債務整理 弁護士コラム
シングルマザーになると生活費が重くのしかかります。
子育てをしていれば、子どもの数だけ出費も増えます。食費はもちろん日用品に学用品、習い事に交際費……。
思わず手を出したカードローンも、気づけば月々の返済額が苦しくなってきていませんか?
今回はそんなシングルマザーに向けて
・債務整理の種類
・生活を立て直す方法
・シングルマザーが受けられる公的援助
についてご紹介します。
愛する子どもの将来のため、できるだけ借金はしないように公的支援を上手に使っていきましょう。
返済がきつい、返済のために借金を重ねてしまっている、というような状況であれば、債務整理を検討してください。
債務整理とは、簡単にいうと借金の負担を軽くする手続きです。
借りたお金を今からどうこうすることなんてできるの? と思われるかもしれませんが、「ない袖は振れない」とはそのとおり。「これ以上どうやってお金を工面すればいいのか」という状況の人を救済する手続きがあるのです。
債務整理の主な内容は次の3つです。
以下、説明していきます。
まず初めに、裁判所を通さない手続きである「任意整理」です。
任意整理とは、債権者と話し合いを行い、利息分をカットしてもらったり、支払期限を延長してもらったりすることで借金返済を楽にしていく方法です。
ですが、任意整理には強制力がありません。債権者が話し合いに応じなければ、任意整理は成立しません。また、利息分はカットできても基本的に元金は減らすことができません。
また、金融事故の記録は残りますので、5年間はブラックリストに掲載されます。新たなローンを組んだり借金したりすることはできなくなることを覚えておいてください。
任意整理では借金返済が苦しい場合には、個人再生を検討してみましょう。
「個人再生」とは、借金の一部を減額した上で3年から5年の長期分割払いにしていく法的手続きです。裁判所を介すため強制力もあります。住宅ローンがあるなら、自宅を残したまま借金の整理ができることが大きなメリットです。(住宅資金特別条項)
ただし、個人再生をした場合には、長期間ブラックリストに載ることになりますので、しばらくは新たなローンを組むことが難しくなります。また、官報に公告されます。
個人再生でも借金の返済が難しい場合には、自己破産の方法があります。
自己破産は財産を処分して債権者に分配し、それでも不足している借金は免除される(ゼロになる)というものです。もちろん裁判所で手続きをしていきますから強制力があります。自己破産してしまえば借金に追われるということはありません。
ですが、自己破産することで自由財産(生活必需品)以外の財産は処分されますし、ブラックリストに長期間載ることになります。
破産手続き中には公的な資格を持った仕事はできなくなり、郵便物は破産管財人に全て調査されてしまいます。借金はきれいになくなる反面、デメリットも大きいことを理解しておきましょう。
もしも債務整理をしなかったとしても、借金完済のために生活を立て直す必要はあるでしょう。
債務整理をした後も参考にできますので、以下、生活を立て直す方法をご紹介します。
最初に仕事の見直しをしてみましょう。本当に今の収入で生活していけるのか、もっと良い条件の仕事がないのかを考えてみてください。
現在の職場の居心地がよく、融通がきくなどのメリットがあったとしても、借金をするまでになった現在となっては収入が不足している状態なのです。
雇用保険の職業訓練を使うなどしてスキルを上げるのも良いでしょう。
どうしたらもっと収入を上げられるか、自分にはどんな方法があるのかを、一度真剣に考えてみることをおすすめします。
家賃は生活費に大きな圧迫をかけています。一度住まいの見直しを検討してみましょう。
公団、自治体の家賃補助を検討するのも良いですし、職場によっては寮や社宅が利用できたり、住宅手当が手厚かったりするところもあるでしょう。
もしも実家が近いなら実家を利用できないかも検討してみましょう。
お金の使い方や考え方は、育ってきた環境や性格によって違います。
ただ、たとえどのような考え方であっても、節約の基本は「100円以下の単位で家計をみる」ことです。
千円単位、万単位で考えてしまうと、気づかないうちにお金がない、ということにどうしてもなってきます。
性格に合わない場合はかなり精神的につらいかもしれませんが、所有財産の量にかかわらず、これが節約の基本なのだということは肝に銘じてみてください。
手軽で認知度の高い消費者金融や銀行のカードローンで借金をしてしまいがちですが、収入が比較的低額なシングルマザーの方は公的な融資制度を利用されることをおすすめします。
金利が段違いの低さですので、大きく変わってくるでしょう。
現在の借金があっても審査が通るかなど、詳細は各自治体へお問い合わせください。
シングルマザーには、いくつか請求できるものあります。
ひとつは公的支援制度。国は母子家庭での子育てを支援するため、一定の支援制度を用意しています。
また、元夫からの養育費を決めずに離婚しているケースが多いですが、国でも男性の養育費不払いの現状を重く受け止め、さまざまな制度を検討中です。「どうせあんな夫に支払えるわけない」などと諦めず、しっかり請求していきましょう。それが子どものためになります。
もし夫が他界されている場合は、保険請求を全てできているか、社会保険の手続きはできているかなどを確認しましょう。
では次項からこれらの説明をしてきます。以下、ひとつずつ確認していきましょう。
シングルマザーが受けられる公的支援にはどのような種類があるのかご紹介します。
離婚や死別によってシングルマザーになった方が受給できる支援金です。
18歳未満の子どもを持つシングルマザー(父親も対象)が国から支給される公的資金なので自治体によって制度が異なることはありません。
ただし、所得制限はありますので、収入が高いシングルマザーは受給されないか、もしくは一部支給になる可能性もあります。
児童手当はシングルマザーだけではなく、中学生以下の子どもを持つ家庭が受給できる手当です。こちらも所得制限がありますが、2020年現在は特例として所得制限を超えていても支給されています。
地方自治体によってはシングルマザーに対して住宅手当や家賃補助を支給しているケースがありますので、最寄りの役所で確認してみてください。
シングルマザーが育てる子どもと親に対して医療費を自治体が助成する制度です。子どもが18歳に到達して最初の3月31日まで助成されます。シングルマザーの方は忘れずに申請するようにしましょう。ただし、所得制限がありますので注意してください。
こども医療費助成はシングルマザーだけではなく子どもを持つどの家庭でも利用できる公的支援です。
こちらも所得制限がありますが、母子家庭(ひとり親家庭)医療費助成制度よりも緩いケースがほとんどです。自治体によって支給額や受給条件が異なりますので、最寄りの役所で確認してみてください。
シングルマザーで誰も援助をしてくれず、資産を持っていない場合で仕事ができないケースでは、生活保護を受けることも可能です。
ただし他の収入があり、厚生労働省が定める最低生活費の基準額を満たしている場合には受給できません。
寡婦控除とはシングルマザーが受けられる所得控除のことです。住民税や所得税が減額になります。
子どもを扶養していれば「特定の寡婦控除」に該当するためさらに控除が多くなることに。会社に申請をして控除してもらう必要がありますので、まだ申請をしていなければ利用していきましょう。
8歳未満の子どもを持つシングルマザーが対象の手当で子ども一人につき、1万3500円/月が支給される制度です。
ただし、自治体によって制限が異なりますから確認してみるといいでしょう。
シングルマザーが受けられる公的支援について代表的な例をご紹介しましたが他にもいくつか種類があります。
そもそもシングルマザーで養育費をもらっていない場合、子どもの父親が健在ならば、養育費はしっかりもらっていきましょう。
離婚の際に取り決めなかった場合でも、後から請求が可能です。
ただ、過ぎてしまった日々の分は請求が難しいとされています。養育費は、請求もしくは申し立てたときから支払われることになります。調停で養育費の請求が認められれば、申し立てた日にさかのぼって請求することは可能です。
直接連絡を取りたくない、あの人が支払ってくれるわけない、などという場合は、どうぞ弁護士に相談してみてください。
無料相談を行っている法律事務所も増えています。
まずは弁護士費用との費用対効果も含めて、お気軽に問い合わせてみましょう。
配偶者が他界している場合には保険や年金、損害賠償などの未請求がないか今一度確認しておきましょう。
病死の場合には、健康保険から葬祭料、埋葬費、年金保険から遺族年金、任意生命保険などが支払われます。
①埋葬費と葬祭料
夫が会社員で社会保険などに加入していた場合には、埋葬費という名目で5万円が支給されます。自営業などで国民健康保険に加入していたなら葬祭料が支払われます。金額は自治体によって異なりますから、確認するといいでしょう。
しかし、申請しなければ支払われない費用ですので忘れずに申請してください。
たとえ申請を忘れたとしても2年以内なら支払いされます。埋葬費は死亡した翌日から2年以内、葬祭料は葬儀の日から2年以内です。
②遺族年金
遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があります。
遺族基礎年金は亡くなった方に生計を維持されていた子どもがいる配偶者や子どもに受給資格があります。シングルマザーはまさに対象になりますので、忘れずに受け取るようにしましょう。
遺族基礎年金は、子どもが18歳になった最初の3月31日まで受給を受け取ることが可能。子どもが障害等級1級または2級の場合には20歳になるまで受給資格があります。
遺族厚生年金は厚生年金加入者が死亡した場合に、亡くなった方に生計を維持されていた遺族が受け取れます。再婚しなければずっと支給される年金です。
ですが65歳以上になり老齢年金の受給資格ができた場合はどちらか多い金額の年金を受け取ることになるでしょう。
③任意生命保険
任意生命保険に関してはそれぞれ加入していた生命保険によって内容が異なります。生命保険に加入していたなら忘れずに保険金を受け取るようにしてください。
被害事故の場合、相手方の自動車保険からは葬儀費、死亡慰謝料、死亡逸失利益などが支払われます。自損事故の場合にも、加入していた自動車保険から支払われるものがあるかもしれませんので、加入していた保険会社に問い合わせてみるといいでしょう。
業務労災の場合には労災から遺族補償年金が支払われることになるでしょう。通勤労災の場合には、遺族給付金という名目です。
遺族補償年金は遺族基礎年金や遺族厚生年金と併せて受給が可能ですので、労災で死亡した場合には忘れずに申請するといいでしょう。
ただし、遺族基礎年金や遺族厚生年金と並行して受給する際には遺族補償年金額を調整されるかもしれません。金額は亡くなった方の収入や遺族の数で変動します。申請は労働基準監督署で行ってください。
事件などに巻き込まれて死亡してしまった場合には損害賠償の請求が可能です。死亡した原因や状況によって金額は変動します。
事件に巻き込まれての配偶者が死亡してシングルマザーになった場合には弁護士に相談して損害賠償請求を検討してみてください。ただし、請求期限は損害および加害者を知ったときから3年間です。
債務整理や養育費の請求などは弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士へ債務整理を依頼する方は、全て借金のある方です。弁護士へ相談するのは他人事の話と思われるかもしれませんが、債務整理に借金の理由などは問いません。
債務整理手続きを代行してもらえるのみならず、どうやって生活を立て直すべきなのか、利用すべき公的制度などのアドバイスももらえるはずです。
養育費についても弁護士に依頼すればスムーズな入金が期待できます。
ぜひ無料相談を活用してみてください。
シングルマザーが借金を抱えて生活するのは苦しいものです。まずは、借金をなくすことから始めてみましょう。生活を立て直し、子どもの幸せに向けて行動していくことが大切です。公的支援を上手に利用して借金のない生活を取り戻しましょう。
養育費の請求は離婚した後からでも申し立てることが可能です。まだ養育費を請求していないなら一刻も早く請求していきましょう。もしも配偶者の死亡でシングルマザーになっているなら受給できる保険や年金、損害賠償は期限以内に請求してください。
借金問題でお困りの場合にはまずは弁護士に無料相談してみましょう。シングルマザーは早めに借金を無くして平穏な生活を取り戻してください。借金を無くしてあなたとお子さんが幸せをつかめることを願います。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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『旦那や家族には言っていないけど、実は私、借金を抱えてます…』
実は、主婦で借金を抱えている人は多く、それを言えずに悩んでいる方もたくさんいるのが現状です。もしかしたらこの記事をご覧のあなたも、そういった悩みをお持ちなのかもしれません。
一人で悩むことなく、主婦で借金をしている人は意外と多いということを知っていただいて、ぜひご自身の借金返済について前向きに考えていってください。この記事があなたにとって、ご参考になれば幸いです。
これから債務整理をしようと考えている方の中には、債務整理後にキャッシングできるのか、債務整理中にお金が足りなくなったときキャッシングを利用することは認められるのかと、お悩みの方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、債務整理をしたことで、キャッシングなどを法律で禁止されるわけではありません。
しかし、債務整理をすると信用情報に事故情報が登録される(ブラックリスト入りする)ので、ほとんどの金融機関は、融資に応じてくれなくなります。
親子であっても、他人の借金を返済する義務は原則としてありません。肩代わりするかどうかは、基本的に子ども自身の判断で自由に決められます。
しかし親の借金でも子どもに返済義務が生じることがあり、借金を放置すると子どもが差し押さえを受けることにもなりかねません。
本コラムでは、親の借金が降りかかってきた場合に、子どもはどのように対処すればよいのかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。