債務整理 弁護士コラム

過払い金の発生条件とは? 発生の確認と多く回収する方法

2020年09月14日
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過払い金の発生条件とは? 発生の確認と多く回収する方法

消費者金融との取引を長期間続けたり、過去に借り入れをしたことがある方のなかには、自分に過払い金が発生しているかどうか知りたいという方も少なくないでしょう。

たしかに、消費者金融からの借り入れやクレジットカードによるキャッシングを利用したことがある、または利用中の場合は、過払い金が発生しているかもしれません。

しかし、これらの取引経験のある方の全てに過払い金が発生しているとは限りません。過払い金が発生するためには、条件があります。

また、過払い金が発生しているのであれば、少しでも多くの金額を取り戻したいところです。
そこで今回は、
・過払い金が発生する条件とはなにか
・過払い金が発生しているかを確認するにはどうすればいいのか
・発生した過払い金を多く取り戻すためにはどうすればいいのか
ということを解説していきます。

借金をしたことがある方や現在も借金を返済中の方で、過払い金の発生条件が気になっている方のご参考になれば幸いです。

1、過払い金の発生条件はひとつ

実は、過払い金が発生する条件はたったひとつしかありません。その条件とは何であるかは、過払い金とは何かを知ることで自然と分かります。
そこで、まず、過払い金とは何かを少しだけご説明します。

  1. (1)過払い金とは

    過払い金とは、貸金業者から法定の上限金利を超える高金利で借り入れたために、本来支払うべき利息よりも多くの額を支払ってしまった場合の、払いすぎた金額のことをいいます。

    現在では、正規の貸金業者であれば、法定の上限金利を超える高金利で貸し付けを行うことはなくなっていますが、以前は当たり前のように高金利で貸し付けが行われていました。

    高金利の約定に基づく借り入れ・返済の取引経過を法定金利に引き直して計算すると、本来返済すべき金額を超えて返済してしまっていることが判明することがあります。

    この、本来返済すべき金額を超えて返済してしまった部分が、過払い金です。
    過払い金については、貸金業者が取得できる理由はないので「不当利得」となり、支払った人はその返還を求めることができます(民法第703条、第704条)。

    この返還請求権は民法上の権利ですが、10年で消滅時効にかかることには注意が必要です。

  2. (2)グレーゾーン金利とは

    前項で、以前は当たり前のように高金利で貸し付けが行われていたとご説明しましたが、そのとき適用されていた金利は「グレーゾーン金利」と呼ばれるものでした。

    グレーゾーン金利とは、利息制限法の上限金利を上回るものの、出資法の上限金利は超えないために、罰則が科されない範囲内の金利のことです。

    違法ではあるけれど、貸金業者が処罰されることはないという意味で「グレーゾーン」と呼ばれています。
    利息制限法の上限金利は借入額に応じて15~20%と定められていますが、出資法の上限金利は法改正によって以下のように変遷してきました。

    • 昭和58年10月30日以前:109.5%
    • 昭和58年11月1日以降:73%
    • 昭和61年11月1日以降:54.75%
    • 平成3年11月1日以降:40.004%
    • 平成12年6月1日以降:29.2%
    • 平成22年6月以降:20%


    以上の金利と15~20%との差が「グレーゾーン金利」です。

    現在では、出資法の上限金利が利息制限法と同じ20%にまで引き下げられているため、グレーゾーン金利は消滅しています。そのため、債務者が利息を払いすぎることもなくなっています。
    しかし、以前は多くの貸金業者が上記のそれぞれの年代において、出資法の上限金利またはそれに近い金利で貸し付けを行っていました。

    したがって、古い取引であればあるほど過払い金が発生している可能性が高く、発生する過払い金の金額も高額になります。

  3. (3)たったひとつの発生条件とは

    過払い金は以上でご説明した仕組みで発生するものですから、発生条件としてはたったひとつで「グレーゾーン金利で取引をしたことがあること」です。

    平成12年5月までは40.004%もの金利で取引が行われても罰則がなかったため、かなりの高確率で過払い金が発生していました。
    しかし、それはずいぶん昔の事実であるため、今となっては10年の消滅時効が完成している可能性も高くなります。

    消滅時効の問題については、後ほど3(1)で詳しくご説明します。

2、過払い金の発生条件を満たす可能性がないケース

借金をしていても、上記の過払い金の発生条件を明らかに満たさないケースというのも存在します。
以下のケースに該当する場合は、残念ながら過払い金が発生する可能性はありません。

  1. (1)2010年6月18日以降の取引

    上記1(2)でも出資法の上限金利の変遷をご説明しましたが、2010年6月18日以降は出資法の上限金利が利息制限法と同じ20%に引き下げられました。

    出資法の上限金利に違反すると刑事罰が科されるため、それ以降はグレーゾーン金利で貸し付けを行う貸金業者はいなくなりました。

    そのため、2010年6月18日以降に初めて借り入れをした方については、過払い金が生じる可能性はありません。

  2. (2)銀行からの借金

    2010年6月18日より前から借り入れをしている場合でも、銀行からの借り入れについては過払い金が発生することはありません。

    なぜなら、銀行はもともと利息制限法の上限金利の範囲内で貸し付けを行っており、グレーゾーン金利での取引が存在しないからです。

    カードローンの他、住宅ローンやマイカーローン、事業ローンを含めて銀行から借金については過払い金が生じる可能性はありません。

  3. (3)クレジットカードによるショッピング

    クレジットカードの利用については、キャッシング枠については過払い金が発生する可能性がありますが、ショッピング枠においては過払い金が発生することはありません。

    なぜなら、ショッピングによるクレジットカード利用代金は借金ではなく立て替え金なので、利息制限法は適用されず、割賦販売法が適用されるからです。
    割賦販売法では上限金利の定めはないものの、政府からの通達によって出資法の上限金利に従うこととされています。

    いずれにしても、クレジットカードによるショッピングの利用代金の支払いにはグレーゾーン金利が存在しないため、過払い金が発生する可能性はありません。

3、過払い金の発生条件を満たしていても請求できないケース

次に、過払い金が発生する可能性があっても、実際には返還請求ができないケースもあります。それはどのようなケースなのかをご説明します。

  1. (1)消滅時効が完成している

    前記1(3)でも少しご説明しましたが、過払い金が発生していても返還請求をしないまま10年が経過すると消滅時効が完成し、返還請求はできなくなります。

    消滅時効期間がスタートするのは、最後の取引のときです。つまり、借金を完済した場合や、返済中であっても債務整理などによって取引をストップしてから10年以上が経過していると、過払い金返還請求権は時効消滅しています。

    ただし、10年以上前に完済した場合でも、消滅時効が完成していないケースはあり得ます。
    完済後に同じ貸金業者から再度借り入れをして、最後の取引から10年が経過していない場合には、完済前の取引と完済後の取引を一連のものとみなして、完済前に発生していた過払い金返還請求権は時効消滅していないと主張できる可能性があります。

    この主張が認められるかどうかは、さまざまな事情によって異なるので、該当する方は弁護士に相談してみることをおすすめします。

    なお、2020年4月1日以降は改正民法の施行により、消滅時効期間が一般的に「権利を行使することができることを知った時から5年間」に短縮されました(民法第166条1項1号)。
    ただし、2020年4月1日よりも前に発生していた過払い金返還請求権については従前どおり、10年の消滅時効期間が適用されます。

  2. (2)業者が倒産している

    過払い金が発生していても、返還を請求する相手である貸金業者が倒産してしまえば、もはや返還請求を行うことはできません。

    過払い金返還請求の件数の増加や、年収の3分の1までしか貸し付けができないという総量規制の影響などで、さまざまな消費者金融業者やクレジットカード会社が倒産したり、経営不振に陥ったりしています。

    そのため、業者が倒産まではしていなくても、業績悪化のために過払い金を全額取り戻すことが難しくなり、取り戻すまでに長期間がかかるケースが増えています。

    過払い金返還請求は、業者が倒産したり経営不振に陥ったりする前に行うことが大切です。

4、過払い金があるか確認する方法

過払い金が発生していても、借入先の貸金業者から「過払い金がある」と教えてもらえることはありません。過払い金が発生しているかは、自分で確認する必要があります。
ここでは、過払い金が発生しているかどうかを確認する方法をご説明します。

  1. (1)過払い金を計算する方法

    過払い金を調べるためには、まず借入先の貸金業者から取引履歴を取り寄せます。
    取引履歴とは、その貸金業者との借り入れ・返済の取引経過が全て記録された書類のことです。

    グレーゾーン金利で取引が行われていた場合、取引履歴には約定金利による取引の計算結果が記載されています。そのままでは過払い金が発生することはないので、全ての取引をひとつひとつ、利息制限法の上限金利に引き直して計算していきます。

    引き直し計算を手作業でやるのは大変ですが、利息計算ソフトを利用すれば簡単に計算することができます。
    利息計算ソフトはインターネットで探せばいろいろと見つかるので、ダウンロードしソフトを入手した上で引き直し計算を行いましょう。

  2. (2)過払い金が発生しているかどうかの目安

    過払い金がいくら発生しているかを確認するためには、上記でご紹介した引き直し計算をする必要があります。しかし、過払い金が発生しているか発生していないかを判断するだけなら、簡単な目安があります。

    2006年までにグレーゾーン金利による取引を継続していた場合は、過払い金がある可能性が高いです。

    もちろん、事情によって結果は異なりますので、考慮すべき事情を次にご説明します。

    ●借入時期
    出資法の上限金利の引き下げによりグレーゾーン金利が撤廃されたのは2010年6月ですが、多くの貸金業者はそれに先だって2006年頃からグレーゾーン金利での貸し付けを取りやめています。

    したがって、2006年以降の取引から過払い金が発生することはないわけではありませんが、発生する可能性は低くなります。

    借り入れの時期が古ければ古いほど、消滅時効の問題はありますが、過払い金が発生している可能性は高くなります。

    ●借入額
    返済した金額との兼ね合いにもよりますが、借入額は小さければ小さいほど過払い金が発生している可能性が高くなります。

    借入額が小さいほど高い金利が適用されている傾向にあるので、その意味でも借入額は小さい方が過払い金の発生している可能性は高いのです。

    ●返済期間
    多くの方は、一度借り入れをした後は返済と借り入れを繰り返しています。

    返済期間が長ければ長いほど、グレーゾーン金利によって払いすぎとなる利息が重なっていくため、過払い金が発生する可能性が高くなります。

    また、返済期間が短期間であっても、グレーゾーン金利で取引をしていた以上、完済した場合は確実に過払い金が発生しているはずです。

  3. (3)借入先を忘れたときの対処方法

    過払い金を調べようと思っても、完済してから期間が経過して、どの業者から借り入れをしていたのか覚えていないという方もいらっしゃるかもしれません。

    そんなときは、信用情報機関にご自分の信用情報の開示請求を行うことで、以前に借り入れをした貸金業者を調べることができます。

    信用情報機関に次の3つがあるので、これらの機関に開示請求をしてみましょう。

    • CIC(株式会社シー・アイ・シー)
    • KSC(全国銀行個人信用情報センター)
    • JICC(株式会社日本信用情報機構)


    ただし、信用情報は契約終了後5年で消去されるので、開示請求は早めに行った方がいいでしょう。

5、過払い金返還請求のデメリット

過払い金返還請求をすることは、自分の財産を取り戻すための正当な権利行使ですが、実はデメリットもあります。
ここでは、どのようなデメリットがあるのかご説明します。

  1. (1)ブラックリストに載る可能性

    ブラックリストとは、借金の返済を滞納するなどして信用情報機関に事故情報が登録されることを意味します。

    グレーゾーン金利での取引があっても、現在も返済中で利息引き直し計算の結果、元本は減るものの借金の残高があるケースがあります。この場合に元本を減らす整理をすると、返済すべき借金を約定どおりに返済しないことになるので、ブラックリストに載ってしまいます。

    一方、すでに完済した場合や、返済中であっても利息引き直し計算の結果、元本を全て支払い済みになる場合はブラックリストに載せられることはありません。

  2. (2)請求した業者からは借入できなくなる

    上記のいずれの場合でも、過払い金返還請求をした場合、貸金業者は新規の借り入れに応じてくれなくなることがあります。

    借り入れができなくなるのはメリットと考えることもできますが、クレジットカード会社に過払い金返還請求をする場合は要注意です。
    クレジットカードのキャッシング枠の過払い金返還請求をした場合、ショッピング枠も含めてそのクレジットカードは使えなくなる可能性が高いからです。

    そのクレジットカードをさまざまな料金の引き落としに利用している場合は、滞納が発生するおそれがあるので、過払い金返還請求をする前に引き落としカードを他社のカードに変更しておきましょう。

6、過払い金を多く取り戻す方法

この記事でご説明してきた内容によって、過払い金が発生していることが明らかになった場合、少しでも多くの過払い金を取り戻したいと思われることでしょう。できる限り多くの過払い金を取り戻すためには、以下の対策をとることが重要です。

  1. (1)早期に請求する

    前記3(1)でご説明したとおり、過払い金返還請求権には消滅時効があります。

    現在は、新たな過払い金は発生しなくなっているので、時間がたてばたつほど、過払い金返還請求権が時効消滅する可能性が高まります。

    また、大手以外の消費者金融業者は業績が悪化しているところが多く、請求するのが遅れれば遅れるほど、倒産や経営不振により過払い金を取り戻すことができなくなる危険性が高まります。

    時効消滅や倒産などの危険性を回避するためには、少しでも早く過払い金の返還を請求することです。

  2. (2)裁判をする

    最近は、経営が苦しい消費者金融業者が多いためか、裁判外の和解では過払い金を全額取り戻すことはほとんど不可能になっています。

    場合によっては1~2割程度の返還でしか和解に応じない貸金業者もあります。しかし裁判をして勝訴すれば、強制的に過払い金を取り戻すことができます。

  3. (3)弁護士に依頼する

    和解交渉にせよ裁判にせよ、過払い金返還請求を行うには、ある程度の専門的な知識や交渉力が必要になります。
    ご自分で過払い金返還請求を行っても、プロである貸金業者と対等に渡り合うことは難しいのが現実です。

    過払い金返還請求で後悔しないためには、法律のプロである弁護士に依頼し代理で交渉してもらうことをおすすめします。

7、まとめ

過去に借金をしたり、現在も返済中の方であれば、過払い金があるかどうかは気になるところでしょう。

しかし、気にしているだけでは過払い金を取り戻すことはできません。過払い金が発生していても、気付いたときには時効で消滅していたということにもなりかねません。

過払い金の発生条件が気になる方は、お早めに弁護士にご相談されることをおすすめします。ベリーベスト法律事務所では、債務整理に関するご相談は何度でも無料で受け付けております。ぜひお気軽にご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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