債務整理 弁護士コラム

アルコール依存症によって借金を抱えた方とその家族に知っておいてほしいこと

2020年05月19日
  • 借金問題
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アルコール依存症によって借金を抱えた方とその家族に知っておいてほしいこと

アルコール依存症とは、お酒に依存する病気のことをいいます。
アルコール依存症になると、ストレス解消のためにお酒に頼ったり、何か不都合なことがあるとお酒を使って解決しようとしたりして、なかなかアルコールから離れられなくなってしまいます。

そして、アルコール依存症が深刻化すると、アルコール(お酒)にお金を使いすぎてしまうことで、借金までをも抱えてしまうというケースも珍しくありません。
気づいたときには借金が大きく膨らんでおり、どうしようもなくなるというケースも多々あるのです。

では、アルコール依存症によってそのような状況になってしまったら、いったいどうすればよいのでしょうか?

今回は、

・アルコール依存症で作った借金の解決方法はあるのか?
・よくない解決方法とよい解決方法の違いとは?
・アルコール依存症の人を抱える家族の適切な対応とは?

などについて、ご紹介していきます。
ご参考になれば幸いです。

1、アルコール依存症によって借金を抱えた実例

就職してからも、毎晩のように飲み歩くようになり、目を覚ませばいつも裸に近い状態で駅前や公園でひっくり返っているのですが、自分が何をしていたのか全く覚えていません。その度に自責の念に駆られるも、現実から逃れるためにまた飲酒するという日々の繰り返しでした。

給料はもらった日にすべて酒代に消え、借金は瞬く間に二百数十万円に膨れ上がりました。両親に初めて借金を返済させたのはその二百数十万円です。

その後、大手運送会社に転職しましたが、収入が増えたことで気が大きくなり、飲み方は一層ひどくなりました。また、29歳の時に結婚するも、毎日泥酔して朝方に帰宅する、飲酒を注意されれば暴力をふるう、という状況が続き3年後に離婚しました。

結局、35歳の時に六百数十万円の借金をつくり、「もうあかん」と、梅田のホテルにチェックインし、大量に酒を飲み、屋上から飛び降りようと自殺を決心しました。


アルコール依存症による借金の実例は、このような悲惨なものもあります。
なにか嫌なことから逃れるために飲酒を繰り返し、アルコールなしでは生きていけなくなってしまう。
そのような毎日になってしまえば、当然お金は尽きますし、生きることにさえ希望が見えなくなってしまいます。

アルコール依存症は、現在のところ、その治療法は確立されておらず、回復率も極めて低いと言われています。
そのため、家族や周りの人のサポートが非常に重要になってくる病気だといえます。
お酒を飲むことによって、嫌なことを一時的には忘れることができるのかもしれません。

しかし、それはアルコールが回っている時だけでの効果であり、アルコールが切れてしまえば、またアルコールに頼らなくてはいけなくなってしまいます。
この悪循環によって、夜だけではなく昼間からお酒を飲んだり、ひどい時には朝から晩まで飲み続けたりという状況にもなりかねません。

以下のことが当てはまる方は、アルコール依存症への注意が必要です。

  • 周りからよく「飲み過ぎ」と注意される
  • 朝から飲むことが多々ある
  • 体調が悪くてもお酒が飲みたくなる
  • 仕事でのミスや約束事を忘れるといったことなどが増えた

2、アルコール依存症で作った借金の解決方法は?

では、もしもアルコール依存症によって借金を作ってしまったら、どのようにして解決すればよいのでしょうか?
また元の生活に戻ることはできるのでしょうか?

  1. (1)返済のために別のところから借金すればよい?

    借金を返すために、別のところから借金をする方法はどうでしょうか?
    この場合、多重債務を抱えることになり、結局は借金地獄から抜け出すことが難しくなります。

    多重債務によって毎月借金の利息分しか返済できなくなることも多いですが、そうなるといつまでたっても元本が減っていかないからです。

    借金を借金して返済するという方法は、新たな借金を作るだけでなく、いつまでたっても借金がなくならないという自転車操業的な地獄に陥ってしまう可能性が高いです。

  2. (2)すぐに貸してくれるヤミ金から借りればよい?

    アルコール依存症で作った借金を、手早くお金を貸してくれるヤミ金を使って返済しようとする方法はどうでしょうか?

    ヤミ金の怖さは知っていても、借金を返すために仕方なく、ヤミ金を利用してしまう方もいるかもしれません。
    また、現代では、「ソフト闇金」といわれる業者もあります。

    ソフト闇金であれ、金利や利率が恐ろしいほど高く、一度借りてしまうと取り立てから逃れられなくなる可能性もありますので、絶対に利用しないでください。

  3. (3)逃げてしまえばよい?

    借金の取り立てから逃れるために、夜逃げを考える方もいます。

    しかし、結論から言うと、夜逃げは借金の根本的な解決には絶対になりません。
    一時的に借金から逃れられても、借金が一切なくなるわけではありませんし、仕事に就けなかったり、身分証の提示ができなかったりと、その後の生活に大きな支障が出てしまいます。
    いつまでも逃げていては、平穏な生活を送ることはできないでしょう。

    借金に悩んでも、夜逃げはおすすめできません。

  4. (4)債権者と個人的に交渉して待ってもらえる?

    個人的に債権者と交渉をして、返済を待ってもらうことはできるのでしょうか?
    うまく交渉が進めば、少しは待ってくれるかもしれません。

    しかし、債権者は、お金を貸すことを仕事としていますから、法にのっとった交渉ではなく、個人による心情的な交渉では、あまり効果的とはいえません。
    逆に、交渉がうまくいかなければ、より取り立てが厳しくなる可能性もあり、さらに取り立てのリスクが高まります。

3、借金の本当の解決方法とは?

ここまでご紹介した方法は、借金の根本的な解決にはなりません。
ここからは、借金の現実的な解決方法について、ご紹介していきます。

  1. (1)より多く働いて収入を上げる

    借金を返すために、より多く働いてより多くの収入を上げようという方法もあります。
    まっとうに働いてお金を返すのは、一番良い方法だと思うかもしれません。

    しかし、現実問題として、限られた時間で労働時間を増やすのは限界がありますし、さらにストレスがたまってしまう可能性もあります。

    そうなってしまっては、またアルコールに頼る生活に戻ってしまい、さらに借金が膨らむリスクもあります。
    それでは、さらに働いた意味がまったくなく、元も子もありません。

  2. (2)債務整理をする

    アルコール依存症での借金は、アルコール依存症であるという問題と、借金を返済していかねばならないという問題の二つの問題が存在しています。

    借金を返済するためには前述のように収入を増やす必要がありますが、アルコール依存症を治療しながら収入まで増やすのは、特別な稼ぎ方でもない限り、不可能に近いと考えます。

    そこで、まず借金の返済については、債務整理をすることが適切と言えるでしょう。

    債務整理とは、借金を減額する任意整理や個人再生、または0にする自己破産という制度のことです。
    もちろん条件がありますが、弁護士に依頼をすることで、その手続きをスムーズに行うことができます。
    債務整理というと、少しネガティブにイメージされる方もいるかもしれません。

    しかし、債務整理をすることで、全てをリセットし、新たな人生を再スタートさせることができますので、実はデメリットよりもメリットの方が多いとも言えます。

    これを知らずに延々と悩み続けるのではなく、早期に弁護士へ相談をし、解決の糸口を探ってみてはいかがでしょうか。

4、アルコール依存症によって作った借金も債務整理は可能?

では、アルコール依存症のような自己責任の理由で作った借金も、債務整理をすることはできるのでしょうか?
これに関しては、基本的には可能です。
ただし、アルコール依存症といった理由を含め、

  • ギャンブル
  • キャバクラ
  • 株や先物取引
  • 名義貸し


などが理由で借金を抱えた場合、免責不許可事由(免責が認められないこと)にあたり、債務整理の中でも借金を全額免除できる「破産」はできない可能性もあります。

免責許可を受けるためには、今現在アルコール依存症が回復していることや、もうアルコールによって借金を重ねていないことなど、健全な状態であることを証明する必要があります。

これらが全て証明できれば、たとえアルコール依存症という事情であっても、免責許可を受けられる可能性があります。

5、アルコールによって借金を繰り返さないために

アルコール依存症による借金を二度と繰り返さないために、意識することやできることとは、いったい何なのでしょうか?

  1. (1)アルコール依存症を克服する

    つらいことがあったとしても、お酒に頼ることなく、アルコール以外のところで解決できるようにならなければ、またアルコール依存症へと戻ってしまいます。

    ちょっとの量なら大丈夫だろうという気の緩みが、再びアルコール依存症への道となるケースは多いので、飲酒を控えるというよりも、完全に断つことが重要となります。
    しかし、自分ひとりでアルコールを断つのは極めて難しいですし、断とうとすればするほど、かえってアルコールを欲するようになってしまう可能性もあります。

    そのためにも、必ず病院での検査や相談を早期に行うようにしてください。
    アルコール依存症の治療法はまだ確立されていないとはいえ、最低限、病院での検査や治療は行うべきだと考えられます。

  2. (2)相談できる環境を作る

    アルコール依存症になった方は、問題を一人で抱えがちです。
    頼るところがなく、その寂しさを再びアルコールに頼ってしまう可能性もあります。
    病院での治療に加え、家族や友人などへ自分のことを打ち明けることが、克服には非常に大切です。

    ただ、家族や友人などに相談は、心のよりどころにはなったとしても、根本的な解決にはつながらないかもしれません。
    アルコール依存症の根本的な解決のためにも、アルコール依存の問題に取り組む団体への相談も検討してみましょう。

    似た症状を抱える方々とともに、アルコール依存症の克服へと一歩を踏み出すことができるかもしれません。
    決して一人で抱え込むことなく、なるべく早い段階での相談が大切です。

6、アルコール依存症の方を抱えた家族に知っておいてほしいこと

最後に、アルコール依存症を抱えた家族の方に知っておいてほしいことについて、ご紹介していきます。
依存症患者は一人で悩むことが多いので、家族の寄り添いが必要不可欠となってきます。

  1. (1)自分が悪いと思わない・ストレスを抱えない

    決して、「自分の育て方が悪かった」、「自分の関わり方が悪かった」など、自分を責めることはないようにしてください。

    ご家族は、被害者でも加害者でもなく、ともに依存症の克服へと向かっていくパートナーです。
    また、依存症の方が自分を責めることもありますから、怒鳴ったり、説教をしたりと、怒りによって問題を解決するようなことは控えることが賢明です。

    適切な関わり方ができないと、余計に事態を悪化させる可能性も十分にありますから、依存症の方への接し方には十分な知識と配慮が必要だといえます。

  2. (2)自分だけで抱え込まずに家族支援を受ける

    ベストな選択肢としては、自分たちだけで抱え込まず、家族支援などのサポートを受けることです。
    アルコール依存症を発症すると、家族では手に負えないほどに症状が悪化する可能性もあります。

    その際、しっかりとしたサポートができていないことが原因で、さらに飲酒量が増えてしまったり、家族間の関係性がより悪化したりと、悪循環に陥りかねません。

    依存症患者のためにも、そして自分たちのためにも、早めに家族支援などのサポートを受け、最適な解決策を得ることが賢明な判断だといえるでしょう。

7、まとめ

今回は、アルコール依存症による借金の返済について、ご紹介してきました。
最初は気軽な気持ちであっても、一度アルコールから離れられなくなってしまえば、一生お酒がなくては生きていけない人生にもなりかねません。
そうなれば、お金がいくらあっても足りないですし、借金をしてでもお酒を飲み続けるという悪循環に陥ってしまいます。

アルコールで抱えた借金も、債務整理を行うことは可能ですから、早期に相談をし、新たな人生をスタートさせるための準備をしていきましょう。
アルコール依存症に関しては、家族の配慮が非常に大切になってくる問題ですから、本人だけでなく、周りのサポートが解決には必要不可欠です。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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