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債務整理中に借入(ローン・キャッシング)はNG! リスク・理由とは

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更新日:2021年01月19日 公開日:2021年01月19日

債務整理中に借入(ローン・キャッシング)はNG! リスク・理由とは

弁護士に債務整理を依頼している最中、急な出費などに対応するためにお金を借り入れたい状況になってしまうこともあるでしょう。

しかし、任意整理中に、さらに金融機関から新しい借入をすることは、それ自体が難しいばかりでなく、大きなリスクを抱える原因にもなりかねないので注意が必要です。

ベリーベスト法律事務所の弁護士が、リスクと対処法をご紹介します。

1、任意整理中に金融機関から借入することは可能か?

まずは、「任意整理中(債務整理中)に金融機関から借入することは可能なのか」ということから確認しておきましょう。

  1. (1)任意整理と信用情報

    結論からいえば、任意整理中(債務整理中)に金融機関から新規の借入をすることは、簡単ではありません。借入の申込みをしても審査落ちになってしまうケースが大半といえるでしょう。

    任意整理中の人が借入の申込みをしても審査落ちとなってしまう一番の理由は、審査の際には、信用情報の調査が必ず行われるからです。

    任意整理(債務整理)をした場合には、信用情報にはいわゆる「事故情報(ブラック情報)」が登録されてしまいます。また、A社を任意整理したという事故情報は、それとは別のB社も確認することができます。

    したがって、ある金融機関からの借金を任意整理中であるということは、他の金融機関にも必ず知られてしまうというわけです。

    金融機関側としては、直近に信用事故を起こしている顧客に貸付を行うことは、メリットよりもデメリットの方が大きいといえますので、借入の申込みをしても審査に通ることは難しいといえます。

  2. (2)任意整理中でもローンの審査に通るケース

    以上のように、任意整理中の借入は、審査に通らない場合がほとんどといえますが、100%借入ができないというわけでもありません。「任意整理中の人にお金をしてはいけない」というような法律上の規制は存在しないからです。

    実際にも、中小の消費者金融の中には、信用情報に多少の問題がある顧客に対しても貸付を行うところがないわけではありません。

    また、任意整理をした場合の信用情報への登録のされ方は、その相手となった金融機関の判断によっても違いがあります。相手方の判断によっては、重い事故情報が登録されずに、借入の申込み審査に通るケースがないともいえません。

2、任意整理中に借入すべきでない3つの理由

基本的に、任意整理中に金融機関から新たな借入をすることは、避けるべきです。

以下で解説するような、重大なリスクを抱えることになってしまいます。

  1. (1)債権者との信頼関係が壊れる

    任意整理中に(任意整理の相手方とは別の)金融機関から新たに借入をすることは、任意整理の相手方となった債権者との信頼関係を壊してしまうかもしれません。

    金融機関から借入をした場合や、借入の申込みをしたことは、必ず信用情報に登録されてしまいます。そのため、任意整理の相手の方となった金融機関にもこの事実を知られてしまう可能性があります。

    特に、任意整理の交渉中(債権者との和解締結前)に、新規の借入をしてしまった場合には、そのことが理由で任意整理が失敗してしまう(相手が和解に応じてくれなくなる)可能性も高くなるといえるでしょう。

  2. (2)弁護士との信頼関係が壊れ辞任されてしまう

    任意整理中の借入は、その相手方となる債権者だけでなく、任意整理を依頼した弁護士との信頼関係を壊してしまう原因にもなってしまいます。

    自力では返済の難しくなった借金を解決するために任意整理を依頼しているにもかかわらず、さらに別の借入で借金を増やしてしまう行為は、弁護士との関係において背信行為にあたるともいえるからです。

    弁護士が依頼業務を成功させるためには、依頼人と十分な信頼関係が構築されていることが不可欠といえます。そのため、「依頼人との信頼関係を築けない」と弁護士が判断した場合には、依頼された任意整理が途中であっても辞任されてしまうこともありえます。

    なお、依頼人に原因のある事情で弁護士が辞任に追い込まれたという場合には、すでに弁護士に支払った着手金も返還されないことにも注意が必要です。

  3. (3)任意整理が失敗する可能性が高まる

    任意整理中に新たな借入をすべきではない一番の理由は、任意整理が失敗する原因になるということです。

    債権者との和解交渉中の借入が、任意整理失敗の原因になりかねないことは、すでに解説したとおりですが、債権者との和解成立後の借入も、和解後に残る残元金の分割返済の障害になる可能性が高いので、するべきではありません。

    また、任意整理中(和解後の分割返済中)に新たな借入をしたことが原因で、分割返済が継続できなくなった(任意整理が失敗した)場合には、債権者との再度の任意整理もかなり難しくなるといえるでしょう。

3、任意整理中の借入とヤミ金被害

以上のように、任意整理中の借入は、そもそも簡単ではないというだけでなく、任意整理が失敗する原因になりかねません。

さらには、任意整理中の借入は、これから解説するように、ヤミ金被害に遭いやすくなるという重大なリスクを抱えやすくなってしまいます。

  1. (1)ヤミ金被害に遭いやすくなるのはなぜか

    任意整理中に借入をするとヤミ金被害に遭いやすくなる一番の理由は、すでに上でも解説したように、任意整理中の状況では、正規の金融機関からは借入が難しいことにあります。

    仮に、中小の消費者金融から借入ができたとしても、借入できる金額も数万円程度(10万円未満)という場合が多く、必要なお金を工面しきれないというケースも珍しくありません。中小の消費者金融から同時に何件も借りるということは、実際には難しい場合が多いといえます。

    そのため、このようなケースでは、最終的には、正規の金融機関からはどこも借入ができなくなり、ヤミ金と関わる動機が生じてしまうというわけです。

  2. (2)ヤミ金手口の具体例

    ヤミ金というと、暴力団風のコワモテの店員さんなどがいる金融屋というイメージを持っている人も多いと思います。

    しかし、最近では、インターネットなどの普及にともなって、ヤミ金の手口もかなり多様化しており、マンガなどで描かれるようなヤミ金業者はむしろ少数派といえます。

    近年のヤミ金業者の主な手口としては次のようなものがあります。

    ①090金融・ソフトヤミ金

    090金融は、店舗を持たずにスマホ・携帯電話を利用して融資などの対応を行うヤミ金業者です。
    また、近年では、インターネットサイトを利用して顧客を募るタイプの「ソフトヤミ金」と呼ばれる業者も増えています。

    ソフトヤミ金というのは、ヤミ金業者が自ら用いている呼称ですが、「対応がソフト」、「金利がソフト」といった意味合いがあるようです。とはいえ、これらの比較は、「古典的なヤミ金業者と比べて怖くない」「他のヤミ金業者よりも金利が安い」という程度に過ぎず、違法な取り立てがないわけではありませんし、適用される金利も法外であることには変わりがありません。

    ②クレジットカードの現金化業者・買取屋・チケット屋

    クレジットカードの現金化は、古典的なヤミ金手法のひとつで、全く価値のない商品を高額で購入させた上で、キャッシュバックをすることなどによって、クレジットカードのショッピング枠を換金する行為が典型例といえます。

    また、ヤミ金とは限りませんが、換金性の高い商品(ブランド品・大型家電や商品券・新幹線回数券など)を顧客のクレジットカードで大量に購入させ、購入価格よりも安い金額で買い取る形で現金化させる業者もあるようです。

    このような行為は、クレジットカード会社の権利を害する行為として、カード規約で禁止されているものですから、発覚すればクレジットカードも強制解約される可能性があります。さらには、クレジットカードの現金化は、自己破産した場合の免責不許可事由にもなっていますので、安易な気持ちでこれらの業者に関わることは非常に危険です。

    ③個人間融資

    個人間融資は、その名のとおり、業者(金融屋)からの借金ではなく、個人と個人とのお金の貸し借りという形を装って行われるヤミ金行為で、近年非常に増えています。

    これらの個人間融資は、SNSや専用の掲示板サイトなどで顧客を勧誘している場合が多いですが、実態はヤミ金業者であることがほとんどですから、関わらないようにしましょう。

4、万が一、任意整理中に借入が必要になったら

冒頭でも触れたように、任意整理をはじめとする債務整理を行う人には、「手持ちのお金に全く余裕がない」という場合も少なくありません。

そのため、やむを得ない急な出費が生じた際には、どうしてもどこかからの借入に頼らざるを得ない場面に出くわす可能性もないとはいえません。

そのような場合、どうすればいいのでしょうか。

  1. (1)早急に弁護士に相談

    任意整理中にお金を借入れする必要が生じたときには、早急に任意整理を依頼している弁護士に相談すべきです。特に、債権者と和解交渉がまとまる前の借入は、事前に弁護士に相談をした上で、その指示にしたがって対応する必要があるといえます。

    「弁護士に怒られたくない」「借入の相談なんて恥ずかしい」と感じる人もいるかもしれませんが、丁寧に事情を説明すれば、弁護士が依頼人を叱りつけるようなことはありません。弁護士は依頼人の味方だからです。

    また、債務整理の経験が豊富な弁護士であれば、このような状況も数多く経験していますので、それぞれの事情に応じて、最善の対処方法をアドバイスしてもらえます。

  2. (2)公的支援を受けられる場合

    任意整理中に借入が必要となった場合には、公的な支援を受けることでお金を工面する(支出を回避する)ことも有効な方法です。

    たとえば、当座の生活費が足りないという状況では、緊急小口資金貸付を利用できる場合がありますし、住民税や国民健康保険、国民年金の納付は、減免などの救済措置を受けられる場合があります。

    これらの公的支援については、お住まいの地域の社会福祉協議会が広く相談を受けつけていますが、任意整理を依頼した弁護士にも相談することも可能です。

5、まとめ

任意整理を検討している方や、現在任意整理中という方には、「またお金が足りなくなったらどうしよう」という不安を感じている人は少なくないと思います。

しかし、任意整理中の借入は、借金解決のために行ってきたこれまでの努力を台無しにしてしまう可能性があるだけでなく、ヤミ金被害に遭うことで、状況を一気に悪化させてしまうリスクにもつながる非常に危険な行為です。

万が一、どうしても任意整理中に借入が必要となった場合には、必ず任意整理を依頼した弁護士に相談し、その指示にしたがって対応するようにしましょう。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
オフィス
[実績]
・債務整理の相談件数 36万8091件
  ※集計期間:2011年2月~2022年12月末
・過払い金請求 回収実績件数 90253件
・過払い金請求 回収実績金額 1067億円以上
  ※集計期間:2011年2⽉〜2022年12⽉末
[拠点・弁護士数]
全国76拠点、約350名の弁護士が在籍
※2024年10月現在
[設立]
2010年(平成22年)12月16日

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