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借金の時効とは? 消滅時効の成立要件と成立しないときの対処法

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更新日:2023年06月14日 公開日:2023年05月25日

借金の時効とは? 消滅時効の成立要件と成立しないときの対処法

借金にも時効があります。返済しないまま一定の期間が経過すると、消滅時効が成立して返済義務がなくなるのです。

ただし、途中で返済の請求を受けたり、返済の約束をしたりすると、消滅時効が成立しないこともあります。また、消滅時効を主張するためには、所定の手続きも必要です。このように、借金の時効には注意すべきポイントがいくつかあります。

本コラムでは、消滅時効の成立要件や借金の時効制度について詳しく解説するとともに、消滅時効が成立せず借金を支払えないときの対処法などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が紹介します。

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1、借金の時効とは

まずは、借金の時効について基本的なことを解説します。

  1. (1)一定期間が経過すると借金が消滅する制度

    そもそも時効制度は、本来の法律関係とは異なる事実状態が長く続いた場合に、その事実状態を尊重し、社会の法律関係を安定させるためのものです。法律上の権利を有していても、長期間行使しない人を保護する必要はないと考えられているのです。

    また、長期間にわたって権利が行使されないと、証拠の散逸などによって権利関係を立証することも難しくなります。立証の困難さを救済することも、時効制度の目的のひとつです。

    借金問題においては、「債務者が返済しない」「債権者も請求しない」という状態が長期間にわたって継続すると、この事実状態が法的にも尊重されるべきものとなってきます。そのまま一定期間が経過すると、債権者は法律上の請求権を失い、債務者は返済義務を免れることになります。これが、借金の消滅時効というものです。

  2. (2)借金消滅を主張するには時効の援用が必要

    消滅時効期間が経過しても、自動的に借金の返済義務が消滅するわけではありません。返済義務から免れるためには、時効を「援用」することが必要です(民法第145条)。

    消滅時効制度は、権利・義務の消滅を当事者に強制するものではありません。時効の利益を受ける側が「利益を受けたくない」と考えるのであれば、その意思は尊重される必要があるのです。そのため、債務者が「時効の援用」をするまで、借金は消滅していないことに注意が必要です。

    時効の援用とは、相手方に対して、時効の利益を受ける旨の意思表示を行うことです。債務者は、債権者に対して「借金の消滅時効が成立したので、支払いません」と伝える必要があります。
    その方式について決まりはありませんが、証拠を残す必要性があることから、通常は「消滅時効援用通知書」を作成し、内容証明郵便で債権者に送付します。

2、借金の消滅時効の成立要件

借金の消滅時効の成立要件は、以下のとおりです。

  1. (1)時効期間が経過したこと

    借金の消滅時効期間は、5年です(民法第166条1項1号)。

    ただし、令和2年4月に施行された改正民法により、時効期間が変更されたことに注意が必要です。個人からの借金では、同年3月31日までに発生したものについては旧民法が適用されるため、時効期間が10年となります。同年4月1日以降に発生した借金については新民法が適用され、時効期間は5年です。

    銀行や消費者金融、クレジットカード会社などからの借金については、民法改正前は「商事債権」として時効期間が5年とされていました。現在では新民法が適用されますが、時効期間は5年のまま変更はありません。

    時効期間の起算点は、「最後の取引」の翌日です。借りてから一度も返していない場合は借りた日の翌日から、途中まで返済していた場合は最後に返済した日の翌日から、5年または10年が時効期間となります。

  2. (2)時効が更新されていないこと

    時効期間が経過しても、時効が更新されていると消滅時効は成立しません。時効の更新とは、時効の進行がリセットされてゼロに戻り、そのときから新たに時効期間がカウントされることをいいます。

    債権者から請求を受けたり、債務者が返済義務を認めたりした場合には、借金の消滅時効が更新される可能性があります。

    具体的には、債権者が民事訴訟を起こし、支払いを命じる判決が言い渡され、確定した場合が挙げられます(民法第147条1項1号)。債権者が支払督促を申し立てて「仮執行宣言付支払督促」が発出され、債務者が督促異議を申し立てなかった場合も時効が更新されます(同項2号)。これらの法的手続きによって債務が確定した場合には、新たな時効期間は10年となることにも注意が必要です(同法第169条1項)。

    また、債務者が借金を一部でも返済したり、あるいは返済の約束をしたり、返済の猶予を求めたりした場合は、返済義務を「承認」したことになるため、時効が更新されます(同法第152条1項)。

  3. (3)時効の完成猶予にも要注意

    時効完成前に債権者から「催告」を受けた場合には、時効が更新されるわけではありませんが、6か月間、時効の完成が猶予されることにも注意しなければなりません(民法第150条1項)。催告とは、債権者が裁判外で債務者に対して支払いを求める行為を意味します。

    時効の完成猶予とは、時効の進行が一時的にストップすることです。猶予期間中に時効が更新されなければ、時効が完成します。たとえば、借金の消滅時効期間が満了する直前に債権者から催告書が届くと、そのときから6か月間は時効が完成しません。その間に裁判を起こされたり、債務を承認したりすると、時効が更新されてしまいます。

3、借金の消滅時効が成立しないときの対処法

借金の消滅時効が成立していない段階で債権者から請求を受けたときには、以下のように慎重に対処する必要があります。

  1. (1)時効成立まで放置することは得策ではない

    実際のところ、借金の消滅時効が成立するケースは、さほど多くありません。債権者は、債務者の所在が不明でも「公示送達」という制度を利用して裁判を起こすことが可能なので、知らないうちに時効が更新されることもあります。

    程なくして時効が成立するような時期であれば別ですが、一般的には請求を受けた以上、借金を放置することは得策ではありません。遅延損害金も加算されていくので、余計に返済額が増えていってしまいます。

  2. (2)支払えないときは債務整理が有効

    請求された金額を支払えない場合には、時効成立まで待つよりも、早期に債務整理で解決を図ることが有効です。

    債務整理とは、債権者との交渉や裁判所で手続きをすることによって借金を合法的に減額または免除できる方法であり、主に任意整理、個人再生、自己破産という3種類の方法があります。
    それぞれ特徴が異なる手続きですが、借金額や収入・資産、職業、保証人の有無などの状況に応じて最適な方法を選択すれば、借金問題を解決することが可能です。

4、借金の消滅時効に関するQ&A

借金の消滅時効に関しては、他にもさまざまな注意点があります。以下で、疑問にお答えする形でご説明します。

  1. (1)借金が時効かどうか調べるにはどうすればよい?

    まずは、最後の取引がいつであったかを確認します。契約書や返済金の引落口座の通帳、振込明細書、債権者から届いた督促状などが残っていれば、調査可能です。

    次に、時効が更新されていないかを確認します。裁判所から書類が届いていないかを確認しましょう。債権者から届いた催告書により、時効の完成が猶予されていないかについても確認が必要です。

  2. (2)時効が成立した借金で裁判を起こされることはある?

    消滅時効が成立した後でも、債権者が裁判を起こしてくることはあります。その場合、裁判を放置すると債権者勝訴の判決が言い渡され、時効が更新されることに注意が必要です。

    裁判を起こされた場合は、答弁書に時効を援用する旨を記載して、裁判所へ提出する必要があります。

  3. (3)時効の援用をすると信用情報はどうなる?

    消滅時効を援用すると、JICCの事故情報は約1~2か月で削除されます。CICの事故情報は、原則的に時効援用から5年が経過したときに削除されます。KSCの事故情報は、基本的に消滅時効が成立するときにはすでに削除されています。

    なお、時効の援用をしなければ、いつまでも信用情報機関に「延滞」の事故情報が残る可能性があります。そのため、消滅時効が成立したら援用しておくことが重要です。

  4. (4)時効の援用は自分でできる?

    ご自身でも時効の援用はできますが、債権者とやりとりをする際に、言葉巧みに「債務の承認」に該当する言動を引き出されてしまい、時効が更新される可能性が高いことに注意が必要です。

    弁護士に時効の援用を依頼した場合には、弁護士が手続きを代行するため、ご自分で債権者とやりとりする必要がありません。知らずのうちに債務を承認してしまうリスクを回避することが可能となります。

  5. (5)時効の援用に失敗するとどうなる?

    消滅時効が成立していれば、援用の手続きに失敗しても、改めて正しく手続きを行えば時効の援用が可能です。

    しかし、時効の援用に一度失敗すると、債権者から催告されて債務を承認してしまったり、債権者から裁判を起こされたりして、時効が更新されるおそれがあります。時効が更新されると、新たにスタートする時効期間が満了するまで、時効の援用ができなくなります。

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5、まとめ

借金には消滅時効がありますが、事前に時効が成立しているかを調べた上で、時効援用の手続きを正しく行わなければ、返済義務は消滅しません。時効の援用に失敗すると、債権者から返済を迫られることもあります。

ベリーベスト法律事務所にご相談いただければ、時効の成否について的確にアドバイスいたします。また、ご依頼いただければ、時効の援用や時効が成立していない場合の債務整理など、複雑な手続きはすべてお任せいただくことが可能です。

借金問題に関するご相談は何度でも無料ですので、お気軽にご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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・債務整理の相談件数 36万8091件
  ※集計期間:2011年2月~2022年12月末
・過払い金請求 回収実績件数 90253件
・過払い金請求 回収実績金額 1067億円以上
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[拠点・弁護士数]
全国76拠点、約350名の弁護士が在籍
※2024年10月現在
[設立]
2010年(平成22年)12月16日

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