債務整理 弁護士コラム
借金の返済ができずに取り立てを受けると、怖いと感じることもあるでしょう。
金融機関や貸金業者が脅迫的な取り立てを行うことはありませんが、その反面では法的手段を用いてでも粛々と債権回収の手続きが進められます。闇金や個人の債権者は、違法な取り立てを行うこともあるので注意が必要です。
本コラムでは、どのような借金取り立てが違法となるのか、正当な借金取り立てはどのような流れで進められるのかをご紹介し、取り立てを止める方法も解説します。
借金を取り立てる方法は原則として自由ですが、法律で違法な行為が定められています。違法行為となる主なケースは、以下のとおりです。
債務者が契約を無視して返済しない場合でも、暴力や脅迫を用いて取り立てを行うことは許されません。もし、暴力や脅迫が行われた場合には、刑法上の暴行罪や傷害罪、脅迫罪、恐喝罪、強盗罪などが成立する可能性があります。
午後9時から翌日の午前8時までの間に取り立てをすることは、正当な理由がない限り、貸金業法で禁止されています。債務者の自宅を訪問するだけでなく、電話をかけたりファックスを送信したりすることも禁止の対象です。
正当な理由がないのに、職場など債務者の自宅以外の場所で取り立てをすることも、貸金業法で禁止されています。訪問だけでなく、電話をかけたりファックスを送信したりすることも禁止の対象です。
債権者が正当に債務者の元に訪問して取り立てをした場合でも、債務者が退去を求めた場合は速やかに退去しなければなりません。債権者が居座ると貸金業法違反となり、刑法上の不退去罪よりも重く処罰される可能性もあります。
債務者の自宅の玄関や壁、窓、あるいは自宅の周辺などに「金を返せ」「ドロボー」などと記載した貼り紙や立て看板などを設置する行為も貸金業法違反となります。状況次第では、刑法上の名誉毀損罪や侮辱罪、器物損壊罪、業務妨害罪などが成立する可能性もあります。
借金の取り立ては、あくまでも債務者または保証人に対して行わなければなりません。たとえ家族であっても、第三者に対して支払いを要求する行為は貸金業法違反です。状況次第では、刑法上の脅迫罪や恐喝罪、強盗罪、詐欺罪などが成立する可能性もあります。
貸金業者は、債務者が債務整理を依頼した弁護士・司法書士からの受任通知や、債務整理の手続きを申し立てた裁判所からの通知を受け取った後は、債務者に対して直接返済を要求することが禁止されています。受任通知等を受け取った後に直接の取り立てを行うと、貸金業法違反となります。
金融機関や貸金業者は、債権回収会社(サービサー)に取り立てを委託することもあります。法務大臣の許可を得た債権回収会社への委託は正当です。しかし、無許可の業者による取り立ては違法であり、違法業者に取り立てを委託した債権者も共犯として罪に問われる可能性があります。
以上の他にも、貸金業法第21条1項で、貸金業者が行ってはならない取立行為がいくつか定められています。気になる場合は貸金業法の規定を確認するか、弁護士に相談して確認した方がよいでしょう。
正規の金融機関や貸金業者のほとんどは、法律を守って正当に借金を取り立てます。その流れは、以下のとおりです。
借金を滞納すると、早ければ翌日、遅くとも1週間が経過する頃から、電話や文書(督促状)の送付による取り立てが始まります。当初は支払いがないことの確認や新たな返済期日の指定などを目的とした取り立てであり、威圧的な口調や文言は用いられません。しかし、滞納を続けると電話や文書による督促が何度も繰り返されます。
滞納がおおむね3か月ほど続くと、催告書という書面が送られてきます。催告書とは、法的措置をとる前の最終勧告の意味合いで送られてくる請求書のことです。催告書が送付されるときには期限の利益を失っているため、借金の残高に遅延損害金を加算して一括で返済することを請求されます。
期限の利益とは、返済期限が到来するまでは残高の返済をしなくてよいという債務者の利益のことです。返済を怠ると契約違反により期限の利益が失われ、分割返済が認められなくなるのです。
催告書が届いても滞納を続けていると、債権者は「支払督促」または「民事訴訟」という裁判を起こします。
支払督促とは、債権者の申立てにより、簡易裁判所が書面審査のみで債務者に支払いを命じる裁判手続きのことです。債務者が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議を申し立てると、民事訴訟の手続きに移行します。しかし、債務者が放置すると、債権者は所定の手続きを踏んで強制執行の申し立てが可能となります。
民事訴訟とは、当事者双方が主張と証拠を提出し合い、裁判所による判断(判決)を求める裁判手続きのことです。債務者が訴状を受け取って答弁書を提出せず、裁判期日に出頭もしなければ、債権者の言い分をすべて認める判決が言い渡されます。債務者が判決書を受け取ってから2週間以内に控訴しなければ、判決が確定します。
債務者が支払督促に対して異議申立てをしないか、判決が確定した場合は、債権者が強制執行を申し立てる可能性があります。強制執行の申立てがあると、裁判所が債務者の給料や預貯金などの財産を差し押さえます。差し押さえられた財産は、強制的に借金の返済に充てられるのです。債権者が全額の回収に成功すると、取り立ては終了です。
借金の取り立てを受けたときは、以下のように状況に応じて適切な対処法が異なります。
正当な取り立ての場合は、原則として返済に応じなければなりません。すぐに返済できない場合は、いつまでに返済できるのかを債権者に伝える必要があります。交渉次第では、返済期間の延長や金利の引き下げなど、返済方法を変更できる可能性もあります。
金融機関や貸金業者から違法な取り立てを受けた場合は、日本貸金業協会の「貸金業相談・紛争解決センター」や全国銀行協会の「全国銀行協会相談室」に相談し、話し合いによる解決を求めることが可能です。
金融監督庁や各地の財務局、都道府県の役所の貸金業担当課に相談し、債権者に対する行政指導を求めることもできます。
闇金や個人の債権者から身の危険を感じるような取り立てを受けたときは、すぐ警察に通報することです。暴行や脅迫、業務妨害などで実害が生じている場合は、債権者が現行犯逮捕される可能性があります。また、法外な金利を要求されたり、支払ったりしたときは出資法違反事件として警察による対処が期待できることもあります。
借金の取り立てを受けると切迫した状況となり、とっさには適切な対処法が分からないこともあるでしょう。そんなときは弁護士への相談が有効です。状況に応じて、適切な対処法についてのアドバイスが得られます。闇金や個人の債権者とのトラブルで困っている場合は、相手との交渉を弁護士に依頼することも可能です。
正当な取り立てを受け、債権者と交渉しても借金を払えない場合には、債務整理が有効です。
債務整理とは、法律に則った正当な手続きで借金を減免できる救済制度のことです。主に任意整理、個人再生、自己破産という3種類の手続きがあり、状況に合った手続きを行うことで借金問題を解決できます。
債務者自身で債権者と交渉してもまとまらなかった場合でも、弁護士を通じて任意整理の交渉をすれば解決できる可能性が高まります。個人再生と自己破産では、裁判所の決定により借金が減免されるため、債権者との交渉は不要です。
弁護士に債務整理を依頼すれば受任通知が送付され、債権者に受任通知が届くと取り立てがいったん止まります。その後は債務整理手続きが終了するまで基本的に返済も不要です。任意整理と個人再生では返済が残りますが、滞納しない限りは再び取り立てを受けることもありません。
借金の取り立てには正当なケースと違法なケースがありますが、正規の金融機関や貸金業者の取り立ては正当なケースがほとんどです。正当な取り立てを受けて借金を払えない場合でも、債務整理を弁護士に依頼すれば取り立てをいったん止めて借金問題を解決できます。
ベリーベスト法律事務所にご相談いただければ、経験豊富な弁護士が状況に応じて最適な解決方法を提案いたします。取り立ての問題に限らず、借金問題に関するご相談は何度でも無料ですので、お困りの際は当事務所の無料相談をご利用ください。
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『旦那や家族には言っていないけど、実は私、借金を抱えてます…』
実は、主婦で借金を抱えている人は多く、それを言えずに悩んでいる方もたくさんいるのが現状です。もしかしたらこの記事をご覧のあなたも、そういった悩みをお持ちなのかもしれません。
一人で悩むことなく、主婦で借金をしている人は意外と多いということを知っていただいて、ぜひご自身の借金返済について前向きに考えていってください。この記事があなたにとって、ご参考になれば幸いです。
これから債務整理をしようと考えている方の中には、債務整理後にキャッシングできるのか、債務整理中にお金が足りなくなったときキャッシングを利用することは認められるのかと、お悩みの方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、債務整理をしたことで、キャッシングなどを法律で禁止されるわけではありません。
しかし、債務整理をすると信用情報に事故情報が登録される(ブラックリスト入りする)ので、ほとんどの金融機関は、融資に応じてくれなくなります。
親子であっても、他人の借金を返済する義務は原則としてありません。肩代わりするかどうかは、基本的に子ども自身の判断で自由に決められます。
しかし親の借金でも子どもに返済義務が生じることがあり、借金を放置すると子どもが差し押さえを受けることにもなりかねません。
本コラムでは、親の借金が降りかかってきた場合に、子どもはどのように対処すればよいのかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。