債務整理 弁護士コラム
督促状は、借金を滞納したときに債権者から送られてくる書面です。自宅に突然、督促状が届くと、多くの人は驚き、動揺してしまうことでしょう。督促状を受け取っても、「どうせ支払えない」といった理由で無視する人も少なくありません。
しかし、放置しても借金の返済から逃れることはできず、最終的には給料や預金などを差し押さえられる恐れがあります。支払えない場合には、早めに適切な対処法をとることが重要です。
本コラムでは、督促状がどのような意味を持つ書面なのか、督促状を無視してはいけない理由、どうしても借金を支払えないときの対処法について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
まずは、督促状とは何かについて、ご説明します
督促状とは、借金を返済期限までに返済しなかった場合に、債権者から送られてくる書面のことです。債務者に対して、「早めに返済してください」と、返済を促すという意味を持ちます。法的に何らかの効力を発生させるものではなく、無視したからといって、ただちに差し押さえが行われるわけではありません。記載内容も、返済をお願いするニュアンスとなっていることが多く、債務者に危機感を抱かせるような威圧的な文言は一般的に記載されていません。
督促状が送られてくる時期は債権者によって異なりますが、滞納が発生してから数日後~1週間後くらいに送られてくることが一般的です。
滞納を続けると、いくつかの種類の書面が何度も送られてきますが、最初に送られてくるのが督促状です。
「催告書」は、督促を何度繰り返しても債務者が返済しない場合に、最後通告の意味で送られてくる書面です。法律上も、債務者が催告書を受け取ってから6か月間は消滅時効の完成が猶予されるという意味を持っています(民法第150条1項)。催告書が届いたら、いつ裁判を起こされてもおかしくないので、早急に対処することが必要です。
「支払督促」は、債権者が簡易裁判所に申し立て、債務者に対して支払いが命じられた場合に、簡易裁判所から送られてくる書面のことです。支払督促を受け取って放置したまま2週間が経過すると、債権者は差し押さえの手続きに進むことが可能となります。債務者としては、やはり早急な対処が必要です。
督促状が届いたら、まずは落ち着いて、架空請求でないかどうかを確認すべきです。裁判所や公的機関のような名称をかたった架空請求のハガキに対しては、無視することが最善の対処法です。
ご自身が実際に滞納している借金に関する督促状であることが確認できたら、以下のように対処していきます。
借金を滞納してから長期間が経過している場合は、消滅時効が成立していないかを確認しましょう。貸金業者やクレジットカード会社からの借金の時効期間は、最後の取引から5年です(民法第166条1項1号)。その間に債権者から裁判を起こされず、支払い猶予を求めたこともなければ、消滅時効が成立している可能性が高いです。
消滅時効が成立している場合には、「時効の援用」を行うことが重要です。時効の援用をしなければ借金は消滅しません(民法第145条)ので、債権者からさらに督促を受け、返済や債務の承認などをしてしまうと、消滅時効を主張できなくなる恐れがあります。
時効の援用をするには、「消滅時効援用通知書」を作成し、内容証明郵便で借入先に送付するのが一般的です。
督促を受けた借金について消滅時効が成立していない場合には、その借金を返済する義務を負っています。早めに返済して、滞納を解消することが重要です。
そのためには、家計の収支を見直したり、家族や親戚などに協力を依頼する必要があるかもしれません。このとき、新たな借金をすることは控えるべきです。返済のために借金をすると金利の負担が重くなるため、借金が膨れ上がってしまう可能性が極めて高くなります。
どうしても支払えないときには、債務整理を検討すべきです。債務整理とは、合法的な手続きによって借金の減額または免除が認められる救済制度のことです。
貸金業者やクレジットカード会社などは、督促状を無視する債務者に対しては厳しく対処しますが、正式に債務整理の手続きをとった場合には協力してくれます。借金問題を放置せず、債務整理で解決することを考えましょう。
督促状が届いたら、決して無視してはいけません。無視すると、以下のように債権回収の手続きが進められていき、最終的には生活に支障をきたす恐れもあります。
督促状を無視していると、何度も債権者から書面や電話で督促されます。書面の記載内容や、電話での担当者の口調も次第に厳しくなってくるので、精神的な負担も重くなります。
また、家族に借金のことを秘密にしている場合、債権者から何度も連絡がくることにより、家族に借金のことを知られてしまうリスクも高まることに注意が必要です。携帯や自宅への連絡を無視していると、職場に債権者から電話がかかってくることあります。
借金を滞納している間は、遅延損害金が加算されます。遅延損害金の利率は、14.6%~20%程度が一般的です。通常の利息の金利よりも高く設定されていることがほとんどなので、放置していると返済額が増えていきます。
滞納が2~3か月続くと期限の利益を失い、残高の一括返済を請求されます。期限の利益とは、返済期限までは残りの借金を返済しなくてよいという債務者の利益のことですが、これを失うと、基本的に分割払いは認められません。
その後は残高全体に遅延損害金がかかるため、短期間のうちに返済額が膨れ上がりがちです。
連帯保証人がいる場合には、連帯保証人も債権者から返済の請求を受けてしまいます。連帯保証人は主債務者(借金をした本人)と同じ義務を負っているため、主債務者が期限の利益を失っている場合には、連帯保証人も一括請求を受けます。
督促状を無視したために、連帯保証人に多大な迷惑がかかり、感情的なトラブルに発展することも少なくありません。
再三の督促を受けても無視を続けていると、やがて債権者は「支払督促」あるいは「民事訴訟」といった裁判を起こしてきます。
これらの裁判も無視すると、債権者の言い分がすべて裁判所で認められ、もはやその後に覆すことはできません。
裁判所から「支払督促」や「判決」を受け取った後、何もせずに2週間が経過すると、債権者は強制執行の手続きに進むことが可能となります。主に給料や預金が差し押さえられ、強制的に借金の返済に充てられてしまうのです。
突然、給料の一部や預金残高を回収されてしまうと、生活に支障をきたしてしまう人も多いことでしょう。
督促状が届いても支払えないときには、放置せず、以下のように正しく対処することで、借金問題を解決できます。
一時的な事情で返済ができなかった場合には、早めに債権者に連絡することです。事情を伝えて、いつまでにいくら支払えるのかを約束すれば、以後の督促は止まります。
ただし、長期間にわたって滞納を解消できない場合には、債務整理も視野に入れた方がよいでしょう。
債務整理には、主に任意整理、個人再生、自己破産という3種類の手続きがあります。
任意整理は、借金総額が比較的少ない場合に向いています。借金総額が大きい場合には、裁判所に個人再生を申し立てれば、返済額を大幅に減額できる可能性があります。個人再生をしても返済できないほどの借金を抱えている場合には、自己破産を申し立てて免責が認められると、借金の返済義務がすべて免除されます。
それぞれ、特徴やメリット・デメリットが異なるので、状況に合った手続きを選ぶことが大切です。
自力での返済が難しい場合には、弁護士に相談することが有効です。相談するだけでも、適切な解決方法のアドバイスが得られます。
債務整理を弁護士に依頼した場合には、すべての手続きを弁護士に任せることが可能です。弁護士が的確に手続きを進めるので、満足できる結果が期待できます。受任通知の送付により、督促と返済が一時的に止まることも大きなメリットです。
督促状は、債権者が返済を催促するために送ってくる書面ですが、これが届いてもすぐに裁判や差し押さえが行われるわけではありません。しかし、放置していると着実に債権回収の手続きが進められます。慌てる必要はありませんが、債務整理も視野に入れて、適切な対処法を検討した方がよいでしょう。
ベリーベスト法律事務所にご相談いただければ、経験豊富な弁護士が、状況に応じて最適な解決方法を提案いたします。債務整理をご依頼いただければ、最終的な解決に至るまで、全面的にサポートいたします。
督促状を受け取ってお困りの際は、ぜひ当事務所の無料相談をご利用ください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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『旦那や家族には言っていないけど、実は私、借金を抱えてます…』
実は、主婦で借金を抱えている人は多く、それを言えずに悩んでいる方もたくさんいるのが現状です。もしかしたらこの記事をご覧のあなたも、そういった悩みをお持ちなのかもしれません。
一人で悩むことなく、主婦で借金をしている人は意外と多いということを知っていただいて、ぜひご自身の借金返済について前向きに考えていってください。この記事があなたにとって、ご参考になれば幸いです。
これから債務整理をしようと考えている方の中には、債務整理後にキャッシングできるのか、債務整理中にお金が足りなくなったときキャッシングを利用することは認められるのかと、お悩みの方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、債務整理をしたことで、キャッシングなどを法律で禁止されるわけではありません。
しかし、債務整理をすると信用情報に事故情報が登録される(ブラックリスト入りする)ので、ほとんどの金融機関は、融資に応じてくれなくなります。
親子であっても、他人の借金を返済する義務は原則としてありません。肩代わりするかどうかは、基本的に子ども自身の判断で自由に決められます。
しかし親の借金でも子どもに返済義務が生じることがあり、借金を放置すると子どもが差し押さえを受けることにもなりかねません。
本コラムでは、親の借金が降りかかってきた場合に、子どもはどのように対処すればよいのかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。