債務整理 弁護士コラム
旅行は楽しいものですが
・交通費
・宿泊費
・滞在費
とお金がかかってしまいます。
長期の旅行や家族旅行となれば、数十万円単位のお金が簡単になくなってしまいます。
とはいえ、普段生活している地域と異なるエリアにいかなければ得られない体験などもありますから、「お金がなくても行きたいところに自由に旅行したい」と考える人も多そうです。
また、社員旅行・女子会旅行・卒業旅行といった場合のように、人付き合いの中で「お金がないから行かない」という選択ができないケースもあるかもしれません。
そこで、今回は、
・旅行費用を調達するための借入先とその特徴
・旅行費用のためにした借金が返せなくなったときの解決方法
などについてまとめてみました。
どうしても行きたい旅行先があるけど、手元にお金がなくて借金してでも旅行すべきかどうか迷っているという人はぜひ参考にしてみてください。
この記事がお役立ていただけましたら幸いです。
旅行に行かなければならない(行きたい)けど肝心の旅費が足りない、というときに利用できる旅行資金の借入先としては次の5つが考えられます。
まずは、それぞれの借入先からの借金の特徴について整理しておきましょう。
家族や友人からの借り入れには、金融機関からの借金のように「利息」が発生することはまずないでしょう。
また、返済期限・返済方法についても、こちらが返せる条件に融通を利かせてもらえる可能性が高いといえます。
その意味では、家族や友人から借りる(援助してもらう)ことがもっとも安全な旅行資金の調達方法であることは間違いないでしょう。
銀行などのローン商品にはあらかじめ「借入金の使い道を申し込みの際に申告して」借り入れをする「目的別ローン」があります。
目的別ローンの典型例は
ですが、旅費工面用の融資を対象とするトラベルローンの商品を用意している金融機関も増えています。
目的別ローンは、フリーローンよりも適用金利が低くなります。
実際の適用金利は、申し込みをする金融機関、借入額、申込者の信用状況などによって異なりますが、トラベルローンの一般的な金利は年10%前後です。
しかし、年10%という利息は決して安いものではありません。
他のローンよりも審査が厳しい、申し込みから融資まで時間がかかる、提出しなければならない書類が多いといった点で、必ずしも使い勝手が良くないという場合があります。
そもそも「急に旅行が決まったけどお金が足りない」というケースでは利用できないことが多いでしょう。
旅行の手配を旅行代理店に申し込んだ際には、旅行代理店が提携している信販会社のローンを利用して旅行代金を分割払いにすることも可能です。
提携ローンは、基本的には(2)のトラベルローン(目的別ローン)と同様に考えればよいと思いますが、「旅行会社が間に入っている」という点で、自分で銀行に目的別ローンを申し込む場合よりも手間が少なく、審査も通りやすい傾向にあるといえます。
ただ、自己手配の旅行には利用することができないため、旅行代金が割高になってしまい旅行の自由度が減ってしまうこともあるでしょう。
旅行費用を決済できる手持ちの現金がないときには、クレジットカードで決済することもひとつの方法です。
クレジットカードであれば、事前の審査も不要で決済の手間もかかりません。
ただし、分割払い(リボ払い)を利用したときの手数料(利息のようなもの)は、目的別ローンや信販会社ローンよりも高い場合が多いです。
また、長期の海外旅行のように旅行代金それ自体が高額になれば、限度額との関係で決済できないということもあるでしょう。
消費者金融・銀行のカードローンやフリーローンは、旅行代金調達の最終手段です。
カードローン・フリーローンは、(1)~(4)までの方法に比べもっとも審査が緩く、借入金の用途にも制限がありません。
また、カードローンであれば、申し込みから即日~数日で借り入れ可能となるため「急いでお金を工面しなければならない」ときにも便利です。
しかし、カードローン・フリーローンは便利である反面、「利息がもっとも高い」という大きなデメリットがあります。
数万円程度の代金の場合ならともかく、旅行代金が数十万円規模となるような場合の資金調達方法としてはあまりおすすめできません。
旅行代金を借金で工面するときの注意点についてもまとめました。
旅行のために借金をするときには、「楽しい旅行のこと」ばかりに目が行きがちです。
安易で無計画な借り入れとならないように注意したいものです。
借金には、必ず「返せなくなるかもしれない」というリスクがあります。
返済できなくなるリスクは、「借金に付される利息が高くなる」、「返済期間が長くなる」ほど高くなっていきます。
特に、旅行のための借金は、後ろめたい理由がない場合も多く「返せなくなるかもしれない」、「負担の大きい借金かもしれない」という警戒心は薄くなりがちです。
しかし、借金の返済条件によっては、借りた旅行代金を完済するまでの間に「もう一度旅行に行けるくらいの利息」を支払わされていることも珍しくありません。
たとえば、一般的な銀行のカードローンで50万円借りて毎月1万円ずつの分割返済で完済したときには、完済までに6年半かかることで総額27万円以上の利息を支払うことになります。
少し極端な例になりますが、海外への新婚旅行費用100万円を年10%のローンを組んで工面し、毎月1万円ずつ返済というプランを組んだようなときには完済までに支払う利息の総額は、借り入れた金額100万円とほぼ同じになってしまいます(完済まで16年以上かかる計算になります)。
返済期間が長くなれば、その間に収入が減ったりするリスクも当然高くなります。
家庭の都合などで支出が増えることもあるでしょう。
借り入れたときには返せると思っていても先のことは誰にも予測できません。
高額な旅行代金を借金で工面するときには、「1日でも早く完済する」ということをとにかく心掛けるべきです。
金融機関からの借金が返せなくなると信用情報に傷が付いてしまいます。
よく「ブラックリスト入りする」というのは、信用情報として「取引に事故があった履歴」が登録されてしまうことをいいます。
信用事故の情報は5年~10年間登録され(事故の内容、債権者の種別で異なりますが、基本的には5年です)、その間は金融機関との新規の信用取引が難しくなってしまいます。
たとえば、新婚旅行の費用を返せなくなったことで、信用情報がブラック化すればマイホームを購入するときの審査に通らないということもあり得るわけです。
また、借金滞納が長期化すれば債権者から民事訴訟や支払督促といった法手続きを申し立てられ、給料・預貯金などの財産を差し押さえられてしまう可能性もあります。
給料の差し押さえがなされるときに、は裁判所からの通知が勤務先に必ずいきますので、借金を滞納していることも知られてしまいます。
旅行資金として借りたお金が返せなくなったときには、債務整理で解決することができます。
債務整理には任意整理、個人再生、自己破産の3つの方法がありますが、旅行代金の借金のケースでは任意整理か自己破産かのいずれかを利用する場合が多いでしょう。
毎月負担しなければならない利息の支払いが原因で「借金を返しきれない」というときには、任意整理の方法が特に有効です。
「毎月返済しているはずなのに、残元金があまり減っていかない」と感じているときには、毎月の約定返済額が少なすぎるために支払いの多くが利息に充当されてしまっています。
このような場合には、「繰り上げ返済(約定額に追加しての返済)」もしくは約定返済額の見直し(増額)を行うべきです。
しかし、毎月の収入がギリギリで「返済額を増やせない」あるいは、「いまの返済額でも支払いきれない」事情があるときには早めに任意整理を行うべきでしょう。
債権者との話し合いで「今後発生する利息を免除してもらう」ことができれば、返済の負担はかなり軽くなるからです。
金融機関からの借金に付される利息は、上でも触れたように、一般の人が思っているよりもはるかに重い負担です。
借金の返済が苦しいと感じたときには「毎月の返済額のうちに利息に充当されている金額がいくらなのか」、「完済までに支払う利息総額はいくらなのか」ということを確認して、今後の対応を冷静に考えた方がよいでしょう。
金融機関からの借り入れで工面した旅行代金が返済できないケースの多くは、任意整理で対応できると思います。
しかし、任意整理は、「借金を返しやすくする」ための手続きにすぎないので、「収入が全くなくなった」というケースでは利用できません。
勤務先都合の倒産、ケガ・病気等による失職といった事情が原因で「多額の借金がまだ残っているのに返済できる収入がなくなった」というケースでは自己破産で解決することになります。
①自己破産が認められる場合
自己破産が認められるのは「自分の収入や保有財産の処分では借金を到底完済できない」というケースに限られます。
旅行のための借金であれば、年収額を超える金額になることは考えづらいです。
そのため、実際には「旅行のための借金」だけが原因で自己破産できる場合はあまりないと思われます。
だからこそ、「最後は自己破産で何とかなる」という安易な発想はもつべきではありません。
②自己破産するにも費用が必要
旅行のための借金が主たる原因で自己破産するというケースでは、自己破産のための費用も高くなる可能性があります。
生活レベルに見合わない旅行(返済できるアテのない費用がかかる旅行)は、「浪費」の類いであるとみなされる可能性が高いからです。
浪費が原因で多額の借金を抱えて自己破産を申し立てた場合には、免責不許可事由に該当する可能性があります。
そのため、裁量免責を与えることについての調査を行うために破産管財人(破産手続き時に財産の処分や管理を担当する者)を選任して手続きを行う必要があり、そのための費用(予納金)を申立人が負担しなければならなくなります。
この場合の予納金額は、弁護士を立てずに自己破産した場合には50万円以上、弁護士を立て自己破産した場合には20万円以上が目安額となっています。
逆にいえば、それだけの費用を払っても自己破産しなければならない状況というのは、「旅行の借金だけが原因」ということはあまりないといえるでしょう。
旅行代金のための借金はその金額にも限度があります。
何百万円、何千万円もの費用を掛けて旅行をするという人は、実際にはあまりいないからです。
旅行代金のための借金が深刻な問題となることがあるとすれば、「返済が苦しくなった」と感じた後の対応に問題がある場合でしょう。
たとえば、次のような対応は状況を悪化させる、返済の負担をさらに重くさせることにつながるので絶対にすべきではありません。
旅行が趣味という人の場合には、「無計画な旅行」を繰り返さないように注意する必要があります。
また、自転車操業はほとんどのケースで、状況を悪化させてしまいます。
特に、消費者金融・銀行カードローンを利用しての自転車操業は、「より負担の重い借金での借り換え」になるので絶対にやめるべきです。
旅行に限らず、「資金繰りに計画性がない」行為を繰り返すことはとても危険です。
「行きたいところがたくさんある」という気持ちはわからなくはありませんが、基本的に旅行のようなレジャーは、「手持ち資金の範囲」で行うのが原則といえるでしょう。
どうしても「借金をして旅行をしなければならない」事情があるときには、「借入額を最低限にする」、「一日も早く完済する」、「完済するまで次の旅行には行かない」といった、状況を悪化させないための「自主ルール」を設定することが重要です。
また、万が一の事態が生じて借金の返済が苦しくなったときには、できるだけ早く誰かに相談することも大切です。
ある程度の金額の旅行代金であれば、両親・兄弟といった身近な人に返済を肩代わりしてもらうことで、事態の悪化を回避できる場合も少なくないでしょう。
また、債権者に「返済が苦しい」ということを正直に相談すれば、毎月の返済額の見直しに応じてもらえることもあるかもしれません。
身内や債権者に相談できない金額の借金があるときには、一日も早く借金問題に詳しい弁護士に相談すべきです。
借金問題は初期対応が遅くなるほど、解決のためのコストが大きくなってしまうからです。
旅行代金だけが原因で大きな借金問題になることは、あまり多くないかもしれません。
しかし、返済の行き詰まった借金を放置してしまえば、最終的には自己破産でしか解決できない事態に陥ってしまうこともあります。
旅行も借金も計画的に自力で解決できない問題は、早めに家族・専門家などに相談することがとても大切です。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。
『旦那や家族には言っていないけど、実は私、借金を抱えてます…』
実は、主婦で借金を抱えている人は多く、それを言えずに悩んでいる方もたくさんいるのが現状です。もしかしたらこの記事をご覧のあなたも、そういった悩みをお持ちなのかもしれません。
一人で悩むことなく、主婦で借金をしている人は意外と多いということを知っていただいて、ぜひご自身の借金返済について前向きに考えていってください。この記事があなたにとって、ご参考になれば幸いです。
これから債務整理をしようと考えている方の中には、債務整理後にキャッシングできるのか、債務整理中にお金が足りなくなったときキャッシングを利用することは認められるのかと、お悩みの方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、債務整理をしたことで、キャッシングなどを法律で禁止されるわけではありません。
しかし、債務整理をすると信用情報に事故情報が登録される(ブラックリスト入りする)ので、ほとんどの金融機関は、融資に応じてくれなくなります。
親子であっても、他人の借金を返済する義務は原則としてありません。肩代わりするかどうかは、基本的に子ども自身の判断で自由に決められます。
しかし親の借金でも子どもに返済義務が生じることがあり、借金を放置すると子どもが差し押さえを受けることにもなりかねません。
本コラムでは、親の借金が降りかかってきた場合に、子どもはどのように対処すればよいのかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。