債務整理 弁護士コラム
「リボ払い」は毎月の返済額を減らすことができるので、便利な返済方法である反面、トラブルの原因にもなりやすい返済方法です。「リボ地獄」と言われることがあるように、利用の仕方を間違えてしまったことで返済しきれないほどの利用残額を抱えてしまうことも少なくないようです。
そこで今回は、クレジットカードのリボ払いを例に、リボ払いの基本的な仕組みや、リボ払いで失敗しないためのコツなどについてまとめてみました。
「リボ払いの残額がなかなか減らない」と感じている人は是非参考にしてみてください。
リボ払いは、基本的な仕組みを正しく理解しないまま利用している方も少なくありません。カード会社からなどの案内で「毎月の支払額が安くなるなら」と安易にリボ払いを利用することは非常に危険です。
そこで、まずはリボ払いの仕組みについて確認しておきましょう。
リボ払いは分割払いで返済する方法の1つです。そのため、通常の分割払いとリボ払いとの違いがよくわからないという方は意外と少なくないようです。
リボ払いと分割払いとの一番の違いは、以下のように、毎月の支払額を決める基準が違うところにあります。
つまり、通常の分割払いは、「個別の決済の積み上げ」によって毎月の返済額が決まるのに対し、リボ払いは(リボ払いの対象とした)すべての取引の合計額を分割で返済することになります。
リボ払いを利用した場合の毎月の返済額は、これから解説する2つのルールについてどちらを採用するかによって異なってきます(2×2の4つの決まり方のどれかになります)。
①定額制と残高スライド方式
リボ払いの支払額は「毎月定額」であると説明される場合が多いようです。しかし、実際には、どのような場合であっても定額(最初に設定した金額)で固定というわけではありません。
後にも解説するようにリボ払いでは、「毎月の返済額<毎月の利用額」という状況になりやすく、完全定額制にしてしまうと「いつまでも返済が終わらない」状況になってしまう可能性があるからです。
そこで、実際のクレジットカードのリボ払いでは「残高スライド方式」が採用されている場合がほとんどです。
残高スライド方式とは、その名称のとおり、利用残額に応じて毎月の返済額が変動する(利用総額が一定額を超えると返済額も多くなる)仕組みのことをいいます。
②元金均等返済と元利均等返済
リボ払いには、借金の場合の金利・利息に相当する「手数料」が発生します。
元金均等返済と元利均等返済というのは、手数料の支払い方に関する仕組みで、次のような違いがあります。
たとえば、返済額が毎月2万円である場合であれば、元金均等返済なら「元金が毎月2万円ずつ減っていく」ということになりますが、月の返済額は「2万円+手数料額」ということになります。
これに対して、元利均等返済であれば、毎月の支払額が2万円で固定となる代わりに、手数料を差し引いた分しか元金は減らないということになります。
簡単にまとめれば、元金均等返済は「毎月の返済額が多少多くなる代わりに早く完済できる返済方法」、元利均等返済は「毎月の返済額を固定にできる代わりに、返済期間が長くなる(支払総額が多くなる)返済方法」ということができます。
なお、クレジットカードの場合には、元金均等返済・元利均等返済はカード会社が最初から決めていて自分では選べない場合も少なくありません(カードローンの返済はほぼ例外なく元利均等返済になります)。
リボ払いの基本的な仕組みは以上のとおりになります。しかし、リボ払いの仕組みは、やや複雑なので、正しく理解しないままなんとなく利用しているという方も少なくないようです。
そこで、以下では、20万円の商品Aと30万円の商品Bをクレジットカードで決済した場合を例に、リボ払いと通常の分割払いを比較してみます。
具体例を用いて、通常の分割払いとの違いを比較していきます。
①毎月の返済額の比較
通常の分割払いの場合には、「商品Aの分割額+商品Bの分割額」といったように、個別の支払いの積み上げによって毎月の返済額が決まります。
たとえば、どちらの商品も10回分割で購入したという場合であれば、毎月の支払額は20÷10=2万円+30÷10=3万円で「5万円」ということになります。
これに対して、リボ払いは、両方の代金合計30万円を設定額で分割していくことになるので、毎月2万円という設定額であれば、元利均等返済の場合には2万円、元金均等返済の場合には、「2万円+手数料」ということになります。
②後に取引が追加された場合
A・Bをクレジットカードで購入した後に、さらに10万円の商品Cを購入した場合の返済額は次のようになります。
③返済回数
通常の分割払いは、支払いに延滞がなければ、決済のときに決めた分割回数どおりで支払いが終わります。上の例の場合であれば、AもBもそれぞれ10回(10か月)で返済が終わります。
他方、リボ払いは、手数料の支払い方法(元金均等返済か元利均等返済か)や、その後の取引状況によって完済までの支払い回数が変動する点に注意する必要があります。
元金均等返済の場合には、利用額の返済に毎月2万円ずつ充てられることになるので、返済回数は、単純に利用残額を返済額で割った回数ということになり、今回のA・B説例では、50万円÷2万円=25回です(完済までの手数料は約8万円)。
元利均等返済の場合には、毎月の支払額から手数料を差し引いた分しか利用残額は減っていかないので、元金均等返済よりも返済回数も増え、その分だけ支払総額も増えてしまいます。説例のケースでは、手数料率を年15%とした場合であれば、返済回数は31回(完済までの手数料約10万円)となります。
特に、毎月のようにリボ払いで決済している人の場合には、その月の利用状況が「返済額<利用額」になってしまい、返済しているのに利用残額が増えてしまうこともあるわけです。
以上の説明を前提に、通常の分割払いと比較した場合のリボ払いのメリット・デメリットについても確認しておきましょう。
リボ払いは、「毎月の支払い額を定額(低額)にできる」というメリットばかりが強調されがちですが、デメリットも小さくないことに注意する必要があります。
リボ払いのメリットは「毎月の支払額を定額・低額にできる」ということです。
毎月の支払額が「決まった金額」であれば、返済のための資金繰りも計画的に行うことができます。また、一括払いや通常の分割払いと比べて、月ごとの支払額それ自体が少なくなれば、その分だけ負担が減ると考えることもできます。
そのため、クレジットカード会社から「リボ払いにすると返済額が減るので安心」といった趣旨の案内がされることも多いというわけです。
リボ払いを上手に利用すれば、「万が一カードを使いすぎてしまった」ということがあっても安心といえ、確かに、返済の負担が減るというメリットは魅力的です。
しかし、リボ払いには、次のようなデメリットがあることも忘れるべきではないでしょう。
これらのデメリットのうちで最も注意すべきは、「完済できないリスク」です。
リボ払いを利用したことで、毎月の返済額を減らしてしまえば、「カードを少し使いすぎてしまった」というだけで「利用残額が増える」ことになってしまうからです。リボ払いは、完済まで毎月手数料が発生するため、「完済までの期間が長くなる」ことで、分割払いよりもかなり高額な手数料を支払わされてしまうことも少なくありません。
いわゆる「リボ地獄」と呼ばれるようなケースのほとんどは、リボ払いのデメリットを正しく理解しないまま、「毎月の支払額が一定だから」とカードを使いすぎてしまったことが原因とするものです。
なお、通常の分割払いでは1・2回払いや、ボーナス1回払いのときには手数料は発生しないのが一般的です。したがって、これらの支払い方法で対応できるものをリボ払いすることは、負担しなくても良かった手数料を負担しているという点で、かなり損をしているといえます。
リボ払いでの失敗の多くは、リボ払いという返済方法のリスク・デメリットを正しく理解していないことを原因としています。
上で解説したリボ払いのデメリットをふまえれば、次の3点を意識することが、リボ払いを上手に利用する(デメリットを小さく、メリットを大きくできる)コツといえるでしょう。
リボ払いは、毎月の返済額を定額・低額にできる反面、手数料の負担が大きくなる仕組みです。その意味では、リボ払いそれ自体は「利用者にとっては不利な返済方法」ということができます。毎月の返済額を少なくできても、完済までの支払総額が多くなってしまうのであれば、低額・定額は有利であるとはいえないからです。
したがって、リボ払いを上手に使う上で一番重要なことは「できるだけ利用しない」ということ、つまり、「クレジットカードはできる限り1回払いを原則とする」ということです。
一回払いでは決済できないものは、「できるだけ買わない」ことを心がけるのが、クレジットカードでトラブルにあわない一番の方法といえますが、どうしても分割払いを利用しなければならないときには、2回分割やボーナス一括払いといった「手数料負担のない」支払い方法を上手に活用することもクレジットカードを上手に使うコツといえます。
すでに解説したように、リボ払いはその月の返済額よりも利用額の方が大きくなりやすいことに注意する必要があります。
毎月2万円ずつしか返済していないのに、毎月4万円ずつリボ払いで決済していれば、「毎月2万円ずつ残額が増えていく」ということは、明細を見ればすぐにわかることですが、クレジットカードでトラブルを抱えてしまう人には、「毎月の利用状況を把握できていない」という方が少なくありません。
特に、近年では、ペーパーレス化の影響で、「紙の明細書」を無料で送付してくれるクレジットカード会社も減りつつあります。ウェブ明細は、アクセスすればいつでも見られ、過去の明細も確認できる点では非常に便利なのですが、「全く確認しない」という人も少なくないようです。
リボ払いの大きなデメリットである手数料の負担は、「繰り上げ返済」でカバーすることができます。
繰り上げ返済とは、カード契約にしたがって行われる毎月の返済(約定返済)とは別に、「追加で行う返済」のことです。約定返済に追加をして返済を行えば、それだけ残元金(利用残額)の減りも早くなるので、手数料の負担も小さくなるというわけです。
カードのリボ払いの繰り上げ返済は、月に数千円、年間数万円程度の金額でも大きな効果があることが少なくありません。「今月は出費が少なくて余裕がある」、「臨時収入が入った」というときには、積極的に繰り上げ返済を行うようにしましょう。
万が一、リボ払いの返済苦しくなった場合には、その原因に見合った方法で早急に対応することが大切です。クレジットカードのリボ払いの支払いのために、消費者金融や銀行のカードローンからさらに借金するようなことになれば、状況は加速度的に悪化していきます。
リボ払いには、銀行カードローンの金利と同程度の手数料が発生します。「クレジットカードの手数料くらい大丈夫」と思っている方もいるかもしれませんが、実際の負担は小さくありません。また、リボ払いは、対象の利用残額全体に対して手数料が発生するので、通常の分割払いよりも高い手数料を長く支払わされることになってしまいがちです。
手数料の負担が重いという場合には、リボ払いの手数料よりも安い金利の借金で借り換えることも解決方法のひとつといえます。
たとえば、労働組合のある会社に勤務している場合であれば、「ろうきん」からかなり低金利の融資を受けられる可能性があります。公務員であれば、それぞれの共済組合の貸付を利用して対応できる場合があります。
また、家族や親族といった身近な人からカードの返済分を無利子でまとめて借りられるのであれば、手数料の負担を一気に軽減できます。
リボ払いの残額それ自体がかなり多額になってしまったという場合や、何かしらの事情で収入が激減してしまったという場合には、いわゆる借り換えではリボ払いの返済ができるようにならない場合もあるでしょう。ケースによっては、そもそも借り換えの審査に通らないということもあるかもしれません。
そのような場合には、カードローンが返せなくなった場合と同様に、債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)をすることで、今後の手数料や利用残額の支払いを減免してもらうことができます。
支払いの負担が減る程度は、それぞれの状況によって異なりますが、概ねの目安は次の通りです。
クレジットカードには限度額がありますので、そのリボ払いだけが問題であれば、収入が完全に途絶えたという事情がある場合を除いては、自己破産せずに解決できる場合が多いといえます。また、ケースによっては、一部のカードのみを任意整理すれば解決できる(他のカードはこれまでどおりに支払う)こともあります。一般的には、利用残額が少ないほど、解決のコストも小さくなるので、早めに相談することが大切といえるでしょう。
カードのリボ払いが苦しいときには、過去にカードで購入した代金完済前のブランド品などを処分して、その代金でカードの支払いを行うことを考える方もいるかもしれません。
しかし、このような行為は、カード規約に違反する行為なので絶対にすべきではありません。一般的なカード規約では、代金を完済する前の商品は、カード会社に所有権を留保された状態になっているからです。規約違反に該当する行為が判明したときには、カード契約が解約となり残額を一括請求されるおそれがあります。毎月の支払いが苦しいというときに、一括請求されるような事態になれば、状況も一気に行き詰まってしまいます。
また、クレジットカードのショッピング枠の現金化を謳う業者の多くは悪質業者ですから関わらないようにしましょう。
リボ払いは、メリットだけでなくデメリットもある返済方法です。カード会社などが案内するように「毎月の支払額を定額・低額にできる」という部分だけに気を取られてしまうと、思わぬ落とし穴にはまってしまうこともあります。
何かしらの事情でリボ払いの返済が苦しくなってしまった場合には、できるだけ早いタイミングで誰かに相談することが重要です。返済が苦しくなると、気持ちの焦りから誤った対応をとってしまいがちで、状況をさらに悪化させてしまうことも多いからです。
とはいえ、「カードの支払いが苦しい」ということは、家族だからこそ相談しづらいということもあるかもしれません。弁護士であれば、秘密は厳守されますし、リボ払いが苦しいことについてしかられることもありません。
カードの支払いや借金についての相談は、無料で受けられる事務所が増えています。相談を受けるだけでも問題がよい方向に向かう場合が多いといえますので、リボ払いで困ったことが起きたときには、1日も早く相談してみるとよいでしょう。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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『旦那や家族には言っていないけど、実は私、借金を抱えてます…』
実は、主婦で借金を抱えている人は多く、それを言えずに悩んでいる方もたくさんいるのが現状です。もしかしたらこの記事をご覧のあなたも、そういった悩みをお持ちなのかもしれません。
一人で悩むことなく、主婦で借金をしている人は意外と多いということを知っていただいて、ぜひご自身の借金返済について前向きに考えていってください。この記事があなたにとって、ご参考になれば幸いです。
これから債務整理をしようと考えている方の中には、債務整理後にキャッシングできるのか、債務整理中にお金が足りなくなったときキャッシングを利用することは認められるのかと、お悩みの方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、債務整理をしたことで、キャッシングなどを法律で禁止されるわけではありません。
しかし、債務整理をすると信用情報に事故情報が登録される(ブラックリスト入りする)ので、ほとんどの金融機関は、融資に応じてくれなくなります。
親子であっても、他人の借金を返済する義務は原則としてありません。肩代わりするかどうかは、基本的に子ども自身の判断で自由に決められます。
しかし親の借金でも子どもに返済義務が生じることがあり、借金を放置すると子どもが差し押さえを受けることにもなりかねません。
本コラムでは、親の借金が降りかかってきた場合に、子どもはどのように対処すればよいのかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。