債務整理 弁護士コラム
借金していることは、誰に対してでも打ち明けづらいとてもナーバスな悩みです。 そのため、交際を始めてから、彼氏に多額の借金があることに気付くということもあるかもしれません。
特に、すでに結婚を意識している彼氏である場合には、「借金が解決するまで結婚できないのだろうか?」「本当にこのまま結婚して大丈夫だろうか?」といった不安な気持ちが生まれるかもしれません。
他方で、「私が力になれることはないだろうか?」、「わたしの貯金で代わりに返してあげた方がよいのではないか」と考える人もいるかと思います。
そこで今回は、彼氏の借金が見つかったときに、どう対処すれば良いのか?ということについて解説していきます。
婚約者に多額の借金があって将来の結婚生活に不安があるという人だけでなく、彼氏のために私が借金を肩代わりしたいと考えている人もぜひ参考にしてみてください。
まずは、彼氏に多額の借金があるかもしれないと感じたときや、彼氏に借金があることに気が付いたときの基本的な対処方法について、確認しておきましょう。
彼氏に借金があることが分かったときには、「信じられない」、「だらしない男だな」といったような、ネガティブな感情が芽生えることもあるかもしれません。
あなた自身が借金(の滞納)とは無縁に暮らしてきたようなときには、「彼氏に借金がある」、「借金が返せない」ということにいら立ちを覚えることもあると思います。
また、「彼女(婚約者)なのだから、借金のことを正確に知りたい」と考える人もいるかもしれません。
しかし、このようなときに、「感情的になって彼氏を問いただす」ことは、「逆効果」になってしまう場合が多いです。
借金の問題は、債務者本人にとっては、「誰にも知られたくない悩み」だからです。
特に借金している(借金を滞納している)ことについて後ろめたい気持ちのある彼氏の場合には、「彼女にきつく当たられる」ということは、精神的にも大きな負担となってしまうことが多いでしょう。
そのため、彼氏を必要以上に厳しく問いただすようなことをしてしまえば、逆に「本当のことを言ったらもっと怒られるから黙っておこう」という対応をされてしまう可能性もあります。
借金問題を抱えて一番つらいのは、彼氏自身であることを忘れるべきではないでしょう。
彼氏の借金の状況は、彼氏に「正直に話してもらう」ことでしか把握できません。
他人の借金を調査することは、基本的には不可能だからです。
「彼氏がちゃんと話してくれない」、「わたしは借金に気付いているけど彼氏には聞けない」など、どうしても調べたいというときには、信用調査会社(探偵)を利用するしかないでしょう。
ところで、借金の状況は、「お金を借りている本人もよく分かっていない」ということがよくあります。「借金がいくら残っているか分からない」ということは、借金問題では珍しいことではありません。
借金の正確な残額を調べるには、
という方法があります。
また、「どこから借りているかも分からない」というケースも実際にはよくあることです。
借金の悩みを抱えたことがない人には理解しづらいかもしれないですが、「自分のことなのによく分からない」ということは、借金問題では珍しいことではありません。
「借りているところも分からない」というときには、CIC・JICC・KSCといった「信用情報機関」に信用情報の照会をすることで調べることができます。
に照会すれば、借金の全容はほぼ確実に把握できると思います。
※JICC加盟の金融機関は、ほとんどがCICにも重複加盟していますが、「いわゆる街金」のような中小の消費者金融は、JICCにしか加盟していないこともあります。
なお、信用情報の照会は、CIC・JICCは、ウェブサイトから申し込みをすることができますが、KSCは郵送のみの受付となっています。いずれも、本人確認書類などが必要です。
それぞれの信用情報機関でも開示・照会方法については、下記のリンク先を確認してください。
借金問題は、誤った知識を前提に対応すると、状況をさらに悪化させてしまったり、「こんなはずじゃなかった」という結果を招いてしまうことがあります。
本来であれば、「自分の問題」である彼氏が、しっかりとした知識を身につけることが理想的ですが、借金を抱えている人には、さまざまな面で余裕がないことも少なくありません。
彼氏に借金があることが発覚すれば、「彼氏に裏切られた」ような感情をもつこともあるかもしれません。
もちろん、「借金がある彼氏とは付き合えない」と別れてしまうことも、選択肢のひとつなのかもしれません。それは個人の自由でしょう。
しかし、「借金が見つかったけど彼氏とは別れられない」というときには、自分の感情を押し殺してでも、冷静に、優しく対応することが、彼氏の借金問題を良い方向にもっていくための一番の近道といえます。
こちらが感情的になってしまえば、彼氏は、ますます孤独になっていき、解決に向けても後ろ向きになったり、自暴自棄な対処をしてしまうリスクが高くなると考えられるからです。
イソップ童話に有名な「北風と太陽」のお話がありますが、彼氏の借金問題は太陽のアプローチで対応すべきということです。
彼氏との結婚を考えている場合や、彼氏のことが好きすぎてたまらないというようなケースでは、「早く結婚したい」、「結婚生活での不安を解消したい」、「困っている彼氏を助けたい」といった思いから、「彼氏の借金を私が立て替えた方がよいのではないか」と考えるおともあるかもしれません。
たしかに、あなた自身に経済的な余裕がある場合には、借金の立て替えによって、目の前の問題を解消することは可能です。
しかし、彼氏・婚約者といえ、「他人の借金(あなた自身に返済義務のない借金)」を代わりに返済するということは、よく熟慮した上で決断すべきことといえます。
基本的には、他人の借金を肩代わりすることは、やめておくべきことだからです。
「貸したお金はあげたと思え」と昔からよく言われるように、借金返済のために立て替えてあげたお金が返ってこないリスクがあります。
彼氏なのだから、将来結婚するのだから「きちんと返してくれる」と信じたい気持ちもあると思いますが、督促の厳しい金融機関からの借金を返せてない人が、督促の緩い知人からの借金をきちんと返せる可能性は、高いとはいえないでしょう。
実際にも、交際中に貸したお金を結婚後も返済してもらえずに夫婦間のトラブルに発展するというケースもないわけではありません。
きちんとした「借用書(金銭消費貸借契約書)を作れば大丈夫ではないか?」と考える人もいるかもしれませんが、借用書は返済の保証をしてくれるものではありません。
借用書(契約書)は、あくまでも誰が誰に、お金をいつ、いくら貸して、どのように返済するかということを明確にしたものにすぎないからです。
借用書があったとしても、金融機関からの借金の場合と同じように、民事訴訟・支払い督促といった裁判所の手続きを経なければ貸したお金を強制的に回収することはできません。
彼氏の借金を肩代わりしたいと考えるときには、「彼氏とのこれから」を想定していることがほとんどでしょう。
たしかに、借金を代わりに完済すれば、目の前の借金問題は解決します。
しかし、安易に借金を肩代わりしてしまえば、「借金の裏にある本当の問題」を解決するきかっけを失ってしまうこともあります。
特に、借金が、ストレスや依存症(買い物依存、ギャンブル依存)を原因とする場合には、借金だけでなく、これらの問題と合わせて解決しなければ、数年後(数ヶ月後)にまた同じ状況に陥ってしまうということもあるでしょう。
また、他人に借金を肩代わりしてもらうことは、債務者本人である彼氏に「借金問題は簡単に問題解決できる」と誤解させてしまう可能性もあります。
実際にも、他人に借金を返済してもらったというケースでは、債務者が再度多額の借金を繰り返すということは、珍しいことではありません。
彼氏の借金を肩代わりすることを考えるもっとも典型的なケースは、「彼氏と近い将来結婚するつもりでいる場合」でしょう。
たしかに、借金がある生活よりも、借金のない生活の方が、安心で楽しい結婚生活が送れるような気がします。
しかし、結婚生活には、多額のお金が必要となる場面が少なくありません。
結婚式や新婚旅行はもとより、出産、マイホームの購入など、人生の節目となるイベントには、必ずといってよいほど多額の費用がかかります。
夫となる彼氏に、今後二度と同じような問題が起こらない(ようにあなた自身が環境を整えられる)のであれば、目先の借金を一日も早く解決することは、とても有効かもしれません。
しかし、上でも解説したように、借金の裏側にある本当の問題を解決することなく、借金の肩代わりで目先の問題を解決したにすぎないときには、結婚後にまた別の借金問題が起きる可能性があることは、否定できません。
そういう事態があることを考えると、たとえば、今の貯金を全部はたいて彼氏の借金を肩代わりするというような対応は、将来のリスクに対する備えを全部捨ててしまうことにもなりかねません。
また、恋人(婚約者)という立場は、かなり不安定です。
借金の問題がきっかけで、結婚せずに別れてしまうということもあるかもしれません。
当然、その場合には、立て替え分の返還をめぐって別れた彼氏とトラブルになる可能性はかなり高くなるといえます。
彼氏が今抱えている借金の返済に苦しんでいるという場合には、「債務整理をすすめる」のがもっとも良い解決方法といえるでしょう。
債務整理で借金を解決できれば、あなた自身の財産を「彼氏とのこれから」のために手元に残しながら、彼氏の借金問題を解決することが可能となるからです。
毎月の返済が滞りがちな借金は、解決にむけて正しく対応しなければ、ほぼ確実に深刻化していきます。
たとえば、今月の借金返済が苦しいからと、他の金融機関から借金をして対応してしまえば、借金の負担はさらに重たくなってしまいます。
その月の返済分だけ借りたとしても、借入件数が増えてしまうと、返済の負担(毎月の返済額)は増えてしまうからです。
自転車操業に陥ったことが原因で、借金がいまの2倍や3倍になってしまったというケースは少なくありません。
さらに、自転車操業を繰り返せば、借金の状況が把握しづらくなるだけでなく、返済できる見込みのない借金をしたことで、万が一自己破産しなければならなくなったときに不利益が生じる(詐欺破産などに問われる)リスクも発生してしまいます。
債務整理は、今の生活では借金返済ができないという人のための救済手段です。
したがって、債務整理をすれば、現在の生活でも借金問題を解決できるように、「借金の負担を軽く」するためのさまざまな措置を講じてもらえます。
「消費者金融や銀行のカードローンが返せない」、「クレジットカードのキャッシング・リボ払いがいつまでも終わらない」というようなケースでは、任意整理をして、利息・手数料を免除してもらうことで、毎月の返済負担はかなり軽くなります。
カードローンのような高い金利の借金は、毎月の利息負担が原因で「返済しても借金が減りづらい」状況になっているからです。
利息が免除されれば、「返済した分だけ必ず借金が減る」ことになるので、借金生活の終わりがハッキリ見えてくるので、返済し続けることのモチベーションも維持しやすくなります。
また、任意整理であれば、裁判所を用いないので、誰かに知られる心配も全くなく、手続きも簡単で、費用も安く借金問題を解決できます。
債権者が1社だけというケースであれば、10万円以内の弁護士費用で借金を解決できる場合がほとんどでしょう。
また、多重債務でかなり多額の借金を抱えてしまったというときでも、毎月きちんとした収入があるのであれば、裁判所で個人再生を認めてもらうことで、利息だけでなく借金の元金の一部についても返済を免除してもらうことができます。
たとえば、借金残額が500万円までのケースであれば、個人再生することで、100万円を3年で返済が返済することで、残額の返済を免除してもらえる可能性があります。
個人再生した場合の免除額は、債務者が持っている財産の程度によって変動しますが、独身の人の場合には、不動産などの高額資産を持っていることは少ないので、借金をより多く免除してもらえる可能性も高いといえます。
個人再生の場合には、「財産の処分」の必要はありません。
任意整理・個人再生をしても分割で借金を返すことができない事情があるときには、自己破産することも選択肢となります。
自己破産にはネガティブなイメージをもっている人も多いかもしれませんが、単身者(特に若い単身者)の自己破産は、「デメリットがほとんど発生しない」というケースも少なくありません。
借金返済に困っている単身者の場合には、自己破産をしても差し押さえられる財産がほとんどない場合が多いからです。
差し押さえられる財産がない場合であれば、自己破産の手続きも「同時廃止」という簡易な方法で進められるので、手続きにかかる時間も短く、費用も安く、借金を免除してもらうことができます。
彼氏との結婚を考えているときには、「債務整理をさせたら結婚後の生活に悪影響がでる」ことを心配する人もいるかもしれません。
たしかに、債務整理をすれば、いわゆるブラックリスト入り(信用情報に事故情報が登録される)などのデメリットが発生してしまいます。
しかし、自力では解決できない借金をそのままにしておくことのデメリットや、今後の備えとしてとても大切なあなたの財産で借金を肩代わりすることのリスクと比較したときには、債務整理のデメリットは小さいということができます。
結婚するつもりの彼氏に生じる債務整理のデメリットとして一番気になるのは、「住宅ローンを組めなくなる」ということかもしれません。
たしかに、ブラックリスト入りしている状態では、住宅ローンを組むことは難しいといえます。
しかし、ブラックリスト入りは一生続くというわけではありません。
たとえば、カードローンを任意整理した場合であれば、最長でも和解後の分割返済終了から5年でブラック情報は消去されます。
任意整理の対象となる借金が少ないケースであれば、ブラックリスト入りする期間も短くなるでしょう。
他方で、ブラック情報は、借金の返済を61日以上または3か月以上滞納したときにも登録されてしまいます。
長期滞納が原因のブラック情報は、滞納解消だけでは消去されず、「完済(契約終了)から5年」は登録され続けます。
つまり、借金が返せない(いつ完済できるかわからない)という状況では、早く債務整理をした方が、ブラックリストから外れるまでの期間も短い場合があるということです。
結婚直後にマイホームを買うという人は、実際にもあまり多くないと思います。
結婚後の家族構成によってもどのような住宅を購入するかが変わりうるからです。
将来のマイホーム購入という観点からは、一日も早く借金問題を解決して、ふたりで協力して、1円でも多くの自己資金(頭金)を用意できるようがんばることが、一番良いように思われます。
頭金が十分に用意できているのであれば、数年前の債務整理は不問にしてもらえるという可能性も出てくるからです(過去の債務整理よりも、今十分な頭金を用意できているという事情を優先する金融機関は少なくないと思います)。
彼氏に債務整理させたことが、結婚後に生まれてくる子どもにとって不利になることを心配する人もいるかもしれません。
しかし、親の債務整理が子どもに悪影響を与えることは、(親の生活が苦しいという事情を除けば)ほとんどありません。
まず、債務整理したことは、戸籍や住民票などに記録されることはありません。
また、子どもが奨学金を借りるという場合であっても、親の過去の債務整理はほとんど問題にならないでしょう。
子どもが大きくなるまでに、親のブラック情報は消えてしまっているからです。
また、親が連帯保証人になれない場合でも、保証会社による保証を利用することで、奨学金を受給することができます。
むしろ、将来の子どものためを思うのであれば、子どもが生まれてくる前に、借金問題をキレイに解決させることを優先すべきといえるでしょう。
債務整理を成功させるためには、弁護士などへ依頼することをおすすめします。
弁護士に依頼すると費用がかかることを不安に感じる人もいるかもしれませんが、債務整理にかかる費用は分割で支払うことが多いです。
また、収入が十分ではない人の場合には、法テラスが行っている民事法律扶助という制度で立て替えてもらうことも可能です。
債務整理に関する相談は、ほとんどの弁護士事務所が「無料相談」を実施しています。
費用負担に不安があるというときには、その点についてもあわせて相談するとよいでしょう。
「彼氏に知らない借金があった」という状況は、ショッキングな出来事だと思います。
しかし、彼氏の借金を知ったあなたよりも、借金を抱えている彼氏の方が、つらい思いをしている可能性が高いといえます。
借金に困っている(借金があることを打ち明けられない)人の多くは、「何とか自力で解決しよう」と問題をひとりで抱えがちだからです。
その意味で、あなたが彼氏の借金に気がついたということは、彼氏のこれからを良い方向に変えていける大きなきっかけとなるかもしれません。
しかし、恋人同士だから冷静に話し合いができないという場合もあるかもしれません。
そんなときには、専門家を交えてみることも、落ち着いて話し合いをするために、とても有効な方法ではないでしょうか。
ベリーベスト法律事務所は、さまざまな借金問題に対して、適切な解決策をご提案いたします。借金問題にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
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『旦那や家族には言っていないけど、実は私、借金を抱えてます…』
実は、主婦で借金を抱えている人は多く、それを言えずに悩んでいる方もたくさんいるのが現状です。もしかしたらこの記事をご覧のあなたも、そういった悩みをお持ちなのかもしれません。
一人で悩むことなく、主婦で借金をしている人は意外と多いということを知っていただいて、ぜひご自身の借金返済について前向きに考えていってください。この記事があなたにとって、ご参考になれば幸いです。
これから債務整理をしようと考えている方の中には、債務整理後にキャッシングできるのか、債務整理中にお金が足りなくなったときキャッシングを利用することは認められるのかと、お悩みの方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、債務整理をしたことで、キャッシングなどを法律で禁止されるわけではありません。
しかし、債務整理をすると信用情報に事故情報が登録される(ブラックリスト入りする)ので、ほとんどの金融機関は、融資に応じてくれなくなります。
親子であっても、他人の借金を返済する義務は原則としてありません。肩代わりするかどうかは、基本的に子ども自身の判断で自由に決められます。
しかし親の借金でも子どもに返済義務が生じることがあり、借金を放置すると子どもが差し押さえを受けることにもなりかねません。
本コラムでは、親の借金が降りかかってきた場合に、子どもはどのように対処すればよいのかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。