債務整理 弁護士コラム
消費者金融などのCMや広告では、「ご利用は計画的に!」などというキャッチコピーが最後に写されます。「計画的に借金する」ということは、「きちんと返済できるかどうかしっかり判断した上で借金する」ということを意味しています。
しかし、実際に人が借金をするときは、事前に返せるかどうかを十分に検討する余裕がない場面の方が多いかもしれません。また、見通しが甘ければ、そもそも事前にシミュレートしたどおりにならないこともあるでしょう。
消費者金融や銀行から借金しようかどうしようか悩んでいる人は、是非参考にしてみてください。
この記事で分かること
借金をしなければならない場面は「すぐにでもお金が必要」というケースが少なくありません。
しかし、借金は必ず「返済」しなければならないものです。また、借りたお金には決して安いとはいえない「利息」も発生します。
借金をしなければならないということは「手持ちのお金が足りない」ことでもあるので、「今後の生活状況」をきちんと見据えて、「本当に返せるかどうか」をしっかり判断する必要があります。借金をすれば、返済で翌月以降の支出が増えるのにもかかわらず、収入を増やせない、他の支出を減らせないというのであれば、借金を返せるはずもないからです。
そこで、ほとんどの消費者金融や銀行のウェブサイトでは、「返済シミュレーション」を行えるページが用意されています。
まずは、これらのページで、きちんとシミュレートしてみることが何よりも大切です。
※それぞれの返済シミュレーターは仕様(画面構成)も異なるので、自分が最も使いやすいものを用いると良いでしょう。
自分で返済シミュレーションをする時間がないという人のために、いくつかの返済シミュレーションの例を示しておきます。
「借金50万円」は、無担保のカードローンを借りるときの最も基本となる金額です。銀行でも消費者金融でも、ほとんどのカードローン契約では、「50万円」を最初の上限額としているからです。
消費者金融のアコムから年18%で50万円借りた場合と、三菱UFJ銀行カードローン(バンクイック)から年14.6%で50万円借りた場合を最も一般的な約定返済額における返済回数、完済までの支払利息総額を比較したのが下の表です。
アコム | バンクイック | |
---|---|---|
適用利息 | 年18% | 14.6% |
毎月の返済額 | 15000円 | 10000円 |
返済回数 | 47回 | 77回 |
支払利息総額 | 198737円 | 273068円 |
借金50万円を借りた場合の約定返済額は、消費者金融では毎月13000~15000円、銀行カードローンでは毎月1万円ずつとなるのが最も一般的です。
意外に思う人もいるかもしれませんが、約定返済額で50万円の借金を完済した場合には、消費者金融(アコム)の方が、完済までの期間も短く、支払う利息総額も遙かに少なくなります。
下の表は、バンクイックから50万円(年14.6%)借りたときの返済額の違いによる比較です。
毎月の返済額 | 返済回数 | 完済までの支払利息総額 |
---|---|---|
11000円 | 67回 | 232427円 |
12000円 | 59回 | 201659円 |
13000円 | 53回 | 178302円 |
14000円 | 48回 | 159949円 |
15000円 | 43回 | 145117円 |
この表の結果をみれば一目瞭然であるように、「毎月1000円でも多く返済する」ことで、最終的に支払う利息は大きく変わります。
100万円の借金をするときには、大きくわけて次の2つのパターンがあります。
実際のケースでは、たとえば、50万円ずつを2社からというように、複数の金融機関からの借金が100万円という場合の方が多いと思います。
ほとんどの金融機関は、当初の借り入れ上限額を50万円と定めているからです。
また、1度に100万円以上の借金をするときには、収入証明書などを債権者に交付しなければならないことが法律などで定められているので、借りる側としても手間がかかるからです。
「いますぐお金が欲しい」という人ほど、「書類を集める時間がかかるなら小口の借金を複数申し込めばよい」という対応になりがちです。
①債権者2社から100万円借りた場合の返済シミュレーション
たとえば、債権者2社から50万円ずつを借りたという場合の毎月の返済額などは下のようになります。
消費者金融2社 | 銀行2行 | 銀行+消費者金融 | |
---|---|---|---|
適用利息 | 年18% | 14.6% | 18%+14.6% |
毎月の返済額 | 3万円(15000円×2) | 2万円(1万円?2) | 25000円 |
返済回数 | 47回(月2回) | 77回(月2回) | 47回+77回 |
支払利息総額 | 397474円 | 546136円 | 471805円 |
※クレジットカードのキャッシングも年15%の利息になることが多いので、上記を参考にできます
②債権者1社から100万円をまとめて借りた場合
毎月の返済額 | 返済回数 | 完済までの支払利息総額 |
---|---|---|
14003円(最低返済額) | 168回 | 1352041円 |
14400円 | 154回(50万円のときの倍の期間) | 1218124円 |
17000円 | 104回 | 767857円 |
20000円 | 78回 | 550160円 |
30000円 | 43回 | 290266円 |
上の表をみればわかるように、三菱UFJ銀行が設定している最低返済額では、完済まで15年以上かかるだけでなく、完済までに支払う利息の総額も借りたお金を超えてしまっています。
銀行が設定している「返済額だから大丈夫」と思い込んでしまうことはとても危険です。
実際にも借金返済に行き詰まってしまう人には「毎月の返済額が少なすぎる」場合も多いのです。
自分で返済シミュレーションをしようにも、「何に気をつけたら良いのかわからない」という人も多いと思います。
そこで、実際に返済シミュレーションをして「きちんと返せる借金であるかどうか」を正しく判断するために知っておくべきポイントについて解説していきます。
実際に借金するときには、契約上の最低返済額が金融機関によって設定されます。
この「契約上で定められた毎月の最低返済額」のことを「約定返済額(やくじょうへんさいがく)」といいます。
約定返済額を決めるための基準は、
の3つです。
とはいえ、実際には、適用利率は、借入額に応じて自動的に割り当てられ、最大の返済回数も借入額と適用利率に応じて設定されるのが一般的なので、それぞれの借金における約定返済額は、借入額で決まるという理屈になります(最大返済回数よりも早く返すように任意に設定すれば、そちらの方がより重要なファクターとなります)。
逆に、「同じ金額の借金をどこから借りたら一番約定返済額が少ないか」という問題は、借入額が同じなのですから、次のファクターである「適用利率」によって変わるということになります。
たとえば、同じ50万円の借金であれば、消費者金融からよりも、銀行から借りた方が約定返済額が少なくなるのは、適用利率が低く最大返済回数が長く設定されるからです。
いずれにせよ、大切なことは、「約定返済額は『債務者の返済能力(収入)とは無関係』に決まる」ということです。
約定返済額というのは、債権者である金融機関が、あなたの収入なら「○○円なら返済できますよ」という金額ではなく、「毎月○○円返済できなければお金を貸しませんよ」という基準であることは、しっかり理解しておきましょう。
すでに上で解説したことですが、それぞれのローン契約で設定される(最大の)返済回数は、適用利率をベースに設定されることが一般的です。「年利○%の借金の場合には、最大○回まで」といった基準を、金融機関はもっているわけです(実務的にはほぼ横並びの基準です)。
返済期間を確認する上で大切なことは、
「返済期間が長い」ということは、「必ずしも良いことではない」ということです(詳細は上で説明したシミュレーションを参考にしてください)。
実際に借金をしたときに、最も重要なことは、「1日でも早く完済する」ことです。
その意味で、「約定返済で、返済期間をきっちり使い切って借金を完済する」というのは、あまりオススメできません。
約定の返済額(返済回数)というのは、返済する人のために設定されている金額ではなく、「金融機関の都合」で設定されている金額だからです。
つまり、「貸し倒れのリスクが許容範囲を超えない範囲で、最も毎月の返済額が低い(返済期間が長い)金額(回数)」が約定返済の金額(回数)なのです。
言い換えれば、最も、貸し倒れになる顧客を排除した上で、最も利息収入を効率よくあげられる返済額(返済回数)が、約定返済額(返済回数)なのです。
上の返済シミュレーションの具体例でも示したように、毎月の返済額を1000円増やすだけでも、最終的な支払い額・返済回数は大きく変わります。
借金の返済シミュレーションをするときには、画面に提示された毎月の返済額を見て安心してしまうのではなく、「あと追加でいくらなら返せるだろうか?」ということまで、しっかり考えておくべきといえるでしょう。
毎月の生活には、一定の費用がかかります。食費や光熱費、家賃のほかにも、スマホ・携帯料金、プロバイダ料金などの日常生活に必要な支出額は、思ったほど少なくありません。
したがって、約定返済額が「返済可能なギリギリの金額」というときには、基本的には借金すべきではないといえます。
返済能力(収入-生活費)がギリギリということは、突発的な支出があったときに対応できないからです。
「いざとなったら節約すればよい」と考える人もいるかもしれませんが、日常生活にかかる支出を削ることは、実際には簡単ではありません。
すでに借りている借金の返済が苦しいと感じているときには、できるだけ早い時期に、弁護士などの専門家に相談することが大切です。
借金の問題はどうしても「自分に都合の良いように」考えてしまいがちだからです。
といったことは、「いま抱えている借金を本当に自力で完済出来るかどうか」を判断するための根拠・基準としてはあまり適当ではありません。
いずれも確実・具体的・客観的な基準とはいえないからです。
債務整理を数多く手がけている弁護士は、借金が返せなくなったさまざまなケースを見ています。それ故に、過去の経験に基づいて、本当に借金が完済可能かどうかを、他人の視点から判断することができます。
また、「借金が返せなくなった原因」も突き止めることができるでしょうし、そのアドバイスに従えば、借金を自力で返せるようになることもあるかもしれません。
借金の問題は、「誰にも知られたくない悩み」なので、どうしても1人で抱えがちです。
しかし、実際に借金で悩んでいる人の相談を受けていると、「もっと早く相談してくれたら良かったのに」と思うケースが少なくありません。
誰かに「辛い気持ちを打ち明ける」だけでも客観的に状況を判断できるようになります。
弁護士には、守秘義務もあるので、誰かに知られてしまう心配もありませんし、借金の相談は「無料」で受けることが多いです。お気軽に安心して弁護士にご相談ください。
弁護士に相談をしようとしても「どの弁護士に相談してみたらよいかわからない」という人も多いかと思います。
基本的には、「債務整理の経験が豊富」な弁護士に相談するのが、最も安心できるでしょう。
知り合いからの紹介や、弁護士事務所のホームページを閲覧することで、債務整理を専門としている弁護士かどうかは調べることができます。
とはいえ、最後は、弁護士本人と直接会ってみて(相談してみて)
といった基準で判断してみるとよいでしょう。
借金は、「いまの収入ではお金が足りない」という場合に申し込むことがほとんどです。
その意味では、「先のことを何も考えずに借金を申し込んだ」ときには、返済に行き詰まってしまう可能性はかなり高いといえます。
借金を申し込む前に、きちんと返済シミュレーションを行えば、返済に行き詰まってしまう借金を抱えるリスクはかなり軽減できます。
また、借金の返済が苦しいというときには、できるだけ早く弁護士などに相談をして、必要な対策を講じましょう。
ベリーベストでは、借金問題にお悩みの方へ、最適な解決方法をご提案いたします。
借金問題に苦しんでいる方は、お気軽にご相談ください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。
『旦那や家族には言っていないけど、実は私、借金を抱えてます…』
実は、主婦で借金を抱えている人は多く、それを言えずに悩んでいる方もたくさんいるのが現状です。もしかしたらこの記事をご覧のあなたも、そういった悩みをお持ちなのかもしれません。
一人で悩むことなく、主婦で借金をしている人は意外と多いということを知っていただいて、ぜひご自身の借金返済について前向きに考えていってください。この記事があなたにとって、ご参考になれば幸いです。
これから債務整理をしようと考えている方の中には、債務整理後にキャッシングできるのか、債務整理中にお金が足りなくなったときキャッシングを利用することは認められるのかと、お悩みの方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、債務整理をしたことで、キャッシングなどを法律で禁止されるわけではありません。
しかし、債務整理をすると信用情報に事故情報が登録される(ブラックリスト入りする)ので、ほとんどの金融機関は、融資に応じてくれなくなります。
親子であっても、他人の借金を返済する義務は原則としてありません。肩代わりするかどうかは、基本的に子ども自身の判断で自由に決められます。
しかし親の借金でも子どもに返済義務が生じることがあり、借金を放置すると子どもが差し押さえを受けることにもなりかねません。
本コラムでは、親の借金が降りかかってきた場合に、子どもはどのように対処すればよいのかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。