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借金の時効って何年で成立するの?借金の時効の知識と借金を解決する方法

2020年03月03日
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借金の時効って何年で成立するの?借金の時効の知識と借金を解決する方法

この借金、時効でなくならないのかなぁ…。債権(貸主の返済請求権)に消滅時効があると知ったあなた。あなたのその借金も時効にかかってなくならないの?と思ったことはありませんか?

貸主のあなたに対する債権は、たしかに消滅時効があります。しかし、そうはいかないのが現実です。なぜ「そうはいかない」のでしょうか。

そこで、この記事では、

●消滅時効制度の概要
●実は消滅時効は使いづらい制度
●消滅時効以外の借金解決方法

について解説します。

1、消滅時効とは? どのような制度?

借金で悩んでいる人であれば、「借金の返済を長期間放置すると消滅時効で帳消しになる」といったことを耳にしたことがあるかもしれません。消滅時効という制度について簡単に確認しておきます。

一般の人が「時効」をいう言葉を耳にするのは、重大事件の容疑者が逮捕されないまま長期間が経過していることが報道された場合でしょう。かつては、殺人事件にも公訴時効が適用されていたので、その種の報道がよくなされていました(現在の法律では、殺人罪・強盗殺人罪などには公訴時効は適用されません)。

借金の時効は、「民法上の時効制度」となるので、公訴時効とは制度の趣旨が異なります。民法上の消滅時効は、「権利者が一定期間権利行使しなかったときに、その権利を失う」という制度です。

しかし、本来的には、権利は簡単に発生したり消滅したりすべきものではありません。その意味で、時効制度は、

  1. ①永続した事実状態の尊重
  2. ②権利の上に眠れる者を保護せず
  3. ③立証の困難


といった理由を背景に認められる「例外的な仕組み」ということができます。

2、借金の消滅時効は何年で完成するのか?

現在の民法における消滅時効には、「通常の消滅時効」と「短期消滅時効」の2つの制度があります。通常の消滅時効と短期消滅時効との違いは、「時効が完成する」ために必要な期間の長さにあります。通常の消滅時効は10年、短期消滅時効は対象となる権利によってそれぞれ期間が異なります。

「借金の消滅時効」も、対象となる借金の性格付けによって「通常の消滅時効が適用されるケース」と、「短期消滅時効が適用されるケース」とに別れます。

  1. (1)銀行や消費者金融からの借金の時効は5年

    現行の民法の規定では、金融機関からの借金の消滅時効は、原則として「5年の短期消滅時効」が適用されます。これは、商法522条が「商事債権の消滅時効期間は5年」と定めているからです。

    商事債権とは、簡単にいえば「商行為(営業行為)に基づいて発生する債権」のことをいいます。銀行や消費者金融などは、営利事業として融資しているので、商事債権にあたるわけです。

    しかし、金融機関からの融資の中には、「5年の消滅時効が適用されない」ものもあります。たとえば、「信用金庫」、「住宅支援機構」は、「法律上の商人」ではないため、商法522条ではなく、通常の消滅時効(10年)が適用されます。

    また、銀行などからの借金であっても、裁判を起こされて「裁判で確定した支払義務」となったときには、通常の時効(10年)が改めて適用されます。

  2. (2)友人・知人からの借金の時効は10年

    友人・知人・親族からの借金には、「通常の時効(10年)」が適用されるのが原則です。一般の人は、通常の場合、「法律上の商人」でも「営利目的の融資でもない」からです。

    しかし、「個人からの借金にはすべて10年の消滅時効が適用される」と理解することは、法律的には正しいとはいえません。個人からの借金であっても、「商行為」として貸付を受けた場合には、通常の時効ではなく、「商法522条の短期消滅時効」が適用されるからです。

  3. (3)時効制度は2020年4月から変わる

    いまの民法は、2020年4月1日から新しい民法に変わります。新民法では時効制度が大きくかわります。新民法における時効制度の改正点は次のとおりです。

    • 時効期間の一本化(「通常の消滅時効と短期消滅時効」という区分の廃止)
      ※「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間」、「権利を行使することができる時から10年間」に変更される
    • 用語の変更(「中断→更新」、「停止→完成猶予」)
    • 「更新」事由と「完成猶予」事由の整理
    • 協議による時効の完成猶予に関する規定の新設


    新民法施行後の借金には、新しい消滅時効制度が適用されます。

3、返済せずに逃げ切れば消滅時効で借金を踏み倒せるのか?

消滅時効の制度については、「返済さえしなければ借金がなくなる」と思い込んでいる人が少なくないようです。しかし、民法は、あくまでも「債権者が権利を行使しなかったとき」に消滅時効が成立すると定めているに過ぎません。

つまり、債務者が借金の返済を放置していたとしても、「債権者が権利行使すれば、消滅時効は完成しない」ということです。銀行や消費者金融などが、5年もの間「何もしない」ことはほとんどありません。

  1. (1)債権者からの権利行使による時効の中断

    民法147条は、「債権者が権利行使したとき」には、「時効が中断する」と定めています。時効の中断とは、「時効期間のカウントをリセットしてゼロに戻すこと」です。たとえば、銀行からの借金の返済を放置していても、「延滞から4年たった時点で銀行が権利行使した」ときには、「時効期間の計算をゼロからやり直す」ことになります。

    時効中断に必要な権利行使には、「請求」と「差し押さえ、仮差し押さえ、仮処分」の2つの場合があります。

  2. (2)民法147条の「請求」とは?

    民法147条に定められる「請求」は、「裁判所の手続きで支払を求めた場合」と理解しておけばよいでしょう。「請求」の典型例は、「民事訴訟の提起」や「支払督促の申立て」です。

    また、「請求」は、他の法手続に便乗して行うことも可能です。たとえば、債務者から「過払い金返還請求訴訟」や「債務不存在確認訴訟」を提起されたときに、「反論(抗弁)」として「お金を貸している」と主張した場合にも、消滅時効は中断します。

  3. (3)債権者からの督促電話や督促状は「請求」に該当するのか?

    借金を滞納したときに債権者からくる「電話」や「督促状」によって消滅時効は中断するのかということは、借金を消滅時効で解決したいと考えている人にとっては、重大な関心事ではないでしょうか。

    電話やハガキなどによる督促は、民法上は「催告」として位置づけられます。催告は、その後6か月以内に請求がないときには、時効は中断されません(民法153条)。したがって、電話や督促ハガキだけで時効が中断することはありません。

    しかし、催告後に請求(訴訟提起)されたときには、「催告の時点」で時効が中断します。したがって、「消滅時効の完成(5年経過)が差し迫っているけど、訴訟の準備に時間がかかる」ときの緊急手段としては、催告はとても有効な方法です。

  4. (4)差押えによって時効が中断するケース

    「借金を帳消しにするための消滅時効」の問題として、「債権者からの差押え」が問題となることは、実際にはあまりありません。差押えを行うには、その前提として「請求(訴訟提起・支払督促など)によって債務名義を作成する」必要があるからです。

    つまり、「差押えによって時効が中断する」ケースは、すでに債務名義が作成されている次のケースに限られます。

    • 判決確定などによって法的に確定した債務の消滅時効
    • 貸付の際に執行可能な公正証書を作成している借金の消滅時効
  5. (5)債務者の対応によって消滅時効が中断するケース(承認)

    消滅時効は、「債務者の対応」によっても中断することがあります。それが「債務承認」です(民法147条3号)。わかりやすくいえば、「債務者が自発的に債務の存在を認めている場合には、債権者の権利行使がなくても消滅時効を認める必要はない」ということです。

    債務承認に該当する対応としては、次のものが挙げられます。

    • 債務者が債務の一部を支払うこと(利息の支払も含む)
    • 債務者が「債務を認める文書(念書のようなもの)」を債権者に交付すること
    • 債権者が債権者に「返済の猶予・返済の一部免除」を申し出ること


    実際に返済をしていなくても、「今月は苦しいから待って欲しい」と債権者に伝えた時点で、時効は中断します。消滅時効によって借金から解放されようとするときには、債権者とのやりとりの一言一句にも注意する必要があるのです。

4、時効の期間が経過したとしても「援用」が必要

時効は、「例外的な」権利の得喪を定めた制度です。そのため、消滅時効によって「義務を免れる」(取得時効によって権利を得る)時には、さらに特別な手続きを得る必要があります。つまり、「借金の返済から5年逃げ切っただけ」では、「当然に借金はなくならない」ということです。

消滅時効によって、借金の返済義務から解放されるためには、「時効完成後」に、「時効援用」
という行為をしなければなりません(民法145条)。

「時効援用」とは、「時効によって権利の得喪を得る(借金の場合には支払義務がなくなる)ことを宣言する行為」のことです。

  1. (1)時効援用の方法

    消滅時効の援用は、債権者に対して、次の情報を記した文書を「内容証明郵便」で送付することが一般的です。

    • 消滅時効の対象となる借金を特定できる情報(契約番号・借入日・借入額)
    • 時効期間が完成していること(起算日から時効期間が経過していること)
    • 消滅時効を援用によって返済義務を免れること
    • 債務者を特定できる情報(氏名・生年月日・住所など)
    • 時効援用の日付


    法律的には内容証明郵便である必要はなく、口頭での意思表示でも時効援用は可能です。しかし、時効援用は裁判にもつれ込むことも少なくないため、「援用をしたこと」を証拠として残すために内容証明郵便で行われることがほとんどです。

  2. (2)時効の援用と時効の完成

    「文書を送るだけ」なら時効の援用は簡単と考える人もいるかもしれませんが、実際にはそうではありません。時効の援用は、時効期間の完成後に行わなければならないからです。実際に借金を長期間放置しているケースでは、「時効期間の起算日」がわからなくなっているケースも少なくありません。

    特に「夜逃げ」のケースでは、債務者自身が行方をくらませたために、「債権者の対応がまったくわからない」ことも少なくありません。自分に対して訴訟がいつ提起されたのか、判決がいつ言い渡されたのか(確定したのか)がわからなければ、時効完成の時期もわからないからです。

    時期を誤って、時効援用を行えば、援用の効果が生じないばかりか、債権者に自らの居所を伝えることにもなりかねません。その意味でも、「夜逃げ」によって借金から逃げ切ることは、とても難しいことといえます。

  3. (3)消滅時効の援用と信用情報

    ウェブ上には、消滅時効を援用すれば、「借金がなくなり信用情報もすべて消える」という説明をしているサイトがあるようですが、正確な情報とはいえません。たしかに、消滅時効の援用によって、該当取引の信用情報をすべて消去してもらえる場合もあるようです。

    しかし、債権者によっては、「貸倒」の情報を信用情報にと登録する場合もあります。「貸倒」は事故情報(ブラック情報)なので、登録から5年は消去されません。また、消滅時効援用までの期間(5年~15年以上)は、ずっと「延滞」の事故情報が登録されています。

    信用情報との関係でも、「消滅時効による借金の解決」はデメリットの方が大きいといえます。

5、返済が難しくなった借金の解決方法

返せなくなった借金を「消滅時効」で解決することは、現実的な選択肢とはいえません。金融機関である債権者が、時効中断のための措置を全くとらないことは考えられないからです。

訴訟提起される時期によっては、時効完成までに15年以上かかることもあり、「逃げ切る」ことを考えるのはあまりにも非現実的過ぎます。

そもそも、返せなくなった借金は、消滅時効以外の方法でも解決することが可能です。

  1. (1)「おまとめローン」を利用する

    借金苦の状況にある人には、「小口の借金を複数件抱えている」ケースが少なくありません。借金の返済負担は、同じ金額でも借入件数が多くなるほど重くなります。つまり、「100万円を1社から借りている場合」と「50万円ずつ2社から借りている場合」とでは、後者の方が毎月の返済負担は重いということです。

    借入件数が多いときには、いわゆる「おまとめローン」などを利用することで、借金の一本化によって返済負担を軽くできる場合があります。

    ①おまとめローンのメリット
    借金の返済は、「重い利息」が原因で行き詰まることが少なくありません。現状の借金よりも低金利で借り換えられるのであれば、毎月の返済負担を軽減でき、自力で返済できることもあるでしょう。

    たとえば、「ろうきん」やいわゆる「公庫」などでは、銀行や消費者金融よりもはるかに安い利率で融資を受けられるのであれば、借り換えは有効な解決方法となるでしょう。

    また、担保に入れられる不動産があるときには、「不動産担保ローン」を組むことで、現状よりもかなり低金利で融資を受けることができます。

    ②おまとめローンのデメリット
    おまとめローンは、メリットばかりではありません。実際にも、おまとめローンに手を出してしまったがために、自己破産に追い込まれたという人も少なくありません。

    たとえば、銀行や消費者金融のおまとめローンでは、「思ったよりも金利が下がらない」ケースも少なくありません。また、おまとめローンは長期間の返済となるため、病気や失業などを理由に返済に行き詰まってしまうリスクも低くありません。

    「借り換えによる一本化」で借金を解決しようと考えるときには、綿密な返済シミュレーションをした上で、慎重に判断することが大切です。

  2. (2)債務整理をする

    借金返済の目処が立たなくなったときには、「債務整理」で解決すべき場合が少なくありません。収入を増やしたりや支出を削ることは簡単ではないので、「債務整理による借金減額」は、解決手段として最も優れているからです。

    債務整理には、任意整理・個人再生・自己破産の3つの方法があり、収入・借金額・借入件数・所有している財産などの状況から最もふさわしい手続きを選択することができます。必ずしも「債務整理=自己破産」ではないのです。

    利息が重いことが原因で返済できない場合の多くは、「任意整理」で対応することができます。任意整理であれば、誰にも知られずに借金を解決することも可能です。

    また、カードローンに加え住宅ローンも残っているというケースでも、「個人再生」を利用すれば、マイホームを手放すことなく、カードローンの一部免除を受けることができます。

    自己破産した場合であっても、「財産のすべて」を失うわけではありません。自己破産をしても、今後の生活にために必要な財産(現金を含む99万円までの財産)は、債務者の手元に残すことが認められています。また、ギャンブルや浪費を原因とする借金であっても、裁判所の裁量によって免責を認めてもらえる場合が多いです。

6、借金に困ったときは弁護士に相談を

借金の悩みは、なかなか知り合いに相談できることではありません。貸してくれる知人などは多くはない、貸してくれそうな知人は逆に迷惑をかけたくない。借金の悩みは、心を許した仲間だからこそ相談できない問題でもあるのです。
しかし、借金での悩みは精神にまで影響を与えます。この「誰にも相談できない」という点が問題なのです。

借金の悩みはどうぞ弁護士にご相談ください。実績のある弁護士ならば、さまざまな解決方法を提案してくれるでしょう。

借金完済に目処がつかない状況は、どうしてもネガティブに考えがちです。また、気持ちが焦ってしまい不適切な対応をとってしまうことも少なくありません。
借金返済に不安を感じたときや、返済を滞納してしまったときには、できるだけ早く弁護士に相談することをおすすめします。

7、まとめ

借金返済に行き詰まってしまったときには、自力で家計を建て直すことは簡単ではありません。「収入を増やす」ことは簡単ではありません。特に最近では「生活苦」を原因とする借金が増えており、「支出をさらに削ること」も難しい場合が多いでしょう。

「消滅時効で借金から逃れる」ことを考える状況は、借金問題がかなり深刻になっている場合が多いケースが多いようです。借金問題は、1人で抱え込むほど、状況は悪化していきます。特に、「債権者からの取立て」で精神的に追い詰められれば、冷静な判断ができなくなり、不適切な対応をしてしまうことが少なくないからです。

ベリーベスト法律事務所では、いつでもお気軽にご相談いただける環境を整えております。
借金問題は、弁護士に相談することで、必ず良い方向に向かいます。借金でお困りのことが生じた時には、当事務所までお問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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