債務整理 弁護士コラム
アイドル好きの人には、自分の生活の大部分をお気に入りのアイドルのために割いている人も少なくありません。
新しいCDがリリースされれば、何枚も購入し、すべてのメディアをチェックし、コンサートもチケットさえ取れれば全国どこでも応援に駆けつけるという人も少なくありません。
当然、そのための費用もかなりの金額になるでしょう。
他方、アイドルのおっかけをするために仕事を犠牲にすることも多く、かかる費用と毎月の収入のバランスがとれないこともよくあるようです。
せっかくコンサートチケットの抽選に当たったのに、お金がないというときには「借金してでも絶対に行く」という人も多いそうです。
そこで、今回はアイドルのおっかけが原因で抱えた借金が返せなくなってしまったときの対処方法や注意点などについてまとめてみました。
お気に入りのアイドルのおっかけをするにはかなりのお金がかかります。
最近では、CDなどに握手会などの参加券(抽選権利)などが特典として付くこともあり、一人で何枚もCDをまとめ買いする人も少なくありません。
シングルCDも何十枚も買い込めばそれなりの金額になってしまいます。
また、ファンクラブの会費負担や、グラビアやインタビューなどが掲載されている雑誌の買いだめ、コンサートへの遠征費用、各種グッズの購入と、かけようと思えばいくらでもお金をかけることができてしまいます。
ファンクラブも一人で複数入会している人も多いようですし、雑誌も「閲覧用」と「切り抜き用」、「保管用」と用途にわけて複数冊購入する人も珍しくありません。
これらの出費もかなりの金額になるでしょう。
さらに、コンサートがあればその費用がかかり、コンサートやイベントのスケジュールを最優先にできるようにと定職に就かない人もいるようです。
コンサートチケットが当たったけど、「肝心の旅費がない」という場合などには、「借金してでもコンサートやイベントに行きたい」と考える人も少なくないと思います。
しかし、「借金をしてまでアイドルのおっかけ行為をする」ことは、あまりおすすめできません。
どうしても借金しなければならないというときには、これから述べる点に注意し安易で危険な借金はしないようにしましょう。
両親や兄弟からお金を借りることができれば、もっともリスクを小さくアイドルのおっかけに必要な費用を工面することができます。
身内からの借金であれば、利息や返済期限を厳密に考える必要がないからです。
「おっかけの費用を借りたいなんて頼めない」と考える人もいるかもしれませんが、「返済できないかもしれない」というリスクを考えたときには、家族に頭を下げてみることはとても有効な方法です。
銀行・消費者金融・クレジットカードといった金融機関からの借金でおっかけ費用を工面するときには、「必要最小限(以下)の金額」にとどめるように意識すべきです。
たとえば、コンサートに行くための旅費を借金で工面するなら
「グッズ購入は我慢する」
「CDの購入費用は来月の収入で一括返済できる金額までにする」
「今回の借金を完済するまでは、次の借金は絶対に控える」
といったように、「多額の借金が返済できなくなる」といった状況にならない工夫をすることはとても大切です。
また、クレジットカードの分割払い・リボ払いを利用することは、「借金をすること」と基本的に違いはありません。
分割払い(3回以上)・リボ払いで発生する手数料は、銀行・消費者金融のカードローンで発生する利息とほとんど差異はありません。
特に、「リボ払い」は1回払いでも手数料が発生するカードもありますから、できるだけ利用を控えるようにしましょう。
リボ払いを多用しすぎると、「返済しても返済しても元金が減らない」という悪循環に陥る可能性が高くなります。
上記のように、アイドルのおっかけをしている人には、正規雇用ではない形で自由に働いている人も少なくないようです。
会社勤めをしていれば、お気に入りのアイドルのコンサート・イベントに行くことを最優先にできなくなる可能性が高くなるからです。
フリーター・アルバイトであれば、金融機関の審査はどうしても不利になります。
アイドルのおっかけ費用を借り入れたくても審査に通らないということもあるかもしれません。
しかし、そのような場合にいわゆる「ヤミ金」から借金することは絶対に避けましょう。
最近は、テレビや映画などで見るような、「コワモテ風」ではないヤミ金業者も増えています。
特に、ネット掲示板などで見かけることの増えた「個人間融資」の類いは危険なので利用は控えましょう。
万が一、ヤミ金と関わりを持ってしまった場合には、すぐにヤミ金問題に詳しい弁護士に相談しましょう。
ヤミ金との関わりが長くなれば暴力的な取り立てに遭う可能性があるだけでなく、「返済の代わりに、口座の違法譲渡や詐欺の出し子・受け子行為といった犯罪行為に加担させられるリスク」も高くなります。
アイドルのおっかけのために抱えた借金が返せなくなったときには、1日も早く正しく対処することが重要です。
借金が返せなくなった場合の対処方法には次のような方法があります。
毎月の収入では借金返済が難しいというときには、手持ちの財産を処分して借金の残金を完済・圧縮することが考えられます。
アイドルのおっかけをしている人であれば、これまでに収集したグッズや写真集などをオークション(サイト)などで売却することも有効な方法でしょう。
保存状態がよく、希少価値の高いグッズなどがあり高値で処分することができれば、借金を一気に完済できることもあるかもしれません。
借金の残額を両親・兄弟などに代わりに返済してもらうことも、有効な方法です。
借金残額を両親・兄弟などに一括返済してもらうことができれば、当初支払うはずだった利息分を節約することができます。
また、両親などへの返済については、「できる限りの返済」をすればよく、細かなことは融通を利かせてもらえることも多いでしょう。
「アイドルのことで家族を頼る」ことに抵抗を感じる人も多いかもしれませんが家族の力を借りることは、リスクも負担も小さく借金を解決するもっともよい方法のひとつといえます。
自力での借金返済が難しく家族などの支援も得られないときには、「債務整理」で抱えている借金の返済を(一部)免除してもらうことで解決します。
債務整理には
の3つの方法があり、それぞれのケースに応じて手続きを選択します。
借金の金額が低い場合や収入額に余裕がある場合には、任意整理、それとは逆の場合には自己破産、個人再生は中間的な手続きをイメージしておくとよいでしょう。
ここでは、債務整理(借金を整理するための法的な手続きのこと)の種類ごとの注意点についてまとめておきます。
それぞれのケースにもっとも近いものを参考にしてみてください。
任意整理は、もっとも簡単で費用も安く済ませることのできる債務整理の方法です。
借金の返済は苦しいけど、「負担が軽くなれば、何とか自力で完済できそう」というケースであれば、任意整理で借金を返せるようになる可能性は高いといえます。
①任意整理するには「毎月の収入」が必要
任意整理は、今後の利息を免除してもらうなどの方法で「今後の返済の負担を減らしてもらう」ための交渉を行う手続きです。
したがって、任意整理を行っても「借金それ自体がなくなる」というわけではありません。
そのため、任意整理を行うためには、「今後も返済を続けられるだけの最低限の収入」が必要となります。
とはいえ、正社員でなければ任意整理できないわけではなく、毎月の返済額を確保できるのであれば、フリーター・非正規雇用であっても問題はありません。
②借金が多すぎるときには任意整理は不向き
上でも触れたように、任意整理では「借金の元金の免除」を受けられるわけではありません。
また、利息免除後の分割返済の回数も無制限に認めてもらえるわけではなく、3~5年以内での分割返済が基本となります。
したがって、任意整理で解決できる借金の額は、「毎月確実に返済できる金額☓36~60」までということができます。
抱えている金額がこの額を超えるときには、自己破産などの他の方法で解決するか、グッズなどの財産の処分・家族の援助によって借金残額をあらかじめ圧縮する必要があります。
③全く返していない借金は任意整理できない
任意整理は、その名前の通り「債務者と債権者との私的な話し合い」です。
話し合いに応じることを相手方(債権者)に強制することはできません。
そのため、「融資を受けてから、返済実績のほとんどない借金」については、話し合いに応じてもらえる可能性はかなり低いといえます。
借金返済が自転車操業になってしまったときには、「借りて間もない借金」がたくさん残ってしまうこともあるので注意する必要があります。
返せなくなった借金を任意整理で解決できないときには、自己破産で解決しなければならない場合が多いです。
①自己破産した際に差し押さえの対象となる財産
自己破産した場合には、自分の保有財産のうちで売却価値のある財産は差し押さえの対象となります。
アイドルグッズについても、「換価価値が20万円を超える場合」には差し押さえの対象となる可能性があるので注意しましょう。
②自己破産をしても借金返済が免除されない場合
自己破産は負債と財産を清算するための手続きなので、それだけでは借金の返済は免除されません。
借金返済の免除を受けるためには、自己破産した後に裁判所から免責の許可を得なければなりません。
「アイドルのおっかけ」は、浪費に該当する行為なので、破産法の規定の上は「免責不許可」となる可能性があります。
しかし、実際には免責不許可事由に該当するケースでも、裁判所の裁量によって免責を認めてもらえます。
ですが、自己破産を申し立てた後も、「アイドルの追っかけ(浪費と判断される行為)を全くやめられない」というケースでは、裁判所は「免責は不相当」と判断する可能性があります。
自己破産で借金を解決したいと考えている人は、「アイドルのおっかけを卒業」する必要があることは知っておきましょう。
③自己破産するにもまとまった費用が必要
免責不許可事由に該当する可能性があるケースでは、自己破産をするにもまとまった費用が必要となります。
免責不許可事由に該当する可能性があるケースでは裁量免責の可否を判断するために必要な調査を行うために、管財事件となることが多いからです。
管財事件となった場合には破産管財人が選任されるため、その報酬に充てられる予納金を申立人が負担しなければなりません。
自己破産した場合の予納金の額は弁護士に依頼して自己破産を申し立てた場合には20万円が目安となりますが、弁護士に依頼せずに本人申し立てをした場合には50万円以上かかってしまいます。
個人再生は任意整理と自己破産の中間的な位置づけの手続きです。
個人再生が認められれば、借金の一部を原則3年間かけて分割返済することで残額の返済を免除してもらえます。
とはいえ、アイドルのおっかけが原因で債務整理する場合には、個人再生はハードルの高い手続きといえます。
個人再生は、手続きがもっとも複雑で、費用もかなりかかる場合が多いからです。
また、借金の総額が100万円を超えていないケースでは、元金の免除もないので手続きのメリットもありません。
そのため、個人再生を利用するのは、「任意整理できるだけの収入がなく、自己破産を申し立てても免責不許可となることが濃厚な場合」、「アイドルおっかけ費用の借金のほかに住宅ローンを抱えている場合」のようなケースに限られると思われます。
借金問題は、対応が遅くなるほど解決が難しくなります。
返せなくなった借金の金額が増えるほど解決の選択肢がなくなり、それに要するコストも大きくなるからです。
「好きなアイドルを応援し続けたい」という気持ちはわかりますが、借金の督促に追われる生活が続けば、アイドルのコンサートも思うように楽しめないこともあるでしょう。
債務整理をして借金問題を解決し、生活にゆとりが生まれればまた好きなアイドルの応援を再開することも十分可能です。
借金問題の相談は、ほとんどの弁護士事務所が「無料相談」で対応してくれるので、お金の心配をすることなくアドバイスを受けることができます。
借金の返済は、一度行き詰まってしまうと自分だけの努力では建て直せないことが少なくありません。
短期間のうちに収入を増やす、支出を大幅に削る、といったことは簡単ではないからです。
その意味でも、借金の返済が苦しいと感じたときには、1日も早く専門家に相談し適切なアドバイスを受けることが大切といえます。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。
『旦那や家族には言っていないけど、実は私、借金を抱えてます…』
実は、主婦で借金を抱えている人は多く、それを言えずに悩んでいる方もたくさんいるのが現状です。もしかしたらこの記事をご覧のあなたも、そういった悩みをお持ちなのかもしれません。
一人で悩むことなく、主婦で借金をしている人は意外と多いということを知っていただいて、ぜひご自身の借金返済について前向きに考えていってください。この記事があなたにとって、ご参考になれば幸いです。
これから債務整理をしようと考えている方の中には、債務整理後にキャッシングできるのか、債務整理中にお金が足りなくなったときキャッシングを利用することは認められるのかと、お悩みの方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、債務整理をしたことで、キャッシングなどを法律で禁止されるわけではありません。
しかし、債務整理をすると信用情報に事故情報が登録される(ブラックリスト入りする)ので、ほとんどの金融機関は、融資に応じてくれなくなります。
親子であっても、他人の借金を返済する義務は原則としてありません。肩代わりするかどうかは、基本的に子ども自身の判断で自由に決められます。
しかし親の借金でも子どもに返済義務が生じることがあり、借金を放置すると子どもが差し押さえを受けることにもなりかねません。
本コラムでは、親の借金が降りかかってきた場合に、子どもはどのように対処すればよいのかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。