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過払い金の無料調査のメリット・デメリット|正しい過払い金の調査方法

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更新日:2023年06月16日 公開日:2020年10月14日

過払い金の無料調査のメリット・デメリット|正しい過払い金の調査方法

テレビや雑誌などで目にすることのある過払い金請求。
過去に借金で苦しんだ経験のある方であれば「私にも過払い金があるかもしれない」と考えるでしょう。

しかし、一般の方にとって過払い金があるかどうかの調査は手間暇のかかる難しい作業というイメージが強いでしょう。
また、あるかどうかわからない過払い金の調査に費用をかけたくないと考える方も少なくありません。

そんなときに便利なのが、「過払い金の無料調査」です。
しかし、過払い金の無料調査はメリットばかりというわけではありません。

そこで今回は、
●過払い金の無料調査のメリット
●デメリット
●利用時の注意点
などについてまとめてみました。

「もしかしたら、わたしにも過払い金があるかもしれない」と考えている方はぜひ参考にしてみてください。

1、過払い金の有無を調査する正しい方法

まずは、過払い金を調査する正しい方法について確認しておきましょう。

きちんとした過払い金の調査方法を知らなければ、無料調査のメリット・デメリットを正しく理解することもできないからです。

  1. (1)借金の契約内容・取引内容を把握する

    過払い金は、過去の借金の返済に「本来払う必要がなかった利息」が含まれている場合に発生するものです。
    本来支払う必要がなかった利息というのは、法律が認めている上限金利(借金額に応じて15~20%)を超えている利息のことを指します。

    かつては、ほとんどの貸金業者・クレジットカード会社がこの上限金利をはるかに超える利率(年29%程度)で融資を行っていたために「過払い金」という問題が生じることになります。
    実際に過払い金が発生しているかどうかは、(過去の)借金の契約内容、取引(融資と返済)の状況を正確に把握しなければわかりません。

    しかし、過去の借金の契約書や領収書・明細書をきちんと保管している方はほとんどいないと思います。

    そこで、過払い金の有無を調査する際には、債権者に対して(過去の)借金の「取引履歴」を開示・送付してもらうように請求することになります。
    貸金業者などには、業法によって取引履歴の保存と開示が義務づけられているので、債務者(顧客)からの請求を拒否することはできません。

  2. (2)「引き直し計算」の実施

    債権者である金融機関から取引履歴を入手できたらすでに支払った違法金利分(=過払い金)の額を特定するための計算を行います。
    より簡単に説明すれば、過去に支払った利息分から適法金利の利息額を差し引くという計算になりますが、実務では「引き直し計算」とよんでいます。

    引き直し計算それ自体は、計算のルールさえわかっていれば手計算で行うことも不可能ではありませんが、かなりの手間がかかりますので、実際には専用のアプリケーションソフトを利用する場合がほとんどです。

    ウェブ上には、フリーウェア(無料)の引き直し計算ソフトも多数あるので、これらを利用すれば、法律事務所に依頼せずに自分で計算することも可能です。

  3. (3)過払い金の調査でよく生じる問題

    以上のように、過払い金の調査は、理屈の上では、やり方の基本を理解した上で無料のアプリケーションソフトなどを利用すれば、専門家ではない方でも十分可能な作業です。

    しかし、実際には、過払い金の調査の過程では次のような問題が起きることが多く、専門知識のない一般の人が自分だけで行うことは簡単ではないといえます。

    • 取引履歴が開示されるまでに時間がかかる
    • 取引履歴の開示方法に問題がある
    • 取引履歴が存在しない場合も


    まず、金融機関から取引履歴の取り寄せには、届くまでにかなりの時間がかかるケースが少なくありません。
    すべての金融機関がそうだというわけではありませんが、ケースによっては開示請求してから取引履歴が手元に届くまでに数か月以上かかる場合もあります。

    また、開示される方法に問題がある場合も珍しくありません。たとえば、ファックスで延々と過去の履歴を送付されるようなことになれば、大変迷惑と感じるでしょう。

    さらに、昔の借金についての取引履歴については、「すでに記録を処分した」という理由で、開示そのものがない場合もあります(取引履歴の保存は、最後の取引日から10年までしか義務づけられていません)。

    取引履歴がない場合には、推定計算の手法で過払い金の額を算出することになりますが、一般の方が自力で行うのは簡単とはいえないでしょう。

2、過払い金の無料調査のメリット・デメリット

次に、過払い金の無料調査を利用することのメリット・デメリットを確認いたします。
あらゆるサービスには、メリットもデメリットもあるので、それらを正しく理解した上で、適切に利用することが大切といえます。

  1. (1)無料調査のメリット

    過払い金の無料調査のメリットとしては、次のようなものをあげることができるでしょう。

    • 費用がかからない
    • 取りあえずの結果が早くわかる


    無料調査の最大のメリットは、「費用がかからない」ことにあります。

    利用者としては、実際にあるのかどうかわからない過払い金のために費用をかけることに躊躇してしまうことが多いでしょうから、無料であることは大きなメリットといえます。

    また、無料調査のなかには、電話対応やオンラインでの入力のみで、過払い金の有無についての結論を示してくれるものもありますので、

    • 出掛ける必要がない
    • 数分で結果がすぐわかる


    という点もメリットといえるでしょう。

  2. (2)無料調査のデメリット

    上記で触れた無料調査のメリットは、デメリットの裏返しでもあることに注意しておく必要があります。

    すでに解説したように、過払い金の有無やその金額を正確に調査するためには、取引履歴を取り寄せ、引き直し計算を行う必要があります。

    電話応対やオンライン入力といった方法による簡易な調査では、実際の取引を正確に把握することは、ほとんど不可能といえるでしょう。

    したがって、無料調査の結果は「暫定的なもの」、「あるかもしれない(ないかもしれない)」という精度を超えるものではないということです。

    また、これから過払い金の調査を行うという場合には、取引履歴それ自体が存在しない(実際にあったとしても債権者は廃棄したと主張する)ケースもあるかもしれませんから、「無料調査の精度はかなり低い」と考えることもできます。

    特に、「過払い金の金額」については、無料調査で示される結論は「かなり精度が悪い」可能性が高いことには注意しておく必要があります。

    契約内容(実際の適用利率)も返済期間(返済額)についても正確な情報が得られてない状態での調査で正しい金額がわかるはずもないからです。
    なお、一部の法律事務所では、無料で取引履歴を取り寄せて正確な計算をしてくれるところもあります。

3、信頼できる法律事務所を選ぶことが重要

弁護士の実務において過払い金請求は、「違法金利の被害に遭った人の救済」という観点だけでなく、「事務所のビジネス(いわゆる過払い金ビジネス)」としての側面があります。
特に「過払い金の無料調査」は、被害者救済よりも過払い金ビジネスのための営業行為として行われているケースは少なくありません。

そのため、依頼に結びつけるために、実際に発生している金額よりも多額の過払い金がある(かもしれない)と報告されたり、実際には過払い金があったとしても(儲けが少ないので)「過払い金は(ほとんど)ない」という結論を出される可能性も否定できません。

相談者・依頼人にとって過払い金の有無は、今後の生活設計にも大きな影響を与えることが少なくないといえるでしょう。

「過払い金の有無が特に重要」と考える場合には、無料・即時・お手軽といったキャッチーな宣伝文句にまどわされるのではなく、自分自身が「信頼できる」と感じる弁護士に調査を依頼することが大切といえます。

4、まとめ

過払い金の無料調査は、「費用いらず」、「お手軽」、「スピーディー」という点では便利な仕組みといえます。あるかどうかわからないもののためにコストをかけるのは抵抗を感じる人も多いからです。

しかし、他のサービスにおいてもそうであるように、無料のサービス、簡易なサービスには必ず限界があります。過払い金の有無やその金額を正確に把握するためには、それなりの時間と手間をかけて丁寧な作業をする必要があります。

したがって、無料調査の結果はあくまでも暫定的なものに過ぎませんので、最終的には過払い金の回収を安心してまかせられると思える専門家に依頼するのが一番よいでしょう。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
オフィス
[実績]
・債務整理の相談件数 36万8091件
  ※集計期間:2011年2月~2022年12月末
・過払い金請求 回収実績件数 90253件
・過払い金請求 回収実績金額 1067億円以上
  ※集計期間:2011年2⽉〜2022年12⽉末
[拠点・弁護士数]
全国74拠点、約360名の弁護士が在籍
※2024年2月現在
[設立]
2010年(平成22年)12月16日

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