債務整理 弁護士コラム
「毎月きちんと借金を返しているのに、いつまでも返済が終わらない」「毎月の返済額が多すぎて、支払いが苦しい」
金利の負担が原因となっており、このように感じている方も少なくありません。
借金をするにあたっては、金利による利息は必ずつくものです。しかし実際に借金をする人の中には、金利について詳しく理解していなかったり、十分に検討していないままで借金を申し込んでしまったりする方もいるようです。
本コラムでは、借金の金利とはどういうものか、相場や金利の仕組み、借金返済がつらいと感じたときの対処方法について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
「借金が完済できるのか、このままでは不安だ」「いまの借金返済状況をどうにかしたい」とお考えの方は、ぜひご参考ください。
借金の金利について解説する前に、まずは、言葉の整理をしっかりしておきましょう。
金利とは、借金を返済するときに追加で返さなければならない利息の「割合」のことをいいます。
テレビや雑誌などで見かけるカードローンのCMや広告などで示される○○%というのは、借金元金に対して付される年ベースの金利です。
利息と利子は実際に支払う金銭のことを指しているので、同じ対象を指している言葉ですが、下記のような区別があります。
とはいえ、「利息を支払う」と表現しても間違いとはいえないように、厳格に区別されて使われているわけではありません。
2章では、実際に借金するときの金利について確認していきましょう。
借金の金利は、「利息制限法」と「出資法」という2つの法律によって厳しく制限されています。
銀行や消費者金融、クレジットカード会社が融資をする(消費者が借金する)ときに設定することができる金利の上限は、下記のとおりに定められています。
ちなみに、いわゆるヤミ金(違法業者)は、上記の規制も無視して営業をしています。
マンガなどでよく出てくる「トイチ」といわれる金利は、10日で10%(年3650%)の金利ということになりますから、信じられないほどの暴利です。
近年は、ヤミ金業者が増え続けています。実際のヤミ金が設定する金利は、トニ、トサンに匹敵することも珍しくありません。
どんな理由があってもヤミ金とは関わらないようにしましょう。
借金の金利をめぐる問題としては、「過払い金」「グレーゾーン金利」の問題がよく知られています。
グレーゾーン金利とは、簡単にいえば、上で解説した利息制限法の上限利率と出資法の上限利率との間の金利のことをいいます。
なぜグレーゾーンなのかといえば、利息制限法には違反しているから法的な拘束力がない違法金利だが、出資法に違反していないので刑事罰は問われないということです。
従前は、このグレーゾーン金利部分については、「一定のルールに基づいて債務者が任意に支払ったときには有効」と考えられていました(いわゆる「みなし弁済」)。しかし、平成18年の最高裁によって、グレーゾーン部分が不当利得として返金の対象となったのがいわゆる「過払い金」です。
したがって、現在の借金では、グレーゾーン金利が適用される(過払い金が発生する)ことはありません。
とはいえ、平成20年(2008年)以前から借金をしている人の場合には、過払い金が発生している可能性があります。
他方で、現在発生している過払い金には、消滅時効完成が迫っているものも少なくありません。思い当たる節のある方は、できるだけ早く弁護士に相談されることをおすすめします。
下の表は、主な銀行や消費者金融のカードローンでもっともスタンダードな契約(50万円を極度額とする契約)で借金した場合に適用される金利の一覧です。
銀行名 | 適用金利(実質年率) | 消費者金融名 | 適用金利(実質年率) |
---|---|---|---|
三菱UFJ銀行 | 13.6~14.6% | アコム | 7.7%~18.0% |
みずほ銀行 | 14.0% | アイフル | 3.0%~18.0% |
三井住友銀行 | 12.0%~14.5% | プロミス | 4.5%~17.8% |
楽天銀行 | 14.5% | レイクALSA | 12.0%〜18.0% |
※極度額10万円~50万円までの金銭消費貸借契約の場合の適用金利
一見するとかなり安い金利で借金できそうな気もするのですが、実際に適用される金利は、高い方の金利となるのが一般的です。
いわゆるカードローンのような無担保融資は貸し倒れとなるリスクも高いため、一桁台の金利が適用されるということは、ほとんどないといえるからです。
つまりは、銀行・消費者金融のいずれから借金をした場合でも、上限金利(50万円の借金の場合には年18%)に近い金利が適用されているということになります。
なお、金融機関の金利は「実質年率」で示されることがほとんどです。
この実質年率というのは、適用利率に手数料や管理費などの諸費用を加えたものを指しています。
知人や親戚などから借金した場合のような「個人間の借金」の場合にも、貸し主と借り主との間に合意があれば、利息を付けることが可能です。
個人間の借金に設定できる利率の上限は、年109.5%となっています(出資法5条)。
金融機関から借りた場合と比べてかなり高い金利なので、驚いた人もいるかもしれませんが、「手持ちのお金が足りないときにちょっと借りた」という程度の営利目的ではない貸し借りを想定しているので、実際に発生する利息それ自体は大きな額にならないことが想定されています。
貸主が、企業ではない個人であったとしても「業として行った融資」であれば、銀行・消費者金融などと同様に、年20%が出資法の上限金利となります。
もっとも、貸金業者としての登録をせずに、「業として金銭の貸し付け」を行うことは、禁止されている行為です。
近年ネットなどで見かける、いわゆる「個人間融資」の類いは違法営業(ヤミ金行為)に該当すると考えられるので、絶対に取引しないようにしましょう。
借金をするときには、金利ばかりに目が行きがちですが、実際に負担するのは利子(利息)です。
実は、借金の返済に行き詰まる方のなかには、「毎月支払っている利子(利息)がいくらであるか」ということを正確に把握できていないというケースも少なくありません。
金融機関で借金する際には、必ず「毎月支払う(完済までに支払う)利子はいくらなのか」ということをしっかりシミュレーションすることが大切です。
債権者に対して、ある返済月に支払う利子(利息)のおおよそ金額は、「借金の残金×適用利率÷12」で算出することができます。
たとえば、アコムから年18%で50万借金しているときの計算式は、下記のとおりです。
50万円×18%÷12=7500円
三菱UFJ銀行カードローン(バンクイック)の場合であれば、適用利率が年14.6%であったときには、下記のようになります。
50万円×14.6%÷12=6083円
単純比較では、適用金利が3.4%違うことで、1か月の利子(利息)は1500円近く差が出るということがわかります。
上でした簡易な比較だけであれば、同じ借金をするのであれば、消費者金融よりも適用金利が安くなる銀行から借金した方がよさそうです。
しかし、実際には、約定返済で完済したときに支払う利子・利息の総額は、銀行カードローンの方が多くなることが少なくありません。
① 最低返済額で借金を完済したときに支払う利息総額を比較してみる
アコム | プロミス | 三菱UFJ銀行 | みずほ銀行 | |
---|---|---|---|---|
適用利率 | 年18% | 年17.8% | 年14.6% | 年14% |
最低返済額 | 1万5000円 | 1万3000円 | 7001円 | 1万円 |
返済回数 | 47回 | 58回 | 168回 | 79回 |
支払利息総額 | 19万8327円 | 24万6160円 | 67万6084円 | 26万8852円 |
対元金比 | 39.6% | 49.2% | 135.2% | 53.8% |
上の表は、それぞれの金融機関で50万円を借りたときに毎月の返済額を「契約可能な最低限の金額」に設定したときの完済までの返済回数と支払う利子(利息)の総額をまとめたものです。なお、それぞれの金融機関が提供している返済シミュレーションを利用して計算しています。
意外かもしれませんが、毎月の返済額が少ないと、完済までにかかる期間と最終的に支払う利息の総額は、適用利率が低いはずの銀行カードローンの方が多くなってしまうのです。
② 元利方式では、毎月の返済額の多くは利息の支払いに消えている
借金の返済は、「毎月の支払額から毎月の利息分を差し引いた残額だけが元金の返済に充てられる」という「元利方式」とよばれる方法が採用されることが一般的です。もうひとつの方法には、毎月の定額返済額に利息分をプラスして返済する「元金方式」があります。
たとえば、アコムから年18%で50万円借りたときを例にすれば、
元利方式では、毎月の返済額(1万5000円)から、当月利息分(7500円)を差し引いた、7500円が元金返済に充てられ、翌月の残元金は、49万2500円となります。
元金方式の場合には、毎月の返済額(1万5000円)は、元金返済にすべて充当されますが、利息分として別途7500円を支払う必要があります。つまり、合計の支払額は2万2500円になるということです。
つまり、元利方式では、実際に支払っている金額から利息に充当される部分が大きいので、毎月の支払額の差が、最終的な利息負担に与える影響がかなり大きくなります。
上の表における三菱UFJ銀行カードローンの場合のように、毎月の利息が6000円かかるのにもかかわらず7000円しか返済していないのであれば、残元金は1000円程度しか減りません。そのため、返済期間も14年もかかってしまい、最終的に支払う利息総額は、当初の借金元金よりも大きくなってしまいます。
借金を申し込む側は、「適用利率が低くて毎月の返済額が少なければお得」と思い込んでしまいがちです。
しかし実際には、毎月の返済額が少ないことは利息をより多く支払う原因になりやすいことは、借金をする前に頭に入れておきたいものです。
毎月の利息負担は、金融機関からの借金の返済が行き詰まる大きな原因になりやすいものです。
「毎月きちんと返済しているのに、借金がなかなか終わらない」「毎月の返済額が多くて苦しい」と感じているときには、毎月支払っている利息の額を確認してみましょう。
毎月負担している利息額は、返済時に債権者が必ず発行する「取引明細書(ご利用明細書)」に記載されています。これは、金融機関に明細書の発行義務があります。
紙の明細書の発行を受けていないときには、それぞれの金融機関のウェブページにある「マイページ」や「会員専用ページ」などで明細書を確認することが可能です。
毎月の返済は延滞せずにきちんと返済しているのに、借金がなかなか減らない(返済がいつまでも終わらない)というケースでは、設定されている毎月の返済額が少なすぎる場合が多いといえます。
借金の返済方式のほとんどは「元利方式」なので、毎月の返済額が少なければ、元金充当分も少なくなってしまいます。
この場合には、毎月の約定返済に追加して返済を実施する「繰り上げ返済」が有効です。
毎月1000円、2000円の繰り上げ返済を実施するだけでも、最終的に支払う利息の総額は数万円の単位で変わってきます。
「毎月の返済額を増やせば借金は早く完済できる」ということは当たり前のことなのですが、実際に実施している人は必ずしも多くありません。
銀行や消費者金融のカードローン、クレジットカードのキャッシングに発生する金利は、かつてのグレーゾーン金利(年29%)に比べれば低くなったとはいえ、決して軽い負担ではありません。
カードローンは、実際の返済は、数年間に及ぶことも珍しくなく、完済までに支払う利息総額は、元金の半分近くにもなることが珍しくないからです。
「ろうきん」などのような非営利の金融機関などから低金利での融資を受けられるときには、「借り換え」によって、毎月の支払い負担を軽くすることも有効な方法です。
また、借入件数が多いことが原因で返済額が苦しいというときには、借金をひとつにまとめることで、毎月の返済負担が軽くなる場合もあります。
実際の借金は、「小口の借金」がもっとも返済の負担がきつい(適用金利が高い)からです。
たとえば、50万円の借金が4件もあるという状況では、200万円の借金ひとつにまとめることで、毎月の返済回数(返済額)を大きく減らせることもあります。
ただし、借金の一本化の仕方を間違えると、完済までにかかる期間が現状の2倍以上になったり、最終的な返済総額も増えたりすることもあります。
いわゆる「おまとめローン」を利用するときには、詳細な返済シミュレーションを実施することを忘れないようにしましょう。
借金の返済が苦しいときには、債務整理を実施することもとても有効です。
債務整理は、現状の借金の負担を減免してもらうための救済手段だからです。
たとえば、借金を任意整理することができれば、今後発生する利息をすべて免除してもらうことができる可能性があります。
上で紹介した借金50万円のケースであれば、毎月6000円~7500円の利息負担がゼロになるということです。
借入件数が多ければ、免除される利息の金額も当然大きくなりますから、高利の借金の解決方法としてとても有効なのです。
任意整理であれば、費用も安く抑えられ、裁判所の期日に出頭する必要もなく、誰にも知られずに借金を解決できる可能性もかなり高いといえます。
債務整理というと「自己破産」を思い浮かべる人も多いかもしれませんが、毎月一定の金額を返済できるだけの収入があるのであれば、自己破産ではない任意整理・個人再生で借金問題を解決することも十分可能です。
金利による利子(利息)は、借金返済の大きな足かせとなることが少なくありません。
借金をするときには、「急ぎでお金が必要」「どうしても借りなければならない」といった事情を抱えていることも多く、借金の金利について十分に検討することを忘れてしまいがちです。
借金返済にあたって、金利による利子(利息)の負担が重いと感じたときには、できるだけ早く正しい対応をとることが大切です。
ベリーベスト法律事務所では、無料で何度でも、債務整理のご相談を受け付けております。債務整理専門チームの知見ある弁護士が力になりますので、お気軽にお問い合わせください。
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『旦那や家族には言っていないけど、実は私、借金を抱えてます…』
実は、主婦で借金を抱えている人は多く、それを言えずに悩んでいる方もたくさんいるのが現状です。もしかしたらこの記事をご覧のあなたも、そういった悩みをお持ちなのかもしれません。
一人で悩むことなく、主婦で借金をしている人は意外と多いということを知っていただいて、ぜひご自身の借金返済について前向きに考えていってください。この記事があなたにとって、ご参考になれば幸いです。
これから債務整理をしようと考えている方の中には、債務整理後にキャッシングできるのか、債務整理中にお金が足りなくなったときキャッシングを利用することは認められるのかと、お悩みの方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、債務整理をしたことで、キャッシングなどを法律で禁止されるわけではありません。
しかし、債務整理をすると信用情報に事故情報が登録される(ブラックリスト入りする)ので、ほとんどの金融機関は、融資に応じてくれなくなります。
親子であっても、他人の借金を返済する義務は原則としてありません。肩代わりするかどうかは、基本的に子ども自身の判断で自由に決められます。
しかし親の借金でも子どもに返済義務が生じることがあり、借金を放置すると子どもが差し押さえを受けることにもなりかねません。
本コラムでは、親の借金が降りかかってきた場合に、子どもはどのように対処すればよいのかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。