債務整理 弁護士コラム
借金問題を解決しようと情報をさがしていると、「法テラス」という言葉を目にすることがあるかもしれません。
法テラスを利用して債務整理をすれば、債務整理にかかる費用を立て替えてもらうことができます。しかし、法テラスを利用するためには一定の要件を満たしている必要があるので、希望するすべての人が利用できるというわけではありません。また、最近では費用の後払い・分割払いに対応してくれる個別の弁護士事務所も増えています。
そこで今回は、債務整理を法テラスと個別の法律事務所、いずれに相談するべきかについて、判断ポイントを解説します。
まずは法テラスという機関がどのような場所であるか、ということから解説していきたいと思います。
法テラスは、正式名称を「日本司法支援センター」といい、総合法律支援法に基づいて設置された機関で全国各地に地方事務所があります。
法テラスでは、次の業務を行っています。
このうち、法テラスの根幹業務は、市民からの問い合わせ内容に応じて、それに対応できる相談機関や団体(弁護士会など)に関する情報を無料で提供する情報提供業務です。わかりやすくいえば、「法律問題の総合案内所」とイメージしておけばよいでしょう。
また、上記の業務の他にも、生活保護受給申請の相談・支援なども行っています。
法テラスの業務のうちで、債務整理ともっとも関係があるのは、民事法律扶助業務です。債務整理の文脈で「法テラスを利用する」と言われる場合のほとんどは、この民事法律扶助を利用して債務整理を行うことを指しています。
民事法律扶助は、経済的に困窮した方の法アクセスを保障する(裁判を受ける機会などを保障する)目的で創設された公的な救済制度で、法律扶助協会という団体が業務を行っていましたが、法テラスがその業務を受け継いで行っています。
民事法律扶助を利用すれば、裁判手続き等に必要な費用(申立手数料や弁護士費用)を法テラスが立て替え払いをしてくれるので、経済的に苦しく手持ちのお金がないという場合であっても、法手続を安心して利用することができます。
次章では、民事法律扶助を利用して債務整理を行う場合の流れなどについて、詳しく解説します。
法テラス(民事法律扶助)を利用して債務整理を行う場合の基本的な流れは、次のとおりです。
民事法律扶助は、経済的に苦しい状況にある人をサポートするための仕組みです。したがって、すべての人が当然に使える制度ではないことに注意しておく必要があります。
① 民事法律扶助の利用要件
法テラス(民事法律扶助)を利用して債務整理を行うためには、次の2つの利用要件を満たしていなければなりません。
第一の要件である「資力基準・資産基準」は、利用者の居住地域・世帯家族の人数によって、下記の表のように決められています。
世帯人数 | 人数 手取り月収額 (同居の配偶者がいるときには配偶者の手取り収入との合算) |
家賃・住宅ローンを負担しているときの加算可能額 | 保有資産額 |
---|---|---|---|
1人 | 18万2000円(20万2000円) | 4万1000円(5万3000円) | 180万円 |
2人 | 25万1000円(27万6100円) | 5万3000円(6万8000円) | 250万円 |
3人 | 27万2000円(29万9200円) | 6万6000円(8万5000円) | 270万円 |
4人 | 29万9000円(32万8900円) | 7万1000円(9万2000円) | 300万円 |
※( )の金額は、生活保護第一級地(東京都・大阪市・横浜市など)に居住する人に適用される金額
たとえば、『東京都の賃貸アパートに在住している単身者』であれば、手取り月収が25万3200円以下、保有資産180万円以下であれば、民事法律扶助を利用することができます。
なお、コロナ禍によって大幅な減収となった人の場合には、上記の条件を満たしていなくても法テラス(民事法律扶助)を利用できる余地がありますので、法テラスや弁護士までご相談ください
次の「債務整理が成功する見込み」については、次のようなケースに該当する場合には、法テラス(民事法律扶助)を利用できない可能性があるといえます。
② 法テラス(民事法律扶助)の申込先
法テラス(民事法律扶助)を利用の申し込みは、次の二つの方法で行うことができます。
法テラス(民事法律扶助)の利用は、法テラスと契約している弁護士・司法書士(契約弁護士・契約司法書士)の事務所からでも申し込みができるので、法テラスの地方事務所で行わなければならないというわけではありません。
③ 申し込みに必要な書類など
法テラス(民事法律扶助)を利用する際に必要な書類は下記のとおりです。こちらも地方事務所に出向かなくても、契約弁護士の事務所や法テラスのホームページから入手することができます。
④審査
法テラスの利用申し込みがなされると、利用要件に該当しているかどうかについて法テラスによる審査が行われます。審査にかかる期間は、2週間から1か月程度が目安とされています。
法テラス(民事法律扶助)を利用した債務整理は、まず無料相談からスタートします。
相談は、法テラスと契約している弁護士・司法書士が行います。ただし、法テラス(民事法律扶助)を利用した無料相談は、1事件について3回までとなっている点に注意が必要です。
法テラス(民事法律扶助)を利用した債務整理は、無料相談後に依頼することになります。
債務整理(援助)の依頼がなされると、法テラスが受任できる弁護士を選び、その弁護士が受任を承諾すると、債務整理の依頼が締結されるという流れになります。
したがって、無料相談を担当した弁護士に、そのまま債務整理を依頼できないケースもあり得ます。
法テラス(民事法律扶助)が行うのは、あくまでも「費用の立て替え払い」にすぎませんので、最終的には費用を法テラスに返還(返済)する必要があります。
法テラスへの返済は、法テラスとの契約締結(債務整理の契約締結・立て替え払いの実施)の2か月後からはじまり、毎月1万円(経済的に苦しい場合には5000円)ずつ返済しています。
なお、依頼した事案が終了した段階で生活保護を受給している人は、法テラスへの費用返還が免除されるほか、経済的に苦しい事情がある人には、返済の猶予などの救済措置も用意されています。
債務整理を検討している人には、「いますぐに債務整理の費用を工面できない」という人も多いと思います。その意味では、費用の立て替え払いをしてくれる法テラス(民事法律扶助)の仕組みは非常に魅力的です。
しかし、法テラスによる債務整理は、あくまでもセーフティーネットとしての仕組みですから、さまざま点で融通が利かない場合もあります。たとえば、次のような点においては、法テラスに債務整理を依頼するよりも個別の弁護士事務所に依頼した方がよい場合が少なくありません。
法テラス(民事法律扶助)を利用した債務整理は、無料相談・要件審査を経てからでなければ依頼することができません。そのため、どうしても最初の問い合わせから2週間~1か月以上の時間がかかってしまいます。
また、法テラスが選定した弁護士に受任を断られるケースもあるため(他事件で多忙な場合など)、その場合には、弁護士に依頼できるようになるまでさらに時間がかかってしまうこともありえます。
他方、個別の事務所であれば、要件審査などの必要もないので、その分だけ相談・依頼までの期間が短くなります。タイミングが良ければ、問い合わせの翌日に相談して、即依頼ということも可能でしょう。
特に、「債権者からの取り立てを、すぐにでもストップしたい」というケースでは、法テラスの利用では限界があるので、個別の事務所に依頼をした方がよいといえます。
債務整理を行うほどの多額の借金を抱えてしまった場合には、さまざまな点に不安を感じることも多いと思います。そのようなときには、弁護士に相談をして必要な助言をもらうことが、誤った対応をしてしまわないためにも重要です。
法テラスを利用した場合には、(無料の)法律相談は、1事件で3回までと決められています。しかし、個別の事務所によっては、何度でも無料で相談を受けられるというサポートが用意されていることも少なくありません。
債務整理に限らず、弁護士に事件を依頼した場合には、依頼人と弁護士との信頼関係がもっとも重要となります。信頼関係が十分に築けていなければ、事案処理に必要な情報を得られずに失敗に終わってしまうこともありうるからです。債務整理では、「他人には話したくない事情」もお話しいただく場面が数多くあるので、依頼人・相談者と弁護士との信頼関係は特に重要といえます。
法テラスの地方事務所に債務整理を申し込んだ場合には、法テラスが指定した弁護士が債務整理を受任することになるため、依頼人自身が弁護士を選べず、選ばれた弁護士と相性が合わないという可能性があることは否定できません。
他方で、個別の事務所への依頼であれば、事前の相談などでの対応を通じて、その弁護士の人柄や自分との相性なども見極めることができます。
法テラスによる費用の立て替え払い(民事法律扶助)は、低収入で生活が苦しい人にとっては非常に心強い仕組みといえます。しかし、法テラスによる債務整理は、「公的支援」という側面が強く、臨機応変・迅速に対応できない場合がある等の限界を抱えていることにも注意する必要があります。
特に、債務整理を検討する場合には「今日にでも債権者からの取り立てをストップしたい」と考えることも多いはずですが、そのようなケースでは個別の法律事務所に直接依頼するほうが、迅速な対応を期待できます。
ベリーベストでは、債務整理業務の経験豊かな弁護士が、迅速・丁寧にそれぞれの事件で最善を尽くします。また、債務整理の相談は何回でも無料でご利用いただけますので、ご不安なことがあるときに、安心してご相談いただけます。お困りの際には、ぜひお問い合わせください。
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「自分は買い物依存症かもしれない」と感じている人は少なくはありません。買い物が大好きな人や、買い物に出かけるとつい買いすぎてしまう方は買い物依存症の不安を抱えていることでしょう。
ですが、ショッピング好きと買い物依存症は違います。買い物依存症の場合には中毒症状があるため、治療が必要な状態。対して買い物好きの人は買い物が趣味なだけで買い物に依存しているわけではありません。
買い物依存症の患者数は正式には発表されていませんが、昨今の後払いシステムやクレジットカード払いの増加によって患者数も増加していると推定されています。買い物依存気味の方は早めに自覚し、適正な対処をしていきましょう。
ソーシャルゲーム(ソシャゲ)などのスマホゲームで、多額の課金をしてしまう方は少なくありません。
「今回だけ…」とおそるおそる少額で始めたはずの課金も、いつも間にか抵抗がない状態に陥っている方も多いのではないでしょうか。
スマホゲームの課金は、一種の中毒症状をもたらします。「やめよう」と思っても、自分の意思では上手にコントロールできないものです。
本コラムでは、ソシャゲなどのスマホゲームで課金をやめられない心理、課金に制限をかける方法、課金をやめる方法、課金が原因で借金に悩んでいるときの対処法について、ベリーベスト法律事務所の弁護士がご紹介します。
廃課金とよばれるような過度な課金は、日常生活にも支障をきたす恐れがあります。できるだけ早めに課金をコントロールしたり、借金問題を解決したりして、通常の生活に戻していきましょう。
「必死に働いても生活が苦しい」「働きたいのに働けない」「借金返済でどうすればよいのか分からない」などの悩みを抱える人は少なくありません。
このような生活苦には、働けない・給料が低い・借金を抱えていることが大きな原因となっているケースも多くあります。
本コラムでは、生活が苦しい状況から抜け出すための対処方法や相談先、支援制度について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。