債務整理 弁護士コラム
フリーランスという働き方は、自分の裁量が大きく自由度が高く伸び代も大きい反面、サラリーマンなどの雇用労働者に比べて収入が不安定になりやすいリスクもあります。
そのため、当初は返せるはずだった借金返済が突然苦しくなる可能性も高いといえます。
そこで、今回はフリーランスの人が借金の返済に行き詰まってしまったときの解決方法および注意点について、借入先別に区分けしてまとめてみました。
自営業者が、会社やマイホームを失わずに借金を解決するための方法などについてご紹介します。
借金問題は、「返済が苦しい」と感じたときの初期対応がとても大切です。
この記事がお役に立てば幸いです。
銀行・消費者金融のカードローン、クレジットカードのキャッシングがあるときには、毎月15%近い利息が発生するため返済の負担は小さくありません。
なお、クレジットカードのリボ払い(分割払い)も実際の上では借金と変わりがありませんし、発生する手数料も借金の金利と同程度ですのでここでまとめて解説します。
カードローンやクレジットカード払いの返済が苦しくなる一番の原因は、やはり利息の負担です。
借金で悩んでいる人には、「毎月支払っている利息の額」を正確に把握していない人も少なくありません。
「返済がつらい」、「返済がなかなか終わらない」と感じたことのある人は、債権者が必ず発行している明細書に記載されている利息充当分の金額を確認してみると良いでしょう。
毎月の利息の負担を減らせれば返済も可能という状況であれば、「任意整理」を行うことがおすすめです。
任意整理とは、裁判所を用いずに、債権者のそれぞれと個別に「返済条件の見直し」についての話し合いを行う借金の解決方法です。
①任意整理をすると返済の負担はどれくらい軽くなるのか?
一般的な任意整理では、次のような内容について、債権者と合意(和解)することになります。
たとえば、消費者金融や銀行2社からカードローンで100万円借りている場合であれば一般的な約定返済額は、2万円~3万円(2社合計)、そのうちに占める利息額は、1万3000円~1万5000円となります。
毎月の支払額の半分以上が利息に消えていることになります。
任意整理をすれば、この利息負担が丸々なくなるので、毎月の返済負担はかなり楽になります。
残元金が100万円のケースでは、3年の分割(36回払い)で毎月2万8000円、5年の分割(60回払い)で毎月17万円ずつの返済となります。
借金がそこまで深刻になっていないケースであれば、利息カットによって毎月の支払額が3割程度軽くしてもらうことで、自力で返せるようになるケースも少なくないと思います。
②任意整理で借金を解決することが難しい場合
任意整理は、債権者と今後の返済条件について合意できなければ行うことができません。
その意味では、債権者(消費者金融など)が「話し合いに応じられない」という状況になっているケースでは、そもそも任意整理は不可能です。
たとえば、「借り入れしてからほとんど返済していないケース」や、「ウソの申告をして借り入れをしたケース」、「滞納後の対応に問題があったケース」などでは、交渉の席についてもらえない、今後の分割払いを信用してもらえないという可能性もあります。
また、任意整理では借金元金の減免を受けることはほとんど不可能です。
10年、20年といった返済期間を設定することも現実的ではありません。
したがって、借金額が大きすぎて債務者の返済能力を超えているときにも、任意整理で解決することは難しいといえるでしょう。
多額の借金があるときでも、個人再生手続きを行うことができれば、自己破産(による財産の差し押さえ)を回避して借金を解決することができます。
個人再生は、裁判所に認可してもらった返済計画(再生計画)を履行し、借金の一部を返済することで残金の返済を免除してもらえる手続きです。
①個人再生を利用すると借金はどれくらい減額されるのか?
個人再生を利用した場合には、借金の額に応じて最大で下記の表の程度で借金を減額してもらえる可能性があります。
借金の額 | 返済が免除される額 |
---|---|
100万円未満 | 減額無し |
100万円~500万円未満 | 100万円まで減額 |
500万円~1500万円未満 | 債務の1/5まで減額 |
1500万円~3000万円未満 | 300万円まで減額 |
3000万円~5000万円 | 債務の1/10まで減額 |
ただし、自己破産をした場合に差し押さえが可能な財産(の評価総額)が上記の金額を超えるときには、差し押さえ可能財産の評価総額(清算価値といいます)の金額分は返済しなければなりません。
②フリーランスでも個人再生を利用できるのか?
結論からいえば、フリーランスの人であっても「再生計画(3年間の分割返済)を履行できるだけの反復・継続的な収入」を得ていれば、個人再生を利用することができます。
個人再生における分割返済は、「毎月」行う必要はありません。
法律上は3か月に1回以上の頻度の返済であればかまわないので、毎月の収支に波のあるフリーランスの人でも対応しやすいと思います。
なお、個人再生には小規模個人再生という方式と、給与所得者等再生という方式とがあります。
サラリーマン・公務員以外は使えないというわけではないのですが、毎月の収入額の変動が多いフリーランスでは利用できないケースが多いでしょう。
自己破産をすれば、裁判所から免責を認めてもらうことで、自己破産の時点での借金全額の返済を免除してもらうことができます。
しかし、自己破産で借金を解決したときには、次のようなデメリットが生じます。
自己破産は、借金減免の効果も大きい分、デメリットも小さくありません。
「自己破産すれば借金は全部チャラになる」と安易に考えることはとても危険です。
やむを得ない事情があり、他の手続きでは解決不可能なまでに膨らんだ借金は自己破産で解決するほかありませんが、できるだけそのような事態に陥る前に対処できることが理想です。
フリーランスの人の場合には、日本政策金融公庫(いわゆる国金)から借り入れをしている人も多いと思います。
日本政策金融公庫からの借り入れが返せないという場合には、銀行・消費者金融のカードローンやクレジットカードの場合とは異なる点に注意する必要があります。
日本政策金融公庫からの借り入れについては、任意整理の効果はかなり低くなります。
なぜなら、公庫からの借入金に発生する利息は、消費者金融・銀行のカードローンなどに比べて少額だからです。
公庫からの借入金に設定される利率は、担保(連帯保証人)を提供できるのであれば、年1%台です。
参考:主要利率一覧表(日本政策金融公庫ウェブサイト)
先ほど解説したように、任意整理では元金の免除を受けることは難しいです。
そのため、公庫の借入金の任意整理では、返済期間を相当延長するという方法でしか毎月の返済額を減らすことはできません。
5年の返済期間で借り入れた資金を10年で返済できるようになれば、毎月の負担は半分になります。
しかし、「10年かけて返済する」ことそれ自体が現実的ではない場合や、債務者にとって好ましいとは言えない場合もあるでしょう。
公庫から事業用の資金や子どもの教育ローンなどを借り入れている場合には、借入額もかなり高額になっていることが少なくありません。
そのような場合には、非現実的な長期間での分割返済よりも個人再生・自己破産によって元金返済の免除を得る方が、良い結果につながることが多いといえます。
ただし、公庫からの借金がある場合の個人再生では、「公庫からの借入額が借金全体の大部分を占める場合が多い」ことに注意しておく必要があります。
フリーランスの人が個人再生をする場合には、小規模個人再生の方式を選択するのがほとんどです。
小規模個人再生では、裁判所による再生計画認可の前提として「債権者の承諾」が必要となります。
債権者による再生計画の承諾は書面決議で行われますが、「債権者数の過半数」もしくは「債権額ベースで1/2の金額を超える債権者」から反対されたときには否決となってしまいます(小規模個人再生では書面決議で否決された再生計画を裁判所が認可することはできません)。
たとえば、公庫から600万円、消費者金融A社から100万円、B銀行から50万円、C信販会社(クレジットカード)から50万円の借金があるという場合であれば、A~Cまでは再生計画を承諾していても、公庫が反対をするとそれだけで再生計画は否決となってしまうのです。
借り入れ後に不誠実な対応をしてしまっているケース(ほとんど返済していないケース)や、うその申告に基づいて借り入れ(不正借り入れ)をしたというケースでは、「きちんとした返済額を提示していた場合」でも否決される可能性があります。
再生計画が否決される可能性が高いときには、自己破産を申し立てるほかないでしょう。
ですが、「不正借り入れ」があった場合には、自己破産を申し立てても免責不許可となる可能性があることにも注意しておく必要があります。
フリーランスの人は、消費者金融や銀行のローン審査に通りづらいことから、サラリーマンなどに比べてヤミ金に手を出しやすい環境にあるといえます。
また、最近は、さまざまな手口のヤミ金が増えていることから、「借りたときにはヤミ金と気づかなかった」ということもあるかもしれません。
近年では、掲示板サイトなどを利用した「個人間融資」が増えているようですが、貸主のほとんど全てがヤミ金業者なので、絶対に利用しないようにしましょう。
ヤミ金と関わってしまった場合には、素人判断で安易な対応をすべきではありません。
1日も早く弁護士に相談し、必要な対処をとってもらうべきでしょう。
それが一番安全な解決策になります。
借金問題は、「早期対応」がとても重要です。
返済に行き詰まった借金の金額と、毎月の返済可能額との間に差が大きくなるほど、解決のための選択肢が少なくなってしまうからです。
しかしながら、実際に借金の返済に行き詰まった人には、対応が後手になってしまっている人も少なくありません。
「何とか自力で解決したい」
「相談するのが恥ずかしい」
「いまの仕事に悪影響が出るのが心配」
とさまざまな理由があるかと思いますが、専門家に相談をする勇気をもつことが解決への第一歩となります。
弁護士には守秘義務があり、プライバシーが(依頼人の家族を含む)他者に漏れることはありませんので、安心してご相談ください。
借金問題は、できるだけ誰にも知られずに解決したいと考えてしまいがちです。
しかし、毎月の収支を短期間で改善させることは、想像しているよりも簡単ではありません。
特に、フリーランスとして働いている場合には、固定費(通信費・光熱費)の削減などの手を付けやすい節約をすることが難しい場合も多いといえます。
事業資金の借り入れが行き詰まってしまった場合には、債務整理が事業に悪影響を与えると考えてしまうこともあるかもしれません。
しかし、早期に有利子負債を軽減したり、毎月の返済額を減額してもらったりすることができれば、むしろ事業継続の可能性が高くなることすらあります。
債務整理の実績が豊富な弁護士であれば、それぞれの状況に見合った最善の提案をしてくれます。
ベリーベスト法律事務所では借金についての無料相談を受け付けていますので、返済が厳しいと感じたときにはお気軽にお問い合わせください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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『旦那や家族には言っていないけど、実は私、借金を抱えてます…』
実は、主婦で借金を抱えている人は多く、それを言えずに悩んでいる方もたくさんいるのが現状です。もしかしたらこの記事をご覧のあなたも、そういった悩みをお持ちなのかもしれません。
一人で悩むことなく、主婦で借金をしている人は意外と多いということを知っていただいて、ぜひご自身の借金返済について前向きに考えていってください。この記事があなたにとって、ご参考になれば幸いです。
これから債務整理をしようと考えている方の中には、債務整理後にキャッシングできるのか、債務整理中にお金が足りなくなったときキャッシングを利用することは認められるのかと、お悩みの方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、債務整理をしたことで、キャッシングなどを法律で禁止されるわけではありません。
しかし、債務整理をすると信用情報に事故情報が登録される(ブラックリスト入りする)ので、ほとんどの金融機関は、融資に応じてくれなくなります。
親子であっても、他人の借金を返済する義務は原則としてありません。肩代わりするかどうかは、基本的に子ども自身の判断で自由に決められます。
しかし親の借金でも子どもに返済義務が生じることがあり、借金を放置すると子どもが差し押さえを受けることにもなりかねません。
本コラムでは、親の借金が降りかかってきた場合に、子どもはどのように対処すればよいのかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。