁護士コラム
リボ払いは、ショッピングやキャッシングの返済を毎月一定額にできるため、非常に便利な支払い方法です。しかし、利用しやすいだけに、ついカードを利用しすぎて借金が膨らむ事態に陥りがちです。毎月支払いをしても、返済金の大半は利息の支払いで消えてしまうため、なかなか借金が減らないというデメリットもあります。
リボ払いの支払いがなかなか終わらないという場合、早めに債務整理をして解決しなければ、いつまでたっても借金を支払い続けることになるかもしれません。債務整理にはいくつかの種類がありますが、「任意整理」がもっとも低コストかつ低リスクで借金問題を解決できる手続きです。
そこで今回は、
● リボ払いの借金も任意整理で解決できるのか
● できるとして具体的にどうすればよいのか
などの注意点について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
リボ払いとは「リボルビング払い」の略称で、ショッピングやキャッシングの利用残高や利用件数にかかわらず、「毎月一定の金額」を支払っていく返済方法のことです。
クレジットカード代金の他にも、消費者金融や銀行のカードローンでも多く採用されている返済方法です。
通常の分割払いでは残高に応じて支払い回数が決められ、それによって毎月の返済額が定まります。それに対して、リボ払いでは毎月の返済額をあらかじめ決めてから、支払い回数が定まります。
毎月の返済額が一定なので家計の管理がしやすく、低額に設定できる場合が多いことから家計の負担が軽くなるというのがリボ払いのメリットです。
しかし、毎月の返済額を低く設定すると、なかなか借金が減らないというデメリットもあります。
たとえば、年利18%のリボ払いで10万円をキャッシングし、毎月3000円ずつ返済する場合、支払い回数は47回(約4年)となり、その間に支払う利息は3万9037円にもなります。
その間に追加の借り入れやショッピングをすると支払い回数と支払利息はさらに増え、いつまで支払っても返済が終わらない状態になってしまいます。
また、一定の利用可能枠まではいくら利用しても毎月の支払額が変わらないので、利用残高がどのくらいになっているのかに気づきにくいというリスクもあります。
結論からいうと、リボ払いの借金も任意整理することができます。
クレジットカード会社、消費者金融、銀行に対する債務はすべて任意整理の対象となります。リボ払いは返済方法のひとつに過ぎませんので、リボ払いを利用していたことを理由に任意整理ができないということは一切ありません。実際にも、リボ払いの借金を解決するために任意整理はよく利用されています。
次に、リボ払いの借金を任意整理するときの具体的な方法を解説します。実際に任意整理をするときには弁護士に依頼するのが一般的であり、その場合には以下の手続きはすべて弁護士が行いますが、ここでは自分で任意整理する場合の手順を紹介します。
まずは、借入先(クレジットカード会社、消費者金融、銀行など)に連絡して「任意整理をしたい」ということを告げた上で、「取引履歴」の送付を依頼します。
任意整理というのは、借入先の業者と交渉によって、今後の返済額や返済方法を新たに取り決め直す債務整理の方法です。
この交渉を適切に行うためには、前提としてその業者に対する借金額を正確に把握しなければなりません。そのためには、その業者との取引のすべてが記載された「取引履歴」を取り寄せる必要があるのです。
取引履歴を取り寄せたら、記載されているすべての取引について、利息制限法に定められた金利に引き直し計算を行います。
利息制限法に定められている金利は、利用残高に応じて以下のとおりです。
なお、平成22年6月18日以降は、正規の金融機関であればすべて上記の金利の範囲内で取引を行っているので、利息引き直し計算を行う必要はありません。念のために、適用金利が上記の金利を超えていないかを確認しましょう。
平成22年6月17日以前は、正規の金融機関であっても上記の金利を超える金利で取引を行っている可能性があります。その場合は、必ず利息引き直し計算を行いましょう。
払いすぎた利息は元金に充当することができますので、実際の残高は約定の残高よりも少なくなるはずです。場合によっては過払い金が発生していることもあります。
利息引き直し計算は、無料のソフトを使えば比較的簡単に行うことができますが、入力ミスや金利の選択ミスには十分に注意してください。
利息引き直し計算によって正確な元金が判明したら、その金額を前提として債権者と返済方法を交渉します。
基本的には元金を減額してもらうことは難しく、今後発生する利息を免除してもらったうえで元金をどのくらいの期間で分割返済するかを交渉することになります。返済期間は3年~5年程度とするのが一般的です。債権者と合意ができたら「和解書」を作成し、合意内容にしたがって返済していきます。
過払い金が発生している場合には、発生額のうちいくらを、いつ返還してもらうのかを交渉することになります。もっとも、任意の交渉では満額を回収することは難しいので、裁判が必要となることもあります。過払い金についても、合意ができたら「和解書」を作成して、金融機関からの振込みを待ちます。
任意整理では借金の元金はカットできないものの、今後発生する利息をカットできるので、返済総額は大幅に減らすことができます。
実際にどのくらい返済の負担が減るのかを具体的にイメージしていただくために、リボ払いで返済し続ける場合と、任意整理をする場合とで比較してみましょう。
残元金100万円を60回で返済する場合、両者の差は以下のようになります。リボ払いの金利は年15%とします。
リボ払いで返済し続ける場合 | 任意整理をする場合 | |
---|---|---|
毎月の返済額 | 2万3789円 (最終回は端数) |
1万6778円 (最終回は端数) |
返済総額 | 142万7378円 | 100万円 |
任意整理をすることで、返済の負担が42万円以上減ることになります。実際には、リボ払いでは毎月の返済額がより少なく、返済期間がより長いことが多いので、両者の差はさらに開く可能性は高いといえます。
リボ払いの借金を任意整理することで上記のように大きなメリットが得られますが、一方では以下のようなデメリットもあるので注意が必要です。
任意整理をすると信用情報に事故情報として登録されます。いわゆる「ブラックリスト」に載るという状態になります。
ブラックリストに載ると、現在持っているクレジットカードが使えなくなる可能性があるだけでなく、新たにクレジットカードを作ることも難しくなります。新規の借り入れやローンも利用も難しくなります。
ただし、事故情報は生涯にわたって残るわけではなく、任意整理後5年で削除され、その後は再びクレジットカードや借り入れ、ローンの利用ができるようになります。
先ほどもご説明した通り、任意整理では「元金」を減額することは難しいです。交渉次第で減額してもらえることもありますが、基本的に元金は全額返済する必要があると考えておくべきです。
したがって、借金総額が大きい場合には、任意整理をしても返済可能な内容で和解するのは難しいというケースもあります。その場合には、「個人再生」または「自己破産」を検討する必要があるでしょう。
クレジットカード会社を債権者として任意整理をする場合、キャッシング枠のみの任意整理はできないことに注意が必要です。ショッピング枠も利用している場合は、必ず両方が任意整理の対象となってしまいます。
なお、任意整理に着手した時点でそのカードは強制解約となってしまいますので、公共料金等の支払いにそのカードを利用していた場合は、事前に支払い方法を変更しておく必要があります。
任意整理をすると、クレジットカードやローンの分割払いで購入した商品を引き揚げられる可能性があります。分割払いで購入した場合、代金を完済するまで商品の所有権はクレジットカード会社やローン会社にあるからです(このことを「所有権留保」といいます)。
実際には商品を引き揚げられるケースはそれほど多くありませんが、車やバイク、ブランド品、パソコンなどの高額商品を購入した場合は引き揚げられる可能性が高いといえます。
任意整理は、あくまでも「任意」の交渉によって借金を整理する手続きなので、債権者である金融機関には交渉に応じる義務はありません。
多くの金融機関は「自己破産や個人再生をされるよりは元金を多く回収できそうだ」という理由で任意整理に応じてくれますが、少数ながら交渉に応じない金融機関もあります。
会社の方針として任意整理に応じない金融機関もあれば、基本的には応じてくれる金融機関でも、収入や借入額などの条件が悪い債務者に対しては「裁判をした方が多く回収できそうだ」と判断して交渉に応じないケースもあります。
債権者が任意整理に応じない場合は交渉を強制することはできませんので、自己破産または個人再生を検討する必要があるでしょう。自己破産と個人再生は裁判所を介する手続きなので、強制的に借金の減免が可能となります。
ただ、債務者に交渉力が乏しいために債権者が任意整理に応じないという可能性も考えられます。その場合には、弁護士に任意整理を依頼することで交渉が可能になることがあります。
リボ払いに限りませんが、任意整理をするなら弁護士に依頼するのが得策です。自分で行うよりも、弁護士に任せることで以下のメリットが得られます。
まず、弁護士に任意整理を依頼すると、債権者からの返済の催促がすぐに止まります。
弁護士は債務整理の依頼を受けると「受任通知書」(依頼を受けて代理人となったことを通知する文書)を送付します。債権者が受任通知書を受け取った後は、債務者に対して直接の催促を行うことを貸金業法で禁止されているのです。
受任通知書は早ければ依頼した当日、遅くとも翌日中には送付してもらえるでしょうから、依頼してから2~3日のうちには催促が止まることになります。
自分で任意整理を行う場合は債権者からの催促を受けながら交渉していく必要があり、精神的に大きな負担を受けてしまいます。弁護士に依頼して催促を止めることで、精神的に楽になるはずです。
弁護士に依頼すれば、債権者との交渉はすべて弁護士に任せることができます。自分で債権者と直接やりとりする必要がなくなりますので、時間や労力を使うこともありませんし、精神的にも楽になります。
また、任意整理の交渉には専門的な知識や交渉力が要求されますので、一般の方が債権者と対等に交渉するのは難しいものです。しかし、弁護士に依頼することで適切な交渉が可能となり、任意整理に成功する可能性が高まります。
先ほどもご説明した通り、任意整理で取引履歴に基づいて利息引き直し計算を行うことによって、過払い金が発生していることが判明する場合があります。しかし、過払い金の返還の交渉を自分で行うと、貸金業者から軽く見られて返還に応じてもらえないか、ごくわずかな金額しか返還してもらえない場合があります。
そこで弁護士に依頼すると、適切な交渉によって、より高額の過払い金の回収が期待できます。裁判をする場合でも、弁護士が複雑な裁判手続きをすべて代行してくれます。
なお、リボ払いで多額の利息を支払ってきたとしても、以下の二つのケースでは過払い金が発生しませんのでご注意ください。
ショッピングには「割賦販売法」という法律が適用され、利息制限法は適用されませんので、過払い金は発生しません。
また、過払い金が発生していても、最後の取引のとき(通常は完済したとき)から10年以上が経過していると、返還請求権が消滅時効にかかっているため請求できないことにも注意が必要です。
リボ払いの借金も任意整理の対象となりますが、元金が多額になっていたり、借入件数が多い場合には任意整理をしても返済しきれない可能性があります。つまり、任意整理でリボ払いの借金を確実に解決できるとは限らず、自己破産や個人再生を検討すべきケースもあるということです。
返済しきれなくなった借金を解決するためには、状況に応じて最適な解決方法を選択することが非常に重要です。弁護士に相談することで、最適な解決方法を提案してもらうことができます。
ベリーベスト法律事務所では、債務整理の経験が豊富な弁護士が詳しい事情を伺い、ケースごとに最適な解決方法を提案いたします。借金問題のご相談は何度でも無料で承りますので、ぜひ一度、当事務所の無料相談までご連絡ください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。
任意整理は、債権者と将来利息の免除や返済期間の延長などについて交渉することにより、毎月の返済額を減らすことが可能な手続きです。
しかし、任意整理をすると信用情報機関に事故情報が登録されるため、ETCカードも使えなくなるのではないかと心配する方もいらっしゃることでしょう。特に、仕事や生活などでETCの利用が必要な方にとっては、切実な問題です。
この記事では、任意整理をするとETCカードが使えなくなるのか、一般的なETCカードが使えなくなるとしても、他にETCカードを利用する方法はないのかについて解説していきます。
借金の返済が厳しくなってきたら「任意整理」という方法で、返済の負担を軽減できる可能性があります。
しかし、任意整理を検討している方の中には、弁護士に依頼した際の費用がどのくらいかかるかわからずに、依頼を躊躇しているという方もいるかもしれません。そのような方は、任意整理の費用相場をしっかりと理解しておくことで、安心して弁護士への依頼に踏み切ることができるでしょう。
今回は、任意整理の費用相場と費用の支払いが不安な場合の対処法について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
任意整理は、借金などの債務の負担を軽減できる手続きです。借金返済が困難になってしまった方は、任意整理を検討するとよいでしょう。
なんとなくの印象で「任意整理はやばい」と言われることもあるようですが、決してそんなことはありません。正しい知識と情報をもとに、任意整理を行うべきかどうかを判断しましょう。
本記事では、任意整理のメリットとデメリットを踏まえて、任意整理は本当に「やばい」のかどうか、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。