債務整理 弁護士コラム
詐欺の被害にあった場合には、それ自体の被害が生じるだけでなく、詐欺のために多額の借金を抱えてしまうケースもあります。悪質商法にひっかかってしまったために、高額な商品を借金して買ってしまった、結婚相手のために借金してお金を工面したら結婚詐欺だった、という場合がその典型例といえるでしょう。
被害にあった場合、そもそも借金を返済できるお金もなくなってしまったというケースが少なくないでしょう。しかし、詐欺が原因であったとしても借金の返済義務はなくなりません。このような場合、返済できなくなった借金をどのようにして解決すべきなのでしょうか?
本コラムでは、べリーベスト法律事務所の弁護士が、「詐欺の被害にあって生じた借金」の問題に対処する方法を解説します。
詐欺行為にひっかかってしまったために借金を作ってしまった場合には、「自分は被害者なので借金も何とかならないか」と思う人も多いと思います。また、詐欺の加害者からの返金分で借金を返済したいと考える人もいるかもしれません。しかし、実際にはどちらの対応も難しいといえます。
悪質商法にひっかかってしまい、全く価値のないものを購入するためにカードローンやクレジットカードなどで借金をしたという場合には、借金の動機に問題があるといえます。
このようなケースでは「商品に全く価値がない」ということがあらかじめわかっていれば、借金をすることもなかったはずといえるからです。
しかし、このような場合でも借金の返済を免除してもらうのは難しいといえます。消費者金融や銀行などの金融機関は詐欺行為の相手方ではなく、借金の原因が詐欺行為であったとしても、金融機関との関係では主張することができません。
詐欺行為それ自体は、民法96条によって取り消すことが可能です。また、詐欺行為は不法行為であるともいえるので、相手方(加害者)に対して、損害賠償請求(民法709条)などを行うことも法律上は可能ですから、詐欺に伴う借金の返済額などを請求することも不可能ではありません。
①加害者に損害賠償請求するために必要なこと
しかし、これらの手続きを行うためには、加害者の氏名(名称)・住所などを特定する必要があるだけでなく、仮差押えなどの手続きで賠償の原資となる財産も確保しておく必要があります。詐欺の加害者が、本当の氏名・名称を用いることは少ないでしょうし、詐欺をはたらいたあとに逃亡してしまう、財産を使い切ってしまう(隠してしまう)ことは十分に考えられるからです。
②警察に逮捕されたらお金は返ってくるのか
詐欺被害にあった場合には、警察に被害届を提出しますので「加害者が逮捕されればお金が返ってくる」と考えるという人も多いのではないかと思います。しかし、残念なことに加害者が警察に逮捕されたとしても、被害の全額が返ってくる保証はありません。加害者側が詐欺で集めた金銭をそのまま全額残しておくということはあまりないからです。
もっとも、加害者が逮捕されたときには、減刑を得るために被害者との示談を希望する場合が多いといえ、一定の賠償を得られる可能性は高いといえます。しかし、加害者(及びその家族に)十分な資力がない場合には、借金を完済できるほどの賠償金を得られないという場合もあるわけです。
さらに、警察が加害者を逮捕するまでには一定の期間がかかります。被害届の提出から数日・数週間程度で加害者が逮捕され(示談によって)被害が回復されるということは、現実的には期待できない場合の方が多いでしょう。また、加害者が逮捕されるまで返済を待ってもらうことも、基本的には難しいことといえます。
詐欺被害で借金を作ってしまう人のなかには、「詐欺にあう前からすでに借金を抱えていた」という事情の人も多くいられます。多額の借金を抱えている人は、借金の全くない人に比べて詐欺被害にあいやすい、という傾向があるのです。
また、ある詐欺にひっかかってしまったことで、さらに別の詐欺被害にあうリスクも高くなり、被害が膨らんでしまうというケースも珍しくありません。
借金があると詐欺被害にあいやすくなる主な理由としては、次の2つの事情を挙げることができます。
「借金返済が苦しい」と感じるような状況は、精神的にも大きな負担となっている場合が少なくありません。そのため、「借金の一括返済」などを狙ってリスクの高い取引に手を出してしまうケースも少なくありません。「借金を早く返したい」という焦る気持ちが詐欺行為に気付けるだけの冷静さを失わせてしまうというわけです。
また、詐欺被害は、加害者と契約する前に家族などに相談できれば防げるケースも多いといえます。これらの甘い話は他人の方が冷静に判断できる場合が多いからです。しかし、上の場合のように借金返済を目的にリスクの高い取引にのぞむことは、家族にも相談しづらいといえますし、そもそも借金それ自体が家族に内緒である場合も多いといえるでしょう。
近年では、詐欺の手口それ自体がかなり多様になっています。悪質な訪問販売やリフォーム詐欺、振り込め詐欺、結婚詐欺といった古典的なよく知られた手口だけでなく、人の弱みや心の隙が、さまざまな手口によって巧妙に狙われているのです。「甘い話には裏がある」と昔からいわれるように、「怪しい儲け話」などは十分注意する必要があるでしょう。
すでに借金をしている人が被害にあいやすい詐欺の主な手口としては、以下のようなものがあります。
①貸します詐欺
貸します詐欺とは、金融機関を装い「お金を貸します」といった内容のダイレクトメールや携帯メールなどを送付し、融資を受けるための「保証金」や審査・調査料などの名目で金銭などをだまし取る手口です。融資詐欺・保証金詐欺といった名称で呼ばれることもあります。
詐欺被害で多額の損害が生じた場合や、多額の借金を抱えている場合などには、家計が苦しくなっていることも多い反面、すでに正規の金融機関からは借りられない(審査に通らない)状況になっていることも少なくありません。特に、「何かしらの支払い日が迫っているが、お金が足りない」という状況に陥っているときには、このような詐欺にひっかかってしまう可能性が高くなるでしょう。
②投資詐欺
架空の儲け話などに勧誘してお金をだまし取ることは、詐欺の手口のなかでも古典的なものです。
具体的な例としては次のようなものがあります。
これらの詐欺では、巧みなシナリオが練られていることも多く、一般の人にとっては確かな話なのか怪しい話なのかの判断が難しいということも珍しくありません。上でも述べたように日頃から「甘い話には必ず裏がある」と警戒しておくことが、詐欺被害にあわない一番の対処法といえるでしょう。
③悪質な情報商材など
悪質な情報商材の典型例は、いわゆる「必勝法」などの類です。これらの情報商材は、その内容の価値に対して価格が法外で、詐欺的な商材も少なくありません。また、最近は、インターネットカジノや、ブックメーカー(海外の賭け屋)を対象とした情報商材なども増えています。
しかしながら、競馬・競艇といった公営ギャンブル、株・FXなどの投機行為などで「必ず儲かる」ということは確率的にはあり得ないことです。これらの情報商材に手を出してしまえば、商材購入費用として多額の支払いが生じるだけでなく、ギャンブルなどでさらに負債を増やしてしまうリスクがあることにも注意しておくべきでしょう。
また、これらの情報商材では「返金保証」をうたっているものも少なくありませんが、返金を巡ってトラブルになるケースも少なくないのです。
④フィッシング詐欺
フィッシング詐欺とは、インターネットなどを通じて被害者のクレジットカード情報や銀行口座の情報などを盗み出す手口のことです。カード情報などが盗まれれば、不正利用されるリスクも高くなります。
最近では、著名人がSNSなどの媒体で「お金を配ります」といった投稿をするケースも増えていますが、これらの投稿には、著名人のアカウントを装っているだけでフィッシング行為が目的となっているものも少なくありません。
ここまで解説してきたように、借金のきっかけが詐欺にあったという場合でも借金の返済を免除してもらったり、待ってもらったりすることはできません。
自分では借金返済ができないという場合には、詐欺のために作ってしまった借金を「債務整理」で解決するのがベストといえるでしょう。債務整理をすれば、借金の負担を減らすことが可能であるためです。
弁護士に債務整理を依頼すると、債務整理によって借金返済の負担を軽くできるだけでなく、金融機関からの取り立てや毎月の返済をストップさせることができます。
ケースによっては、返済をストップさせて債務整理の手続きを進めている間に、詐欺の加害者が逮捕され損害が回復されるとい場合もあるのです。
詐欺の被害にあってしまった場合には、さらに別の詐欺のターゲットにされてしまう可能性も高くなります。詐欺をはたらく悪質業者・違法業者は、顧客情報(詐欺被害者の情報)を共有していることが多いためです。
しかし、弁護士に相談や依頼をしていれば、信頼できる専門家が身近な相談相手となるわけですから、詐欺の二次被害や三次被害にあうリスクはかなり低くなるのです。
詐欺の被害にあい、それにより多額の借金を抱えることには、甚大な精神的苦痛が生じるでしょう。
しかし、被害にあったからといって、借金の返済が免除してもらえるということはありません。
また、返せない借金を放置してしまうと、状況はさらに悪化し、その分だけ新たな詐欺被害にあってしまう可能性も高くなるのです。
弁護士に債務整理を依頼すれば、それぞれの状況に応じた最善の方法で借金返済の負担を軽減することができます。また、詐欺や借金の問題は、安心できる相談相手ができることでよい方向に向かうことも少なくありません。ベリーベスト法律事務所では、借金の相談を何度でも無料でお受けいただくことができますので、お困りの際には安心してお問い合わせください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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『旦那や家族には言っていないけど、実は私、借金を抱えてます…』
実は、主婦で借金を抱えている人は多く、それを言えずに悩んでいる方もたくさんいるのが現状です。もしかしたらこの記事をご覧のあなたも、そういった悩みをお持ちなのかもしれません。
一人で悩むことなく、主婦で借金をしている人は意外と多いということを知っていただいて、ぜひご自身の借金返済について前向きに考えていってください。この記事があなたにとって、ご参考になれば幸いです。
これから債務整理をしようと考えている方の中には、債務整理後にキャッシングできるのか、債務整理中にお金が足りなくなったときキャッシングを利用することは認められるのかと、お悩みの方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、債務整理をしたことで、キャッシングなどを法律で禁止されるわけではありません。
しかし、債務整理をすると信用情報に事故情報が登録される(ブラックリスト入りする)ので、ほとんどの金融機関は、融資に応じてくれなくなります。
親子であっても、他人の借金を返済する義務は原則としてありません。肩代わりするかどうかは、基本的に子ども自身の判断で自由に決められます。
しかし親の借金でも子どもに返済義務が生じることがあり、借金を放置すると子どもが差し押さえを受けることにもなりかねません。
本コラムでは、親の借金が降りかかってきた場合に、子どもはどのように対処すればよいのかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。