債務整理 弁護士コラム
ホストに入れ込みすぎて多額のツケを抱えてしまったという女性は、いまでも珍しくありません。
「ホストで借金なんて体裁が悪い」と感じて誰にも相談できない場合や、「ホストの気を引くためにもっとお金を使う必要がある」と自分の稼ぎではまかなえない分を借金してまでホストクラブに通ってしまうことも多いようです。
そこで、この記事では、
・ホストで借金地獄になってしまう理由
・ホストのツケを支払えなくなるとどうなってしまうのか?
・ホストのツケや借金を解決する方法
について解説します。
ホストのツケが払えないという状況は、請求されている金額もかなり多額な場合が少なくありません。「もう払えない」とちょっとでも感じたときには、できるだけ早く弁護士などの専門家に相談して解決策を検討した方がよいでしょう。
まずは、ホスト通いが原因で借金地獄に陥ってしまう理由から整理しておきましょう。
多くの女性が借金してまでホストクラブにはまってしまう理由は、何においても、「ホストがお金を使わせることが上手」であることに尽きます。ホストにはまる女性にも問題があるようなことがいわれることも少なくないようですが、それは少し酷ではないかと思います。ホストは、女性にお金を使わせるプロだからです。
最近では、ホスト狂いの女性を紹介するテレビ番組や、ネットの記事も増えています。それでも、ホストクラブに通う人が後を絶たないのは、「初回60分無料」といったサービスが普及しているからです。ホストには抵抗があった人でも友人に「初回なら無料だから」と無理やり付き合わされたことがきっかけではまってしまうケースは珍しくないようです。
また、「永久指名制」も「お気に入りを1人しか作れない」状況にすることで、ホスト同士の売り上げ争いだけでなく、「彼の一番になりたい」と女性に思い込ませやすい状況を作る、友人同士で同じホストの取り合いになるのを避けやすくなるという点で上手なシステムといえるでしょう。
ホストクラブでは、お店だけでなく、ホスト自身もお客さんにお金を使わせるのが上手です。
たとえば、ホストがよく使う「指名エース」という言葉なども、お客さんに、「彼のためにがんばらなくては」という気持ちにさせやすくするために、よく考えられた言葉といえるでしょう。「エース=あなたが一番」といわれることに、うっとりしてしまう女性は少なくないからです(ただし実際には、エースは2人、3人いるかもしれません)。
ホストクラブの料金は、決してやすいものではありません。たとえば、通常なら手頃な値段(1本2000円以下)で買えるスパークリングワインであっても、ホストクラブで注文すると1万円以上の料金を請求されてしまいます。ドンペリのような市価でも高額なシャンパンになれば、1本10万円以上の料金となります。
当然、「その日の持ち合わせがない」お客さんも少なくないと思うのですが、ホストクラブではある程度なじみになったお客さんであれば「ツケ」で支払うことができる場合も少なくないようです。
ツケ払いは「逃げられたら終わり」なのではないかと思う人もいるかもしれませんが、そもそも、女性は男性に比べてツケを踏み倒す割合は少ないといわれています(キャバクラのほとんどは、ツケを使えません)。実際にも、「ホストの支払いのために風俗で働く女性」がいるように、男性よりも短期間で多額のツケを回収できる方法があることも、ホストクラブでツケが認められやすい大きな理由といえるでしょう。
ところで、ツケ払いを認めることは、ホストクラブにとってもメリットがあります。
たとえば、「少額のツケ」を認めることで、お客さんを他店にとられることを阻止できる可能性も高くなります。ホスト業界では「ツケ縛り」なんて言葉もあるくらいです。
また、ツケ払いであれば、クレジットカードと違い「限度額」を気にする必要もありませんクレジットカードであれば、1晩で50万円、100万円なんて決済はできない場合だってありうるからです。
少し厳しい表現になりますが、「ホストクラブのツケ払い」は、「女性を信用している」からではなく、「カードよりも多額のお金を使わせるための方法」と理解しておくべきといえるでしょう。
ホストはお金を使わせるだけでなく、女性をホストに依存させることも上手です。
「依存症になりやすい人がホストにはまる」という記事をよく見かけますが、必ずしも正しいとはいえないでしょう。
たしかに、「男性への免疫があまりない人」や「承認欲求(他人にほめられたい、よく思われたいという気持ち)の強い人」は、ホストクラブにはまりやすい傾向があるといえます。
しかし、実際には、「ホストに依存するように」にホストが巧みに誘導しているケースも少なくないからです。
たとえば、上でも紹介した「永久指名制」は、1人のホストに執着させるための上手な方法といえます。
いわゆる色恋を意識させたり、お客さん同士で競わせたりするためには、その都度誰でも指名できる環境よりも「その人しか指名できない」方が優れているからです。
また、「オマエ(あなた)だけが頼りだよ」といわれてしまえば、「ちょっと無理して来月もまたシャンパンを入れよう」と思ってしまいがちです。
ホストクラブで有名なシャンパンコールなども、興奮状態を作り、「その場は特別」、「ホストクラブに行かなければ、この気持ちは味わえない」と思い込ませるためにはとても効果的といえます。
ホスト通い、ホスト狂いが原因で多額の借金を抱えてしまう女性が増えてしまうのは、ホストクラブのツケ払いのシステムとも関係しています。
回収できなくなったツケ払いはホストが負担するのが原則です。
ホストクラブでツケ払いをしたときには、「お店」ではなく、自分の指名ホストに支払う必要があります。
ほとんどのホストクラブでは、お客さんのツケ払いは、その担当ホストが回収する決まりになっているからです。お客さんがツケを支払えなくなったときには、そのホストがお店に支払いをしなければならないのです(未回収分はお店とホストが折半するところが多いようです)。
そのため、
といった気持ちから、本当は支払えないツケを、無理な借金をして支払ってしまう人が少なくありません。
夢を見るための存在であるホストとのやりとりで「お金の支払い」という「現実」を感じる
ことが精神的にもつらいと感じる人も多いのではないでしょうか。
ホストクラブのツケを支払うために消費者金融や銀行のカードローンで借金することは、全くおすすめできません。
ホストのツケを支払うために借金をすることは、次の点で大きく不利になってしまうからです。
ホストクラブのツケに「利息」が付くことはほとんどありません。ツケは消費貸借契約(お金を借りる契約)ではなく、飲食代の支払期限を延長しているにすぎないからです。
ツケであっても法律的には利息を付けることは可能ですが、そのためには、「利息を付ける契約」をわざわざしなければなりません。
夢を見させるための場所であるホストクラブで、そんな現実的なやりとり(契約)をさせることは、せっかくつかんだ客を逃がすことにもなりかねないので、ホストクラブにとってもよい方法とはいえません。そのため、基本的には利息は発生していないものと考えることができます。
また、ホストクラブのツケ払いには、「明確な支払日」が決められていない場合も多いと思います。これも利息と同じで「何日までに支払わなければいけない」という話をうるさくいえば、せっかくのよい気分も台無しになってしまう可能性が高いからです。
支払期限が定められていなければ「遅延損害金」も発生しません(ツケ払いしたときには期限の定めがなくても後に督促されて期限が決まったときには、その期限以降については年6%の法定利率に基づく遅延損害金が請求されます)。
このように、金融機関から借金をしてしまえば、利息や支払日がきっちりしてしまう(遅れれば遅延損害金が付く)ので、ホストのツケよりも明らかに不利です。
見栄を張るためや「早く得意客になる」ために、先にお金を作ってから(借金してから)ホストクラブへ行く人もいるかもしれませんが、当然おすすめできる対応ではありません。
ホストのツケは、消滅時効で解決することができます。いまの民法のルールでは、ホストのツケのような飲食店の代金は、1年で消滅時効が完成します(※2020年4月の新民法施行により、それ以降に発生したツケ払いについては消滅時効のルールが変わります)。
あらかじめ支払期限が定められていないツケの場合には、「飲食した日の翌日」から1年のあいだ、債権者(ホスト)から訴訟や支払い督促といった「法的な請求」を受けなければ、消滅時効が完成します。消滅時効が完成した後に、ホストクラブに「消滅時効を援用」すれば、ツケの支払い義務はなくなります。
なお、LINEやメールでの督促だけでは、消滅時効は中断しません。
一方、金融機関からの借金について消滅時効を完成させるためには5年かかり、現実的に金融機関の借金が消滅時効で消滅することはありません(金融機関では消滅時効にさせないための手続きがシステム化されているからです)。
このように、時効の観点からもツケのままで維持していた方が得なのです。
とはいえ、実際には、自分1人では、1年間支払いをせずにやり過ごすことは難しい場合が多いかもしれません。お気に入りの指名ホストに迷惑をかけることになったり、そのホストクラブの出入りを禁止されてしまうからです。
ホストクラブのツケ払いや、ホスト通いで作った借金の支払いが苦しいと感じたときには、できるだけ早く正しい対応をすることが大切です。
前述のようにホストのツケは消滅時効を期待できます。
が、これも前述のように、しつこく口頭等での催促を受け、1人で対処できない方が多いでしょう。すぐに弁護士に相談してください。
金融機関から借金してホストに通った場合だけでなく、ホストクラブへのツケ払いであっても「債務整理」で解決することができます。
債務整理には、和解(任意整理)・個人再生・自己破産の3つの方法がありますが、ホストクラブのツケは、これらのすべての方法で解決できる可能性があります。
金融機関から借金してしまったケースでは、任意整理(特定調停)をするだけでも、支払いの負担をかなり減らすことができます。任意整理をすれば、借金に発生しているとても高額な利息を免除してもらえるからです。
利息のないホストのツケの場合でも、分割払いの約束(和解)をすることで、毎月の返済負担を明確にする(軽くする)ことが可能な場合もあるでしょう。交渉次第で代金の一部免除に応じてもらえることもあるかもしれません。
ホストクラブの料金の大半は人件費なので、交渉の余地は十分にあると思われるからです(免除された分は、指名ホストの負担になる可能性が高いですが、全額を踏み倒されるよりはマシと考えてもらえる可能性があります)。
また、ツケの金額が150万円を超えるときには、個人再生が有効な場合もあります。個人再生であれば、ホストクラブも必ず手続きに応じなければならず、裁判所が負債の一部を免除してくれるからです。
和解や個人再生でも解決できないときには、自己破産するほかありません。ホストクラブが原因の借金であっても、ほとんどのケースでは裁判所の裁量で免責を受けることができます(ただし、ホスト通いはきっぱりやめなければいけません)。
債務整理の対象が「ホストクラブのツケ」だけであれば、いわゆる「ブラックリスト入り」する心配もありません。ホストクラブは金融機関ではないので、信用情報を登録することができないからです。この点でも、借金する前にツケの段階で解決してしまった方が有利といえます。
ホストのツケ・借金が返せなくなったときには、できるだけ早く弁護士などの専門家に相談することが大切です。
ホストクラブのツケは、毎月の手取り月収をはるかに超える金額になることも少なくありません。指名ホストによいところを見せよう、気に入られようという思いで、高級シャンパンを何本も入れてしまえば、50万円、100万円(それ以上)の金額に膨らんでしまうことだって珍しくないからです。
当然、毎月の収入には限界があるので、ツケ(借金)の金額が大きくなるほど、自力での解決は難しくなります。
指名ホストに対して恋愛感情をもってしまっているケースでは、「もう払えない」ことはわかっていても、「会いたい気持ち」を抑えられない場合もあるでしょう。
指名ホストは、「お客さんに来てもらう」ことも仕事ですから、女性の気持ちを巧みにコントロールして、何とかお店に通わせようとあの手この手を使ってきます。
「お金がないからもうホストへは行くべきではない」とわかっていても、LINEなどで言葉巧みに誘導されることで、決心が揺らいでしまうというケースは珍しくありません。
難しい問題を解決するには、誰かの支援を受けることがとても大切です。
しかし、お金の問題は、誰かに相談しづらい問題でもあります。まして、「原因がホスト通い」、「請求額がとても高額」ということであれば、家族にだって相談しづらいと感じる人はさらに多いでしょう。
弁護士は、まさに1人では解決の難しい問題をサポートするための存在といえます。弁護士であれば、ホストに依存してしまったことを責めたりすることもありません。
また、借金問題に精通している弁護士であれば、依存症克服のための支援機関などについての知識もあります。
弁護士に相談するには「お金がかかる」ことを心配する人は少なくないようです。
しかし、債務整理の相談は、無料で受けられる場合がほとんどです。
ベリーベスト法律事務所では、債務整理についての相談は完全に無料でお受けいただくことができるので、いま手元にお金がないという方でも安心してご相談いただけます。
ホストにはまってしまうと多額の借金を抱えてしまうリスクがとても高くなります。
お気に入りのホストの気持ちを引きたくなることはわかりますが、自分の収入の範囲でホスト遊びをすることが何よりも大切です。
万が一、ホストのツケが支払えなくなったときには、カードローンなどで借金して支払わなくても解決するための方法があります。
また、借金してしまったというときには、本当に自力で完済できるかどうかを慎重に見極めましょう。ホスト遊びのための借金は、かなり多額になってしまう場合も多く、「どうやっても自力では返せない」ケースも少なくありません。
借金返済に少しでも不安があるときには、早に弁護士などの専門家に相談するべきです。
ベリーベストでは、借金問題を解決するサポートをいたします。
借金に苦しんで切る方、一刻も早く借金を整理して安心した生活を取り戻したい方は、お早めにご相談ください。
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債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。
『旦那や家族には言っていないけど、実は私、借金を抱えてます…』
実は、主婦で借金を抱えている人は多く、それを言えずに悩んでいる方もたくさんいるのが現状です。もしかしたらこの記事をご覧のあなたも、そういった悩みをお持ちなのかもしれません。
一人で悩むことなく、主婦で借金をしている人は意外と多いということを知っていただいて、ぜひご自身の借金返済について前向きに考えていってください。この記事があなたにとって、ご参考になれば幸いです。
これから債務整理をしようと考えている方の中には、債務整理後にキャッシングできるのか、債務整理中にお金が足りなくなったときキャッシングを利用することは認められるのかと、お悩みの方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、債務整理をしたことで、キャッシングなどを法律で禁止されるわけではありません。
しかし、債務整理をすると信用情報に事故情報が登録される(ブラックリスト入りする)ので、ほとんどの金融機関は、融資に応じてくれなくなります。
親子であっても、他人の借金を返済する義務は原則としてありません。肩代わりするかどうかは、基本的に子ども自身の判断で自由に決められます。
しかし親の借金でも子どもに返済義務が生じることがあり、借金を放置すると子どもが差し押さえを受けることにもなりかねません。
本コラムでは、親の借金が降りかかってきた場合に、子どもはどのように対処すればよいのかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。