債務整理 弁護士コラム

任意整理ができない6つの具体例とできない場合の解決方法

2020年07月22日
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任意整理ができない6つの具体例とできない場合の解決方法

任意整理は費用も安く、デメリットも少ない債務整理ですが、「任意整理ができないケース」も少なからずあります。

任意整理とは、裁判所を用いずに債権者と直接話し合う方法で行われる手続きなので、何を行うにも「債権者の同意」が必要となるからです。
状況によっては、債権者が話し合いに応じてくれない、借金の減免に同意してくれないということも考えられます。

とはいえ、任意整理は特にルールの決められている手続きというわけではないので、一般の人の感覚では「それは難しいだろう」と思うようなケースでも弁護士・司法書士が粘り強く交渉してくれることで、任意整理が可能になるということも十分ありえます。

そこで、今回は、任意整理できない具体的なケースや、任意整理できない借金の解決方法についてまとめてみました。自分の借金を任意整理で解決できるかどうかが不安という人は、ぜひ参考にしてみてください。

1、任意整理とはどんな債務整理?

任意整理とは、裁判所を利用せずに債務者(お金を借りた人)が債権者(お金を貸した人)と交渉をし、将来利息の免除や支払期間の見直しといった方法によって、借金を今よりも返済しやすくしてもらうための手続きです。

しかし、債務者と債権者の間の「任意の話し合い」なので、「弁護士に依頼すれば必ず成功する」とは限りません。

以下では、「任意整理ができない」可能性の高い具体的なケースについて紹介していきます。

2、任意整理ができない具体例6つ

弁護士や司法書士に任意整理を依頼しても成功することが難しい(任意整理できない)典型的なケースとしては、次のような場合があります。

  • 借金の元金を返済していくための収入・財産を確保できない場合
  • 生活保護を受けている(受給申請を検討している)場合
  • 連帯保証人のいる借金・担保を提供している借金を返せなくなった場合
  • 「任意整理には応じない」方針をとっている金融機関の借金
  • すでに回収のための法的措置をとられている借金

  1. (1)借金の元金を返済していくための収入・財産を確保できない場合

    任意整理では債権者から同意を得て、将来利息の免除をしてもらい、一定の期間で元金の残額を分割で返済していきます。

    つまり、通常の任意整理では、「元金は返済しなければならない」ということが大きなポイントです。自己破産のように、「借金を返済しなくてよくなる」というわけではありません。
    そのため、元金の分割返済を続けられるだけの継続的な収入(あるいは切り崩せる財産)がなければ、任意整理をすることはできません。

    逆にいえば、毎月の分割返済を続けられる条件さえ整っていれば、パート主婦やフリーター(アルバイト)、年金生活者でも任意整理をすることは可能です。債務者自身には収入がない場合でも、家族の支援や家計のやりくりで毎月の返済を続けられるのであれば、任意整理ができるケースもあります。

  2. (2)生活保護を受けている(受給申請を検討している)場合

    生活保護は、国民として最低限の生活を維持するために支給されるものです。
    したがって、受給者が生活保護費を生活費以外の支払いに充てることは、その目的に違反した行為と考えられています。

    生活保護で毎月返済を続けることは、「受給者の財産を形成すること」となるため、原則として認められていません。生活保護費で借金返済をしていたことが判明した場合には、「受給停止」となる場合があるので注意しましょう。

    生活保護の支給を受けている人の借金問題は、自己破産を選択することが原則となります(なお、自己破産にかかる費用はすべて法テラスが負担してくれます)。
    ただし、借金額がごく少額(自己破産するほどではない金額)で、任意整理をすることで、生活保護支給者の早期自活に役に立つという場合には、例外的に生活保護費で任意整理することが認められることもあります。

    どうしても生活保護費で任意整理をしたい事情(自己破産すると資格制限などで可能性のある就職話が消えてしまうなど)があるときには、弁護士に相談してみるとよいでしょう。

  3. (3)連帯保証人のいる借金・担保を提供している借金の任意整理

    連帯保証人をつけている借金や、住宅ローンのように担保を提供している借金は、任意整理の難しい借金の典型例といえます。

    なぜなら、これらの借金の場合には、債権者は、任意整理に応じなくても、連帯保証人に請求する、担保を差し押さえるといった方法で、貸付金の残額の回収を図れます。
    そちらの方が、毎月の返済すら難しくなった債務者に分割払いしてもらうよりも確実と考えられるため、任意整理が難しいのです。

    ただし、すでに担保割れ(担保の売却額がローン残額よりも小さい状況)があるケースにおいて、「担保を失っても良い」というのであれば、任意整理を実施する価値のあるケースがないわけではありません。担保を処分しても残ってしまった借金残額は、引き続き返済を行わなければならないからです。

  4. (4)「任意整理には応じない」方針をとっている金融機関の借金

    中小の消費者金融をはじめとする、一部の金融機関の中には、「任意整理には応じない」方針をとっている会社もあります。

    一切応じない会社もあれば、利息免除には応じても分割払いは認めないなど、それぞれの会社によって方針が違います。

    安易に任意整理に応じてしまうと、金融機関にとって「株主から責任追及される」場合や、「顧客のモラル・ハザードにつながる(すぐに債務整理させてくれる金融機関とうわさがたつ)」といったリスクが生じることもあるからです。

    また、特定の弁護士・司法書士とその金融機関との関係が悪い(過去に過払い金請求などでもめていた場合など)には、「その弁護士(司法書士)からの任意整理は対応しない」という金融機関もないわけではありません。

    したがって、弁護士・司法書士から「その債権者は任意整理できない」と言われた場合でも他の弁護士・司法書士に相談・依頼すれば任意整理できるという場合もあることは覚えておきたいものです。

  5. (5)借り入れしてからほとんど返済していない借金

    取引期間が短く、融資を受けてからほとんど返済していない借金は、任意整理に応じてもらえないことの方が多いといえます。
    これまでに利息をほとんど支払っていないケースで任意整理に応じてしまうことは、債権者にとってあまりにも損失が大きいからです。

    また、融資を受けた翌月に任意整理の申し入れをした(1円も返済していない)様な場合には、「詐欺」の可能性を疑われることもあります。
    そもそも、全く返していない借金があるときには、自己破産でも免責が認められない可能性があります。

    借金返済のためにさらに借金を繰り返すような状況に陥ると、借りてからほとんど返していない借金が増えて、「すぐに債務整理できない」こともあるので注意しましょう。

  6. (6)すでに回収のための法的措置をとられている借金

    すでに、長期間借金を滞納していて、債権者が民事訴訟や支払督促を裁判所に申し立て、手続きしている場合も、任意整理できない可能性が高くなります。

    具体的に言うと、支払督促の送達を受けてから2週間以上経過してしまった場合は、交渉に応じてもらえないリスクが高まるでしょう。支払督促送達から、2週間の間に債務者が異議を述べない場合には、債権者はすぐに差し押さえなどの強制執行を申し立てることができるのです。また、差し押さえに至っているケースでは、そのまま差し押さえを続け、残元金を回収した方が、債権者にとって有利です。

    訴訟を提起された場合は、裁判外で和解交渉して任意整理するよりも、法的拘束力の強い裁判上の和解をして、裁判所で和解調書を発行してもらう方が、債権者にとってメリットが大きいといえます。

3、「任意整理できない借金」の解決方法

「任意整理ができない借金」が返せなくなってしまった場合の解決方法としては、大きくわけて、「裁判所の債務整理で解決する」方法と、「他の弁護士に任意整理を依頼してみる」という方法の2種類があります。

  1. (1)裁判所の債務整理で解決する

    返せなくなった借金は、「裁判所の手続き」でも解決してもらうことができます。債権者が「話し合いにも応じてくれない」という場合には、特に有効といえます。裁判所の手続きであれば、債権者も債務整理の手続き(話し合い)に応じざるを得なくなるからです。

    ①自己破産をしても「デメリットが大きくない」場合も
    任意整理を希望する多くの人は、「自己破産はしたくない」と考えているでしょう。
    自己破産というのは、イメージもよくありませんし、財産処分などの大きなデメリットが生じることも可能性も大きいからです。

    しかし、実際の自己破産では、一般の人が思っているほど、難点が多いと感じることは多くないかもしれません。たとえば、「自己破産の官報公告で他人に知られる」ということは、ほとんどありませんし、「生活に必要な財産まで差し押さえられる」こともないからです。

    自己破産をしても、最低限の預貯金は維持できるケースも少なくありません。毎月の返済可能額が少なすぎるケースでは、(そもそも任意整理が難しい可能性も多いですが)、5年を超える長期間で分割返済するよりも、自己破産で早期に借金を解決した方が債務者にとって有利なケースもあります。

    任意整理と自己破産で明確に違うのは、銀行が債権者であるときのブラックリストへの掲載期間です。銀行が加盟している全国銀行信用情報センター(KSC)という信用情報機関では、官報に掲載されている債務整理の情報の保存期間が10年となっているため、自己破産の場合には、任意整理の場合よりも掲載期間が長くなることがあります。

    ただし、この点にも例外があります。任意整理でも、債権者によっては(任意整理後の)最後の返済から5年間ブラック情報が登録される場合もあるためです。任意整理の内容や債権者の対応によっては、「自己破産した方が早くブラック情報が消える」という場合もあります(任意整理の場合のブラック情報の取り扱いは、完全に債権者側の裁量です)。

    ②個人再生を利用すれば、多額の借金でも自己破産せずに解決可能
    個人再生では、裁判所の許可が得られれば、法律で定められた「最低弁済額」にまで減額することができます。

    100万円以下の借金は減額できませんが、100~500万円の借金は、100万円まで減額、500万円~1500万円以下の場合は、借金の5分の1まで減額してもらうことができます(ただし、債務者が上記の額を超える財産をもっている場合には、その財産額に応じて免除額が少なくなります)。

    借金の元金を大幅に免除してもらえれば、任意整理では解決できなかった場合でも、借金を自己破産せずに解決できる可能性も高くなります。

    また、住宅ローンの返済が難しいという場合でも、「住宅ローン特則付き個人再生」という手続きを利用すれば、マイホームを差し押さえられずに住宅ローンの返済期間などを見直してもらう、住宅ローンの返済を一定期間利息のみとしてもらうことが可能となります。

  2. (2)他の弁護士にさらに相談してみる

    相談・依頼にいった弁護士・司法書士に、「あなたのケースでは任意整理できない」と言われてしまっても、すぐに諦める必要はありません。

    債務整理業務にあまり熱心ではない弁護士・司法書士に相談してしまった場合、「ちょっと難しい案件」というだけで、「任意整理はできない」と依頼を断られてしまうこともあり得るのです。また、上でも触れたように、その弁護士事務所と債権者との関係がよくなかったことが原因で「任意整理できない」という判断をされた可能性もあるでしょう。

    任意整理は、手続きを依頼した弁護士・司法書士の熱意(債権者と粘り強く交渉してくれるかなどの条件)などによって見立てが大きく変わります。

    万が一、相談にいった弁護士から色よい返事がもらえなかったとしても、すぐに諦めずに、他の弁護士にも相談してみるとよいでしょう。

    いまでは、無料相談に応じてくれる弁護士・司法書士も増えているので、相談費用を心配する必要もありません。

    なお、司法書士に依頼する際は次の2点に気を付けましょう。1点目は「司法書士には、1社から140万円以上借りている場合は、依頼することができない」ということです。2点目は「司法書士の中でも『認定司法書士』でなければ、もし裁判所での手続きが発生した場合でも、手続きを行うことができない」という点です。相談先を決める際には、この点留意が必要です。

  3. (3)「任意整理できないから」と諦めてしまうとさらに状況が悪化してしまう

    借金が思うように返せないという状況は、誰にとってもつらい状況です。いろんなことがうまくいかないことで、何事もネガティブに考えてしまうことも多いかもしれません。

    そのような状況で、弁護士・司法書士に「任意整理できない」といわれてしまうと、「もう終わり」といった気持ちになってしまいがちです。

    しかし、「任意整理はできないから諦めるしかない」、「自己破産だけはしたくないから、自力でなんとか解決しよう」と考えて問題をひとりで抱え込んでしまうと、返済のために借金を繰り返す自転車操業や、闇金からの借金をするといった、さらに深刻な状況に陥る原因になりかねません。

    また、家計の苦しい状況が長期化して、健康保険、年金保険といった社会保険や所得税・住民税といった税金まで滞納してしまうことになると、債務整理の選択肢がさらに減ってしまうことになります。

    上でも触れたように、債務整理、任意整理の成否についての見立ては、弁護士・司法書士によってかなり違いがあることも珍しくありません。

    よい弁護士・司法書士を見つけられることができれば、何の手も打てないというケースはありませんから、一度の相談に失敗したという場合でもあきらめずに、他の弁護士に相談するようにしてみてください。

4、まとめ

任意整理ができるかどうかを、一般の方が判断することは、簡単なことではありません。
自分の判断で「私の場合は任意整理できない」と決めつけてしまわずに、まずは、弁護士や司法書士に相談してみましょう。

万が一、弁護士・司法書士から厳しい判断をされてしまった場合であっても、他の法律事務所で相談してみると、「なんとか任意整理は可能」という専門家に出会える可能性もあります。借金の返済に悩んでいる方は、1日も早く、弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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