債務整理 弁護士コラム
借金の返済が難しくなってくると、「何からの方法で借金を減らすことはできないか」と考えつつも、「そんな都合の良い方法はない」と諦めている人が多いのではないでしょうか。
たしかに、借りたものは返さなければならないという法律上の義務があります。しかし、その一方で、借金を減らす方法について定めた法律もあります。
法的な手続きに基づき、合法に借金を減らす方法は“債務整理”といい、借金を減らすためにはぜひ知っておきたい知識です。
本コラムでは、債務整理の4つの方法(任意整理・過払い金返還請求・個人再生・自己破産)について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。各制度の概要や、メリットとデメリットも紹介しますので、借金の返済にお困りの方はぜひ参考にしてください。
まず、「そもそも借金を減らすことが本当にできるのか」「できるとすれば、どのような仕組みで借金を減らせるのか」について解説します。
結論からいうと、合法的に借金を減らすことは可能です。
借金は「元金」と「利息」で構成されていますが、どちらも法律を使って減らすことができます。
金融機関からの借金には利息がつきますが、利息を減らすことができれば、今後の返済総額が減ります。
たとえば、年15%の金利で100万円を借りて5年(60回払い)で返済する場合、完済するまでに42万7378円もの利息を支払わなければなりません。
しかし、利息をカットできれば元金の返済だけで済むため、42万7378円を減額できることになるのです。
将来利息(今後発生する利息)のカットは、「任意整理」によって可能となります。
また、平成22年6月17日以前は、利息制限法所定の上限利率を超える金利で貸付を行っても罰則がなかったため、違法な高金利で貸付を行う金融機関もありました。
しかし、利息制限法所定の上限利率を超える部分の金利は違法であるため、支払いすぎた利息は元金に充当することができます。
たとえば、年29.2%の金利で100万円を借りて5年(60回払い)で返済する場合、完済するまでに支払う利息は91万1819円にも上ります。
この場合、年15%で計算した上記の利息(42万7378円)を超える部分は支払いすぎとなるので、元金に充当できます。すでに完済している場合は、差額の48万4441円が「過払い金」となります。このように過払い金が発生している場合には、貸金業者に対して返還を請求することがでるのです。
元金を減らすためには、裁判所で手続きを行う必要があります。
民事再生法に基づいて裁判所へ「個人再生」を申し立てると、一定の要件を満たす場合には、裁判所の決定によって借金の元金が大幅に減額されます。
また、破産法に基づいて裁判所へ「自己破産」を申し立てると、一定の要件を満たす場合には、裁判所の決定によってすべての借金の返済義務が免除されるのです。
上記でご紹介したのは、「債務整理」と呼ばれる借金減額の方法です。
債務整理について、より詳しく解説いたします。
任意整理とは、裁判所の手続きを介することなく、債権者と直接交渉することによって借金の返済額や返済方法を新たに取り決める手続きです。
基本的には元金をカットすることはできず、将来利息を免除してもらったうえで返済期間や毎月の返済額を取り決めることになります。交渉次第では遅延損害金をカットしてもらえる場合もあります。
① 任意整理のメリット
任意整理には、他の債務整理と比べて以下のようなメリットがあります。
② 任意整理のデメリット
任意整理のデメリットは、以下の通りになります。
ブラックリストに登録される:任意整理をすると事故情報として登録されて、新たな借入れやクレジットカードの利用が難しくなります
元金の減額は難しい:あくまでも交渉次第ですが、任意整理では基本的に元金の減額には応じてもらえません
過払い金返還請求とは、先ほどご説明したように、違法な金利によって支払いすぎた利息を取り戻す手続きのことです。
払いすぎた利息は元金に充当できるため、元金が減ることになります。なお、充当しきれない利息がある場合には、「過払い金」として返還請求できます。
① 過払い金返還請求のメリット
過払い金返還請求をすることで得られるメリットは、借金の返済義務がなくなるうえに、お金が戻ってくることです。
年29.2%の金利で100万円を借りて毎月3万円ずつ返済する場合、約定の残高が50万円まで減った時点で過払い金返還請求をすると、約11万円の過払い金を取り戻すことが理論上は可能です。50万円の返済義務がなくなるうえに、10万円を超えるお金が戻ってくるのですから、過払い金返還請求のメリットは大きいといえるでしょう。
② 過払い金返還請求のデメリット
過払い金返還請求のデメリットとしては、以下のようなものがあります。
個人再生とは、裁判所の手続きをすることによって借金の元金を大幅に減らしてもらえる手続きのことです。元金が原則として借金総額の1/5、最大で1/10にまで減額することが可能です。元金だけでなく、将来利息もカットされます。減額された借金は、原則として3年(36回払い)、最長で5年(60回払い)で分割返済していきます。
たとえば、総額500万円の借金がある場合、個人再生をすることによって最大で100万円にまで減らすことができます。毎月の返済額は、約1万7000円(60回払いの場合)から約2万8000円(36回払いの場合)となります。
① 個人再生のメリット
個人再生には、他の債務整理と比べて以下のようなメリットがあります。
② 個人再生のデメリット
個人再生には、以下のようなデメリットがあります。
自己破産とは、裁判所に申し立てることによって「返済不能」であることを認めてもらう手続きのことです。一定の要件を満たせば「免責」が許可され、すべての借金が免除されます。
① 自己破産のメリット
自己破産のメリットは、免責が許可されれば借金の返済義務がすべてなくなることです。
任意整理や個人再生の場合は継続的に返済していくことが必要なので、その間に再び生活が苦しくなるおそれもあります。それに対して自己破産の場合は、借金がない状態で再スタートを切れるので、経済生活の再建が容易になります。
② 自己破産のデメリット
個人再生と同様、自己破産にも以下のデメリットがあります。
その他にも、自己破産に特有のデメリットとして以下の2点が挙げられます。
借金を減らす方法を4つ紹介しましたが、適切に借金問題を解決するためには、実際に着手する前に弁護士に相談するのが有効です。弁護士に相談することで、以下のメリットを享受することができます。
借金を減らす4つの方法は、それぞれに異なる特徴がありますので、すべての人が自分の希望する方法で思い通りに借金を減らせるわけではありません。借金問題を解決するには、ケースごとに適した解決方法を選択することが非常に重要です。
弁護士に相談することで、自分のケースに最適な解決方法を提案してもらえます。
弁護士に債務整理を依頼すれば、複雑な手続きはすべて代行してもらえます。自分で手続きを行う手間や時間が不要となるので、仕事や家事に専念することができます。
債務整理の4つの方法を適切に行うためには、専門的な知識やノウハウが要求されます。
任意整理と過払い金返還請求では、債権者との交渉によって借金の減額や取り戻せる金額の幅が異なってきます。自分で交渉するよりも、債務整理手続きの経験が豊富な弁護士が交渉する方が高い減額効果や過払い金の回収が期待できます。
個人再生と自己破産の場合は、裁判所での複雑な手続きが必要となるため、自分で無理をして行うと手続きに失敗してしまい、結果として借金を減額できないおそれもあります。弁護士に依頼すれば正確に手続きを行ってもらえるので、的確な借金の減額が期待できます。
借金は合法的に減らすことができますが、選択を誤ると減額できなくなってしまうおそれがあります。また、減額できたとしても、二度手間となってしまう可能性もあるのです。そのため、適切に借金を減らすためには早めに弁護士に相談することをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所では、債務整理のご相談は何度でも無料で伺います。債務整理の経験が豊富な弁護士が対応しますので、状況に応じて最適な解決方法を提案することが可能です。
借金を減らしたいとお考えの方は、ひとりで悩まずに当事務所の無料相談をご利用ください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。
『旦那や家族には言っていないけど、実は私、借金を抱えてます…』
実は、主婦で借金を抱えている人は多く、それを言えずに悩んでいる方もたくさんいるのが現状です。もしかしたらこの記事をご覧のあなたも、そういった悩みをお持ちなのかもしれません。
一人で悩むことなく、主婦で借金をしている人は意外と多いということを知っていただいて、ぜひご自身の借金返済について前向きに考えていってください。この記事があなたにとって、ご参考になれば幸いです。
これから債務整理をしようと考えている方の中には、債務整理後にキャッシングできるのか、債務整理中にお金が足りなくなったときキャッシングを利用することは認められるのかと、お悩みの方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、債務整理をしたことで、キャッシングなどを法律で禁止されるわけではありません。
しかし、債務整理をすると信用情報に事故情報が登録される(ブラックリスト入りする)ので、ほとんどの金融機関は、融資に応じてくれなくなります。
親子であっても、他人の借金を返済する義務は原則としてありません。肩代わりするかどうかは、基本的に子ども自身の判断で自由に決められます。
しかし親の借金でも子どもに返済義務が生じることがあり、借金を放置すると子どもが差し押さえを受けることにもなりかねません。
本コラムでは、親の借金が降りかかってきた場合に、子どもはどのように対処すればよいのかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。