債務整理 弁護士コラム
借金を抱えているときには、「もう少し返済額が減ってくれたら」と感じることも少なくないと思います。このように感じることは、危険な状況が迫っている重要なサインです。特に減収や家庭の事情での支出増をきっかけに「返済額を減らしたい」と感じたときには、放置しておくことはとても危険です。
また、借金の返済額を減らしたいときに、正確な知識のないまま安易な方法を選択してしまえば、逆に苦しい状況に陥ってしまうこともあります。借金問題は「目先の対応」が逆効果になるケースが多いからです。
そこで、今回は借金の返済額を減らす5つの方法について、それぞれの特徴や注意点などについて解説していきます。
毎月の借金返済が苦しいと感じている人はぜひ参考にしてみてください。
借金をしたときには、たとえば「借金50万円を利息込みの毎月1万円ずつの60回返済」というような形で利息を付して、一定の頻度の分割払いで返済するのが一般的です。
したがって「借金の返済額を減らす」ための方法としては、次の3つの方法が考えられます。
たとえば、上で紹介したケースであれば、利息を免除してもらえれば、借金の返済額は(最大で)10万円減ることになります。60回返済を120回返済に変更できれば、(返済総額は変わらなくても)毎月の返済額は半分にすることができます。
さらに、「貸したのは50万円だけど、40万円だけ返してくれれば良い」ということを認めてもらえれば、返済総額を大幅に減らすことができます。
以下では、これらを実現するための具体的な方法について解説していきます。
それぞれのケースにおける借金の返済額・返済方法は、債権者との契約に基づいて決められることになります。
本来的には、借金の返済条件は、債権者と債務者との話し合いによってケースごとに定められるべきです。
しかし、実際には借り手が金融機関の設定した返済条件をのまなければ、お金を借りることはできません。
金融機関は、営利事業として貸し付けを行っていますので、金融機関が設定している条件は、基本的には債権者に有利な条件になっています。したがって、より負担の少ない借金の借り方・返し方に変更することで、借金の返済額を減らせる可能性があります。
金融機関からの借金は、お金の借り方によって、返済する際の利息が変わってきます。たとえば、住宅ローンを組む場合のように担保を提供して借金をする場合と、銀行・消費者金融のカードローンのように無担保の借金とでは、当然担保を提供した場合の方が、利息の負担は軽くなります。
また、同じ無担保のローンであっても、一度に借りる金額が大きい方が利息の負担は相対的に小さくなることがあります。借金に付される法律上の上限利率は、借金額が大きくなるにつれて小さくなるからです。
たとえば、10万円未満の借金であれば、年20%までの利息を付すことができるのに対し、100万円以上の借金であれば、年15%までの利息しか付すことができません。
また、ほとんどの金融機関で、貸付金額が増えるほど適用利率が小さくなる条件を設定しています。
逆に、中小の消費者金融(いわゆる街金)では、適用金利を20%にするために、貸し付け上限額を10万円未満にしているところもあります(「9万9000円決済」などといわれることがあります)。
●おまとめローンを利用すれば「いまよりも有利な条件」の借金に変更できる
いわゆる「おまとめローン」とよばれる商品(借金)を用いて返済の負担を減らす方法は、上で説明した理屈に基づくものです。
カードローンやクレジットカードのキャッシングのような「小口で無担保の借金」は、もっとも返済条件が不利な借金です。
たとえば、4社の金融機関からそれぞれ50万円ずつの借金があれば、債務者自身が抱えている借金は200万円ですが、契約単位では50万円ずつなので、上限利率も15%ではなく、18%となってしまいます。
たった3%と思うかもしれませんが、200万円の3%は年額にすると6万円ですから、決して小さい差ではありません。
そこで、200万円の借金をひとつの金融機関からの借金で借り換えることで、適用金利を下げることができるおまとめローンが利用されます。
ただし、おまとめローンを利用する際の注意点があります。
おまとめローンを利用した場合には、返済期間が現状よりも長くなってしまうことがほとんどといえます。たとえば、現状どおりなら4年で完済できる借金も、おまとめローンで借り換えたことで、8年かけないと完済できないということもあり得るわけです。
おまとめローンによって適用される金利が下がったとしても、返済期間が長くなりすぎれば、最終的な返済総額も増えてしまうこともあり得ます。
また、返済期間が長くなれば、その間にトラブル(病気・ケガ・勤務先の倒産など)に巻き込まれて、返済が不可能になるリスクも高くなります。
おまとめローンを利用するときには、詳細な返済シミュレーションを立てた上で、「本当にお得なのか?」、「本当に返済できるのか」ということを冷静に見極めることが重要です。
毎月の借金の返済条件は、基本的には債権者に有利に設定されています。
たとえば、「毎月の支払額が少ない返済方法」というのは、一見すると債務者にとって有利に見えます。しかし、最終的な支払総額という面では、明らかに債権者に有利な内容です。返済期間が長くなれば、その分だけ利息を支払う期間も長くなるからです。
●元利均等方式と元金均等方式の違い
借金の返済方法の多くは、「元利均等返済」という返済方法が採用されています。
元利均等返済というのは、毎月の決められた一定の返済額から元金・利息のそれぞれに充当する返済方法のことをいいます。
つまり、元利均等返済の場合には、毎月の支払額から利息充当分を差し引いた金額しか元金は減らないということです。
他方、「元金均等返済」というのは、返済する元金額を固定する返済方法です。つまり、返済額が毎月1万円であれば、必ず毎月1万円ずつ元金が減っていく返済方法ということです。
返済の仕組みとしては、元金均等返済の方が元金の減りが早く、最終的な支払総額も小さくなります。
しかし、毎月の支払額は「元金返済分+利息分」となるので、元利均等返済の場合よりも多くなります。
したがって、返済方法を変更(選択)できる借金の場合には、次のような形で借金の返済額を減らせる場合があります。
ただ、一般的な金融機関の返済条件は途中から変えることができない場合が多いので、借金を申し込む際に、きちんと検討をしておくことが重要でしょう。
●繰り上げ返済すると返済総額を大幅に減らせる
借金は「契約で定められた返済額だけを返していれば良い」と思っている人も多いかもしれません。
しかし、上でも触れているように、契約で定められる返済条件は、基本的には債権者にとって有利な条件です。
毎月の家計に余裕があるときには、「繰り上げ返済」を実施することで、最終的な返済総額(利息の支払額)を大幅に減らすことができます。
たとえば、50万円を年18%の金利で借りた場合に、毎月1万5000円ずつ返済したときには、最終的な返済回数は47回、完済までに支払う利息の総額は約20万円となります。
それが毎月1000円ずつの繰り上げ返済を行うだけでも、最終的な利息総額が2万円以上減る可能性があります。
繰り上げ返済できる金額が増えれば、減らせる利息の額も当然増えます。
●クレジットカードの「リボ払い」にはリスクもある
クレジットカードの「リボ払い」は、利用額とは関係なく毎月の返済額を一定にできる支払い方法として「便利」、「安心」と感じている人も多いかもしれません。
しかし、リボ払いは、そのようなイメージとは真逆でリスクの大きい返済方法であることに注意する必要があります。
リボ払いは、「毎月の返済額が少額になることで最終的な支払総額が増える(毎月手数料(利息)を負担させられる)」典型的な返済方法だからです。
特にクレジットカードを継続的に利用している(利用額ゼロの月がない)人の場合には、リボ払いにしたことで、「月の利用額 > リボ払いの返済額」という状況になりやすく、利用残額が雪だるま式に増えていく可能性があります。
したがって、「返済額を減らす」ための手法としてリボ払いを用いることは、基本的にはオススメできません。
借金の返済額を減らしたいときには、「債務整理」を行うのがもっとも一般的な方法といえます。債務整理には大きく分けて、任意整理・自己破産・個人再生の3つの方法があります。
ある人とある人の権利義務関係は、当事者双方の合意があれば自由に変更することができます。
実際に「家族から借りた借金」のような場合であれば、「貸したのは20万円だけど半分の10万円だけ返してくれたら良い」というようなことは珍しくないといえます。
「任意整理」とよばれる手法は、まさに上で説明した理屈に基づく借金の減額方法というわけです。
とはいえ、家族からの借金とは違い、金融機関との話し合いでは「お願いをしても同意してもらえない条件」も少なくありません。
たとえば、「元金の減額(免除)」や、「100回分割のような長期間すぎる分割返済」といった条件では、話し合いがまとまる可能性はほとんどないといえるでしょう。
実際に、任意整理の場合には、
という条件を軸に話し合いを進めることが一般的です。
「利息しか免除してもらえないのか……」とがっかりする人もいるかもしれませんが、金融機関からの無担保の借金において利息の負担はかなり大きなものです。
たとえば、50万円を銀行・消費者金融のカードローンで借りたときには、完済までに25万円以上の利息を支払うことになる場合が一般的ですから、「返済総額が25万円(×借入件数だけ)減る」と考えれば、かなり大きな効果があるといえます。
金融機関から借りている借金元金それ自体を減らしたいという場合には、任意の話し合いではなく、裁判所の手続きを利用する必要があります。
自己破産は、「借金の返済額を丸々なくしてもらえる手続き」です。
しかし、「借金の返済額をゼロにしてもらう」ことを無条件で認めることは、債権者との関係で明らかに不公平です。
したがって、自己破産をするためには、一定の条件を満たさなければなりませんし、一定の代替リスクを負わなければなりません。
まず、自己破産が認められるためには、「客観的にみて借金の完済が不可能」といえる状況に陥っていなければなりません。
たとえば、家計状況を調査した結果「1~2年程度で分割返済可能」と裁判所が判断したときには、自己破産を申し立てても棄却されてしまいます(自己破産することが認められないということ)。
また、自己破産は基本的には「清算手続き」です。
つまり、自己破産をするときには、「処分可能な財産を投げ打ってできる限りの返済をする」必要があるということです。
一定の財産があるケースであれば、借金の免除と引き替えにそれらを失うことになります。
以上のように、自己破産は必ずしも「ノーリスク」の救済手続きではありませんので、「借金しすぎても自己破産すれば大丈夫」といった安易な考えをもつことはオススメできません。
個人再生は、任意整理と自己破産の中間的な債務整理といえます。
個人再生は、将来利息と借金の一部減額をしてもらった上で、分割で返済していく債務整理だからです。
個人再生した場合に減らすことのできる借金の額は、それぞれのケースによって異なります。
「借金700万円が返せなくなった」という場合であれば、5分の1の140万円を分割で返済することで、残りの560万円を免除してもらえる可能性があります。
また、今後の収入から借金(元金)の一部を返済していくため、財産を処分する必要はありません。
その意味では、任意整理では解決できないほど多額の借金が返せなくなった場合でも、個人再生を利用すれば自己破産を回避することができます。
ただし、個人再生は裁判所の手続きとなるので、「借金の一部を確実に返済できる」ことを客観的に明らかにしなければなりません。
そのため、無職の人や、現在の収入が不足している場合には、個人再生を利用できません。
また、所有している財産の総額が多い場合には、減額を認めてもらえる範囲が小さくなることにも注意が必要です。
借金の返済額を減らす必要が生じるケースの多くは、「収入が減った(なくなった)」、「支出が増えた」といった何かしらの事情によって、毎月の返済を継続することが難しい場合でしょう。
これらの事情が生じたときには、「早期に」、「正しく」対応することが何よりも大切です。
たとえば、体調が悪いと感じてすぐに医師の診察を受けることで、軽症のうちに完治できる場合が多いように、借金の問題も、「返済が苦しい」と感じてから早いうちに対処をした方が、最低限のコスト・リスク・デメリットで解決できる可能性が高くなるといえます。
また、借金問題の経験豊富な弁護士であれば、それぞれのケースに見合った最善の解決方法を提案してもらうことができます。
債権者や裁判所とのやりとりを代わりに行ってもらうことも可能です。
借金の相談は、無料相談で対応してくれる事務所がかなり増えていますので、手元のお金に余裕がない人でも安心して相談を受けることができます。
「借りたお金はきっちり返さなければならない」ということは、ある意味では常識のひとつといえます。しかし、あらゆる原則に例外があるように、借金についても返済額を減らすことが可能な場合があります。
「借金の返済額を減らしたい」と考える状況は、そのまま放置しておくと、取り返しの付かない状況に発展してしまう場合が少なくありません。
また、きちんとした知識のない人が対応した場合には、「借金の返済額を減らしたつもりが実は負担が増えていた」ということも珍しくありません。
特に、おまとめローンの利用やリボ払いへの切り替えは、慎重にシミュレーションを重ねた上で決めることが大切です。
詳しいことがよくわからないというときには、自分だけで問題を抱えずに、専門家に相談してみましょう。良い解決策をアドバイスしてもらえるはずです。ベリーベスト法律事務所でも、債務整理の対応実績が豊富な弁護士があなたをお待ちしています。
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債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。
『旦那や家族には言っていないけど、実は私、借金を抱えてます…』
実は、主婦で借金を抱えている人は多く、それを言えずに悩んでいる方もたくさんいるのが現状です。もしかしたらこの記事をご覧のあなたも、そういった悩みをお持ちなのかもしれません。
一人で悩むことなく、主婦で借金をしている人は意外と多いということを知っていただいて、ぜひご自身の借金返済について前向きに考えていってください。この記事があなたにとって、ご参考になれば幸いです。
これから債務整理をしようと考えている方の中には、債務整理後にキャッシングできるのか、債務整理中にお金が足りなくなったときキャッシングを利用することは認められるのかと、お悩みの方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、債務整理をしたことで、キャッシングなどを法律で禁止されるわけではありません。
しかし、債務整理をすると信用情報に事故情報が登録される(ブラックリスト入りする)ので、ほとんどの金融機関は、融資に応じてくれなくなります。
親子であっても、他人の借金を返済する義務は原則としてありません。肩代わりするかどうかは、基本的に子ども自身の判断で自由に決められます。
しかし親の借金でも子どもに返済義務が生じることがあり、借金を放置すると子どもが差し押さえを受けることにもなりかねません。
本コラムでは、親の借金が降りかかってきた場合に、子どもはどのように対処すればよいのかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。