債務整理 弁護士コラム
インターネットが普及し、さまざまなものをクリックひとつで簡単に買える時代になったことで、クレジットカードのようなキャッシュレス決済できる仕組みは必須のものになりつつあります。
また、令和元年10月の消費税の増税に伴い、キャッシュレス決済に軽減税率が適用されることもあり、これまでクレジットカードをもっていなかった人でもクレジットカードを作ってみようかと考えている人もいるかもしれません。
そこで今回は
・クレジットカードを作るときの流れ
・クレジットカードの使い方
・クレジットカードのトラブルに遭わないために知っておくべきポイント
についてまとめてみました。
クレジットカードを作る上で、わからないことがあって不安だという人はぜひ参考にしてください。
お役立ていただければ幸いです。
まずは、クレジットカードを作る際の手順を簡単に確認しておきます。
クレジットカードを申し込むことのできる窓口としては主に次の3か所があります。
もっとも手軽な窓口は、カード会社各社のウェブサイトからクレジットカードへの入会の申し込みを行う方法です。
ウェブサイト申し込みであれば、24時間・365日の対応ですから、自分の都合の良いときに手続きができるのでとても便利です。
「インターネット上の画面操作は苦手」という人であれば、銀行や提携小売店の窓口(もしくは店舗に備え付けられている入会申込用紙)で、カード発行の申し込みをすると良いでしょう。
ただし、店舗申し込みの場合には、店舗ごとに申し込めるクレジットカードの種類が異なりますので注意する必要があります。
VISA・Masterといった国際ブランドであれば、ほとんどのカード会社が選択可能だと思いますが、たとえば「アメックスカードが欲しい」といった希望があるときには申し込みのできる提携店舗をあらかじめ調査しておいた方がよいでしょう。
また、銀行で申し込む場合のように、有人窓口で入会申し込みをするときにはその店舗の営業時間(受付時間)内でなければ手続きできないことも注意しましょう。
クレジットカードの申し込みをする際には、各カード会社所定の入会申込用紙のほかに「本人確認書類」が必要となります。
本人確認書類は、「運転免許証(免許を返上した高齢者は「運転経歴証明書」)」のコピーを提出するのが一般的ですが、パスポートなどでもかまいません。
そのほか、カード利用代金を支払うために必要な銀行口座に関する書類(口座番号など)も必要となります。
特に、銀行系カードでは特定の口座を用いることでポイントなどが優遇されることもあるので、事前に確認しておくとよいでしょう。
未成年者がカードを申し込む際には、保護者の同意書および印鑑も必要となります。
入会申し込みがなされると、カード会社による審査が行われます。
審査の具体的な基準は、それぞれのカード会社によって異なりますので一概にはいえませんが、一般的には次のような項目が審査の対象となります。
わかりやすくいえば、離職率の低い安定した勤務先で働いていて、収入が高く、配偶者・家族と同居している持ち家がある人は審査でも高い評価となります。
対して、不安定な仕事をしていて、年収が少なく、独身で賃貸暮らしの人は評価が低くなるというわけです。
国内のクレジットカード会社は、特に属性の評点を重視する傾向があるといわれていますが、アメックスのように属性よりも収入額を重視しているといわれるカード会社もあります。
ただ、クレジットカードの発行審査は、借金の申し込みよりも審査基準それ自体は厳しくありません。
いわゆる流通系カード、ハウスカード(ガソリンスタンドやスーパーマーケット・コンビニエンスストア・家電量販店が提携して発行しているカード)とよばれるタイプのクレジットカードは、銀行系カードよりも発行基準が緩いと言われています。
また、最終的な利用限度額で調整される部分もあるので、「収入がほとんどない」、「過去に信用取引で事故を起こしている」といったケースでなければ心配する必要はあまりないでしょう。
カード会社の発行審査(入会審査)に通過すると、クレジットカードの発行となり申込者の手元に書留郵便で郵送されてきます。
なお、銀行系カードの申し込みを銀行の本支店窓口で行った場合には、キャッシュカード発行の場合と同様に窓口で即日発行してもらえる場合もあります。
クレジットカードが手元に届いたときには、カードが申し込んだものと同じであるか、印字されている氏名などが正しいかどうかといった点を必ず確認しましょう。
万が一誤りがある場合には、すぐにクレジットカード会社へ連絡し対応してもらいましょう。
問題がなければ、カード裏面の署名欄に自署のサインをしてカード発行の手続きは完了です。
クレジットカードには、「ショッピング利用」と「キャッシング利用」とがあります。
クレジットカードのショッピング利用とは、購入した代金の支払いをクレジットカード会社に立て替えてもらう方法のことをいいます。
店舗などでクレジットカードを利用して決済する場合が、「ショッピング」としての利用ということになります。
ショッピング利用分の支払いは、後日カード会社からの請求にしたがって、口座引き落としで決済されます。
カード会社ごとに「請求の締め日」、「支払日」が異なりますから、必ず確認しておきましょう。
代金の支払い方法には大きく分けて、次の5つの方法があります。
キャッシング利用とは、簡単にいえばカード会社からの借金です。
銀行・コンビニエンスストアなどに設置されている提携ATMを通じて、契約時に設定された利用限度額(ショッピング利用の限度額より低く設定されているのが一般的)の範囲内までであれば、借金することができます。
キャッシングした分についても、ショッピング利用分と同様に、毎月指定口座からの支払いで返済することになります。
クレジットカードはとても便利なものですが、使い方を誤れば重大なトラブルに巻き込まれてしまうことも少なくありません。
クレジットカードをめぐるトラブルのほとんどは「使いすぎによる支払いの滞納」と「不正利用」です。
これらのトラブルに遭わないために重要となるポイントは、下記のとおりです。
もっとも基本的なことですが、紛失をめぐるトラブルは実際にも少なくありません。
万が一、紛失し悪用された場合には、身に覚えのない使用分については保険で補償してもらえることもあるので、すぐに手続きができるように保険会社の連絡窓口の番号だけでなく、自分のクレジットカードの番号などを控えておくとよいでしょう。
ところで、普段使わないからとよくわからないところにしまっておくのも、「盗難に遭ったどうかわからなくなる」可能性があるので、あまりオススメできません。
クレジットカードは、カード本体がなくても、その番号・名義人の氏名などがわかるだけで悪用することができます。
最近では、インターネットを介してカード情報を不正に取得するさまざまな手口が横行しています。
「Amazonなどのアカウントが登録された」、「クレジットカードが更新できなかった」のでカード情報の提供をしてほしい(メールに記載されたURLにアクセスしてほしい)というメールの類いは、悪意のあるメールである疑いが強いです。
絶対に取り合わずにそのまま消去するようにしましょう。
クレジットカード情報を入力する可能性のあるパソコンにウイルス対策ソフトなどを導入することは、当然必要となる最低限の備えです。
カードの不正利用は、第三者による悪意のある利用に限りません。
カード規約を理解していないことを原因に、カードを正しく利用できなかった場合にも不正利用と判断され、カードが強制解約(利用残額の一括請求)されてしまうことがあります。
カード所有者による不正利用の典型例は、いわゆる「クレジットカードの現金化」です。
クレジットカードの現金化とは、クレジットのショッピング利用で購入した商品(新幹線の回数券・商品券・高級家電など)を代金支払い前に他者(金券ショップ・リサイクルショップなど)に売却してしまう行為のことをいいます。
ショッピング枠の利用分を現金に換える行為なので、ショッピング枠の現金化とよばれることもあります。
クレジットカードの現金化は、借金やカード利用額の支払いに行き詰まった人が行ってしまうことの多い行為ですが、破産法でも免責不許可事由とされているとてもリスクの高い行為です。
また、同じカードで、同じ商品を短期間に反復購入するような行為も、クレジットカードの現金化につながる行為として、カード会社による監視・強制解約の原因となることがあります。
これらの禁止行為は、カード規約に必ず明記されているので、カードが届いたときにはカード規約を必ず確認しましょう。
クレジットカードはとても便利な決済手段ですが、利用の仕方を間違えると大きなトラブルになりかねません。
特に、クレジットカードを作ったばかりの段階では、クレジットカードでの決済は、本当に必要最低限度にしておいた方がよいでしょう。
「ポイントが付くから」といきなりあらゆる身近な決済を一気にカード払いに切り替えることは、トラブルの原因にもなりかねませんので、あまりオススメできません。
はじめてカードを持つ人にとって大切なのは、利便性を享受する、ポイントを貯めることよりも「正しくカードを使えるようになること」です。
上の点にも共通しますが、カードでの決済は原則として「1回払い」にすることを心掛けましょう。
1回払いであれば、手数料も発生せず、無駄な出費が生じることを避けられるだけでなく、毎月の支払いの管理も明確になるからです。
どうしても分割払いにしなければならないときには、手数料の発生しない「2回分割」(もしくはボーナス1回払い)がオススメです。
クレジットカードの利用料滞納トラブルには、「リボ払い」が原因となっているケースが多いです。
リボ払いとは、簡単にいえば「定額制の分割払い」のことです。
通常の分割払いとの違いは、
という点です。
ちょっとした違いのように感じるかもしれませんが、仕組みとしては全く違う決済方法です。
たとえば、30万円の商品を10回の分割払いでショッピング利用した場合には、毎月3万円(+手数料)×10回の返済となります。
他方毎月1万円ずつのリボ払いで支払いを行った場合には、1万円(+手数料)×30回の返済となります。
一般的には、「リボ払い=毎月の返済額を抑えるための支払い方法」と理解されている(そのようにカード会社からもPRされる)ので、分割払いよりもリボ払いの方が毎月の返済額を少なくできます。
その代わりに、返済期間が延び「完済までに支払う手数料の総額」も多くなります。
基本的に、リボ払いはカード会社が「手数料をたくさん受け取れる決済方法」であるということです。
リボ払いと分割払いの一番大きな違いは、リボ払いの対象となるすべての利用分がひとつの単位として計算されることにあります。
たとえば、10万円の商品A、20万円の商品Bをそれぞれ10回の分割払いでショッピングした際の返済額は、毎月1万円+2万円=3万円となります。
しかし、リボ払いでは、合計30万円のリボ払い分を毎月の設定額(たとえば1万円ずつ)で支払っていくことになります。
つまり、リボ払いはその月の利用額が増えると「永遠に完済できない(=手数料を支払わされ続ける)支払い方法」というわけです。
とはいえ、カード会社としても「永遠に完済できないのは困る」ので、利用総額が一定額を超えると、毎月の返済額が増額される方式(残額スライド方式)が採用されるのが一般的です。
そのため、毎月1万円ずつだったら返せると思ってリボ払いで購入したのに、「予定外のタイミングで(残高スライド方式により)請求額が増えてしまって支払えなくなる」というケースが少なくありません。
リボ払いは、一見するととても便利な制度に見えますが、とてもリスクの高い支払い方法であることは絶対に忘れないようにしましょう。
「キャッシング利用」もクレジットカードをめぐるトラブルになりやすいものです。
クレジットカードのキャッシングは、消費者金融などの借金と比べて「利用に罪悪感がない」、「借りやすい」と考える人も多いようですが、借金であることには代わりがありません。
また、キャッシング利用分に対して発生する利息額も、消費者金融や銀行カードローンの場合とほとんど代わりがありません。
クレジットカードの利用に慣れていない人には、「請求は来月だと思っていたからお金がない」といったトラブルに陥ることも珍しくありません。
特に、締め日直前の利用分は「支払いは来月だと勘違いしていた」ということになりやすいので注意しましょう。
アメックスカードのような一括払い専用カード(現金決済に近い使い方を前提としているカード)の場合には、締め日と請求日が近いものもあるので「支払いは来月以降」と考えていると、予期しないタイミングで高額の支払いを請求されることにもなりかねません。
毎月の利用分の締め日・支払日は、カード会社によって設定が異なります。
事前にきちんと確認し、忘れないようにしましょう。
また、毎月の利用状況(いつ、いくら使ったのか)を自分自身でしっかり把握しておくことはもっとも基本的で重要なポイントです。
消費税の軽減措置との関係で、スーパーやコンビニなどの日常的な買い物にもクレジットカードを使うことが増えれば、それだけ管理も難しくなります。
最近では、紙ベースの明細書の送付を行わないカード会社が増えていますので、カードの利用状況をきちんと自己管理することはとても重要です。
クレジットカードは、正しく安全に利用できればとても便利なものです。
しかし、「現金ですぐに決済しない」ことにはさまざまなリスクもあります。
初めてクレジットカードをもったという人の場合には、「便利だから」、「ポイントがたまるから」と最初からすべての決済をカードで行うようなことはせず、「自分できちんと管理できる範囲」から慣らしていくようにすべきでしょう。
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住民税とは、都道府県や市区町村といった自治体がさまざまな行政サービスを住民に提供するための費用に充てられる税金のことです。正式名称は「市町村民税」や「都道府県民税」など地域によって異なりますが、この2つを総称して住民税と呼びます。
会社などに勤務している方は、住民税のことをあまり意識したことはないかもしれませんが、自営業の方などは住民税の他にも国民年金保険料や国民健康保険料をはじめとして、さまざまな税金や公共料金を自分で納めなければなりません。
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