債務整理 弁護士コラム
ラジオでは、相変わらず、あなたにも過払い金があるかもしれないという内容のCMが流れています。私にも関係あるかも?と思う方もいるでしょう。
CMを聴いてフリーダイヤルに電話する前に、過払い金についておさらいしておきましょう。
「過払い金」ってどういう意味か、ご存じでしょうか?
その名の通り、「払いすぎたお金」です。
過払い金があれば、借入先に「返して!」と請求することができるのです。それを「過払い金返還請求」といいます。
本項では、「過払い金」について、その意味を整理しておきましょう。
実は、2006年まで、消費者金融等は個人客にお金を貸す際、非常に高い金利(法律の上限を超えた金利)を徴収していたのですが、これがまかり通っていたのです。
この法律の上限を超えて支払っていた利息が、「払いすぎた利息」です。
なぜかというと、利息の上限を定める法律と、高利貸付への罰則を定める法律が別の法律であり、その数字がそろっていなかったからです。
利息の上限を規定する法律は「利息制限法」という法律です。
一方高利貸付の罰則を規定した法律は「出資法」という法律。具体的には、利息制限法では利息の上限は20%(貸付金額によります)という利息が規定されていたにもかかわらず、出資法で罰則の対象となるのは29.2%超の利息でした。
そのため、消費者金融等は、出資法の限界まで利息を付する契約にしていたのです。
罰則がないばかりか、別の法律である貸金業法という法律では、「借り主が自ら支払った分については有効」という規定も存在していました(「みなし弁済規定」と呼ばれています)。
実務上、本当に自ら払ったかどうかなど確認されることはなく、契約に文句をいわない限り「自ら払った」ものとして取り扱われていた、という状態が継続していたというわけです。
どうして返還請求できるようになったのか。
それは、2006年1月に、革新的な最高裁判決が出たからです。
どんな判決か。それは、なんでもかんでも「みなし弁済」とされてきたことに切り込んだ、みなし弁済を認めない場合がある、という判決でした。
そもそも、お金を借りるからより多く返済したいと思う人など、いないといっても過言ではありません。かといって、上限を超えていることに気づき、「金利を見直したい」などと金融機関と言い争ったところで、次の返済期日がきてしまい、その期日に支払わないと遅延損害金が付いたり一括返済を求められたり、リスクが発生するばかりでしょう。
そのため、一般的な個人と業者における消費貸借契約では「自ら支払っているとはいない」と判断されたのです。
この最高裁判決を受けて、金融機関は自主的に金利を見直す事態に発展、2020年6月には法律も改正されました。出資法では上限金利の引き下げが行われ、貸金業法ではみなし弁済の撤廃が行われるなど、消費者金融等は、もはや利息制限法以上の金利は取れなくなったわけです。
法改正以降は、すべての金融機関で利息制限法を超えた金利を取るところはありませんから(違法業者はのぞきますが、違法業者の場合は貸し付け自体無効です)、過払い金が発生する借金は、2010年以前に契約を締結した借金、ということになります。
たとえば次のような事例で計算してみましょう。
この結果、数字は正確なものではなくあくまでも参考ですが、過払い金で現在の50万円の借金は完済され、およそ34万円の過払い金が手元に戻ってくる、という計算ができます。
借金の額によっては、過払い金が100万円を超える例もたくさんあります。
ラジオCMでも、過払い金には期限があると繰り返し告知しています。過払い金があっても、いつまでも請求可能なわけではありません。
請求できる過払い金があるかどうか、状況を整理して考えましょう。
2010年6月18日には、貸金業法の改正により、グレーゾーン金利で貸し出すローンは消滅しました。
実際には2010年を待たず、2006年の最高裁判決以降、消費者金融等の貸金業者は、グレーゾーン金利の貸し出しを次々止めていきました。2007年頃には、すでに消費者金融は上限金利を改定して、グレーゾーンに触れないようにしていましたので、過払い金が発生するとしたら、これより前の借り入れについてです。
過払い金の請求根拠は、不当利得返還請求権です。業者が違法(不当)に得た金銭の返還を請求する権利、という意味です。
さて法律上の請求権には、消滅時効があります。
この不当利得返還請求権の消滅時効は、完済の日から10年です。完済から10年たつと、過払い金が存在しても時効で返ってこなくなります。
すでにグレーゾーン金利がなくなって10年以上経過している2019年現在において、時効を迎えておらず過払い金が請求できる人はあまりいないように思えます。確かに、どんどん時効を迎えていることでしょう。
2019年現在で請求可能な過払い金とは、次の2件を満たすものに限られてきます。
このような状況と考えられるのは、クレジットカードのキャッシング、もしくはカードローンでの借金です。
このようなタイプの借り入れは、借り入れの「枠」が与えられ、その枠の中で借りては返すが繰り返されています。
そうすると、「完済」がないと判断されることが多く(取引の連続)、時効にはかかっていないと判断されるのです。
過払い金がありそうな場合、どうしたらいいでしょうか。
現在借金がゼロで、手数料を支払いたくないので自分でやってみたいという人もいるでしょう。
交渉ごとが苦にならず、精神的にタフな人なら、自分でも請求可能です。
ただし、費用を支払っても弁護士に依頼すると、次のようなメリットがあります。
特に、現在の借金をなんとかしたいと思っている人のメリットは大きいものです。
弁護士に依頼すると、業者に受任した旨が弁護士から告知されますので、業者からの電話、手紙、すべての方法による督促が止まります。
それだけでも気持ちが楽になるでしょう。
これまでご説明してきたように、2019年現在においては「時効」が大きなポイントとなります。
この時効について専門的に判断してくれるのが弁護士です。
過払い金返還請求をするには、いくら過払い金があるのか、を計算することが必要です。
請求をすれば相手の金融機関が計算してくれる、というものではありません。
過払い金額を計算するには、いつ、いくら借り、いくら返しているのか、という取引の履歴が必要となりますが、あなたが契約書などを準備する必要はありません。すべて弁護士が貸主に対して開示請求を代行しています。
そして、取引の履歴がわかった後、過払い金を計算します。
この計算は、今まで返済した額の充当先を変更するという作業になります。
利息に第一に充当された返済額を、過払い金の場合、利息ではなく元本に対して弁済されたものと計算し直すわけです。
この、さかのぼって行う複雑な計算を、引き直しといいます。
元本に対して返済すると、新たな利息の発生が小さくなります。
その結果、本当なら借金が早めに返し終わっていたことになるわけです。返し終わった後、さらに支払っていた返済金が、(場合によって5%の利息が付いて)返ってくる。これが過払い金の計算です。
法律事務所では、過払い金を正確に計算するシステムが整っています。
パソコンを使った計算が得意な方でない限り、任せてよかったと思うのではないでしょうか。
ノウハウを多く持っていることが、プロに頼む一番のポイントです。
過払い金請求は借り主の権利ですが、すべてが機械的に返ってくるわけではありません。業者側もできる限りの主張はしてきます。
過払い金は権利ですので、民事訴訟を提起して取り返してもいいのですが、その前段階でまず交渉があるわけです。交渉で決着がつくなら訴訟は不要です。
交渉の部分については、やはり慣れと法的見解がものをいいます。
業者のほうも、個人が相手だと交渉の仕方が変わってきます。「このぐらい支払えばいいだろう」という相場を、さらに下げてくることもあります。
その額で債務者が納得してしまえば、そのまま和解で決着します。
ですが、法律論に基づけば、本当はもっと取るのにという場合もあるわけです。
過払い金請求を受けた業者の側も、手をこまねいてはいません。
過去の借り入れを精査して、業者なりの主張をぶつけてきます。
借金が過去から続いていると債務者が思っていても、いったん途中で完済があれば、そこから10年の時効が始まりますので、そうした部分を見つけてきます。
弁護士のほうも、争えると思えば争いますので、その結果、訴訟に発展することもあります。
訴訟といっても、140万円以下の金銭を争う簡易裁判所の裁判は非常に事務的なものではありますが、個人ではハードルが少々高いものには違いありません。
こうしたことも踏まえますと、弁護士に任せておけば安心です。
なお、過払い金を手掛けているのは弁護士だけではありません。
簡裁代理権を持っている司法書士も同じように取り扱っています。
ただし司法書士の場合、140万円を超える額の裁判になると、簡易裁判所でなく地方裁判所が舞台になるため、扱えません。
特に大きな額の場合、弁護士に任せる必要があります。
弁護士は過払い金だけを扱っているわけではありません。
借金に現に苦しんでいる人にとってもっとも大事なことは、「生活を取り戻すこと」です。
過払い金請求とは、あくまでもその手段のひとつに過ぎません。
ですから弁護士には、借金を解消するためのあらゆる相談をしましょう。
過払い金があってもそれだけでは借金が返せない状況であれば、任意整理などの手段もあります。これも弁護士に依頼できます。
任意整理を依頼すると、過払い金請求のほか、業者と交渉して将来の利息カットを実施したりします。
借金からこれ以上の利息が発生しなくなれば、ゆっくり元本を返していくことができるようになります。
しかし弁護士に相談するとしても、どの事務所に相談すればよいのでしょうか。
過払い金請求や、任意整理に力を入れている法律事務所は無数にあります。その中から最適の相談先の見つけ方は以下の通りです。
過払い金は、非常に特異な状況で発生したものです。それだけ、取り戻すためには独自のノウハウが必要になります。
過払い金請求実績が豊富な事務所は、それだけノウハウを多数持っていて、安心できる存在です。
まずは、公式サイトに解決実績件数が載っている事務所を探してみましょう。
ただし、件数を処理しすぎていて物理的にパンク状態にあり、全然順番が回ってこないという場合も中にはあります。
過払い金の計算まで半年待たされたという例もあるようです。
解決に至っていない実績やトラブル事例は、公式サイトには載っていません。
口コミも調べましょう。
これも公式サイトをよく見れば、過払い金について詳しい説明の書いてある事務所があります。
公式サイトは事務所の看板ですので、詳細な説明があるほど、実際に事務処理を手掛ける弁護士や補助者の知見も豊富と考えられます。
過払い金が特殊な存在である以上、これに詳しくない弁護士も多くいます。医師に専門分野があるように、弁護士も専門分野があります。専門的に取り組んでいる法律事務所に依頼する方が成果に期待が持てるでしょう。
過払い金請求はここ10年間ブームとなり、多くの法律事務所がこれに特化してきました。
中には専門チームを組んで業務にあたっている事務所も見られます。
ノウハウの点からも、また業務を確実にこなしてくれるかどうかという点からも、専門チームのような体制が整っている事務所のほうが安心です。
公式サイトにそのような情報が載っている事務所のほうが、安心して相談しやすいでしょう。
先に見てきましたのは、WEBで探して得られる情報です。
後は、実際に無料相談を受けてみて、相談相手の様子を見てから決めましょう。
大事なお金の相談なのですから、相手との相性は大事です。
もちろんチームなので、直接の相談相手がすべての業務をこなすわけではありません。ですが、相談相手の相性が悪いと感じたら、実際の実務処理のほうがそれより満足ということはないでしょう。
弁護士のようなコンサルティング業務に求められるのは、クライアントの要望をよく聞くことです。たとえ専門的知見から、クライアントに賛成できないことがあるにしても、頭ごなしにそれは違うと、話をさえぎってしまうような人では信用しづらいものです。
もっとも、専門家である以上、まったく客の言いなりという人も困ります。そこはしっかり見極めましょう。
一方的に、わからない説明をする人が出てきたら、着手依頼はやめたほうがいいかもしれません。
費用の話や、スケジュール、今後の見通しなどについて一切説明しない場合は論外です。
そして、きちんとここまでやってほしいという要望は伝えましょう。やってもらえること、もらえないことを明確にしてコミュニケーションを取っていくべきです。
気をつけるのは、焦らないこと。
依頼の前に、無料相談をされることをおすすめします。そして無料相談は比較のため複数箇所でされるべきです。
インターネットで探せることが、現代の大変便利なところです。
インスピレーションにあったところがあれば、チェックしておきましょう。
相談の際には、証拠書類は不要です。
ローンを借りている説明になるものが必要になるかもと思うかもしれませんが、実際に請求する際には、どのみち利用履歴を業者から取り寄せます。
ただ説明がしやすいように、メモは用意しておくといいでしょう。
記憶ベースで構いませんので、次の事項をメモしていきましょう。
もちろん、資料がある場合には持っていきましょう。
弁護士とより具体的な相談がしやすくなります。
弁護士に過払い金請求を依頼した場合の、必要な費用の相場を見てみましょう。
なお、弁護士費用を支払えるかどうかわからないという場合は、相談時にそのことを説明するとよいでしょう。
また、費用は事務所により異なるため、具体的には直接問い合わせることをおすすめします。
弁護士に相談しますと、一般的には30分5000円程度です。
ですが、過払い金相談に特化した法律事務所の多くは、初回の相談料を無料にしています。
法律事務所に相談すると、着手金がかかるのは一般的なことです。
ですが、過払い金請求については、無料としているところが多く存在しています。
1万円程度着手金を請求する事務所があったとしても、これ自体はおかしなことではないので、トータルの金額で判断しましょう。
成功報酬は、依頼した案件がうまくいった場合に支払うものです。
不成功に終われば支払いは不要です。
一般的に過払い金の成功報酬は、得られた額について2割程度です。過払い金が50万得られれば、10万円が成功報酬です。
低く設定している事務所では、1割5分ぐらいのところも見られます。
解決報酬金も成功報酬金の一種ですが、目的が違います。
1社あたり2万円以下程度が一般的です。
これも成功報酬の一種ですがまた目的が違い、借金の減額ができたことにより発生します。
減額できた報酬の10%以下です。
完済後の過払い金請求の場合、減る借金はありませんのでこの報酬はありません。
なお、(3)~(5)については、成功報酬として一本化して請求される場合があります。
金額を比較する際は、トータルで考えましょう。
事務経費は、弁護士会の取り決めで上限が5万円と決まっています。
1社についての価格ですので、複数の会社から過払い金を得た場合は、事務経費もその分かかります。その範囲内で決められていますので、最初に確認しておきましょう。
「基本報酬」という名称で説明を受ける場合も多いでしょう。
成功報酬に含め、事務経費を取らない事務所もあります。
過払い金請求について、おわかりいただけましたでしょうか。
その性質については難しいものですが、ご自分に過払い金があるかないかについては、比較的把握しやすいのではないでしょうか。
特に現在、借金で悩んでいる方にとって、過払い金が戻ってくれば大きな助けになるはずです。
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消費者金融や銀行といった金融機関に対する過払い金の返還請求は、借金の負担を軽減できる有効な方法のひとつです。
しかし、「過去に過払い金の請求をしたことが原因で、自動車ローンや住宅ローンなどの借金に悪い影響が出るのでは?」などと考えて、過払い金請求をためらう方は少なくないようです。
そこで今回は、過去の過払い金請求が、その後の自動車ローンや住宅ローンなどに影響を与えるのかについて、解説します。
ラジオでは、相変わらず、あなたにも過払い金があるかもしれないという内容のCMが流れています。私にも関係あるかも?と思う方もいるでしょう。
CMを聴いてフリーダイヤルに電話する前に、過払い金についておさらいしておきましょう。
テレビや雑誌などで目にすることのある過払い金請求。
過去に借金で苦しんだ経験のある方であれば「私にも過払い金があるかもしれない」と考えるでしょう。
しかし、一般の方にとって過払い金があるかどうかの調査は手間暇のかかる難しい作業というイメージが強いでしょう。
また、あるかどうかわからない過払い金の調査に費用をかけたくないと考える方も少なくありません。
そんなときに便利なのが、「過払い金の無料調査」です。
しかし、過払い金の無料調査はメリットばかりというわけではありません。
そこで今回は、
●過払い金の無料調査のメリット
●デメリット
●利用時の注意点
などについてまとめてみました。
「もしかしたら、わたしにも過払い金があるかもしれない」と考えている方はぜひ参考にしてみてください。